環境管理バックナンバー 2021年 6月号

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2021年6月号 特集:土壌汚染と不動産取引・M&Aデューデリジェンス

<巻頭レポート>

地球温暖化による流氷への影響
中村 圭三(筑波大学 理学博士)
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地球温暖化による流氷への影響
 遠いシベリアから流れくる流氷は北海道に接岸し、時には高さ15m、長さ数100mの巨大な氷丘、流氷山脈を形成する。
 流氷は波や風で絶えず砕かれるが、波の少ない海で形成された流氷は長さが数10kmに及ぶこともある。厳冬期にはロシアと北海道が巨大な海氷で陸続きになる状態もみられるが最近は気候変動の影響も出ている。
 世界でも珍しい流氷が観察できる紋別での12年に及ぶ調査研究の一端を紹介させていただく。
最近の気になるニュース・クリッピング――環境コンプライアンス、脱炭素・温暖化関係、その他
本誌編集部
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⦿逮捕が相次ぐ廃棄物処理法
⦿株主の実刑で投資する会社の許可が取り消し
⦿産業廃棄物処理業・処理施設許可取消処分情報を更新
⦿土壌汚染対策法
⦿北越コーポレーション
⦿USスチール2050年までにカーボンニュートラル目指す
⦿ボルボ製造に水素を利用したスチールでトラック製造
⦿米政府が代替フロン削減策を導入
⦿ふるさと納税で再生可能エネルギー
⦿企業の脱炭素移行に資金調達する基本指針を策定
⦿「トップが語る脱炭素」の動画公開
⦿CO2の濃縮と回収等に関する共同研究開始
⦿北極評議会の8か国閣僚会合が宣言
⦿2050年までに温室効果ガス実質ゼロへIEAが工程表を公表
⦿電気自動車用充電スタンドの住宅以外への設置数が初めて減少
⦿菅首相が森林保護を強調
⦿福島県いわき市の化学工場で爆発事故
⦿膀胱がんで会社に1,155万円の支払い命令
⦿植物由来のプラスチック食器約9万6,000個を自主回収
⦿ロシアのダークサイドがサイバー攻撃
⦿2020年下半期の不正アクセス被害
⦿河川システムにコンピューターウイルス
⦿スマート工場も被害
⦿脱炭素社会に進む改正地球温暖化対策推進法が成立

<特集>

土壌汚染早わかり
本誌編集部
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 土壌汚染の状況把握や人の健康被害の防止に関する措置等を規定する「土壌汚染対策法」(以下「法」)は、平成15(2003)年に施行され、有害物質使用特定施設の使用の廃止の際に土壌調査が義務化された。その最初の改正法が、平成22(2010)年4月から施行された。改正により3,000m2以上の土地の形質の変更時の届出義務などが追加された。なお形質変更とは、土地の開発行為、掘削や盛土などが該当する。
 最近では平成29(2017)年5月に土壌汚染対策法の一部改正が公布され、有害物質使用特定施設を設置している事業場等の敷地や「法第3条第1項ただし書(調査猶予)」が確認されている事業場においては、900m2以上の土地の形質の変更時に届出義務が新たに規定された。これらのうち調査猶予中の土地の届出に対し調査命令が必ず発出されるので注意する必要がある。
 今回の弊誌特集では土地の汚染リスクや不動産取引関係、さらにビジネスリスクとして土壌汚染を評価する環境デューデリジェンスについて専門家に解説いただく。有害物質を扱う企業の環境担当者にとって土壌汚染の問題に直面する機会は多い。本稿では最初に土壌汚染の概要について述べ、汚染土地の関係者間で使われる重要用語について主なものを簡単に説明する。
土壌汚染のリスクと備え――環境リスクの簡易評価ツール
保高 徹生(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏化学研究グループ長)
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 土壌汚染の環境リスクに応じた合理的な措置の推進に向けては、環境リスクだけではなく、社会・経済的なリスクを評価し、複数の措置方法を比較した上での意思決定やステークホルダーとの合意形成を実施する必要がある。
 本稿では、「土壌汚染のリスクと備え」と題して、①土壌汚染のリスクと対応を整理した上で、②土壌汚染の環境リスクを簡易的に評価できる環境省のツールを概説し、③合理的な措置に向けて必要な備えとして個人的に重要だと思う内容を整理する。
不動産取引と土壌汚染――平成22年最高裁判決と契約不適合責任
宮崎 裕二(宮崎法律事務所 弁護士)
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 2020年4月から施行されている改正民法の中で、新たに生まれた「契約不適合責任」という言葉が徐々に浸透してきた。本稿では、土壌汚染に関する判例として有名な2010年最高裁判決がこの契約不適合責任の趣旨を先取りしていることを明らかにするとともに、不動産取引で土壌汚染の紛争が生じたときに、裁判所が契約不適合責任の有無を判断するに当たり、契約時における契約内容や契約書の文言をどれだけ重視しているかを伝えることができればと思う。

