環境管理バックナンバー 2018年 3月号

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2018年3月号 特集1:脱炭素社会とエネルギー問題/特集2:「エコプロ2017 〜環境とエネルギーの未来展」の成果と将来

<巻頭特集>

日刊工業新聞編集委員 松木 喬氏にきく 「脱炭素」から「地方創生」まで──2018年度の環境ビジネスと環境経営
本誌編集部
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 昨年末に開催されたCOP23 では「脱石炭」を目指すイニシアチブが拍手喝采で迎えられる一方、日本は「石炭火力発電の推進国」と強調され、世界に存在感を示すことができなかった。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの利用も立ち遅れつつあるが、反面、いち早く「CO2ゼロ」を宣言する企業や、風力発電を地方創生の起爆剤とする自治体も出てきている。本記事では、そんな環境の現場を丹念に取材、報道する日刊工業新聞の松木喬編集委員に、企業における環境問題の現状と2018 年度に向けた環境経営のあり方について語っていただいた。

<技術紹介>

レーダーによる樹木の非破壊診断
応用地質株式会社
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 近年、台風接近時の強風などによる樹木の倒伏事故が後を絶たない。倒伏する樹木の多くは、樹体が被害の発生前に、損傷や衰退、腐朽等により障害を受けている樹木であることが多く、強風が引き金となって倒伏に至ると推察される。特に街路樹や公園木においては、高度経済成長期に植栽された樹木の老朽化に伴い、倒伏のリスクが天然木より顕在化している。
 人の立ち入りが多い場所や街路に不健全な樹木が生育していると、車両や通行人に被害が発生するリスクとなる。リスクに対処せず倒伏事故が発生した場合、裁判で
樹木管理に瑕疵があるとされ、行政の管理責任が問われた事例もある。
 倒伏による被害を未然に防ぐには、樹木も定期的な診断・管理が必要なインフラとして認識し、適切な対策を講じてゆく必要がある。
 このような背景を踏まえ、当社は地中探査技術を応用し、低コストかつスピーディーに樹木の健全性を非破壊で診断する技術を開発したのでその概要を紹介する。

<報告>

第3回(2017年)サステナブルファイナンス大賞の決定
本誌編集部
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 サステナブルファイナンス大賞は環境問題を金融的手法で解決する「環境金融」の普及・啓蒙活動を展開する一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)が2015 年から始めた表彰制度で、2017年が3 回目になる。受賞者の概要を報告する。

<特集1>

天然ガス鉱業会にきく 国産資源としての天然ガス開発──「国産エネルギー」がもつ価値とポテンシャル
天然ガス鉱業会 専務理事 渡辺 道明氏/天然ガス鉱業会 技術部長 佐々木 直人氏聞き手:産業環境管理協会 専務理事 黒岩 進氏
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 新潟県、北海道、千葉県など、日本国内では年間約30億m3 の天然ガスを生産している。これはLNGを含めた天然ガス国内供給量の2~3%に相当するが、自前の資源として国際情勢の影響を受けずに安定的に供給できる強みを持つ。特に水溶性天然ガスは膨大な埋蔵量があり、現在の生産量で計算すると数百年以上の長期にわたって供給できるという。資源の乏しい日本にとって国産天然ガスは極めて重要だといえる。本記事では、昭和32 年に設立された天然ガス鉱業会の専務理事 渡辺道明氏、技術部長 佐々木直人氏に、天然ガス利用の歴史、現状の課題、将来性について語っていただいた。

世界の電力市場の展望と電気自動車の普及
黒﨑 美穂(ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンス 日本、韓国リサーチ責任者)
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 2040 年に全電源の半分以上が太陽光及び風力発電などの再生可能エネルギーとなる見込みである。その理由は、再生可能エネルギーの技術革新と設備費用の低下である。
 将来の電力市場を理解するには、技術革新や価格動向などに目を向ける必要がある。世界の企業は再生可能エネルギーに積極的である。RE100 に参加する企業数は世界全体で119を超えた。参加企業の電力消費実績は実に国1 個分に相当する巨大なものだ。
 本稿では、エネルギーミックス予測、GDPと電力需要のデカップリング、再エネへ転換のタイミング、太陽光及び風力発電の調整力電源、分散型電源のビジネスモデル、そして最後に電気自動車(EV)について述べる。
 こういった項目の大きな変化を、電力会社や小売電気事業者は十分把握して先読みできる提案を続けることが必要である。また、国としては再エネ調達をしやすい環境を整える必要もあるだろう。
 再エネの導入環境が整っていない国には拠点を置かない、もしくはビジネスがなくなる時代がすぐそこまで来ている。

