環境管理バックナンバー カテゴリ:資源・エネルギー

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<巻頭レポート>地熱発電――日本初の地熱発電所
本誌編集部
▼概要文表示2021年2月号
  地熱は有望な再生可能エネルギーの一つで、天候に左右されず24時間発電できる優れものである。日本では石油や石炭の枯渇に備える代替熱源のため、1919年に海軍中将・山内万寿治氏が別府で噴気孔の掘削に成功し1925年には東京電灯が日本で初めて1.12kWの地熱発電を実証した。
 そして1966年に岩手県で松川地熱発電所が国内初の商業運転を開始し、翌年には大分県の大岳発電所も稼働した(写真1)。歴史がある松川地熱発電所の取材を参考に、地熱発電についての概要をレポートする。
 
<特集>水素エネルギーをめぐる国内外の状況
本誌編集部
▼概要文表示2019年5月号
 「水素エネルギーの未来」を特集するにあたって、基本的な知識から最近の関連情報までを解説する。
水素の定義・特性から、一般向けの水素教育施設の内容、水素ステーションなどのサプライチェーン、
海外の水電解技術の概要を紹介し、最後に国の水素政策についてに触れたい。
<特集>水素ビジネスの現状と展望
新妻 拓弥(JXTGエネルギー株式会社 担当マネージャー)
▼概要文表示2019年5月号
 世界のエネルギー政策の潮流が「脱炭素」へと転換しようとする今日、利用時にCO2を排出しない「水素」への関心が世界的に高まっている。世界に先駆けて水素社会の実現を目指す日本では、2019年3月に改訂された「水素・燃料電池戦略ロードマップ」において、2030年の燃料電池自動車(FCV)が80万台、水素ステーションが900か所相当と改めて導入目標が記載され、それに向けた具体的なアクションプランが提示された。また、発電や産業プロセスでの利用などモビリティ以外の用途でも水素の利用拡大が見込まれている。
 本稿では、水素をめぐる国内外の取り組みや産業界の現状などを概観した上で、カーボンフリー水素の製造や様々な水素利用の検討状況など水素の将来展望について報告する。
<特集>国際CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた川崎重工の取組
西村 元彦(川崎重工業株式会社 技術開発本部 水素チェーン開発センター センター長 准執行役員)
▼概要文表示2019年5月号
 脱炭素社会への切り札として水素利用への関心が国内外で高まっている。川崎重工はクリーンな水素を大量に安定的に経済的な価格で国内に供給するため、海外の未利用資源を活用した国際CO2フリー水素サプライチェーンの構築に取り組んでいる。水素をつくる・はこぶ・ためる・つかうという水素サプライチェーンの各ステージにおける主要技術の開発を進めると同時に、国際CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けたパイロット実証事業、水素コジェネレーションシステム実証事業を実施し、水素社会の早期実現を目指している。本稿ではその具体的な取組内容について紹介する。
<特集>水素社会の実現に向けた川崎水素戦略
小林 昭一(川崎市 臨海部 国際戦略本部 臨海部事業推進部 担当係長)
▼概要文表示2019年5月号
 川崎市では、水素・燃料電池関連企業の集積や川崎臨海部での多量の水素需要などを背景として、多様な主体と連携しながら水素社会の実現に向けた取組を進めている。2015年3月には、「水素社会の実現に向けた川崎水素戦略」を策定し、「①水素供給システムの構築」及び「②多分野にわたる水素利用の拡大」、「③社会認知度の向上」の三つの基本戦略を柱として、水素・燃料電池に関する様々なリーディングプロジェクトを市内で創出・推進している。川崎の水素戦略や、企業と連携して取組を進めているリーディングプロジェクト、将来展望について述べる。
<特集1>【インタビュー】資源エネルギー庁にきく なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?
本誌編集部
▼概要文表示2019年2月号
 「パリ協定」では「2℃目標」が設定され、世界は「低炭素」から「脱炭素」へと舵を切った。これを受けて、化石燃料産業から投資を撤退する「ダイベストメント」の動きがヨーロッパ系の金融機関から広がっており、電力については石炭火力発電からの撤退の動きがみられる。
 こうした動きの中、日本では震災以降、現在も多くの石炭火力発電所の計画が進行中であり、 世界の流れに逆行しているといわれている。しかし、 石炭火力が持つ様々なメリットを考えれば、日本にとって引き続き重要な選択肢であり、逆に世界の温室効果ガス削減に貢献する技術といえる。
 本稿では、エネルギー政策における石炭火力発電の重要性から、建て替え(増設)の必要性、石炭火力発電を使わざるを得ない新興国への技術提供による国際貢献等について、経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課 岡田莉奈係長と、同資源・燃料部 石炭課 東谷佳織係長にお聞きした。
<特集1>石炭資源利用の現状と課題
國吉 信行(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石炭開発部 石炭開発課)
▼概要文表示2019年2月号
 石炭は燃焼時のCO2排出量が多いこと等から、開発・利用に対する投資撤退や融資制限等の圧力が高まっている。しかしながら石炭は現時点で、世界のエネルギー供給の3 割弱、電力供給の4割弱を担っており、今後、エネルギー消費に占める割合は低下するものの、当分の間重要な位置づけにあると見込まれている。石炭探鉱・開発事業への投資が停滞すれば、安定供給に支障が生ずるとの懸念も広がりつつある。
<特集1>次世代エネルギー技術の確立に向けて――J-POWER若松研究所の取組み
早川 宏(電源開発株式会社 若松研究所)
▼概要文表示2019年2月号
 J-POWER電源開発は、国内では全国約100か所の発電所で電気をつくり、広域送電線を利用して電気供給を行う発送電事業会社であり、若松研究所( 北九州市)ではこれまで、クリーンコールテクノロジー技術開発を推進し、高効率石炭火力発電技術の発展に貢献してきた。
 現在、次世代発電技術である石炭ガス化複合発電(IGCC)の商用化に向けた酸素吹石炭ガス化試験研究ならびにIGCCと燃料電池を組合せてさらなる高効率化を目指す石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)に関する研究を行うとともに、次世代バイオ燃料として期待される、微細藻類が光合成により生み出すグリーンオイル生産研究に取り組んでいる。
<特集1>世界の大規模CCSプロジェクト動向と苫小牧におけるCCS大規模実証試験事業の現況
田中 豊(日本CCS調査株式会社 取締役 技術企画部担当)
▼概要文表示2019年2月号
 二酸化炭素回収・貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)は、発電所や工場等で大量に発生する二酸化炭素(CO2)を大気に放出せずに回収し、地下深くの安定した地層に半永久的に貯留して隔離する技術である。CCSはCO2 の排出削減効果が大きく、国際エネルギー機関(IEA)が2017 年に作成した「Energy Technology Perspectives 2017」報告書でも、引き続きCCSが重要な技術として取り上げられている。本稿では、このCCS技術について、世界での大規模CCSプロジェクト動向、及び国内北海道苫小牧市で現在実施されている苫小牧におけるCCS大規模実証試験事業の現況を解説する。
<特集1>天然ガス鉱業会にきく 国産資源としての天然ガス開発──「国産エネルギー」がもつ価値とポテンシャル
天然ガス鉱業会 専務理事 渡辺 道明氏/天然ガス鉱業会 技術部長 佐々木 直人氏聞き手:産業環境管理協会 専務理事 黒岩 進氏
▼概要文表示2018年3月号

