環境管理バックナンバー 2010年 5月号

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2010年5月号 特集:「COP15後」の地球温暖化対策の動向

<特集>

コペンハーゲン合意と我が国の温室効果ガス排出削減目標
相澤寛史 環境省地球環境局地球温暖化対策課国際対策室,手島裕明 環境省水・大気環境局大気環境課
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 気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の成果である「コペンハーゲン合意」では,各国は2020年の温室効果ガス排出削減目標・行動を本年1月31日までに条約事務局に提出することとされ,我が国も1990年を基準年として「25%削減,ただし,すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提とする」という削減目標を条約事務局に提出した。我が国を含め,世界全体の排出量の8割以上を占める国々がコペンハーゲン合意に賛同して削減目標・行動を提出しており,同合意は今後の交渉の重要な基盤になると考えられる。引き続き,すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築に向け,各国の積極的な取組を促すとともに,環境による成長の実現に向け,中期目標の実現に向けたさらなる検討を進めていくことが重要である。

コペンハーゲン合意の役割と将来の方向性―教訓を将来に活かすことができるか?
松尾直樹 クライメート・エキスパーツ,PEARカーボンオフセット・イニシアティブ
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 コペンハーゲン会議は,法的拘束力のある統一された新協定を目指す先進国と,先進国の急進的な要求に反発する途上国という構図に終始した。ようやく自主目標を打ち立ててきた途上国が,内政干渉とも捉えられる国際法的な縛りを,バリ会議の合意事項を超えていきなり押しつけられることを拒んだといえる。この教訓をどう活かすか?が今後の課題であるが,途上国の主張は尊重しつつ,一歩ずつ合意できるところを積み重ねていき,むしろ法的性格の形式論よりも対策の実効性を促進していくことがもっとも有効ではなかろうか。

国際海運と国際航空のポスト京都議定書への取り組み
藤本敏文 気象庁地球環境・海洋部海洋気象課海洋気象情報室調査官,田村顕洋 国土交通省海事局安全・環境政策課課長補佐,清水 哲 国土交通省航空局監理部総務課地球環境保全調整官
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 国際海運・国際航空からの温暖化効果ガス(GHG)の排出については,現行京都議定書では,各々国際海事機関(IMO),国際民間航空機関(ICAO)で排出削減・抑制に向けた取り組みを行うこととされている。気候変動枠組条約(UNFCCC)の第15回締約国会合(COP15)においては,ポスト京都議定書におけるこれらセクターの取り扱いは決定されなかったが,IMO,ICAOでは,ポスト京都議定書も視野に入れ排出削減・抑制対策の審議・検討が続けられており,我が国も国際海運・国際航空の先進国として,国際議論への積極的な参加・貢献を行っている。

COP15コペンハーゲン会合における森林関連課題の進展
赤堀聡之 林野庁研究・保全課
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 森林吸収源は,第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)(京都会議,1997年11月)で策定された京都議定書に盛り込まれており,第1約束期間において我が国は1,300万炭素t(基準年90年比3.8%相当)まで適用が認められているところである。次期約束期間での森林等吸収源の取扱い(LULUCF)については,他の交渉分野とともにCOP15までの合意に向け交渉が進められていた。また,森林関連の新たな交渉分野として,途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減(REDD)についても,別途交渉が行われた。COP15に至るこれらの森林関連議題の動きについて解説する。

25%削減の意味と企業競争力維持のための国際枠組みのあり方
濱崎 博 富士通総研経済研究所主任研究員
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 COP15において“留意”されたコペンハーゲン合意に基づき各国が削減目標・行動を国連事務局に提出を行ったが,気候安定化に十分な削減の確保はできていない。こういった状況において我が国政府は2020年に1990年比25%という非常に高い目標を掲げているが,全世界で不足する削減量のため,現在以上の削減責任を負う可能性がある。25%をすべて自国で削減することは現実的ではなく我が国企業の競争力を大幅に損なう,他国での削減の活用が不可欠であろう。よって,我が国政府は,25%削減を国内問題ではなく国際問題ととらえ,技術移転を通じて地球規模で効率的な削減を実現するための枠組み提言を国際社会に向けて行う必要がある。

<シリーズ>

【環境法の新潮流75】化審法改正の要点と国際的動向
大坂恵里 東洋大学法学部准教授
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 昨年5月に化審法が改正された。本年4月1日に第一段階施行がなされ,来年4月1日には完全施行される。化学物質については,ライフサイクルの全般を通して適正管理を達成し,2020年までに人の健康と環境への有意な悪影響を最小限にするような方法で使用され製造されることが国際的な目標とされており,今般の改正によって,既存化学物質を含めた包括的な化学物質管理制度が導入され,また,サプライチェーン全体において適切な化学物質管理が実施されることが期待されている。さらに,残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)との整合性が図られた内容となっている。

【実践マテリアルフローコスト会計56】日本電気化学㈱におけるマテリアルフローコスト会計の導入―化学銅めっき工程での導入事例
天王寺谷達将 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程,北田皓嗣 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程,岡田 斎 株式会社環境管理会計研究所(IEMA)上席研究員
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 本稿は,京都MFCA研究会の実証トライアル事業として,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を日本電気化学㈱加悦工場の化学銅めっき工程へ導入した事例である。同社加悦工場では,以前から化学銅めっき工程におけるめっき液管理の妥当性と資源ロスの削減を考え改善の余地があると感じていた。そこで,MFCAを導入することで,現状のめっき液管理におけるロスの見える化と負の製品の削減を図った。MFCAを導入した結果,資源ロス削減の方向性として自然分解により生成する金属銅に着目した改善案が検討された。また,改善効果のシミュレーションにより,採用すべき改善策が金額で評価された。

【日本の環境学部3】信州大学
小林 充 信州大学全学教育機構教授
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 信州大学に集まってくる学生は,長野県よりも他県の出身者が多い。名古屋や大阪をはじめ,北海道から沖縄まで全国より満遍なくやってくるという。「信州の自然」という清冽なブランドに引き寄せられているのかもしれない。県内南北5か所に広く分散しているキャンパスと8つの学部は,それぞれが異なった特色を持つ。このローカル性こそがまさに環境問題への「グローカル」な働きかけになっているといえる。特に環境の専門学部を置かず,「学生全員が環境人材」であることを目指す大学のあり方を,信州大学 小林充教授に聞いた。

<総説>

エコプロダクツ2009スペシャルプログラム「本当のグリーン・ニューディールとは何か?」
三橋規宏 千葉商科大学政策情報学部教授,有村俊秀 上智大学環境と貿易研究センター長,司会進行:鈴木淳史 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授,アドバイザー:山本良一 東京大学生産技術研究所教授
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 昨年の「エコプロダクツ2009」では,いまや世界の潮流ともいえる「グリーン・ニューディール」についての討論が行われた。CO₂排出量を減らすことによって新たな経済成長目指す「デカップリング」がどのような政策で実現されているか。欧米の成功例をもとに,これからの日本のグリーン・ニューディールへの道を探る。

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