環境管理バックナンバー 2018年 7月号

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2018年7月号 特集:進化する環境技術 最新動向

<特別寄稿>

SDGsを具現化する「地域循環共生圏」の構想――第5 次環境基本計画を読み解く
武内 和彦((公財)地球環境戦略研究機関理事長/東京大学特任教授)/山田 哲也(環境省 大臣官房 環境計画課 計画官)
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 2018 年4 月に閣議決定された第5次環境基本計画は、SDGsの趣旨に則って策定された我が国初の法定計画であり、その要点は「環境・経済・社会の統合的向上」の具体化である。同計画では、環境政策を通じて経済・社会の課題にも対応できるような「重点戦略」を策定するとともに、これらを駆使して各地の地域資源を最大限活用しながら、農山漁村と都市が相互に支え合う「地域循環共生圏」の構想を提示した。この構想は、自然資本や人的資本を活かした地方創生に大きく貢献するものであり、各地域でのSDGsの取組にも貢献するものと期待される。

<特集>

大気主成分組成の高精度観測に基づくCO2循環と気候変動の評価――地球温暖化の実態解明を目指して
石戸谷 重之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 環境管理部門 大気環境動態評価研究グループ)
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 2015年末にパリ協定が採択され、地球温暖化対策は国際的な喫緊の課題となっている。地球温暖化に対する適切な緩和・適応策の策定には、将来の大気中CO2 濃度予測のための大気・陸域・海洋間のCO2循環の定量化と、地球温暖化が実際にどの程度進行しているかの評価が基礎データとして重要である。
 これらの評価に向けた研究成果の一つとして、人間の産業活動によってCO2濃度が年々増加しているだけでなく、年に約4ppmの速度で、大気からO2 が失われていることも判明している。本稿では、大気主成分の濃度・同位体比の高精度観測を応用した手法について紹介する。
化学物質からの暴露とリスクを評価するためのソフトウェアの開発
東野 晴行(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究主幹)
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 産業技術総合研究所では、リスク評価の対象や環境中の媒体に応じて、大気、水、海洋、室内製品などに含まれる化学物質からの人や生態系への暴露を推定するモデルや化審法対応可能な生態リスク評価ツールなど、リスク評価の対象に応じて様々なソフトウェアを開発してきた。本稿では、開発の背景と目的を述べ、各種ソフトウェアの中で特に、曝露・リスク評価大気拡散モデル(ADMER)と室内製品暴露評価ツール(ICET)を取り上げて機能の概要などを紹介する。
「戦略的都市鉱山」を支える物理選別技術の新たな自動化思想――リサイクル工場の省人化を目指して
大木 達也(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 環境管理研究部門 総括研究主幹)
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 筆者は、物理選別技術を高度化し、金属の水平リサイクルの促進する「戦略的都市鉱山」構想を推進している。しかし現状の技術では、一部の機械化を果たしても、前後のプロセスで新たな手作業が必要となるケースも少なくなく、高度化に伴って従事する作業者は増える傾向がある。我が国では、これらの労働者確保が次第に困難となってきており、低コスト化の観点からも、選別システムの自動化による工場の省人化が求められている。本稿では、これまでの筆者による研究開発の知見をベースとして、物理選別技術の新たな自動化思想についてまとめた。
自然由来重金属のリスクマネジメント―― 砒素を例に
門間 聖子(応用地質株式会社 技術本部 技師長室( 地球環境事業部駐在)技師長)
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 世界有数の火山国である我が国は、地盤を構成する土壌や岩石中に豊富なミネラルを有している。それらの一部は、土壌汚染対策法の第二種特定有害物質にも指定されている。平成22 年の同法改正により、土壌に含まれる自然由来の重金属が法の対象となったことから、特に地盤を大量に掘削する建設事業においてそのリスクマネジメントの必要性が増大した。ここでは比較的事例の多い砒素を中心に、法改正も踏まえたリスクマネジメントの考え方について述べる。
鉄粉洗浄磁気分離装置「M・トロン」を用いたヒ素含有シールド泥水のオンサイト浄化
石神 大輔(鹿島建設株式会社 技術研究所 研究員)/伊藤 圭二郎(鹿島建設株式会社 技術研究所 上席研究員)
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 ヒ素などの重金属を含む地盤を掘削する工事において、発生土の合理的な処理方法が求められており、近年はオンサイトで浄化処理する技術に注目が集まっている。筆者らは、一般的な分級のみでは洗浄しきれない細粒分の土壌に対し、細粒分を含む泥水に鉄粉を混合して洗浄することで鉄粉に重金属等イオンを吸着させ、超電導磁石を用いた大容量の磁気分離により鉄粉を回収して浄化する「M・トロン」を開発した。本技術を用いて、泥水シールド等の工事で発生する泥水や土砂に対して、含有するヒ素を浄化した事例を紹介する。

