2016年5月

【中環審/水環境部会】総量規制基準の設定方法に関する環境大臣への答申
(2016/5/27)

第8次水質総量削減に向け、総量規制基準の見直し案がまとまる

 第8次水質総量削減にむけ、総量規制基準の見直しが行われる。平成28年5月26日付けで環境大臣宛てに答申が出されており、今後、環境省において告示改正が実施される予定だ。
 本答申では、東京湾、伊勢湾、大阪湾について、各業種ごとに定められた基準値の上限(C値の範囲)が引き下げられ、基準強化が提言されている(瀬戸内海については、今回見直しはなし)。
 基準値の上限が引き下げられた業種は、下表の通りである。変更後の基準値については、本記事下部の環境省の報道発表資料から確認ができる。
※事業場への実際の排出規制値については、この強化されたC値の範囲内で、各都府県が定めることになる。

《基準値が見直された水域と業種》
 ○COD:東京湾・伊勢湾・大阪湾(15業種区分)
 ○窒 素:東京湾・伊勢湾(76業種区分)
 ○り ん:東京湾・伊勢湾(72業種区分)

【CODの基準値の上限が引き下げられた15業種】

整理番号 業種その他の区分
16 野菜漬物製造業
23 ぶどう糖・水あめ・異性化糖製造業
89 機械すき和紙製造業
89項の備考 パルプ製造工程を有するものにあっては
92 段ボール製造業
115項の備考(1) 青酸誘導品含有排水を排出する工程にあっては
(※115項 脂肪族系中間物製造業)
119 環式中間物・合成染料・有機顔料製造業
205 電子部品・デバイス・電子回路製造業(前項に掲げるものを除く)、電気機械器具製造業又は情報通信機械器具製造業
220 病院
221 し尿浄化槽(建築基準法施行令(昭和25年政令第三百三十八号)第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理対象人員が501人以上のものに限る。)
221項の備考(1) 第二欄により算定した処理対象人員が5000人以下のものにあっては
221項の備考(2) 第二欄により算定した処理対象人員が5000人以下のものであって、昭和55年7月建設省告示第千二百九十二号が適用される前のものにあっては
222項の備考(1) 昭和55年7月建設省告示第千二百九十二号が適用される前のものにあっては
(※222項 し尿浄化槽(建築基準法施行令第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理対象人員が201人以上500人以下のものに限る。)
223項の備考(2) 昭和62年6月30日以前に設置されたものにあっては
223項の備考(3) 嫌気性消化法、好気性消化法、湿式酸化法又は活性汚泥法に凝集処理法を加えた方法より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては
(※223項 し尿処理業(し尿浄化槽に係るものを除く。))