エネルギーの現状と将来予測――石油と石炭
本誌編集部
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 原油資源がまもなく枯渇するという「オイルピーク説」が消滅しつつある。その要因としてシェール革命があり、4 年後の2022 年には米国がサウジアラビアに匹敵するエネルギー輸出国になる予測さえある。パリ協定の温暖化対策に加え、化石燃料の需要を減らす再生可能エネルギーや電気自動車(EV)の動向からも目が離せない。直近の数値を眺めると石炭の生産と需要が2013 年にピークを迎え、その後下落傾向にあるが、最近になって世界の石油需要もピークを過ぎて減少するという新説が現れている。
 一方、国際エネルギー機関( IEA)の2040 年予測をみると、インド、中国、中東、アフリカ、東南アジアがエネルギー需要を大きく増加させ世界全体では3 割前後も増加するという。
 本稿では、IEAのデータやエネルギー白書など公開情報に基づき、石油と石炭に関する興味深い情報を紹介する。

2040 年に向けてのエネルギー需給と、「移行リスク」への対応
藤井 良広(一般社団法人 環境金融研究機構 代表理事)
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 パリ協定の目標年(2030 年)から、その先を見据えたエネルギー情勢は、移行期のリスクとオポチュニティの渦中にある。こうした移行期には、これまでのエネルギー分野を引っ張ってきた「主役」が、伝統の石炭から新生の再生可能エネルギーに転換するように、いくつかの交代・収斂れんが起きる。ただ転換期においては、完全な主役交代は完了せず、技術の進展も継続途中である。このため企業主体は、政策・法規制の変化、技術の展開、市場の変化と反応等の「移行リスク」を、柔軟かつ迅速に把握、対応し、そうした対応を市場に反映させることで移行リスクを最小化する必要がある。

再生可能エネルギーによる地域づくり――五つの目標と15 のアジェンダ
白井 信雄(法政大学 教授(サステイナビリティ研究所専任研究員))
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 2012 年の固定価格買取制度(FIT)の施行以降、地域主導の再生可能エネルギーへの取組みが全国各地で活発化してきたが、買取価格見直しや電力小売の完全自由化等の新しい動きがあるなか、「再生可能エネルギーを通じて、どのような地域づくりをしたいのか」という目標の再設定(リフレーミング)を行うべき段階となっている。本稿では、①エネルギーの自治、②対話とネットワーク、③地域経済の自立、④公正と安全、環境共生、⑤地域主体の自立共生、といった五つの目標を提示し、その目標を実現するための具体的なアジェンダ、普及や波及といったプロセスにおいて重要となる点をまとめた。全国各地の先進事例から多くのことを学ぶことができ、それらに学びつつ、各地域の条件と状況に応じた思考と実行が期待される。

汎用目的技術の進歩による地球温暖化問題解決への展望について
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
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 情報通信技術(ICT)等の汎用目的技術(GPT)の急速な進歩が、温暖化対策技術のコスト低下をもたらしている。これにより、自動車部門をはじめとした経済活動全般において、大規模な温室効果ガス排出削減が可能になりつつある。温暖化防止政策はこの構造を理解した上で設計しなければならない。必須の要件は、汎用目的技術の進歩を促進し、妨げないことである。

<特集2>

「エコプロ2017~環境とエネルギーの未来展」開催結果報告
安井 基晃(一般社団法人 産業環境管理協会 地域・産業支援センター 事業企画室長)
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 12 月7 日(木)から9 日(土)にかけて当協会と日本経済新聞社との共催で東京ビッグサイトにおいて「エコプロ2017 ~環境とエネルギーの未来展」を開催した。本展示会は、2016年に展示会の名称を「エコプロダクツ展」から「エコプロ~環境とエネルギーの未来展」へと改称し、プロダクツの枠に留まらないより広範囲に訴求するイベントを目指してリニューアルを行ったところであるが、今回で第19回目の開催を迎え、次年度には20 回目の節目の開催も控えている中で、今後の展示会の将来像を見定める上での試金石となる開催となった。
 本稿では、エコプロ2017 での当協会の活動報告を中心に展示会の開催結果を報告する。