 新潟県、北海道、千葉県など、日本国内では年間約30億m3 の天然ガスを生産している。これはLNGを含めた天然ガス国内供給量の2~3%に相当するが、自前の資源として国際情勢の影響を受けずに安定的に供給できる強みを持つ。特に水溶性天然ガスは膨大な埋蔵量があり、現在の生産量で計算すると数百年以上の長期にわたって供給できるという。資源の乏しい日本にとって国産天然ガスは極めて重要だといえる。本記事では、昭和32 年に設立された天然ガス鉱業会の専務理事 渡辺道明氏、技術部長 佐々木直人氏に、天然ガス利用の歴史、現状の課題、将来性について語っていただいた。

<特集1>世界の電力市場の展望と電気自動車の普及
黒﨑 美穂(ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンス 日本、韓国リサーチ責任者)
▼概要文表示2018年3月号

 2040 年に全電源の半分以上が太陽光及び風力発電などの再生可能エネルギーとなる見込みである。その理由は、再生可能エネルギーの技術革新と設備費用の低下である。
 将来の電力市場を理解するには、技術革新や価格動向などに目を向ける必要がある。世界の企業は再生可能エネルギーに積極的である。RE100 に参加する企業数は世界全体で119を超えた。参加企業の電力消費実績は実に国1 個分に相当する巨大なものだ。
 本稿では、エネルギーミックス予測、GDPと電力需要のデカップリング、再エネへ転換のタイミング、太陽光及び風力発電の調整力電源、分散型電源のビジネスモデル、そして最後に電気自動車(EV)について述べる。
 こういった項目の大きな変化を、電力会社や小売電気事業者は十分把握して先読みできる提案を続けることが必要である。また、国としては再エネ調達をしやすい環境を整える必要もあるだろう。
 再エネの導入環境が整っていない国には拠点を置かない、もしくはビジネスがなくなる時代がすぐそこまで来ている。

