環境管理バックナンバー 2011年 5月号

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2011年5月号 特集:日本の森林資源―国際森林年を迎えて

<特集>

国際森林年と日本の森林―国際森林年を東日本災害復興に
宮林茂幸 東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科教授
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 森林は木材の生産,国土保全,洪水調節,文化教育など国民生活に欠かせない多様な機能を有しており,「森を育てれば,森が山を守ってくれる」という山村文化を育んできた。 日本は世界でも有数な森林国であるが,間伐や除伐など適正な管理が遅れていることによって本来の機能が失われている上に,林業の衰退により自然共生の山村文化が解体しつつある。 そんな中,2011年1月より国連総会で決議された初めての「国際森林年」がスタートした。みどり豊かな国土を守り,きれいな水と健康的な循環型社会を形成するためには,社会的共通資本である森林をみんなで守るシステムが必要といえる。一人でも多くの人が森を歩き,暮らしの中に森を位置づけ,「美しい森林づくり推進国民運動」(フォレスト・サポーターズ)において国民協同による森づくりを進める。それは,東日本大震災からの復興と密接に連携する国民運動として展開するはずである。

森林・林業再生プランの実現に向けて―国産材の効率的な加工・流通体制整備と木材利用の拡大
永島瑠美 林野庁木材産業課企画班企画係長
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  低炭素循環型社会の形成,森林の多面的機能の持続的な発揮及び地域の活性化の推進にあたり,「森林・林業再生プラン」では,10年後の木材自給率50%以上を掲げており,適切な森林の整備を実施できる体制の維持や,森林を木材として利用し,その利益を森林に再投資することが可能な国産材の加工・流通・利用体制の構築が喫緊の課題となっている。具体的な取組方向として,川上から川中・川下に至る効率的な流通体制の整備,森林資源利用率の向上,輸入材に負けない加工体制の整備,新規需要に向けた木材利用の拡大等を掲げ,「森林・林業再生プラン」元年として動き出したところである。

森林を活用したオフセット・クレジット制度と企業・山村の協働
今野知樹 農山村支援センター
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  オフセット・クレジット(J-VER)制度において,28方法論のうち,森林・林業に関する方法論は7つある。クレジット化されたプロジェクトのほとんどは,これら方法論に基づいて行われており,今後,その収益の活用が行われようとしている。しかし,単にクレジット化を行う,あるいは,森林管理費用への還元ということにとどまることが多い。山村側は地域振興の視点に立ち,クレジット購入をきっかけとした,企業と地域との新たな協力関係の構築に結びつけることが,山村にとっても企業にとっても必要である。

「国際森林年」及び「国連生物多様性の10年」の初年度にあたって―「生物多様性民間参画パートナーシップ」の2011年の活動
半谷 順 社団法人日本経済団体連合会自然保護協議会事務局次長
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 2011年は「国際森林年」であると同時に,「国連生物多様性の10年」の初年度にあたる。森林は,生物多様性の観点からも重要な生態系と考えられており,同時に林業という生物資源を持続的に利用する産業の場でもある。2月14日,経団連自然保護協議会が運営する「生物多様性民間参画パートナーシップ」と国土緑化推進機構及び美しい森林づくり全国推進会議が運営する「フォレスト・サポーターズ」が協働宣言に調印した。両者の協働により,森林生態系に関する取り組みの一層の推進が期待される。日本経済界は,東日本大震災からの復興も意識しつつ,持続可能な経済活動について模索しながら,2020年の愛知目標の達成に貢献していく。

森林と消費者の距離を縮めるウッドマイルズ研究会の活動
滝口泰弘 ウッドマイルズ研究会事務局長
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 様々な環境指標の中でも,木材調達における輸送距離や輸送エネルギー,及び木材の輸送過程を「見える化」するウッドマイルズ関連指標を用いて,木材産地と消費者の距離を縮め,地域の森林や木材需要の活性化を目指すウッドマイルズ研究会の取組は,木造建築をつくる現場や,都道府県の地域材認証制度との連携を通じて,建築関係者や市民へ広がりを見せている。本稿では,ウッドマイルズ関連指標の概要,及び木造建築物と自治体制度における利活用事例と共に,取組から見えてきた課題である,他の指標も含めた木材の総合評価を目指す現在の活動について紹介する。

新たな「共有林活動」を目指す「みんなの森」運動
石原 進 一般財団法人みんなの森財団理事
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「森を買い取って,自然を保護する」といえば,ナショナル・トラスト運動を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし,一般財団法人「みんなの森財団」の取り組みは,それとはちょっと違う。買い取った森を誰でも親しめる形に整備し,様々な人たちが楽しめる森をつくろうというのだ。むしろ,森での多様な活動に力点をおく。1人2万円のポケットマネーを出し合い,300万円で購入したのは,東京・西多摩の日出町の森3.8ha。同時に昨年4月に財団を発足させ,「みんなの森」運動をスタートさせた。新たなスタイルの「共有林活動」だ。

<総説>

工業ナノ材料の安全性問題の動向(その4)
五十嵐卓也  独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門主任研究員
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 工業ナノ材料の産業応用の急速な進展に伴い,既存の化学物質管理法令がこの状況に対応できていないために,その安全性への懸念が高まっている。シリーズの第1回目(2月号)では,工業ナノ材料の安全性問題に関する最近の状況を概観し,我が国政府機関の取組を紹介した。第2回目(3月号)では,OECD/WPMN,ISO/TC229等の国際機関の取組を,第3回目(4月号)では,欧州連合の取組を紹介した。本稿では,米国等の取組を紹介するとともに,今後を展望する。

<シリーズ>

【実践マテリアルフローコスト会計68】店舗用機器の整備・クリーニングサービスへのMFCA適用事例
渡辺一重 サンデン株式会社環境推進本部,勝呂信夫 サンデン株式会社店舗システム事業部
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  サンデン株式会社(以下,サンデンという)は,2005年度の経済産業省委託・株式会社日本能率協会コンサルティングが実施した「大企業向けマテリアルフローコスト会計(MFCA)導入共同研究モデル事業」に参画以降,主要製品であるカーエアコン用コンプレッサーの部品加工工程で,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を展開してきた。MFCA導入により,新しい視点で「ロスの見える化」ができたことから,各工程での改善が進むとともに,工場全体の改善効果の「見える化」もできた。今回,MFCAで初めてとなるサービス分野への導入検討を,当社店舗システム機器のリユース,整備,クリーニングサービス事業を対象に行った。その中で,サービス分野でのMFCAが,お客様からの視点での環境負荷低減と資源生産性向上に寄与できることがわかった。

<レポート>

上海万博で中国は変わるか
新井直樹 帝人株式会社元上海万博日本産業館儀典長
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 2010年10月31日,上海万博が幕を閉じた。この大イベントを中国は見事に遂行し,7,300万人の来場者は,大阪万博を越え史上最大の万博となった。筆者は3年前より,日本産業館の責任者の一人として企画から運営と,約9か月間上海に滞在,多くの中国人スタッフと接し,この国の人々のおおらかさと,国としての発展の可能性を感じた。期間中,中国のGDPは日本を抜き世界第2位となり,万博後も,世界経済の牽引車となるであろう。万博を通して,自らが感じた中国と,報道が伝える中国のギャップなど,以下想うところを記してみたい。

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