環境管理バックナンバー 2008年 12月号

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2008年12月号 特集:カーボンフットプリント―環境配慮製品GHG排出量見える化戦略

<特集>

「環境を『力』にするビジネス」成長戦略のねらいと検討の経緯
石谷 久 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
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 本年度から京都議定書第1約束期間に入り,国際的にも温暖化防止の動きは加速している。我が国はCO2削減目標達成のために官民あげて努力しているが,相対的に高効率,低炭素排出率を達成している日本でその達成は容易ではなく,逆に経済活動への圧迫も懸念される。このような目標を達成するには地球環境保全に重点をおいた長期的視点で,今後必要な革新技術を実現し,新たな産業枠組みを構築することが不可欠である。そこで本年7月に日本で開催されたサミットを控え,日本の進んだ環境技術をベースに,新たに,「環境を『力』にするビジネス」というコンセプトでその成長を促進する社会の構築に向けた戦略の検討が,産構審環境部会,産業と環境小委員会で始められた。本文はその背景,目的,経緯を紹介して,その中の主要な検討課題である「カーボンフットプリント」「金融市場における「環境力」評価手法」の詳細と位置づけを示した。

カーボンフットプリントのあり方と課題
稲葉 敦 東京大学人工物工学研究センター教授/独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門
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 カーボンフットプリントは,2006年12月に英国のカーボントラスト社が実施を発表して以来,世界的な規模でその動きが広まっている。従来のライフサイクルアセスメント(LCA)と異なるのは,多様な環境負荷物質の中から温室効果ガスのみに着目し,食品や日用品等に二酸化炭素(CO2)の排出量を直接表示することにより,消費者への情報提供を行う点である。生産者のみならず消費者自身のCO2削減努力に期待するのが大きな特徴となる。本文では,カーボンフットプリントの国内外の動向から,実施を巡っての様々な議論,国際標準規格化の動き,具体的な課題等について述べる。

カーボンフットプリント制度による環境負荷の「見える化」
石原慎太郎 経済産業省商務情報政策局流通政策課
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 本年7月29日に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」で示されたカーボンフットプリント制度の構築・普及に向けて,経済産業省では関係各省と連携し取組を進めているところである。本制度は温室効果ガスの「見える化」により,事業者・消費者双方の生産・消費活動を定量的に把握することで,両者に温室効果ガス排出削減に向けた適切な選択を促すものである。 本制度の実用化・普及に当たっては,温暖化対策を行う事業者が市場で適切に評価される仕組が必要であるが,そのためには,算定・表示方法の信頼性や簡便性の向上,消費者の理解等が不可欠である。世界的な取組が進む中,我が国の取組が国内のみならず世界的な制度の健全な発展・普及に資するよう,経済産業省としても早期の制度構築に努めていく必要がある。

わが社とカーボンフットプリント
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 12月11日から開催される「エコプロダクツ2008」に出展するカーボンフットプリント試行品と出展企業の取り組みを紹介。本試行は,経済産業省での「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」及び「CO2排出量の算定・表示・評価に関するルール検討会」の活動の一環である。

カーボンフットプリント国際動向と今後の展望
中庭知重 一般社団法人産業環境管理協会製品環境情報事業センター環境情報事業推進室主査
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 本論では,カーボンフットプリントの海外の動向について,国ごともしくは業界ごとの動向,その他標準化の動きなど国際組織の動向を解説し,今後の展望について考える。他国にさきがけ,カーボンフットプリントの評価手法開発を進め,制度構築のためのプロジェクトも実施されているイギリスの取組みの紹介他,ドイツ,フランス,スウェーデン,韓国などでの検討を紹介する。また,ISOでの国際規格策定作業(ISO140067)での検討,製紙,アルミ,ワイン,飲料メーカ等,国を越えた国際的な業界組織の取組みも一部触れる。各取組みが進展するにつれ,評価のためのデータ提供・収集方法,表示をしていく際の公正な算出・表示のための共通ルールの構築等について,比較可能性の維持や各企業の負担の削減,消費者の混乱防止に向けた具体的な議論が一層活発になることが見込まれる。

<総説>

何が代替エネルギーを後押しするか―風力発電を例に
荒川忠一 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻教授・工学博士、西澤真理子 リテラジャパン代表/ドイツ・シュトゥットガルト大学フェロー・社会学博士
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 世界的に風力発電への注目が集まっており,ヨーロッパ連合(EU),なかでもドイツやデンマークではその利用が急速に進んでいる。一方,風力発電技術の水準が世界でもトップである日本では,その導入が遅れがちである。代替エネルギーを促進する,もしくは阻害する要素は何か。本稿では,風車先進国のドイツやデンマークなどの状況などにも触れつつ,風力発電についての現状報告を行い,これからの展望を論じる。

<シリーズ>

【環境法の新潮流58】花粉起因の健康リスク管理のための法政策のあり方
勢一智子 西南学院大学法学部教授
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 10月半ば日本気象協会から2009年春の全国スギ・ヒノキ花粉の飛散予測が発表された。北日本では例年より少なく,南関東以西では例年より多く花粉の総飛散量が予測されるとのことである。花粉症は,これまで約40年以上,多くの国民を悩ませてきた問題であるが,花粉という自然現象が原因であるため,花粉症患者はリスクを甘受してきた。このような花粉症を社会的リスクと捉え,リスク管理することは可能であるのか。政府や自治体による取り組みを中心として法政策の検討を試みる。

【実践マテリアルフローコスト会計39】産業用シート素材製造のMFCA導入
我妻 明 弘進ゴム株式会社生産部企画管理チームサブチームリーダー
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 原油高による石油製品が高騰する中,ゴム・プラスチック製造をメインとしている当社のような会社にとって,材料費アップは現実問題として大きくひびいている。そのような中,一番重要視されるのはコストダウンであると思われる。本事例は,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を適用し“ムダ”を細分化させ改善活動を行った導入事例である。また,ISO14001の取り組みと連動させることも今後MFCAを定着させるための大きな課題である。

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