環境管理バックナンバー 2018年 5月号

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2018年5月号 特集1:異常気象への対応とイノベーション創出/特集2:水銀廃棄物の適正処理

<巻頭特集>

DOWAエコシステムの環境経営 「鉱山」から「都市鉱山」へ──金属を「分ける」技術と廃棄物のリスクマネジメント
本誌編集部
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 DOWAグループ発祥の地、秋田県・小坂鉱山で採掘されていた「黒鉱」は、金・銀などの有価金属を豊富に含む一方、鉛などの不純物も多く、 処理が困難な鉱石だった。同社はそれを処理するために独自の製錬プロ セスを開発し、国内有数の銅製錬所としての地位を確立した。この鉱山・ 製錬事業を通じて培った様々なインフラや技術がDOWAグループの原点 となり、環境ビジネスのリーディングカンパニーに発展する礎となった。
 本稿では、同グループの「循環型事業」の入り口であるリサイクル原料の調達と廃棄物のリスクマネジメントを手掛け、また国内にとどまらず アジアNo.1の環境・リサイクル企業を目指すDOWAエコシステム(株)の戦略について、同社代表取締役社長 飛田 実氏に話を聞いた。
 

<特集1>

高潮浸水想定および洪水ハザードマップ
本誌編集部
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 東日本大震災のあとで宮城や岩手の自治体を訪問して ヒアリングをした。住民の避難や地域の復旧・復興に行政 は必死で支援していたが、企業に関する支援を尋ねると「えー?!」と声をあげ、市民対策で手がいっぱいなので企業は自力で対応してもらわざるを得ない、との返事がほとんどだった。
 東京都によると、超大型の台風が上陸すると東京23 区の3割以上が浸水し、最大10m以上の浸水が想定さ れている。自然災害は地域住民のみならず企業にとって 大変な事態である。がけ崩れによる道路封鎖や避難指示で社員も出社できない、物流もストップ、停電になればほとんどの工場は即、操業停止である。地震、噴火、洪水 や津波、水害対策など含め管轄自治体から最新情報を 入手して事業継続計画BCPなど事前準備をすることが必要である。
 
九州北部豪雨時の北野平野の土砂被害と地理
黒木 貴一(福岡教育大学 教授)
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 2017 年7 月九州北部豪雨では、筑後川流域北部の山地・丘陵で斜面崩壊や土石流が生じ、下流の氾濫原で土砂堆積を伴う氾濫被害が生じた。人の一生かそれ以上の長さの再来周期をもつ自然現象に対し、家屋・施設等ではなく、より広い空間で現象を説明する地理の立場から調査・分析を行った。正射空中写真による土地被覆分類では氾濫原の土砂堆積範囲を、地表踏査では流向や土砂層相等を知り、今回の氾濫による土砂堆積は決して特異な現象ではなく、今日まで繰り返されてきた平野形成の一時間断面に過ぎないことを確認した。今後、地理では現在形成中の地形とその形成過程を詳しく読み解き、ハザードマップ等作成への新たな視点を見出し、減災を視野に成果の情報発信を継続することが期待される。
高度気象プロダクト作成によるイノベーション創出
清水 慎吾(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 主任研究員)
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 全国主要都市の降水量を実時間で推定する国土交通省高性能レーダ雨量計ネットワーク(通称、XRAIN:eXtended RAdar Information Network)は、河川、水資源管理といった公共分野で広く活用されているが、地上雨量以外のデータの利活用は進んでいない。XRAINの営利目的の使用が可能となれば、XRAINによって得られる風や降水粒子種別等の高度気象情報は様々な民間ニーズとマッチし、その社会的インパクトは大きい。本稿では、①防災科学技術研究所が開発した高度気象プロダクトの紹介と、②高度気象プロダクトへの民間ニーズ調査結果を報告する。