<特集1>エネルギーの現状と将来予測――石油と石炭
本誌編集部
▼概要文表示2018年3月号

 原油資源がまもなく枯渇するという「オイルピーク説」が消滅しつつある。その要因としてシェール革命があり、4 年後の2022 年には米国がサウジアラビアに匹敵するエネルギー輸出国になる予測さえある。パリ協定の温暖化対策に加え、化石燃料の需要を減らす再生可能エネルギーや電気自動車(EV)の動向からも目が離せない。直近の数値を眺めると石炭の生産と需要が2013 年にピークを迎え、その後下落傾向にあるが、最近になって世界の石油需要もピークを過ぎて減少するという新説が現れている。
 一方、国際エネルギー機関( IEA)の2040 年予測をみると、インド、中国、中東、アフリカ、東南アジアがエネルギー需要を大きく増加させ世界全体では3 割前後も増加するという。
 本稿では、IEAのデータやエネルギー白書など公開情報に基づき、石油と石炭に関する興味深い情報を紹介する。

<特集1>2040 年に向けてのエネルギー需給と、「移行リスク」への対応
藤井 良広(一般社団法人 環境金融研究機構 代表理事)
▼概要文表示2018年3月号

 パリ協定の目標年(2030 年)から、その先を見据えたエネルギー情勢は、移行期のリスクとオポチュニティの渦中にある。こうした移行期には、これまでのエネルギー分野を引っ張ってきた「主役」が、伝統の石炭から新生の再生可能エネルギーに転換するように、いくつかの交代・収斂れんが起きる。ただ転換期においては、完全な主役交代は完了せず、技術の進展も継続途中である。このため企業主体は、政策・法規制の変化、技術の展開、市場の変化と反応等の「移行リスク」を、柔軟かつ迅速に把握、対応し、そうした対応を市場に反映させることで移行リスクを最小化する必要がある。

<特集1>再生可能エネルギーによる地域づくり――五つの目標と15 のアジェンダ
白井 信雄(法政大学 教授(サステイナビリティ研究所専任研究員))
▼概要文表示2018年3月号

 2012 年の固定価格買取制度(FIT)の施行以降、地域主導の再生可能エネルギーへの取組みが全国各地で活発化してきたが、買取価格見直しや電力小売の完全自由化等の新しい動きがあるなか、「再生可能エネルギーを通じて、どのような地域づくりをしたいのか」という目標の再設定(リフレーミング)を行うべき段階となっている。本稿では、①エネルギーの自治、②対話とネットワーク、③地域経済の自立、④公正と安全、環境共生、⑤地域主体の自立共生、といった五つの目標を提示し、その目標を実現するための具体的なアジェンダ、普及や波及といったプロセスにおいて重要となる点をまとめた。全国各地の先進事例から多くのことを学ぶことができ、それらに学びつつ、各地域の条件と状況に応じた思考と実行が期待される。

<特集1>汎用目的技術の進歩による地球温暖化問題解決への展望について
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
▼概要文表示2018年3月号

 情報通信技術(ICT)等の汎用目的技術(GPT)の急速な進歩が、温暖化対策技術のコスト低下をもたらしている。これにより、自動車部門をはじめとした経済活動全般において、大規模な温室効果ガス排出削減が可能になりつつある。温暖化防止政策はこの構造を理解した上で設計しなければならない。必須の要件は、汎用目的技術の進歩を促進し、妨げないことである。

<総説>日本初、水力100%グリーン電力メニュー――東京電力が提案するCO2排出ゼロ電力による環境貢献
本誌編集部
▼概要文表示2018年1月号

 東京電力グループの小売事業会社である東京電力エナジーパートナー株式会社は、2017年春から水力100%の電気料金メニューとして、企業向けの「アクアプレミアム」と家庭向けの「アクアエナジー100」のサービスを開始した。地球温暖化防止への関心が世界的に高まる中、CO2排出ゼロという環境価値の高い電気へのニーズがあると判断。従来の一般的な電力メニューよりも割高だが、電気料金の一部を水力電源の維持・拡大へ活用するスキームであるため環境貢献できると好評を博している。さらに「アクアエナジー100」は、電気のふるさとである発電所立地地域での自然体験や発電所見学に特典として参加でき、地域振興にも貢献する。日本初の電力メニューに注目だ。