M&Aにおける環境デューデリジェンスと土壌汚染評価の実際
坂野 且典(イー・アール・エム日本株式会社 パートナー)
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 企業買収(M&A)において、環境リスクはビジネスリスクの1つであり、とくに土壌汚染リスクはあるとき顕在化し、利益を減少させ、レピュテーションに影響を与えるため、最大限の努力をはらって情報を集め、評価や判断を行う必要がある。一連の評価手続きは環境デューデリジェンスと呼ばれ、対象企業のビジネスを理解する準備段階に始まり、1、2ヵ月の期間で文書情報の精査に加え質問や現地訪問を行い、結果を報告書に取りまとめる。
 報告書では、既知の土壌汚染や未知の土壌汚染について、現地国の法的要求事項や科学的な考察をもとに見解を示し、クライアントや法務等のアドバイザーは契約交渉にこれを活用する。本稿の後段では、マニュアルはあるのか、PhaseⅡ調査は必要なのか、といった疑問について解説を加える。

<総説>

地球温暖化対策推進法改正、及び環境影響評価法下の風力発電のアセス規模要件引き上げについて
大塚 直(早稲田大学 法学部 教授)
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 菅総理は2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと宣言した。また、米国主催の気候変動サミットでは2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減し、さらに50%削減に向けて挑戦、という方針を表明した。こういった中で注目される地球温暖化対策進法の改正案、及び環境影響評価法下の風力発電のアセス規模要件緩和について本稿で解説する。

循環型社会における自主的取り組みと廃棄物処理
佐藤 泉(佐藤泉法律事務所 弁護士)
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 廃棄物処理法は、一般廃棄物については市町村の責任、産業廃棄物については排出事業者の責任において、廃棄物を処理する枠組みとなっている。しかし、循環型社会においては、製造者・販売者・消費者等が連携し、廃棄物の削減・リユース・リサイクルを進める必要がある。現在、資源循環を促進するために、廃棄物処理法の枠組みを超えた多様な自主的取り組みが広がっており、法的解釈に混乱が生じている。そこで、自主的取り組みの法的位置付けについて検討する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題シリーズ52】「ゼロカーボンシティ」に向けて必要なこと
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 政府が2050年のカーボンニュートラルを掲げるのに先んじて、環境省の呼びかけに応じて多くの地方公共団体がゼロカーボンシティ宣言をしており、その数は本年5月20日時点で388に上る。
 地球温暖化対策の推進に関する法律では、「都道府県及び市町村は、その区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するように努めるものとする」ともされていることに加えて、市民・消費者の生活に身近な存在として地方公共団体が果たすべき役割は大きい。
 しかし、エネルギー需要の構造はそれぞれの地域の気象条件やライフスタイル、産業構造などによって大きく異なる。また、供給側についても今後増加すると見込まれる再生可能エネルギーのポテンシャルは自然条件に大きく左右されるうえ、既存のエネルギーインフラとして都市ガス導管が通っているのかいないのか、あるいは、港湾を保有し外部からのエネルギー資源へのアクセスが比較的容易に確保できるのか、といった様々な条件によって描ける未来は変わってくる。それぞれの地域の実態をよく把握し、戦略的に考える必要があるが、それぞれの地域でエネルギー転換に必要な知見を有する人材を確保することも難しい。
 今回は、2050年ゼロカーボンシティを宣言した自治体が考慮すべきことの視点を整理したい。
【弁護士からみた環境問題の深層/第6回】アスベストに関する法改正が取引に与える影響の考察――不動産取引を例に
内藤 丈嗣(森原憲司法律事務所 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員)
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 令和2年の大気汚染防止法(以下「大防法」という)の改正は、いわゆるレベル3建材を含む全石綿含有建材を規制対象とすることにより、解体等工事の際のアスベスト飛散防止対策を強化したが、その影響は解体等工事の場合だけに留まらないと考えられる。不動産取引を例にとると、民法改正により、瑕疵担保責任は契約不適合(債務不履行)責任と構成されることになったが、建物の売買において、売主が、対象物件にレベル3建材を含めアスベストが使用されていることを説明せず売却した場合、契約不適合責任を問われる可能性が高まることも想定される。