<特集2>

水銀廃棄物の適正処理に向けた企業の新たな対応について
重松 賢行(環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制課 課長補佐)
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 2017 年8 月16 日に「水銀に関する水俣条約」が発効し、同年10 月1 日には水銀廃棄物に関する廃棄物処理法における新たな規制が施行されたところである。今回の改正は、蛍光ランプ等の水銀使用製品が廃棄物となったものにも新たな委託基準や処理基準等が加わることとなり、企業等幅広い排出事業者に関連するものとなっている。これらを踏まえ、本稿では、企業において排出事業者責任を果たすために留意すべき点、水銀の環境への負荷低減に向けて取り組むべき事項を中心に産業廃棄物の適正処理に則した情報を提供する。
水銀関連の廃棄物――蛍光灯を例に
本誌編集部
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 平成29 年10 月1 日以降、蛍光ランプなど水銀廃棄物の適正処理について新たな対応が必要になった。そこで地方自治体や日本照明工業会などの情報をベースに、水銀を使用した蛍光ランプについて現状と適正処理について基本ポイントをまとめてみた。極めて基本的な事項であるが、法違反は許されないのでご一読いただきたい。水銀廃棄物の取り扱い方法に関しては、例え少量であっても、疑問や懸念事項があれば処理業者や管轄自治体に問い合わせをするなどして必要に応じて是正いただきたい。

<総説>

SDGsの目指すところと企業にとっての意義
蟹江 憲史(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授)
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 世界的視点で現代の成長戦略を考えるのであれば、経済のことを考えるだけでは不十分であり、資源環境制約を大前提とし、課題解決には社会の持続性を常に勘案する。総合的・統合的な課題解決が必要不可欠である。そのためにSDGsを活用するには、第一に、バッ
クキャスティングに基づく課題解決を行い、第二に、進捗を測るための指標構築を今後着実に進めることが求められる。
公害防止管理者制度の啓発普及用動画の公開について――平成29年度経済産業省・公害防止管理者制度等普及調査の成果紹介
一般社団法人 産業環境管理協会 環境管理部門 人材育成・出版センター
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 平成29 年度の経済産業省の調査において、公害防止管理者制度の啓発普及を目的としたPR動画を制作し、公開した。公害防止管理者制度の意義の確認と、不適正事案防止のための公害防止ガイドラインの紹介に重点を置き、公害克服後の事業者の置かれた経営環境、環境管理の現状に合わせた今日の環境管理における公害防止管理者制度の有効活用を主旨に動画をまとめた。当協会会員企業の皆様にもぜひ、公害防止管理者制度を再認識、活性化する契機としてご活用いただきたい。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第24回】日本の再生可能エネルギー普及を「 真面目に」考える その2──「日本版コネクト&マネージ」は機能するか
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 再生可能エネルギーを主力電源として活用していくにあたり、喫緊の課題として挙げられるのが送電線への接続問題であることは前回述べた通りだ。「鑿のみと言えば槌つち」といわれるように、電気は発電したら送電できなければ意味がない。一般の消費財も生産手段と流通手段の両方を確保しなければ意味がないのと同じだ。
 現在わが国は、再生可能エネルギーの電気を高値で買い取ることによって再生可能エネルギーの普及促進を図っているが、これは発電設備に経済的インセンティブを与えるだけの施策であるので、送電設備投資を促す経済的インセンティブがないばかりか、発電設備と送電設備全体で考えて社会的なコストを最小化するといった視点は含まれていない。
 再生可能エネルギーの導入が容易な安価な土地には、基本的に十分な送電設備がない。人口や産業が密集していないから土地が安価なのであり、そうした地域は当然電力需要も大きくない。過度な送電線投資は当然のことながらされてこなかった。そうした地域に再生可能エネルギーを導入しようとすると、送電線への接続問題というボトルネックが発生する。
 これを解決するために、「日本版コネクト&マネージ」という手法によって既存の系統を最大限活用し、発電だけでなく送電を含めた全体コストの抑制を図ることを前提に議論が進められている。昨年夏ごろから急に登場した「コネクト&マネージ」あるいは「ノンファーム型接続」という言葉に戸惑う方も多いだろう。こうした新しい言葉で消費者を煙に巻いているような気すらする。
 本稿では、こうした再生可能エネルギーの系統制約に関する議論をかみ砕くとともに、そもそもどういう考え方なのか、本当にこの制度が目指すように、社会の負担を抑制しながら、自然変動電源である再生可能エネルギーの電気を使いこなしていけるのかを考えたい。
【合理的環境主義者の視点/第2回】サンゴ礁は脆弱か?
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
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 サンゴ礁は、地球温暖化による海面上昇、CO2 濃度の上昇による「海洋酸性化」、そして温度上昇に対して脆弱である、という意見がある。これは本当にそうなのだろうか?
【産廃コンサルタントの法令判断/第26回】法の規定に従っていても行政処分?──廃掃法の根底を覆すかのような事例
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第26回)。