エコプロ2017に出展して
下野 隆二(パナソニック株式会社 品質・環境本部)
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 当社は第1 回のエコプロダクツ展から1 年もかけることなく継続して出展を続けてきた。そして昨年末に開催されたエコプロ2017では、同年6 月に発表した「パナソニック環境ビジョン2050」を周知することを目的に出展した。同展示会の特徴である多様な来場者層に対して手触り感をもってこれまでの取り組みやめざすゴールを実感していただきたいと思い、展示企画を行った。結果としてブースに訪れたほとんどの方( 約98%)に環境ビジョンのめざすところをご理解いただくことになった。本稿では、企業にとって有益なエコプロの活用法について述べていきたい。

展示会の活用方法とその効果――エコプロ2017 出展の振り返りを通じて
三浦 仁美(積水化学工業株式会社 経営戦略部 環境経営グループ 担当部長)
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 積水化学グループは、2002 年以来、エコプロ展の趣旨に賛同し、種々の目的をもって展示会に出展、展示会を通じて環境のリーデイングカンパニーとして企業価値を高める活動を行ってきた。
 ここ数年は、エコプロ展の場を「製品による環境貢献を来場者の皆様に理解いただく場」としてだけでなく、「環境貢献を高めることのできるビジネスのマッチングの場」として活用するよう展示をシフトさせてきた。ここでは、今年度の展示概要を中心に、成果、今後の展開に向けた期待等に関して述べる。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第22回】日本の再生可能エネルギー普及を「真面目に」考える──中長期的な再エネ大量導入に向け、いま何が必要か
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 2012 年の固定価格買取制度(以下、FIT)導入以降、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及が急速に進んでいる。これを中長期的な大量導入につなげ、再エネを主力電源としていくためには何が必要であろうか。喫緊の対処として、再エネに関わるコスト全体を抑制することを求めたい。再エネに関わるコストとしては、まず導入支援のための直接的コストがある。FITの下、「再エネ発電賦課金」は今や一般家庭の電気料金の1 割以上にもなり、産業活動にも大きな負担となっている。もう一つ、再エネの導入量が増えるにつれて増大するのがネットワークコストだ。「再生可能エネルギーをうまく使いこなすためのコスト」といえばわかりやすいだろうか。送電網の拡充や調整電源の維持など、自然変動電源である太陽光・風力を大量に受け入れつつネットワークの安定性を確保するためのコストが必要になる。
 こうした再エネにかかるトータルの国民負担をコントロールしていくことが、持続的な再エネ導入には不可欠である。

【新・環境法シリーズ/第73回】CCSの社会的受容性に関する動向とメディアにおける社会的反応
村山 武彦(東京工業大学 環境・社会理工学院 教授)
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 本稿では国内外におけるCCSに関連した政策動向を整理する。主体別の見解では、国レベルとともに国際機関においても徐々に具体的な取り組みが進んでおり、こうした動きに金融機関も歩調を合わせつつある。さらに環境NGOにおいても条件付きながらCCSの必要性について一部認める動きが現れてきているが、見解に幅がある。国内の動きは、政策レベルでは主として地球温暖化対策やエネルギー基本計画等の関連施策を通じて制度的枠組みが徐々に形成されつつあり、CCS関連施設の実証事業も進みつつあるが、関係主体の動きが明確に表れているという状況にはないといえる。

【産廃コンサルタントの法令判断/第24回】電子マニフェストが優遇されてるって本当!?──義務化のタイミングでマニフェストの歴史を振り返る
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第24回)。

【環境担当者のための基礎知識/第3回】河川の基礎知識──放流河川に泡発生? 住民クレームの対応実例など
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 最初に住民クレームの実話を紹介し、雨水調整池の基本的な機能や導入事例について説明する。有機汚濁物質BODと溶存酸素DOは極めて重要な汚濁指標であるため最近の米国大学テキスト等も引用して溶存酸素垂下oxygen sagなど自然浄化の基本メカニズムについてもやさしく解説する。

【先読み! 環境法/第69回】農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し――都市農地賃貸化により生産緑地の維持を図る政策
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 平成30年度税制改正大綱では、三大都市圏における生産緑地の減少を食い止めるため、相続税・贈与税の猶予措置により農地賃貸化を進める方策が盛り込まれている。その概要を解説する。また、化学物質による環境影響防止のためにまとめられた「環境リスク初期評価(第16次とりまとめ)」を紹介するとともに、日本における化学物質管理の課題を改めて提言する。
 
❶ 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し――都市農地賃貸化により生産緑地の維持を図る政策
❷ 化学物質の環境リスク初期評価(第16次取りまとめ)の結果公表(平成29年12月27日)――化学物質の環境リスク初期評価の役割と環境リスク評価情報収集とその重要性
環境法改正情報(2018年1月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉ 廃棄物処理法
 ◉ 農薬取締法
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