2014年10月

【中央環境審議会水環境部会(第36回)】報告
(2014/10/20)

水循環基本法における水循環基本計画の作成に向けて

 平成26年10月20日に行われた中央環境審議会(第36回)を傍聴したので審議内容について速報として報告する。
 本委員会では、水循環基本法における「水循環基本計画」の骨子が公表され、その内容について有識者からの意見聴取が行われた。そのなかで「水循環基本計画」の原案作成に向けて次のような意見があった。

  • 実際にこの法律に深くかかわる流域の自治体の役割が明確になるようにしたい。
  • 水質と水量の確保は状況によっては矛盾することがある。その部分を考慮した内容にしたい。
  • 自然における水循環の正常な機能の把握や、人為操作がそれにどのように影響するかを知ることが重要。
  • 上流部の大量取水や湧水増加の影響を把握することも重要。
  • 各地域に根づいている水に関する行事との連携を図れるとよい。

 今後のスケジュールとしては、本委員会での意見を加味した上で基本計画の原案が作成(2015年1~2月)、原案に対する有識者意見聴取が再び行われ、同年3月予定のパブリックコメントを経て2015年の夏には基本計画が閣議決定される予定。

水循環基本法:議員立法により2014年4月に成立。近年の都市部への人口集中、気候変動等のさまざまな要因により水循環に変化が生じてきたため、渇水、洪水、水質汚濁、生態系への影響などが問題となっている。その現状にかんがみ、健全な水循環を維持、回復するための施策について定められたもの。これまで水関連の法律や施策を担う行政組織は、環境省、厚生労働省、国土交通省など多岐にわたっていたが、内閣に水循環政策本部(本部長は内閣総理大臣)を置き一元的な施策を推進することとしている。

海洋汚染防止法の改正について

 バラスト水(船舶の「おもし」として船底に入れる海水など)に含まれる生物が、本来の生息地ではない場所で排出されることによる生態系破壊が問題となっていた。そのため、2004年に国際海事機関(IMO)においてバラスト水規制管理条約(2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約)が採択され、それに伴い海洋汚染防止法が改正された。主な改正点は以下のとおり。

  • 船舶からの有害なバラスト水の排出を禁止
  • 船舶所有者等に、処理設備の設置、管理者の選任、手引書の作成・備置き等を義務付け
  • 船長に記録簿の備付けを義務付け

この条約の効力発行の要件は、30以上の国の批准、かつ、その合計商船船腹量が世界の全商船船腹量の35%以上となった日の12か月後とされている。日本においても同じ日に効力発行の予定。2014年10月10日現在、批准国41か国(日本を含む)、合計商船船腹量30.25%。


※本取りまとめは本編集部独自によるものです。 ↓委員会資料は『改正内容はこちら』をクリック↓

改正内容はこちら(会員のみ)

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