環境管理バックナンバー 2017年 10月号

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2017年10月号 特集:廃棄物処理法改正と適正処理

<巻頭レポート>

アラル海の悲劇、その環境破壊とは
本誌編集部
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 アラル海の悲劇は「20世紀最大の環境破壊」もしくは「地球における最悪の環境破壊の一つ」と呼ばれている。1960年代から水位が極端に低下し、湖水の塩分濃度も驚く程上昇した。緑豊かだった当初の湖岸は、今では乾燥した内陸に位置しており、湖の水辺まで150~170kmも離れてしまっている。かつての漁村の港に係留されていた船の一部が干上がった砂漠の中に取り残され、赤サビに染まった姿は数多く撮影され記録されている。その現況をレポートする。

<特集>

排出事業者責任を果たすための処理業者の選定
是永 剛(長野県 環境部 環境政策課)
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 産業廃棄物の排出事業者責任は、昭和46年の廃棄物処理法施行時から不変の原則であり、その遵守徹底について声高に指摘されているものの、昨年の食品転売問題をはじめ、排出事業者が巻き込まれる不適正処理事案がいまだ後を絶たない。平成29年6月には廃棄物処理法の改正が公布され、その改正の基本的視点の一つに「適正処理のさらなる推進」として「排出事業者責任の徹底」があげられている。
 本論では、いままで筆者が取り組んできた企業向けセミナーや排出事業者の質疑・アドバイスなどの現場の経験を踏まえて、排出事業者責任を全うするために重要な処理業者の選定方法について具体的に考察する。

建設工事から発生する廃棄物諸話
米谷 秀子(鹿島建設株式会社 安全環境部 担当部長 兼 施工環境グループ長)
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 廃棄物処理法では建設廃棄物の処理責任が発注者から直接工事を請け負った元請会社にあることが明確になっている。しかしながら処理責任に関して現場での対応は簡単ではない。特殊な発注形態や、廃棄物該当性を含め発注者があらかじめ理解しておくべき事項が少なくない。
 工場建屋の新築や増改築、解体等に関連して法令上、疑義が生じる場面が多い。発注者による廃棄物処理や再生・転売に関する問題、工事着手の前から発生していた廃棄物(什器備品やタンク内容物などの残存物)の処理責任、PCBやフロン関連、過去の廃棄物が地下に埋設されているケースなど、日頃遭遇する可能性のある事例に関して具体的に解説する。

近時の法令改正や解釈の明確化を踏まえた廃棄物管理について
龍野 浩一(公益社団法人 大阪府産業廃棄物協会 事務局次長)
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 累次にわたる廃棄物処理法の改正は事業者処理責任の強化・拡充とともにあった。この原則に対する事業者の意識は着実に醸成されてきているものの、昨年初めに発覚した廃棄食品の不正転売事件からも明らかなように、その強化・拡充を推進するという国の基本的考え方を変更するまでには遠く及ばず、事業者による廃棄物管理の遵守徹底が今後さらに生活環境保全上の重要性を増すことは必至である。
 本稿では、賢明な事業者において特に関心が深いと思われる近時の法令改正や解釈の明確化に係る領域を中心に、実際にあった法令相談事例の紹介を通じ、実効性ある廃棄物管理の遵守徹底に資する情報を提供する。

豊島の教訓とは何か――豊島事件が変えた廃棄物処理のあり方
中地 重晴(熊本学園大学 社会福祉学部 教授)
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 香川県豊島の国内最大級の有害産業廃棄物不法投棄事件で、住民は1993年に廃棄物の撤去を求め、公害調停を申請した。2000年に成立した公害調停最終合意では、香川県が業者に対し、指導、監督を怠ったことを認め、知事が謝罪するとともに、廃棄物と汚染土壌の無害化処理を約束した。2017年6月12日に無害化処理は終了した。不法投棄の原状回復には莫大な時間と経費がかかることを示した。豊島事件の経過を振り返るとともに、日本の廃棄物処理の制度や技術について、豊島事件が及ぼした影響、豊島の教訓をまとめた。

<レポート>

実録・香川県豊島の産廃不法投棄事件 その3――対策編
本誌編集部
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 第3回目として本稿では、豊島における対策事業、廃棄物掘削と分別作業の概要について述べる。冒頭では
「封じ込め」対策をとった米国ラブキャナル事件と豊島の対策事業を比較する。ラブキャナルでは1980年に当時のカーター大統領が非常事態宣言を発令している。
 後半では、金属探査から生石灰など溶融助剤の混合のプロセス、そして関係者を悩ませた掘削現場と溶融炉
における火災や爆発のトラブル、さらにドラム缶の掘削など想定外のトラブルについて触れる。水処理に関して豪雨対策などは一般事業所でも参考になると思われる。