【新・環境法シリーズ/第75回】長期的責任と二酸化炭素回収・貯留
イアン・ヘイヴァクロフト(グローバルCCS 研究所 シニア・コンサルタント)/柳 憲一郎(明治大学法学部 教授・明治大学環境法センター長)/中村 明寛(明治大学環境法センター 専門研究員)/小松 英司(明治大学環境法センター 専門研究員)
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従来、貯留された二酸化炭素の管理責任について初期に構築された法モデルでは、想定される事業期間を超えた管理規制の検討が必要と考えられてきた。また、政策立案者、規制当局及び企業が指摘する法規制の課題に責任規定のあり方が問題であった。これらは、CCS稼働時期及び二酸化炭素圧入停止後を含む事業期間における国、管理者及び事業者(operator)のそれぞれの責任の範囲及び負担の定義に係るものである。それは公共機関、投資家及び事業者による技術導入に向けての信頼性を高める重要な側面でもある。本稿では、公衆に対する責任に関する制度、事業者及び投資家に係る責任など、これまでの規制当局によるCCS特有の責任に対するアプローチ及び制度を考察し、今後のCCS技術開発・導入の拡大・増進に向けての制約及び課題に対して検討するものである。

【環境担当者のための基礎知識/第5回】進化した砂ろ過でも前処理が必要
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 砂ろ過は砂の隙間で汚濁物質をトラップする物理的除去法と認識されるが、実は生物学的および化学的プロセスも利用して汚水を浄化している。米国環境保護庁(EPA)は「砂ろ過では生物学的プロセスが最も重要な役割をしている」と述べている。本稿では砂ろ過の基本的事項を解説し後半で、マイクロフロック法とワイヤースクリーンの技術について簡単に紹介する。

【先読み! 環境法/第71回】特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案が衆議院に提出(第196回国会)
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 モントリオール議定書のキガリ改正の国内対応としてHFC(温室効果ガス)をオゾン層保護法の特定フロン(オゾン層破壊物質)と同一の枠組みで削減を図るオゾン層保護法改正案が3月6日に衆議院に提出された。その概要を解説する。都市農地の「あるべき位置づけ」に沿った具体的施策の一環として提出された都市農地の賃借の円滑化に関する法律案、同日提出された森林経営管理法案についても取り上げる。

❶ 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案が衆議院に提出(第196 回国会)
❷ 都市農地の賃借の円滑化に関する法律案が3月6日に衆議院に提出(第196通常会)――都市農地の「あるべき位置づけ」に沿った具体的施策の一環
❸ 森林経営管理法案が3月6日に衆議院に提出(第196回国会)

 

環境法改正情報(2018年3月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉ 廃棄物処理法
 ◉ 化審法
 ◉ グリーン購入法
 ◉ 農薬取締法
 ◉ 容器包装リサイクル法
 ◉ 環境基本法
 ◉ 水道法
 ◉ 省エネルギー法
 ◉ 再生エネルギー特措法
 ◉ 消防法
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