環境管理バックナンバー 2010年 3月号

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2010年3月号 特集:環境マネジメントシステムの進化

<特集>

環境マネジメントシステムの諸問題と今後の課題
吉澤 正 帝京大学経済学部教授
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 発行以来15年目を迎えたISO 14001は,その認証制度とともに,組織における環境マネジメントの基礎として,幅広く用いられてきた。一方,環境マネジメントは,社会的な要請や環境に対する人々の基本的な考え方や原則,ないし価値観の変化に応じて,幅広く進化した。その進化に応じて,認証や自己宣言の基礎となる環境マネジメントシステム自体も,サプライチェーンでの連携,他企業との協働,多様なステークホルダーとの関係性,組織における全体的なマネジメントシステムの中で,品質や安全マネジメントシステムとの関係を再構築し,組織経営にとって,地球環境にとって役立つシステムであることが求められている。

ISO14001改訂に向けたISOでの議論の動向
吉田敬史 合同会社グリーンフューチャーズ社長(ISO/TC207/SC1対応国内委員会委員長)
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 ISO 14001を含めたISOが発行するすべてのマネジメントシステム規格の共通要素の統一に向けた検討が進み,共通要求事項のテキスト開発段階に入ってきた。 またISO 14001の次期改訂で検討すべき課題の抽出と論点整理作業が2010年7月のTC 207総会での報告草案提出を目指して進んでいる。この二つの流れがやがて合流してISO 14001次期改訂作業に繋がってゆく。次期14001は,温室効果ガスマネジメントやエコデザイン等環境経営ニーズの多様化への対応と中小企業でのさらなる普及促進にも寄与することが求められる。

日立グループ統合環境マネジメントシステム
田村光範 株式会社日立製作所地球環境戦略室環境管理センタ センタ長
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 日立グループでは環境経営や環境リスク低減などの継続的改善をめざして,1994年にISO認証取得委員会を設置し,製造サイトを中心に国際規格ISO 14001に基づく環境マネジメントシステム(以下,EMSと称す)の導入及びその認証取得を推進してきた。その数は350件以上にも及ぶ。一方,日立グループの環境ビジョンを実現していくためには,各サイトのEMSの上位概念となるようなグループ横断的なEMSの構築が必要と判断し,2004年から「日立グループ環境推進機構EMS」の構築に着手,2006年9月に認証を取得した。構築から3年,現在もさらなる環境経営の深化に向け継続的改善に取組んでいる。本稿ではこれらの取組みについて紹介する。

「統合システム」構築の進め方―組織を運営管理するためのマネジメントシステムを目指して
齋藤喜孝 AUDIX Registrars株式会社代表取締役
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  ISO 14001は,発行当時から先に発行されたISO 9001との統合が強く意識されていた。1994年には,両規格間の一層の協調・統合が必要であるとして「ジェネリックマネジメントシステム(GMS)」という概念も提案されている。本稿では,ISO 14001,ISO 9001,OHSAS 18001の要求事項を満たした統合システムに組織の経営の仕組みを融合させ,組織を運用管理(マネジメント)する「統合システム」を構築するための進め方について紹介する。

多様化したマネジメントシステムの効率的運用
小林正義 株式会社堀場製作所グループ統合システム管理室IMS/内部統制事務局チーム
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  現在,サブプライムローンに端を発した100年に一度の世界経済の不況の中,BRICs 特に中国・インドの台頭がすさまじい。また,電気自動車などの技術により経済構造が「環境」をキーワードに大きく代わる時代を迎えている。その中で,日本企業が生き残るためには技術の革新はもとより,組織運用の在り方のさらなる効率化を進めることが必要であり,従来のISOを堅持し業務を行う時代ではない。道具は,自らがその使い方を工夫しより効率よく使いこなすことを求められている。「仕事は一つ」なのだから,現在の多様化するマネジメントシステムの統合は,今後必須な取り組みである。

横浜市におけるISO 14001の取組
田口香苗 横浜市環境創造局企画部企画課担当係長
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  横浜市は平成15年にISO 14001に基づく環境マネジメントシステムの運用を開始し,平成18年に全組織で認証を取得した。ISO導入により,職員に省エネやごみの分別・リサイクルなどのエコオフィス活動が定着し,市役所から排出される温室効果ガス排出量やごみが削減されるなど一定の成果があげられた。これからは,市役所のさらなる環境行動のステップアップを目指し,市民・事業者との協働の環境取組を推進するため,「横浜市役所環境行動宣言」を発表し,自己の責任においてISO 14001を進めていく。