<総説>太陽光発電テキスタイルについて
増田 敦士(福井県工業技術センター 新産業創出研究部 主任研究員)
▼概要文表示2017年10月号

 自然エネルギーから発電するシステムは様々あるが、現在のところ太陽光による発電が最も実用化が進んでいる。この分野では、効率の高い素材の研究開発や生産コスト削減などが開発の中心であるが、最近注目されているウェアラブルやIoTの分野では、柔軟でフレキシブルな発電部材のニーズがある。そこで、今回は単結晶シリコンの堅い太陽光発電部材を球状にし、さらに繊維加工技術と連携することで平面化を実現した、太陽光発電テキスタイルの開発の取り組みと実用化事例について紹介する。

<総説>水素社会の実現に向けて
佐藤 祐介(経済産業省 関東経済産業局 資源エネルギー環境部 地域エネルギー振興室)
▼概要文表示2017年8月号

 我が国のエネルギー供給は、海外の資源に依存しており、根本的な脆弱性を抱えている。エネルギーの安定的な確保は大きな課題であり、多様なエネルギー源の利活用が検討、推進される中、水素は、再生可能エネルギーを含む多様な一次エネルギーから製造可能であり、将来の二次エネルギーの中心的役割を担うことが期待されている。本稿では、水素社会の実現に向けて策定された「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の目指す方向性、および、関東経済産業局の取組について紹介する。

<総説>注目される太陽光発電の裁判と市場動向
本誌編集部
▼概要文表示2017年7月号

 太陽光発電パネルは過去5、6年で製造コストが半値近くに下がっているにもかかわらず、最近になって太陽光発電計画が全国で約46万件も失効した可能性があるという。これは560万世帯の消費電力に相当する。その要因として、FIT(固定価格買取制度)価格が2012年度の40 円から2017 年度には21 円とほぼ半減していることが挙げられる。国内では太陽光パネルの減産、生産休止も相次いでいるが、世界では記録的な成長を達成している。
 パリ協定を受けた国の再生エネルギー政策は前向きであるが、現場では微妙に状況が変化しているようだ。本レポートでは、太陽光発電パネル建設に関する有名な裁判事例と、国内外の太陽光発電市場状況について報告する。

<総説>バイオ発電で森に人が戻ってきた!――秋田杉等の未利用材によるバイオマス発電
本誌編集部
▼概要文表示2017年1月号
 当協会の会員企業で長年にわたり環境監査をさせていただいているユナイテッド計画(株)は、地域に密着したエネルギー産業にも活動を広げ、バイオマス発電事業に特化したユナイテッドリニューアブルエナジー(株)を設立した。出資者のユナイテッド計画(株)平野 公貴専務とユナイテッドリニューアブルエナジー(株)プラント運営保全グループ長の三好 創氏から具体的なお話しをお聞きした。
<特集>洋上風力発電の世界首位企業が上場
本誌編集部
▼概要文表示2016年6月号
 洋上風力発電の世界最大手DONGエナジーが2016年夏に新規株式公開IPOすると発表した。今年の欧州株式市場での最大規模のIPOになる可能性もあるという。原油や資源価格の下落、世界的な電力需要の停滞にもかかわらず、新たな資金調達によるさらなる洋上風力の飛躍を期待しているようだ。
 洋上風力発電についての最新ニュース。
<特集>洋上風力発電市場の動向と展望
川原 武裕(ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス再生可能エネルギーシニアアナリスト)
▼概要文表示2016年6月号
 2014年4月に日本で洋上風力発電向け固定買取価格が設定されて以降、丸紅、SBエナジー、大林組など、商社・再生可能エネルギー開発事業者、建設会社等によるプロジェクト開発計画の発表が相次いだ。現在国内で計画されている洋上風力発電プロジェクトの合計設備容量は約1. 4GWに達する。世界では、ドイツや英国を中心に、洋上風力発電市場は成長を続けており、2015年には過去最高となる4. 1GWの導入を記録した。今後も成長が続き、アジアでは中国の導入量が飛躍的に伸びる見込みだ。
 洋上風力発電の魅力は、陸上風力発電よりも風速が早く、大型の風車の利用が可能なため、より多くの発電量が期待できる点にある。しかし、気象・海象条件など厳しい環境制約のハードルをクリアしなければらず、その分コストが高い。現段階ではいずれの国においても補助施策がなければ経済的に成り立たない電源である。
 本レポートでは洋上風力と陸上風力の違い、洋上風力発電のコスト分析、世界市場の動向について解説する。最後に、日本の将来の洋上風力発電市場の課題や展望についても解説する。
<特集>最近の洋上風力発電
上田 悦紀(一般社団法人 日本風力発電協会)
▼概要文表示2016年6月号