 【窒素の基準値の上限が引き下げられた76業種】

整理番号 業種その他の区分
7 畜産食料品製造業(前二項に掲げるものを除く。)
10 魚肉ハム・ソーセージ製造業
18 しょう油・食用アミノ酸製造業
19 うま味調味料製造業
28 米菓製造業
34 穀類でんぷん製造業
37 豆腐・油揚製造業
39 冷凍調理食品製造業
42 果実酒製造業
44 清酒製造業
62 繊維工業でニット・レース染色整理工程(染色整理工程付帯加工処理工程を含む。)に係るもの
63 繊維工業で繊維雑品染色整理工程(染色整理工程付帯加工処理工程を含む。)に係るもの
64 繊維工業で不織布製造工程に係るもの
68 繊維工業(整理番号55の項から前項に掲げるものを除く。)
71 合板製造業(集成材製造業を含む。)又はパーティクルボード製造業
102項の備考(1) アンモニア製造工程にあっては
(※102項 窒素質・りん酸質肥料製造業)
103 複合肥料製造業
107 無機顔料製造業
108項の備考(3) モリブデン化合物製造工程(塩析工程を有するものに限る。)にあっては
108項の備考(4) イットリウム酸化物製造工程にあっては
(※108項 無機化学工業製品製造業(整理番号105の項から前項までに掲げるものを除く。))
109 石油化学系基礎製品製造業で脂肪族系中間物製造工程に係るもの
109項の備考 窒素又はその化合物を原料として使用するものにあっては
110 石油化学系基礎製品製造業で環式中間物・合成染料・有機顔料製造工程に係るもの
110項の備考 窒素又はその化合物を原料として使用するものにあっては
111 石油化学系基礎製品製造業でプラスチック製造工程に係るもの
112項の備考 窒素又はその化合物を原料又は乳化助剤として使用するものにあっては
(※112項 石油化学系基礎製品製造業で合成ゴム製造工程に係るもの)
113 石油化学系基礎製品製造業で有機化学工業製品製造工程(脂肪族系中間物製造工程、環式中間物・合成染料・有機顔料製造工程、プラスチック製造工程及び合成ゴム製造工程を除く。)に係るもの
114 石油化学系基礎製品製造業(整理番号109の項から前項までに掲げるものを除く。)
115項の備考(2) 青酸誘導品含有排水を排出する工程にあっては
(※115項 脂肪族系中間物製造業)
116 メタン誘導品製造業
117 発酵工業
119 環式中間物・合成染料・有機顔料製造業
120 プラスチック製造業
120項の備考 窒素又はその化合物を原料又は乳化助剤として使用するものにあっては
121 合成ゴム製造業
122項の備考(4) 化学発泡剤製造工程(尿素を原料として使用するものに限る。)にあっては
(※122項 有機化学工業製品製造業(整理番号109の項から前項までに掲げるものを除く。))
126 脂肪酸・硬化油・グリセリン製造業
128 界面活性剤製造業(前項に掲げるものを除く。)
129 塗料製造業
130 印刷インキ製造業
131 医薬品原薬・製剤製造業
136 火薬類製造業
138 合成香料製造業
143 写真感光材料製造業
146 化学工業(整理番号102の項から前項までに掲げるものを除く。)
147 石油精製業
149 コークス製造業
156 板ガラス製造業
157 板ガラス加工業
158 ガラス製加工素材製造業
164 ガラス・同製品製造業(整理番号156の項から前項までに掲げるものを除く。)
170 鉱物・土石粉砕等処理業
173項の備考(1) コークス製造工程にあっては
173項の備考(2) ステンレス硝酸酸洗工程を有するものにあっては
(※173項 高炉による製鉄業)
180項の備考 ステンレス硝酸酸洗工程を有するものにあっては
(※180項 冷間圧延業(整理番号182の項及び同183の項に掲げるものを除く。))
200 非鉄金属製造業
201 電気めっき業
201項の備考 窒素又はその化合物による表面処理施設を設置するものにあっては
202項の備考(2) アルマイト加工工程(窒素又はその化合物による表面処理施設を設置するものに限る。)にあっては
(※202項 金属製品製造業(前項に掲げるものを除く。))
205項の備考(2) 半導体素子製造工程にあっては
(※205項 電子部品・デバイス・電子回路製造業(前項に掲げるものを除く)、電気機械器具製造業又は情報通信機械器具製造業)
207項の備考 時計・同部分品製造工程(時計側を除く。)にあっては
209 下水道業
209項の備考(2) 高濃度の窒素を含有する汚水を多量に受け入れて処理するものにあっては
213 飲食店
214 宿泊業
216 洗濯業(前項に掲げるものを除く。)
220 病院
221 し尿浄化槽(建築基準法施行令(昭和25年政令第三百三十八号)第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理人員が501人以上のものに限る。)
221項の備考 第二欄に規定する表又は建築基準法施行令第三十二条第三項第二号に規定する技術上の基準を満たす構造のし尿浄化槽より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては
222 し尿浄化槽(建築基準法施行令第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理対象人員が201人以上500人以下のものに限る。)
222項の備考 第二欄に規定する表又は建築基準法施行令第三十二条第三項第二号に規定する技術上の基準を満たす構造のし尿浄化槽より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては
223 し尿処理業(し尿浄化槽に係るものを除く。)
223項の備考 嫌気性消化法、好気性消化法、湿式酸化法又は活性汚泥法に凝集処理法を加えた方法より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては
225 廃油処理業
226 産業廃棄物処理業(前項に掲げるものを除く。)
231 試験研究機関(規則第一条の二各号に掲げるものをいう。)

【りんの基準値の上限が引き下げられた72業種】
 ※下表の内容が、窒素に関する表となっておりました。現在は修正しております。(H28.6.3修正)

