環境管理バックナンバー 2014年 10月号

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2014年10月号 特集:注目される化学物質規制動向とリスク管理に向けた取り組み

<特別対談>

淑徳大学 北野大教授にきく 化学物質管理の国際的潮流とこれからの製品戦略
北野 大 淑徳大学教授/傘木和俊 一般社団法人産業環境管理協会理事
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 公害対策として排出ガスや排出水の「出口規制」が行われていた時代、我が国ではカネミ油症事件を契機に、「化学物質審査規制法」が世界に先駆けて制定された。その後、地球温暖化等環境問題のグローバル化が新たな変化をもたらし、1992年の国連地球環境サミットでは、国際的な連携や整合を図りつつ化学物質の与えるヒトや環境への影響の最小化を目指すという目標が定められた。今後はリスクベースの規制・管理、サプライチェーンでの情報共有・開示、リスクコミュニケーションなど、より俯瞰的な対応が必要となっていくといえる。本記事では、淑徳大学教授・北野大先生に当協会・傘木和俊理事とご対談いただき、化学物質管理を取り巻く昨今の状況と、企業が検討すべき今後の課題等について語っていただいた。

<特集>

ストックホルム条約におけるPOPsの評価
北野 大 淑徳大学 人文学部 表現学科 教授
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 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約について、その制定の背景、目的及び締約国の義務等について述べる。次に締約国から提案された化学物質が残留性有機汚染物質(POPs)に該当するか否かの判断であるが、この基準は分解性や濃縮性については明確に示されている。しかし、この判断を実施する残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)では、実際には総合的かつweight of evidenceに基づく専門家の判断に任せられた柔軟な運用がされており、本稿ではこれらの運用例を具体的に示すことにする。
我が国の化学物質対策の現状
金子元郎 環境省環境保健部環境安全課
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 我が国の化学物質対策の現状を理解する上で有益な、歴史的な公害対策・化学物質対策の変遷、及び化学物質対策の基本的な考え方について概括した上で、化学物質に関する代表的な法制度であ
る化学物質審査規制法、及び化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度について、最近の状況を踏まえ解説する。併せて、昨年10月に採択された「水銀に関する水俣条約」を例に、国際的
な動向と我が国の対応についても説明する。
サプライチェーンを通した化学品のリスク管理に向けた日化協の取り組み
庄野文章 日本化学工業協会常務理事/徳重 諭 日本化学工業協会化学品管理部部長
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 化学品の適切な管理を目指した2002年のヨハネスブルグサミットにおいて、「2020年までに化学物質の製造と使用が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する」ことが国際的に合意された。国際化学工業協会協議会(ICCA)は、この目標達成のために2006年「RC世界憲章」と「グローバルプロダクト戦略(GPS)」の実行を公約した。これを受け、日本化学工業協会は新たな化学品管理の自主的取り組みである「GPS/JIPS」を開始し、その取り組みをサプライチェーン全体へ具体的に展開するためにJAMPと協働で「SCRUM」プロジェクトを立ち上げた。