 欧州では風車の陸上立地が飽和してきたために、広大な海上に大型風車を何十台も設置する大規模な洋上風力開発が商業化されている。2015年末時点で北海とバルト海を中心に世界で約1,210万kW・1,100 台の洋上風車が運転中である。欧州以外でも中国、米国、台湾、韓国でも建設が進みつつある。日本も52,800kW・27 台(世界8位)の洋上風車が運転中である。関連法規と建設インフラ(建設用の専用船と港湾)の整備が進みつつあり、今後はエネルギー供給と地球環境保護の両面に貢献することが期待されている。

<特集>北九州市地域エネルギー拠点化推進事業における洋上風力発電誘致に向けた取組み
竹本 智子(北九州市 環境局地域エネルギー推進課・主任)
▼概要文表示2016年6月号

 北九州市は市民生活や地域産業を支える観点から、「地域エネルギー拠点化推進事業」として再生可能エネルギーをはじめとするエネルギー産業の拠点化を図っているが、洋上風力発電は付随する産業の裾野が広く、地域経済の活性化も期待されており、本市は発電所立地促進と風力発電産業集積促進の両面で取り組みを進めている。本稿では、本市の地域エネルギー拠点化推進事業や、洋上風力発電事業誘致に向けて本市自らが主導的に進めている環境調査や市民向け啓発事業などの取組みについて紹介する。

<特集>北九州市響灘における洋上風力発電施設の設置・運営について
北九州市 港湾空港局 エネルギー産業拠点化推進課
▼概要文表示2016年6月号

 北九州市若松区響灘地区で平成22年度より進められている「グリーンエネルギーポートひびき」事業は、国内で再生可能エネルギーの利活用の必要性が重視されるようになった平成23年の東日本大震災以前より、風力発電をはじめとする様々な再生可能エネルギー産業の集積を目指してきた。これまでの取組みと今後の展開を紹介し、響灘地区での風力発電関連産業の集積の可能性を述べる。

<特集>洋上風力発電の海域占用・合意形成における法的課題とその克服に向けた取組み
鎌田 智(鎌田法律事務所 弁護士)高橋 大祐(真和総合法律事務所 弁護士)
▼概要文表示2016年6月号

 本論稿では、洋上風力発電の海域占用・合意形成における法的課題として一般海域の法の空白域の問題を提示した上、課題克服のための二つのアプローチを取り上げる。一つ目は、港湾区域を一般海域に拡張した上で、港湾法改正法の法的枠組みの下での占用権原を確保する福岡県北九州市の取組みである。二つ目は、市が一般海域における洋上風力発電事業の推進や合意形成を主導し、事実上の占用権原を確保する新潟県村上市のアプローチである。二つのアプローチを比較分析した上で、なお残された課題とそれを克服するための施策の動向についても議論する。

<特集>洋上風力発電事業における作業船・洋上作業に対する規制に関する課題
森田 多恵子(西村あさひ法律事務所 弁護士)渡邊 典和(西村あさひ法律事務所 弁護士)
▼概要文表示2016年6月号

 洋上風力発電事業において風力発電施設を建設するには外国船籍の特殊作業船を利用する必要性が高いとされているが、外国船籍の特殊作業船を使用するには様々な法的課題が指摘されているところである。
 本稿では、今後の洋上風力発電事業の事業化に向けて、深夜早朝作業の問題やカボタージュ規制に関する法規制を取り上げ、現状の課題を議論する。

<特集>洋上風力発電事業の終了時の施設撤去
古川 絵里(シティユーワ法律事務所 弁護士)
▼概要文表示2016年6月号

 わが国の洋上風力発電施設の建設はまだ緒に就いたばかりであるが、プロジェクトの経済性の検討にはその開始から終了までの総コストの算定が不可欠である。プロジェクト終了時のコストとして洋上風力発電施設の撤去はどこまで行わなくてはならないかの問題が注目されつつある。海底面下に深く打ち込んだ基礎をすべて掘り上げて撤去するためには多大なコストがかかるとみられており、この基礎部分はそのまま残して捨て置くことがわが国の法令上許容される余地はあるかにつき検討する。また洋上風力先進国といわれる欧州諸国の事例も紹介する。

