環境管理バックナンバー 2009年 12月号

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2009年12月号 特集:BRICsの環境事情

<特集>

BRICsの経済と環境問題―エネルギー・地球温暖化問題を中心に
本蔵 満 財団法人日本エネルギー経済研究所戦略・産業ユニット国際動向・戦略分析グループ研究主幹
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 BRICsは国土が広く人口も多い。近年の高い経済成長に伴い,BRICsのエネルギー消費量は増加を続け,世界全体の3割を占めている。この結果二酸化炭素(CO₂)排出量も増加を続け,2007年には中国が米国を抜いて世界1位の排出国となり,3位,4位にはロシア,インドが続いている。今後も中国,インド,ロシアのCO₂排出量は増加を続け,3か国のCO₂排出量増加は世界全体の増加分の7割を占める見通しである。CO₂排出抑制策の一つである省エネについては,中国,インド,ブラジルでは政策が策定されているが,ロシアについては政策的な取り組みが遅れている。

ブラジルの環境管理及び産業廃棄物管理関連法制度・組織について
田村えり子 独立行政法人国際協力機構地球環境部環境管理グループ環境管理第二課
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 国際協力機構(JICA)はアマゾナス州のマナウスフリーゾーン(MFZ)における産業廃棄物管理を対象に「マナウス工業団地産業廃棄物管理改善計画調査」を実施している。本調査の過程で,ブラジルにおける国,州,市の各レベルにおける環境管理及び産業廃棄物管理関連法制度,組織の実態把握を行った。環境関連法制度及び組織は,国(連邦),州,市の各レベルで整備はされているものの,法令の執行面,特に地方行政機関(州,市レベル)の業務執行能力に課題があることが判明している。本調査で作成予定のマスタープランにより,MFZの産業廃棄物管理の改善に向けての提言を行う予定であり,ブラジルにおける環境管理の促進に貢献したいと考えている。

ロシアの環境事情―「環境政策なき環境改善」とその後
徳永昌弘 関西大学商学部准教授
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 経済システムの転換に伴う1990年代のロシアの構造不況は,経済活動の停滞による環境負荷の大幅減だけでなく,環境負荷の大きい汚染産業の解体を促し,エネルギー効率が極めて悪い生産設備の休停止をもたらしたため,その後の経済成長は環境負荷の急増に繋がらなかった。こうした「環境政策なき環境改善」は,最小限の政策費用で短期間の環境汚染の改善を実現した反面,環境ガバナンスの向上という点では中長期的にマイナスの影響を及ぼした。短期間の環境改善が中長期的な環境ガバナンスの向上を阻むという逆説的な事態は,ロシアの環境事情を理解する重要なカギである。

インドの環境問題と持続的開発
酒井康裕 財団法人地球環境戦略研究機関関西研究センター総務課長、石川治子 財団法人地球環境戦略研究機関関西研究センター研究員、志賀雄樹 財団法人地球環境戦略研究機関関西研究センター研究員
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 インドの環境問題と持続的開発を考える上で特徴的な要素の1つが,人口の25%を占める貧困層の存在である。インドは,この貧困問題の解決のために自国の経済成長を優先しなければならないが,その一方で,大気,水質,廃棄物等の公害問題やエネルギー消費の急増,インフラの未整備がその経済成長を脅かす存在になっている。また,二酸化炭素(CO₂)排出量は日本と同じく世界の約5%を占めるに至っていることから,インド政府はNational Action Plan on Climate Change(NAPCC)等,次々と対応策を打ち出しているところである。内需が経済成長を牽引し,2050年には世界1位の人口を有するインドは魅力的な巨大市場ではあるが,このように困難な状況に直面しているインドを理解することは容易なことではない。本稿は以上の背景を踏まえ,インド環境森林省が2009年7月に発表した「State of Environment Report India 2009」(SOE2009)の中で取り上げられている5つの主要な問題について,最近の動向にも触れつつ,その概要を紹介する。