整理番号 業種その他の区分
2項の備考 総面積が50m2以上の豚房施設を有するものにあっては
(※2項 畜産農業)
4 非金属鉱業
7 畜産食料品製造業(前二項に掲げるものを除く。)
10 魚肉ハム・ソーセージ製造業
11 水産練製品製造業(前項に掲げるものを除く。)
15 野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
16 野菜漬物製造業
19 うま味調味料製造業
21 食酢製造業
22 砂糖精製業
24 小麦粉製造業
25 パン製造業
28 米菓製造業
29 パン・菓子製造業(整理番号25の項から前項までに掲げるものを除く。)
34 穀類でんぷん製造業
38 あん類製造業
39 冷凍調理食品製造業
42 果実酒製造業
46 インスタントコーヒー製造業
47 配合飼料製造業
49 有機質肥料製造業
63 繊維工業で繊維雑品染色整理工程(染色整理工程付帯加工処理工程を含む。)に係るもの
66 繊維工業で上塗りした織物及び防水した織物製造工程に係るもの
85 パルプ製造業、洋紙製造業又は板紙製造業で木材又は古紙以外のものを原料とするパルプ製造工程に係るもの
100 印刷業(新聞その他の出版物を印刷するものを含む。)
101 製版業
102 窒素質・りん酸質肥料製造業
103 複合肥料製造業
107 無機顔料製造業
108 無機化学工業製品製造業(整理番号105の項から前項までに掲げるものを除く。)
108項の備考 りん及びりん化合物製造工程にあっては
114 石油化学系基礎製品製造業(整理番号109の項から前項までに掲げるものを除く。)
116 メタン誘導品製造業
117 発酵工業
119項の備考 りん又はその化合物を原料、触媒又は中和剤として使用するものにあっては
(※119項 環式中間物・合成染料・有機顔料製造業)
120 プラスチック製造業
121 合成ゴム製造業
122項の備考 有機りん系農薬原体製造工程にあっては(※122項 有機化学工業製品製造業(整理番号109の項から前項までに掲げるものを除く。))
(※122項 有機化学工業製品製造業(整理番号109の項から前項までに掲げるものを除く。)
129 塗料製造業
131 医薬品原薬・製剤製造業
132 医薬品製剤製造業
138 合成香料製造業
139 香料製造業(前項に掲げるものを除く。)
142 ゼラチン・接着剤製造業(にかわ製造業を含む。)
149 コークス製造業
151 自動車タイヤ・チューブ製造業
159 ガラス容器製造業
164 ガラス・同製品製造業(整理番号156の項から前項までに掲げるものを除く。)
166 コンクリート製品製造業
170 鉱物・土石粉砕等処理業
179 熱間圧延業(整理番号182の項及び同183の項に掲げるものを除く。)
180 冷間圧延業(整理番号182の項及び同183の項に掲げるものを除く。)
188 亜鉛鉄板製造業
189 めっき鋼管製造業
190 めっき鉄鋼線製造業
191 表面処理鋼材製造業(整理番号187の項から前項までに掲げるものを除く。)
202 金属製品製造業(前項に掲げるものを除く。)
202項の備考(2) アルマイト加工工程(りん又はその化合物による表面処理施設を設置するものに限る。)にあっては
205 電子部品・デバイス・電子回路製造業(前項に掲げるものを除く)、電気機械器具製造業又は情報通信機械器具製造業
205項の備考 民生用電気機械器具製造工程(りん又はその化合物による表面処理施設を設置するものに限る。)にあっては
206項の備考 自動車・同付属品製造工程(りん又はその化合物による表面処理施設を設置するものに限る。)にあっては
(※206項 輸送用機械器具製造業)
208 ガス製造工場
209 下水道業
209項の備考(2) 高濃度のりんを含有する汚水を多量に受け入れて処理するもの(標準活性汚泥法その他これと同程度に下水中のりんを除去できる方法により下水を処理するものに限る。)にあっては
215 リネンサプライ業
219 自動車整備業
221 し尿浄化槽(建築基準法施行令(昭和25年政令第三百三十八号)第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理人員が501人以上のものに限る。)
221項の備考 第二欄に規定する表又は建築基準法施行令第三十二条第三項第二号に規定する技術上の基準を満たす構造のし尿浄化槽より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては
222 し尿浄化槽(建築基準法施行令第三十二条第一項の表に規定する算定方法により算定した処理対象人員が201人以上500人以下のものに限る。)
222項の備考 第二欄に規定する表又は建築基準法施行令第三十二条第三項第二号に規定する技術上の基準を満たす構造のし尿浄化槽より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては
223 し尿処理業(し尿浄化槽に係るものを除く。)
223項の備考 嫌気性消化法、好気性消化法、湿式酸化法又は活性汚泥法に凝集処理法を加えた方法より高度にし尿を処理することができる方法によりし尿を処理するものにあっては