<特集>再エネ特措法の改正と洋上風力発電への実務影響
中山 和人(黄櫨綜合法律事務所 弁護士)
▼概要文表示2016年6月号

 平成24年7月に電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下、再エネ法という)に基づいて再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が開始され、再生可能エネルギーの導入量は一定量増加した。一方で、現行の再エネ法に基づく認定制度では、特に太陽光発電の未稼働案件が増加しているという実情がある。また、FIT認定量のほとんどを事業用太陽光が占め、電源間でのバランスのとれた導入促進や、買取費用増大をふまえコスト効率的に再生可能エネルギーの導入促進をする必要等の課題が指摘されている。
 そこで、①発電事業者の事業認定の制度創設、②数年先の買取価格を決定できる価格の決定方法の見直し、③入札を実施して買取価格を決定する仕組みの導入、④買取義務の対象を小売電気事業者等から一般送配電事業者への変更、⑤買取を行った再生可能エネルギー電気を卸電力取引市場において売買すること等の義務付け、⑥賦課金の減免制度の減免要件及びその額の見直しを盛り込んだ再エネ法改正法案が国会に提出されている。この制度改正により、洋上風力発電の実務にも影響があるものと思われる。

<総説>COP21 合意後の日本のエネルギー政策
黒﨑 美穂 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス
▼概要文表示2016年4月号
 気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)のパリ合意で、日本は比較的意欲的なINDC(自主的に決定する約束法案)目標を提出した。これは主に原子力発電が電力供給の20%から22%を占めるという内容であるが、原子力に関して政府はまだ国民の理解を得ることができておらず、現状の枠組みでは2030年には原子力は電力供給の10%にも満たないと予想される。
 本稿では、原子力、火力、再生可能エネルギーの各発電量、発電コストについて分析し、この10%の差を埋めるための再生可能エネルギーの導入と、その出力を安定化させるために有望な天然ガス火力の実情について解説し、日本企業がとるべき施策を検討する。さらに再生可能エネルギーの導入を阻む固定価格買取制度の設計と環境アセスメント等の規制枠組みの問題についても触れたい。
<報告>原子力発電所1 基分の火力発電所を内陸に建設――神戸製鋼所・コベルコパワー真岡
本誌編集部
▼概要文表示2016年4月号
 温暖化ガス削減や電力自由化といったあわただしい動きの中で電力インフラの強靭化に資する日本初の本格的な内陸型ガス火力発電所の建設が話題になっている。この発電所は2015年に内閣官房がとりまとめた「国土強靭化 民間の取組事例集」においても先導的事例の一つと
して取り上げられた*1。また、経済産業省 関東経済産業局による「エネルギー基盤強靭化事例集」にも選定された。従来型の大規模火力発電所が立地している東京湾岸や太平洋岸と比較して地震の発生確率が低く、津波被害に遭遇する危険のない内陸部に立地する日本初の大規模火力発電所である。
<巻頭コラム>筑波/鬼怒川の太陽光発電問題
本誌編集部
▼概要文表示2016年2月号
 日本百景の一つで、国定公園に指定されている筑波山のコラムをシリーズでお届けする。初回は筑波山/鬼怒川の太陽光発電問題である。筑波山のある水郷筑波国定公園区域内3か所、近隣1か所で、大規模な太陽光発電所の設置計画がある。昨年発生した鬼怒川の大氾濫でもソーラーパネル設置の際の土手掘削がマスコミで問題視された。その経過を報告する。
<特集>世界中で動き始めた「水素社会」の展望
本誌編集部
▼概要文表示2015年7月号
・燃料電池自動車(FCV)の発売と水素ステーション
・海外でのFCV導入の動き
・ドイツにおける水素インフラの整備
・【解説】水素の基礎知識
・【解説】水素を海外で生産し輸入―― NEDOの動き
・【解説】産業技術総合研究所の動き
・【解説】再生可能エネルギーによる水素製造
<特集>水素社会実現に向けた取り組み状況
大平 英二 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)新エネルギー部燃料電池・水素グループ 主任研究員 
▼概要文表示2015年7月号
 水素は多様な一次エネルギー源から製造が可能であるとともに、電気や熱、輸送用エネルギーとして利用可能といった柔軟な二次エネルギーである。また、エネルギーとして利用段階で温室効果ガスを排出しないという特徴がある。加えて、技術面において日本が強い競争力を有する分野である。これらのことから、水素をエネルギーとして利用する社会の実現は、エネルギーセキュリティ、環境及び産業競争力の強化という日本の課題の解決に向けて重要である。本稿では、水素をエネルギーとして広く利活用する「水素社会」実現に向けた取り組みについて紹介する。
<特集>低炭素な水素社会の実現に向けて
水野 紗也 環境省 地球環境局 地球温暖化対策課
▼概要文表示2015年7月号