<シリーズ>

【環境法の新潮流73】環境法の国際統一化の動向
野村摂雄 財団法人日本海事センター企画研究部特別研究員
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  環境法は,環境問題の国際化に伴い,国際統一化の様相を呈してきている。環境法の国際統一化は,国際社会の合意として国際法・国際文書で規定された内容を各国が国内法に取り込み実施するというプロセスの結果,環境法の基本理念・原則・対象・措置などさまざまなレベルで実現される。本稿では,環境法の国際統一化の背景である環境問題の国際化,環境法の国際統一化の流れ,そして日本の環境法における具体例をみて,環境法の国際統一化の長所及び短所を指摘する。

【実践マテリアルフローコスト会計54】住友化学株式会社におけるマテリアルフローコスト会計の導入―ファインケミカル分野での導入事例
村田 明 住友化学株式会社大阪工場環境安全部
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  マテリアルフローコスト会計(MFCA)は,製造業を中心に今日幅広い分野に導入されつつある。本報告は,化学工業製品のうち,加工度が高く,多品種・少量生産で付加価値の高い,医薬品・電子製品材料・合成染料などのいわゆるファインケミカル(精密化学)分野での導入事例の紹介である。化学反応により物質が変化する中での物量の考え方や少量多品種生産における機器の切り替え洗浄工程についてMFCAによる解析を行った。また改善を行う際のツールとして,同法を用いたシミュレーションによるコスト予測についても触れる。

【日本の環境学部2】上智大学大学院
鷲田豊明 上智大学大学院地球環境学科研究科委員長/教授
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  上智大学大学院が2005年に設立した「地球環境研究科」には,大学生はもとより,多くの社会人が集まっている。専門分野を深めた学生が,他分野の学問を学んで横に視野を広げる「T字型」の人材育成に力を入れているためだ。環境学にとって社会経験は専門分野としての大きなアドバンテージとなる。 2010年度,上智大学大学院は民間企業等の協力を得て,「実学」としての環境学を発展させるとともに,社会人への門戸をさらに広げようとしている。これからの環境学部のあり方を,上智大学大学院地球環境学研究科委員長 鷲田豊明教授に聞いた。

<総説>

COP15の成果と意義
山口建一郎 株式会社三菱総合研究所環境・エネルギー研究本部 地球温暖化戦略研究グループ主席研究員
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 第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)及び第5回京都議定書締約国会合(COPMOP5:以後COP15と略する)は2009年12月7日から18日にかけてコペンハーゲンのBella Centreで開催された(会議終了は19日午後)。2007年12月のCOP13(バリ)での「バリ行動計画」の決議以降2年間にわたり,ポスト2012年の議論は米国を含む特別作業部会(AWGLCA)と,京都議定書締約国による第2約束期間を決定するための特別作業部会(AWGKP)の場で併行して検討されていたが,COP15はその集大成となるはずであった。従ってCOP15の注目度は高く,参加者は45,000人(通常のCOPの数倍)に達したといわれ,また通常来訪する閣僚クラスに加えて約120か国の首脳が参集した。このような未曾有の規模となったため,会議運営上多くの問題を呈した。本稿はCOP15の成果と意義について述べるものであるが,「コペンハーゲンアコード」をはじめとするCOP15の成果については既に詳細な報道がなされており,本書ではCOP15の意義について筆者の所感を中心として記載することとする。

エコプロダクツ2009スペシャルプログラム【パネル討論】「エコ・プロダクツ」から「エコ・プログレス」へ~女性のまなざしと思いを語る
佐々木かをり 株式会社イー・ウーマン代表取締役社長、中野文恵 三菱電機株式会社環境推進本部企画グループ担当課長、長野麻子 農林水産省大臣官房秘書課課長補佐、花田眞理子 大阪産業大学人間環境学研究科教授、枝廣淳子(コーディネーター) 有限会社イーズ代表取締役
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 昨年の12月,東京ビッグサイトで環境展示会「エコプロダクツ2009」が開催され,そのなかのスペシャルプログラムとして,女性だけのパネリストによる討論が行われた。「エコ・プロダクツ」からさらに前へ進むためにはどうしたらいいのか。女性のまなざしを環境問題に向け,これからの社会のあり方とわれわれの生き方を探る。

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