<総説>

JEMAIのETVに係る活動の紹介
大野 香代(一般社団法人 産業環境管理協会 国際協力・技術センター 所長)
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 一般社団法人 産業環境管理協会(JEMAI)は昨年度(平成29 年度)、環境省より環境技術実証(ETV)事業におけるISO 14034 への適合のための実証機関の能力向上を目的とした研修事業を受託し、本年度(平成30 年度)は、この事業の実証運営機関に選定され、国内外への事業広報・普及のための活動や環境省や実証機関に協力して事業を推進する業務を担うことになった。また、国際的には、ETVの国際標準化活動に積極的に参画してきた。本稿では、ETVとは何か、国内のETV事業の概要やETVの国際規格の策定について紹介する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第26回】次期「エネルギー基本計画」素案への評価と課題
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 政府は「エネルギー基本計画」の見直しを進めている。先日素案が発表され、国民からの意見公募や政治的な承認プロセスを経て、7 月頃には確定される見通しである。「再生可能エネルギーを主力化する」という文言が使われたこと、しかし、長期エネルギー需給見通しで示した2030 年の電源構成の見直しには踏み込まなかったことなどがメディアでも取り上げられたので、ご覧になった方も多いだろう。
 内容としては前回の計画を踏襲したものであり、ほとんど変更点らしい変更点はない。次期計画の素案から我々は何を読み取ればよいのか。残された課題は何か。そもそも電力自由化を実施した上で、政府が将来のエネルギー・電源構成を策定する意味は何か。前回、ドイツのエネルギー政策についての連載を始めたばかりで、違うテーマに寄り道するのは恐縮であるが、タイムリーな話題として、政府が示した次期エネルギー基本計画の素案を読み解き、日本のエネルギーの将来を占いたい。
【合理的環境主義者の視点/第4回】「社会のトランスフォーメーション」は必要か?
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
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 地球温暖化対策というと、カーボンプライシングや「社会のトランスフォーメーション」が必要といわれ、また海外への援助が必要、といわれる。これは本当だろうか? どのように考えれば良いだろうか?
【産廃コンサルタントの法令判断/第28回】有害使用済機器とは?──廃棄物でないのに廃棄物処理法で規制される理由
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第28回)。

【新・環境法シリーズ/第77回】ドイツ脱原発加速法憲法異議事件判決の要点
松村 弓彦(弁護士)
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 ドイツにおける脱原発に向けた法政策は2000年脱原発協定と2002年脱原発法によって既定のものであったが、福島原発事故を契機としてその直後に改正された各原発に操業確定期限を定めて脱原発を加速すること等を目的とするドイツ2011年脱原発加速法に対する憲法異議事件判決(2016年12月6日)は、基本的には合憲であるが、比例性と平等原則に照らして、部分的に所有権保障に反する違憲部分があるとし、国に対して2018 年6月30日までにそ
の違憲部分の立法措置による解消を命じた。我が国と裁判制度は違うが、右判決と判決理由の要旨を分析する。
【環境担当者のための基礎知識/第7回】ハイテク工場跡地の30年にわたる汚染浄化 ――要措置区域及び形質変更時要届出区域の対応
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 千葉県君津市に、揮発性有機化合物( VOC)による汚染で有名になったハイテク工場がある。この半導体工場では、地下水揚水と土壌ガス吸引などによる浄化を約30 年間にわたり継続している。最近になって工場の操業をすべて終了し、特定施設の使用を廃止するため、法に基づく調査結果を千葉県に提出した。その結果、工場跡地は要措置区域等に指定され、指示された浄化措置等の計画書が土地所有者から千葉県に提出され受理された。
 浄化計画に関する君津市の環境審議会に続き住民説明会が2018 年6 月に実施され、工場建屋など43 棟の解体と、土壌汚染対策法に準拠した汚染対策工事が開始された。これまで公開された情報や過去の経緯・データなどから事実関係をまとめた。後半では住民説明会の状況をレポートする。
【先読み! 環境法/第73回】エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案が3月9日に衆議院に提出(第196回国会)
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 エネルギーミックスの省エネ見通し実現に向けて、第二の流通革命ともいえるネット通販そしてジャストインタイム方式に係る納品輸送を省エネ法判断基準規範の対象とした。さらに排出量取引制度の構想を先取りするともいえる企業連携による省エネ評価制度が始まる。このような省エネ法の改正について解説する。また、受動喫煙規制のための健康増進法の改正及び「人」に着目した自治体独自のルールとしての東京都受動喫煙防止条例についても取り上げる。
 ❶エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案が3月9日に衆議院に提出(第196回国会)
 ❷健康増進法の一部を改正する法律案が第196回国会に提出――受動喫煙規制
 ❸東京都受動喫煙防止条例(仮称)
環境法改正情報(2018年5月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉地球温暖化対策推進法
 ◉公害防止管理者法

<トピックス>

家電リサイクル法対象機器の不適正処理に係る勧告及び報告徴収について
本誌編集部
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 顧客から引き取った使用済みのエアコン957 台を法令に基づいたリサイクルをせずにスクラップヤード業者に横流ししたとして、経済産業省と環境省は運送大手のサカイ引越センター(堺市)に対し、家電リサイクル法に基づき適正処理を勧告した。経済産業省のプレスリリース(2018年6月12日経済産業省・環境省 同時発表)から次の通り引用する。
 株式会社サカイ引越センターの奈良支社及び奈良南支社において、排出者から引き取った廃家電の一部が、製造業者等以外の者(いわゆるスクラップヤード業者)に引き渡されていたことから、経済産業省及び環境省は、家電リサイクル法第16条第1項に基づき、同社に対し、排出者から廃家電を引き取ったときは、製造業者等に当該廃家電を引き渡すべき旨の勧告等を行った。(以下、本文)
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