 水素は利用時において二酸化炭素(CO2)を排出せず、再生可能エネルギーをはじめとした多様なエネルギー源から製造が可能であることから、地球温暖化対策やエネルギー安全保障等に貢献するエネルギーとして期待されている。
 本稿では、環境省が低炭素な水素社会実現に向けて実施している、交通分野等における水素関連技術の開発・実証、再生可能エネルギーの貯蔵・水素利活用の実証、地域における低炭素な水素利活用の促進等の取組を紹介する。
<特集>浮体式洋上風力発電による水素生成とその利活用
佐藤 郁 戸田建設株式会社 エネルギーユニット
▼概要文表示2015年7月号
 環境省では平成22 年度より、長崎県五島市で浮体式洋上風力発電施設の実証事業を行っており、平成25年10月には国内初となる2,000kW浮体式洋上風力発電施設の商用運転を開始した。平成27年度は浮体式洋上風力発電の電力と隣接する島の水から水素を生成、圧縮水素として島内で利活用するととともに、残りをメチルシクロヘキサン(MCH)として貯蔵、別の島に海上運搬したあと、再び回生した水素により発電と給湯を行い、浮体式洋上風力発電による電気と現地の水による水素を用いたサプライチェーンを構築、実証した。
<特集>水素供給インフラに関する技術動向
中村 勉 JX日鉱日石エネルギー株式会社 中央技術研究所 水素基盤研究所長
▼概要文表示2015年7月号
 エネルギーセキュリティー確保と低炭素社会構築のために水素エネルギーの活用が期待されており、官民挙げての水素インフラ構築への取り組みが進められている。本稿では水素製造から輸送、そして水素ステーションを含めた水素供給インフラに関する技術開発動向を紹介する。
<特集>水素を発見した科学者 ヘンリー・キャヴェンディッシュの謎
本誌編集部
▼概要文表示2015年7月号
 1874 年、イギリスの代表的な物理学者マクスウェルは、100 年もの間、人知れず眠っていたある未発表原稿を発掘した。それは水素を発見した科学者として知られるヘンリー・キャヴェンディッシュの原稿で、その内容を一読したマクスウェルは驚愕した。そこには「クーロンの法則」や「オームの法則」など、キャヴェンディッシュ以降に発見されたはずの電気に関する研究が記述されていたからである。
 これらの発見はなぜ発表されなかったのか。「沈黙の科学者」のミステリアスな話を紹介する。
<特集2>日本における太陽光発電システムの今と未来
鈴木伸一 一般社団法人 太陽光発電協会 事務局長
▼概要文表示2015年4月号
 2012年7月からスタートした日本版FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)は大きな成果を収めた。特に太陽光発電においては予想していた数年分に相当する大量の設備認定が行われた。しかし他方、昨年来起こった系統接続制約問題等をはじめ、様々な誤報や風評が乱れ飛び、「太陽光発電普及は早くも終焉」かのような情報や報道が乱立し、これに元々FITや再エネ(再生可能エネルギー)普及にネガ
ティブであった人たちが、極めて偏った論調による「『太陽光発電大量普及』弊害説」を展開しているようだ。
 往々にして、エネルギー問題は簡単なようで様々な変数が複雑に絡んでおり、一般の方々や普通のマスメディア関係者では、その是非を理解することが難しい。いわゆるリテラシー問題というべきものであるが「それをよいことに」国論を歪曲誘導しようとするのはアンフェアというものだ。したがって、相当の字数を頂き、ここにできるだけその全体像をわかりやすく理解頂こうとトライした。もちろん、すべてを表すことは難しいが、ぜひ各位のご理解の一助とされたい、と考える。
<特集2>なぜ我が国の太陽光発電は高いのか?─ 補助上限がシステム価格に与えるアンカリング効果
朝野賢司 一般財団法人 電力中央研究所 社会経済研究所 主任研究員
▼概要文表示2015年4月号
 2009年11月~2014年3月まで実施された住宅用太陽光発電の設備投資補助金は、システム単価の上限(例:kW70万円以下なら7万円補助)を年度ごとに切り下げることで、価格低下を促したとされる。そこで、同じ月に運転開始したが、補助適用年度が異なるため、上限が異なる設備を統計的に比較した。その結果、前年度よりも当年度の補助設備の方が、上限が引き下げられたにもかかわらず、平均システム価格は上がっていた。つまり、システム価格の設定が上限に影響されるアンカリング効果により、上限への張り付きが極端になっていた。固定価格買取制度の買取価格も、同様のアンカリングによって高止まりが懸念される。今後は入札等の競争原理を活用した制度設計が必要である。
<特集>木質系バイオマス発電の展望
横山伸也 鳥取環境大学環境学部教授
▼概要文表示2014年11月号
 2012年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が導入されて3 年目に入った。制度が導入された当初から原料木材の供給安定性が懸念されていたが、この問題が顕在化しつつある。
バイオマス発電は原料である木材価格が発電コストを決めているので、ある程度の規模がないと効率が低くなり、事業性は担保されない。木材収集・搬送の合理化が必要であり、木材の供給安定