<総説>

太陽光発電テキスタイルについて
増田 敦士(福井県工業技術センター 新産業創出研究部 主任研究員)
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 自然エネルギーから発電するシステムは様々あるが、現在のところ太陽光による発電が最も実用化が進んでいる。この分野では、効率の高い素材の研究開発や生産コスト削減などが開発の中心であるが、最近注目されているウェアラブルやIoTの分野では、柔軟でフレキシブルな発電部材のニーズがある。そこで、今回は単結晶シリコンの堅い太陽光発電部材を球状にし、さらに繊維加工技術と連携することで平面化を実現した、太陽光発電テキスタイルの開発の取り組みと実用化事例について紹介する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第17回】原発の電気は安いのか?(前編)
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 新たなエネルギー基本計画策定に向けて、わが国の今後のエネルギー政策のあり方が改めて議論されている。2014 年に策定された第4 次エネルギー基本計画では、エネルギー政策の基本は3E+Sにあることを踏まえて、徹底した省エネと再エネの導入加速、福島の復興を前提とした原子力事業の再構築と火力発電の高効率化などの方針が示されていた。次期計画において基本的な考え方に大きな変更があるとは考えられず、世間の関心は専ら、原子力の新設あるいは建替えに関して政府の方針が示されるかどうかに集中しているようにみえる。
 前回基本計画では、新規制基準に合格した原子力発電所については再稼働を進めるというスタンスが明示された。しかし、原子力事業の長期的なビジョンが示されることはなかった。原子力発電所の運転期間が40 年、特別点検を受けて延長したとしても60 年に制限されていることを考えれば、新設あるいはリプレース( 建替え)がなければ、わが国から原子力発電事業がなくなることは明らかであり、結論に関わらず、この議論が避けられないことは確かだ。
 とはいえ、本来再稼働を進める前にやらねばならないことも山積している。前回基本計画で掲げた通り、福島の再生・復興に向けた取組みを着実に進めること、安全基準の遵守だけでなく発電所の安全性に一義的な責任を負う事業者が自主的かつ不断の取組みを続ける仕組みを構築すること、それでも万一事故が起きたときに備え原子力損害賠償法や原子力防災を充実させること等、多くがまだ取組みの途上だ。廃棄物の処理を含む核燃料サイクル政策の動向も不透明であり、この状態で新設・リプレースを議論することは非現実的であるとして批判も強い。しかし、今世紀半ばには温室効果ガスの8 割減を目指すという政府方針も踏まえれば、原子力発電所の必要性を否定できるものでもなく、新設・リプレースに要する時間を考えれば、今から議論を始めても決して早くはない。
 しかし、日本の将来のエネルギー供給においてどれだけ原子力の貢献を期待するかは、その「お値段」次第でもある。もちろん原子力の価値は、発電時にCO2 を排出しないという環境性、エネルギー自給率に貢献する点にも見出すことはできるが、そうした公共的価値よりも消費者にとって目に見えやすいのが経済性である。しかし原子力発電所の電気は本当に「安い」のだろうか? 東京電力福島原子力発電所事故によって原子力災害のコストが顕在化し、消費者は原子力の安全神話とともに経済性の神話も崩壊したと受け止めている。
 改めて、「原発の電気は安いのか」について考えてみたい。

【産廃コンサルタントの法令判断/第19回】秋の実地確認──もう一歩踏み込んだ内容に挑戦してみませんか?
佐藤 健(株式会社 ミズノ 環境コンサルティング事業部 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第19回)。

【環境刑法入門/第9回】廃棄物処理の委託禁止違反が処罰されるのは何故か?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師/中央大学法科大学院 非常勤講師)
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 廃棄物処理法3条1項は、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と定める。その適正処理(収集運搬・処分(中間処理含む))は、事業者(産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の場合には排出事業者のみならず中間処理業者含む)が自ら行うか、他人に「委託」することもできる。ただし、処理委託先の他人は、許可を受けた処理業者か環境省令で定める者に限られる(6条の2第6項、12条5項、12条の2第5項)。これに違反すると委託禁止違反の罪として処罰の対象となる( 25 条1項6号)。処理業の許可のない者に処理委託をすると、廃棄物が適正処理されずに不法投棄等されて、生活環境等が害されうる。この意味では、委託禁止違反の罪は、不法投棄による生活環境等の侵害を未然防止する役割を担っている。それでは、処理業の許可のない者に廃棄物処理の委託がなされたにもかかわらず、その処理が最終的に許可業者に再委託されて適正処分された場合はどうか。結局のところ不法投棄されなかったのであるから、翻ってその投棄による侵害の危険もなかったとして委託禁止違反の罪は成立しないことになるのか。今回は、この点も含め、廃棄物処理の委託をめぐる犯罪について考える。

【新・環境法シリーズ/第68回】持続可能な開発目標(SDGs)における「統合的解決」の考え方について
奥主 喜美(環境省 参与)
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 「持続可能な開発目標(SDGs)」における「統合的解決」の考え方は、環境政策の重要な考え方である「環境と経済の統合的向上」や「環境問題と経済・社会的諸課題の同時解決」という考え方と親和性がある。新たな環境基本計画の見直しでも、この考え方を活用した議論が行われている。また、地方公共団体や民間セクターにおける取組も、この原則の活用や自らの取組をSDGsと関連付けるマッピングにより、モチベーションの向上等取組の促進の契機となる。環境政策を考えていく上で「統合的解決」を含むSDGsは重要な要素となっている。

【まるごとわかる環境法/第26回】労働安全衛生法(第2回)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
 第24回は「労働安全衛生法」(第2回)
 
 3.GHSについて
 4.法令において化学物質対策はどのように定められているのでしょうか?
 
【先読み! 環境法/第64回】東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的考え方についてパブリックコメントを実施
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 厚生労働省の受動喫煙規制法律案の国会提出前に、東京都の受動喫煙防止条例が先行して進んでいる。飲食店や娯楽施設の取り扱いがポイントとなるが、他の自治体へ影響力も大きく、重要な条例といえる。その他、改正バーゼル法を踏まえた制度検討、観光地の渋滞対策のための議論について紹介する。

❶ 東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的考え方についてパブリックコメントを実施
❷ 特定有害廃棄物等の範囲、再生利用等事業者等の認定制度等に関する検討会(第1 回)の開催
❸ 国土交通省がICT・AIを活用したエリア観光渋滞対策の実験・実装を図る「環境イノベーション地域」を選定――エリアプライシングの導入

環境法改正情報(2017年8月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉ 工場立地法
◉ 再生エネルギー特措法

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