【産廃コンサルタントの法令判断/第63回】廃棄物としての石綿を再確認――各種改正法の影響は?
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第63回)。

【新・環境法シリーズ/第112回】EUにおける気候変動への適応法制
柳 憲一郎(明治大学 名誉教授/研究・知財戦略機構研究推進員)朝賀 広伸(創価大学 法学部 教授)
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 EUにおいて、加盟国の適応政策はEU適応政策サイクルに基づいて策定される。すなわち、適応のための基盤構築、気候変動のリスクと脆弱性の評価、適応オプションの特定、適応オプションの評価、適応の実施、適応の監視と評価という一連の手続を経ている。その策定手続において、気候変動の影響・脆弱性・リスクアセスメント(CCIVA)は、適応政策を策定するための重要な情報源となっており、気候変動に対する適応だけでなく生物多様性の保全や災害リスクの軽減などの他の社会目的とも関係する多様な政策立案に貢献しうる重要な役割を果たしている。
【環境倫理の基礎講座/第6回(最終回)】環境倫理と環境共生
佐藤 建吉(一般社団法人 洸楓座 代表理事)
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 連載してきた「環境倫理の基礎講座」の最終回にあたり、本号では過去の連載回のまとめと、新たに環境共生について解説を行う。キーワードとして記すと、①出来る状況づくり、②エコエティカ、③自然と至然、④社会受容性、⑤トマソン、⑥環境共生&世代間倫理となる。①では「出来る環境づくり」と「出来る状況づくり」を比較し、環境と状況の違いを、②では生圏倫理学「エコエティカ」として技術連関という今日的な環境の特徴を述べた。③では自然をfrom然、至然をto然としての比較であり、その意味について、④では風力発電への社会受容性を取り上げ、⑤ではトマソンという超芸術を感受する目線を育てると述べた。⑥では世代間倫理における人格権の法律的解釈の背景を述べる。
【環境担当者のための基礎知識/第42回】中間処理施設の脱炭素化動向と処理技術――米国ウィスコンシン州の処理施設の事例
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 米国ではバイデン政権になってから脱炭素社会に向けて急速な政策転換があった。工場廃液や産業廃棄物を処理している施設でも省エネと化石燃料の使用を削減する動きに拍車がかかる。本稿では筆者が過去に調査したことがある中間処理施設の最近の技術と処理状況を報告する。嫌気消化とストラバイト回収、バイオソリッド、曝気プロセス見直しなどの解説をし、焼却に代わる乾式メタン発酵バイオガス発電施設を導入する国内の珍しい事例も最後に紹介する。

【先読み! 環境法/第108回】地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案が第204回国会に提出され、5月26日に成立
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 本稿では3月に閣議決定され、第204回国会に提出された「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」について、その背景と概要、改正内容について紹介する。また、4月に成立した「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律」についても解説する。
 
❶「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」が第204回国会に提出され、5月26日に成立
❷流域治水関連法案とした「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律」が4月28日に成立
環境法改正情報(2021年4月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉農薬取締法
 ◉(その他)地球温暖化対策推進法
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