インドの省エネ促進及び持続的水利用に関するJICAの取り組み
田村桃子 独立行政法人国際協力機構南アジア部南アジア第一課調査役、林遼太郎 独立行政法人国際協力機構南アジア部南アジア第一課副調査役
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 新国際協力機構(JICA)が2008年10月に発足して以降1年が経過したが,その間民主党新政権が積極的な気候変動対策推進を打ち出したこともあり,新JICAが取り組んできている気候変動及び環境対策を通じた国際協力の重要性は益々高まっている。そこで今回は国際的な気候変動の議論を巡っていつも注目を集める国のうち,インドに絞ってJICAがどのような支援を実際に行っているのかを紹介したい。特に本稿ではJICAが近年支援を強化しているインドの省エネ化の促進を日本企業の進出支援という観点から,またインドの持続的な飲料水確保のための課題を上水道整備及び水道料金の観点から紹介する。

中国の環境問題と保全への取組
小柳秀明 財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)北京事務所長
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 最近世界的に注目を集めている中国の環境問題の概要について,大気汚染,水質汚染の状況を中心に紹介するとともに,これらの問題に対処するため,1978年の改革・開放以来中国政府がとってきた措置についてレビューする。特に21世紀に入り,粗放型・資源浪費型の発展パターンから環境と経済の両立を真剣に考えた政策への大きな転換(歴史的転換)を具体的な事例を挙げて紹介した。拘束性目標を掲げ,初めて取り組んだ省エネ・汚染物質排出削減措置の概要と中間的な成果について具体的な数値を挙げて紹介した。気候変動対策への取組方針についても簡単に紹介した。

<総説>

薬液漏洩トラブルを引き起こす要因としてのカメムシの配管穴あけ行動
山本浩三 ヤマハ株式会社 製造企画部環境・施設管理室室長 、大地清和 ヤマハ株式会社 製造企画部環境・施設管理室担当次長
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 弊社生産工場に設置されている薬液供給のための架空配管から,少量の薬液が漏洩するトラブルが発生した。原因調査の結果,塩ビ配管にピンホールが発見され,そこから薬液が染み出したものであることが判明した。このピンホールは,種々の状況証拠からカメムシの穴あけ行動によりあけられた可能性が高いと考えられた。この仮説を検証するには,生物学の専門家によるさらなる本格的な研究が不可欠であるが,近年では昆虫類による設備機器への重大な加害が報告されているため,今回,警鐘的な意味も含めて我々の調査結果について報告する。

<シリーズ>

【環境法の新潮流70】アメリカにおける自動車CO2排出規制の動向
信澤久美子 青山学院女子短期大学准教授
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 アメリカにおける自動車二酸化炭素(CO₂)排出規制に関しては,より厳しい基準を持つカリフォルニア州が連邦をリードする役割を担ってきた。これに対して,EPA(アメリカ環境保護省)はカリフォルニアの独自基準の実施を認めなかった。マサチューセッツ対EPA連邦最高裁判所判決において,EPAは自動車からの温室効果ガスを規制するように判示されたがブッシュ政権は消極的態度であった。オバマ政権になり,EPAはカリフォルニア州の厳しい基準の実施を認め,また,現在,オバマ政権による包括的な地球温暖化対策法案が議会を通過中である。

【実践マテリアルフローコスト会計51】MFCAとTRIZの連携による生産革新の促進について
中嶌道靖 関西大学商学部教授、山田明寿 株式会社環境管理会計研究所上席コンサルタント
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 マテリアルフローコスト会計(MFCA)は,資源生産性の向上を図り,「環境と経営を連携させる有効な手法」として注目されている。特に近年ではMFCA導入企業の川上・川下に位置するサプライヤーや顧客企業へMFCA分析を拡張することで,単独企業によるマテリアルロス削減よりもより多くの効果を上げはじめている。しかし,MFCAによって可視化されたマテリアルロスの改善は,試行錯誤や経験によるものが多い。本稿では,MFCAと発明的問題解決手法(TRIZ:Theory of Inventive Problem Solving)とを連携させることによって,体系的かつ論理的に生産革新を促進できないかを,鋳造工場での事例研究も踏まえて検討した。

<報告>

環境展示会「エントゾルガ・エンテコ2009」にみるドイツ環境事情
編集部
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 世界に先駆けて廃棄物処理のシステムをつくってきたドイツ。今回はそのドイツの廃棄物事情を調査するため,ドイツのケルンで開催された国際的環境展示会「エントゾルガ・エンテコ」を視察した。環境先進国といわれるドイツの再生可能エネルギー,廃棄物処理への取り組みを振り返りながら,エントゾルガ・エンテコ2009の様子を紹介する。

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