【環境省報道発表】
「水質に係る化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量の総量規制基準の設定方法について(答申)」及び意見募集(パブリックコメント)の結果について(平成28年5月27日)


※取りまとめは本編集部独自によるものです。 ※本記事に会員専用情報はございません。

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【NO.47-1】「名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方」については別途検討することとして報告書案をまとめた平成27年度第2回遺伝子組換え生物等専門委員会について (2016/5更新 『機関誌:環境管理2016年5月号 先読み!環境法』より)

1.経 過

 昨平成27年11月9日に第1回が開催された遺伝子組換え生物等専門委員会は、①施行後5年以降のカルタヘナ法の施行状況の検討及び、②バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方を検討するとしていた。その焦点は②にあり、第190回通常国会に国内措置と議定書承認案件が提出されることが期待されたが、本年 1 月22日に開催された第2回遺伝子組換え生物等専門委員会において①に関する報告書案がまとめられ、②の名古屋・クアラルンプール補足義弟書に対応した国内措置は別途検討することになった 。(「2.カルタヘナ法施行状況に関する検討報告(案)」に続く)


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【NO.47-2】平成26年に続く都市再生特別措置法改正案の提出と同年制定の空家対策特措法問題 (2016/5更新 『機関誌:環境管理2016年5月号 先読み!環境法』より)

1.経 過

 本年2月5日に都市再生特別措置法の改正案が国会に提出された。「国土交通省の都市再生の方針」は、超高齢化と大幅な人口減少に対して、「大都市は国際都市化」そして「地方都市は集約化とコンパクト化の推進」の二つを基軸にしている。
 平成26年5月14日に成立した同法の改正は、都市全体の構造を見渡しながら、住宅及び医療福祉、商業その他の居住に関連する施設の誘導と、それと連携した公共交通に関する施策を講じることにより、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援することが必要であるとし、都市再生基本方針に基づく市町村による立地適正化計画の作成、都市機能誘導区域及び居住誘導区域の設定という「ゾーニングによる誘導手法」、「推進は民間都市再生事業計画」であった。今回の改正案について報道発表資料で次のように説明している。

1.背景
 我が国の大都市については、我が国経済の牽引役として世界の都市間競争に対応し、世界中からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込むため、国際的なビジネス・生活環境、大規模災害に対応するための環境を整備する必要がある。また、地方都市においては、人口減少や少子高齢化の進展に対応し、地方創生を実現するため、コンパクトで賑わいのあるまちづくりを進める必要がある。加えて、高度経済成長期に大量に供給され、老朽化が進んでいる住宅団地について、地域の拠点として再生を図ることが求められている。

2.法律案の概要
(1)都市の国際競争力・防災機能の強化
①民間都市再生事業計画の認定申請期限の延長・認定処理期間の短縮
(申請期限:平成29年3月末まで→平成34年3月末までに延長)
②公共施設等に限られていた民間都市開発事業に対する金融支援の範囲に、国際会議場施設等の整備費を追加
③災害時にエリア内のビルにエネルギーを継続して供給するための協定制度の創設
④建築物の道路上空利用が可能な地域を、特定都市再生緊急整備地域から都市再生緊急整備地域全域へ拡充
⑤都市再生緊急整備地域指定の見直し制度の明示

(2)コンパクトで賑わいのあるまちづくり
①地域内にある有用な既存ストックを残しつつ、地域の身の丈にあった市街地整備を可能とする手法の創設
②まちなか誘導施設(医療施設、福祉施設、商業施設等)の整備促進を図る地区(特定用途誘導地区)で市街地再開発事業を実施できることとするなどの市街地再開発事業の施行要件の見直し
③空き地・空き店舗を有効に活用するための協定制度の創設
④賑わいの創出に寄与する施設(観光案内所、サイクルポート等)の都市公園の占用を可能に

(3)住宅団地の再生
土地の共有者のみで市街地再開発事業を組合施行する場合に、各共有者をそれぞれ一人の組合員として扱い、2/3合意での事業推進を可能に

(「2.特定空家等に対する措置」が指針として示された空家対策特措法の施行」に続く)


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