 本稿では、産業界の取り組みとして国際化学工業協会協議会及び日本化学工業協会の推進するGPS/JIPS及びサプライチェーンを通した化学品のリスク管理に向けたSCRUMプロジェクトについ
て概説し、その課題と今後の方向についても言及する。
PRTR届出データの経年比較による大気への排出量の推移
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
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 国から公表されているPRTR届出データを届出年度ごとに比較することにより、環境中への排出状況だけでなく、業種や事業所の排出削減状況を知ることができる。
 排出の実態がどのように変わってきたのかを把握するため、平成15年度から平成24年度まで10年分のPRTR届出データを用いて、大気への排出量について物質別に整理し、排出量の多いトルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、塩化メチレン、ノルマル-ヘキサンの経年比較を行った。また、前記5物質の業種別の排出量を整理し、各物質における排出量の多い業種について業種ごとの経年比
較を行った。
2018 年に向けた欧州REACH 規則への対応 ―物質登録の観点から
戸笈 修 一般社団法人産業環境管理協会国際化学物質管理支援センター
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 2007 年6月1日に施行されたREACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of CHemicals)規則の大きな特長の一つは、段階的導入物質(既存化学物質)及び非段階的導入物質(新規化学物質)を問わず、EU域内にて化学物質を製造または輸入する事業者に対し、「登録」を義務づけたことである*1。これは、年間1tを超えてEU域内で製造あるいはEU域内に輸入される化学物質については、指定期限までに事業者が登録を済まさなければ、その物質や調剤(混合物)はEU 域内で販売ができなくなることを意味する。段階的導入物質の登録には4段階(1〜10、10〜100、100〜1,000、1,000t 超/ 年)のトン帯域(年間の製造量あるいは輸入量)が設けられており、これまでに、100〜1,000、1,000t 超/ 年の製造量あるいは輸入量となる物質、及び発がん性物質(CMR)等の危険有害性物質については、事業者による「登録」が実行された(非段階的導入物質については、数量にかかわらず、欧州への上市前に登録が要求される)。今後、1〜10、10〜100t/ 年の製造量あるいは輸入量となる段階的導入物質については、2018 年5月31日までに登録を終える必要がある(図1)。
 本稿では、REACH規則について、特に2018年を見据えつつ、登録の観点から、事業者の具体的な対応方法について紹介する。
韓国化評法の概要
石川太郎 一般社団法人産業環境管理協会国際化学物質管理支援センター法令対応支援室室長
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 韓国において現行の有害化学物質管理法(有害法)に変わり、新しい化学物質規制「化学物質の登録及び評価に関する法律(化評法 法律第11789号)」が、2015年1月1日より施行される。化評法では、化学物質を韓国で製造・輸入する場合、主に登録、報告が義務づけられ、また有害化学物質を含有する製品についても申告などの義務がある。韓国に化学品を輸出する日本企業はその対応準備を行うことが必要となっている。本稿では、化評法の概要を解説する。

<シリーズ>

【受験ガイド シリーズ8】認定講習申込ガイド
本誌編集部
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 10月5日(日)に「公害防止管理者等国家試験」を行いました。公害防止管理者の資格を取るには、国家試験以外にもう一つ、「公害防止管理者等資格認定講習」(以下、「認定講習」)があります。本連載の最後として、この認定講習の申込時の注意事項などについてまとめておきます。
 なお、平成26年度の認定講習の実施スケジュールや開催地については本誌78ページより掲載しております。また、当協会公害防止管理者試験センターの「認定講習」のホームページには、平成26年度案内書(PDF版)も掲載していますので併せてご覧ください。
【よくわかる地球温暖化問題シリーズ7】米国の気候変動問題への対応
亀山 康子 独立行政法人 国立環境研究所
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 米国は、気候変動の科学的知見の蓄積には多々貢献してきたが、エネルギー利用制約を嫌う産業界や消費者の反対が強く、二酸化炭素排出削減に関する国際協調には消極的な姿勢を示し続けてきた。
共和党政権時に消極的な姿勢が強まるが、民主党政権下であっても政権が望むとおりには動けない。世界の総排出量の1/4弱を占める米国の消極的な姿勢は、地球規模の排出削減の足かせになってきたといっても過言ではない。ところが最近、米国が気候変動対策に積極的になる材料が増えてきた。大統領就任時から気候変動に高い関心を払ってきたオバマ大統領の任期中に米国の気候変動対策の舵を今までより前向きな方向に切れるかどうかが注目される。
【新・環境法シリーズ33】海外投資活動における環境社会配慮の架け橋役を担う─日本貿易振興機構(ジェトロ)の事例を参考に
作本直行 明治大学兼任講師
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 環境面だけでなく、社会配慮への関心が国際的に高まっている。ODA関連の環境社会配慮分野の取り組みで、これまで国際的に高い評価を受けてきた日本であるが、我が国中小企業の海外進出にともない、社会面の配慮をさらに一層強化する必要がある。これまで貿易投資活動分野で情報提供機関としての第一人者たるジェトロも、企業への環境社会配慮の情報提供に大きく貢献すべきことが期待される。特に中小企業が競って途上国に海外進出を行う段階にあり、最近改定されたジェトロの環境社会配慮ガイドラインを中心に、ジェトロの架け橋としての新しい役割を検討する。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営30】土壌汚染と所有者責任
内藤丈嗣 弁護士・明治大学法科大学院特任教授/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 土壌汚染対策法(以下「土対法」という)は、要措置区域の指定をした土地の所有者(同法上は、管理者・占有者を含め「所有者等」に指示できるとする)に対し、当該所有者が汚染原因者であるか否かにかかわらず、汚染除去等の措置を講ずべきことを指示するものと定めている。
 他方で、同法は、所有者とは別に汚染原因者が存在する場合に、一定の要件のもと、汚染原因者に対して当該措置を指示すると定めたり、所有者から汚染原因者に対する求償を認めており、最終的に汚染原因者に責任を負わせることができる建前となっている。
 しかし現実には、汚染原因者を特定することが困難であったり、汚染原因者を特定できても汚染原因者に負担を求めることが困難な場合も多く、結局、汚染原因と無関係な土地所有者において、莫大な費用負担をして、汚染除去等の措置を強いられる場合が多いといえる。
 川崎市土壌汚染訴訟は、昭和40年代前半の処分場の跡地と思われる土地を平成4年に取得した者が、当該処分場に廃棄物等を搬入していた市を汚染原因者としてその責任追及を試みようとしたものの、裁判所がこれを認めなかった事例である。企業が土壌汚染された土地を取得するリスクを考える上で、参考になる事例である。
【実務に使える産業廃棄物関連法7】マニフェストの管理
佐藤 泉 佐藤泉法律事務所 弁護士
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 マニフェスト制度(産業廃棄物管理票)は、平成3年法改正で特別管理産業廃棄物を対象に導入された。そして平成9年法改正で、すべての産業廃棄物に対象が拡大されるとともに電子マニフェスト制度がスタートし、平成12年の法改正で最終処分までの確認(E票)が義務付けられることになった。さらに、平成20年から、排出事業者はマニフェストの交付状況報告書の提出も義務付けられている。
 マニフェスト制度は、排出事業者が廃棄物の流れを把握し、処理の滞留や廃棄物の紛失などの異常が発生している場合には、すみやかに現状を把握して是正することができるようにする制度である。さらに、行政にとっては、不法投棄等が発生した場合に、排出事業者を特定し、原状回復などの措置を命じることが可能となるという重要な効果もある、
マニフェストの交付事務、返送受領、照合確認、保管、マニフェスト交付状況報告書の作成・提出という一連の手続きは、複雑で分かりにくいうえ、手間がかかり、排出事業者に大きな負担となっている。電子マニフェストは、普及が進んでいるが、未だに紙マニフェストを使用している排出事業者は多い。排出事業者は、マニフェスト管理が重要なコンプライアンスであることを認識することが必要だ。
【先読み!環境法28】次期通常国会に国内法の提出を念頭においた水俣条約関係の合同会合・小委員会等の検討
小幡雅男 神奈川大学大学院法務研究科講師
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 2013年10月に採択された「水銀に関する水俣条約」を踏まえて、環境省は中央環境審議会に今後の水銀対策について諮問した。これを受けて各部会、小委員会、専門委員会等で検討が重ねられている水銀対策の在り方について紹介する。他に自動車リサイクル制度の評価・検討のスケジュール、検討の観点について報告する。
【環境法改正情報】(2014年8月改正分)
見目善弘 見目エコ・サポート代表
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◉労働安全衛生法
◉土壌汚染対策法
◉水質汚濁防止法
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