性を担保する何らかの制約が必要になろう。一方、小規模分散型のエネルギー源としてはコジェネのような熱利用も図る制度を取り入れるべきで、このための小型高性能のガス化システムの開発が
求められている。
<特集>食料生産とエネルギー供給の共存を目指すさとうきび産業
寺内方克 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
▼概要文表示2014年11月号
 原料を投入すると、石油も電気も加えずに製品ができあがる。さとうきびを原料とする世界中の製糖工場で、日常的に行われている生産活動である。食料である砂糖の生産を担う製糖工場は、さとうきびの搾りかすであるバガスをエネルギー源として、すべての工程を稼働させる省資源型の生産拠点である。その製糖工場が、原料であるさとうきびの品種改良と熱利用効率の向上、さらには新たな技術革新によって、エネルギー生産拠点としての能力も兼ね備えようとしている。
 ここでは、製糖工場での副産物利用と新たな技術により変貌する、さとうきび生産と製糖工場の未来像を紹介する。
<コラム>世界の再生可能エネルギーと我が国の展望
本誌編集部
▼概要文表示2014年6月号
世界の再生可能エネルギーと我が国の展望について解説する。
<特集1>再生可能エネルギーをめぐる現状と課題
資源エネルギー庁新エネルギー対策課
▼概要文表示2014年6月号
 再生可能エネルギーの導入拡大は、我が国にとって重要な政策であるが、コスト高をはじめとする諸課題がボトルネックとなっている。それらの諸課題を克服するべく、現在、固定価格買取制度の運用や大型蓄電池の活用、そして系統強化や環境アセスメントの迅速化などに取り組んでいる。
 今後も固定価格買取制度の安定的かつ適切な運用に加え、各種施策を総動員することで、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大を進めていきたい。
<特集1>各種再生可能エネルギーの現状と法的課題
浅野明子 高木國雄法律事務所弁護士 日本CSR普及協会環境法専門委員会委員/伊達雄介 新千代田総合法律事務所弁護士 日本CSR普及協会環境法専門委員会委員/野尻裕一 岡村綜合法律事務所弁護士 日本CSR普及協会環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年6月号
 近年、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの普及が急速に進んできたが、全体として見ればまだまだ導入量は少なく、導入への課題も多い。他方で、検討すべき事項も十分に整理されていない中で急速に新規設備の導入が進められた結果、新しい環境問題も生じてきている。
 本稿では、再生可能エネルギーを中心としたエネルギー供給体制へのシフトに対する期待を込めて、現状をできる限り定量的に示しつつ、具体的な事例に触れながら法的課題を整理していく。FIT制度の対象となった太陽光、風力、中小水力、地熱及びバイオマスによる発電について本稿では論じる。
<特集1>上下水道や農工業用水を利用した新しい小水力発電
富澤 晃 東京発電株式会社水力事業部マイクロ水力営業グループ
▼概要文表示2014年6月号
 再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)の法整備を受け、今まで水力発電に関係のなかった上下水道や農工業用水といった水インフラの保有者・管理者の間で、水力発電設備の設置・運営が注目を浴びている。FITによりコスト面での課題は解決に向かったものの、水力発電を推進できる技術者・支援者は潤沢にはおらず、「何から手を付けたらよいのかさえ分からない」状態といってもよい。
 中小水力発電事業を主体とする東京発電(株)では、自らが培ってきた開発ノウハウや運転・保守技術を用いて、既設水インフラ設備への水力発電の設置や検討支援を実施している。その現状と開発事例について紹介する。
<特集1>栃木県における水力発電普及拡大のシナリオ ―全国初!「河川活用発電サポート事業」の報告
松本 茂 栃木県環境森林部地球温暖化対策課課長補佐/博士(工学)
▼概要文表示2014年6月号
 栃木県では地球温暖化対策を推進するため、地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大の取組を進めている。栃木県は河川の源である山地や森林を有することから、豊富な水資源を活用して年間を通して安定した水力発電の実施が可能である。そこで、県では水力発電の一層の導入を促進するために、県が民間の発電事業者を積極的に支援する「河川活用発電サポート事業」を立案し、実施することとした。
 本稿は、栃木県の水力発電に係る施策の体系を示した上で、本事業の概要やこれまでの経過について報告するとともに、今後の展開について述べるものである。
<特集1>洋上風力発電の事業化における海洋・沿岸域管理法制度コンプライアンス上の法的課題
高橋大祐 真和総合法律事務所弁護士/日本CSR普及協会環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年6月号
 大いに注目されている洋上風力発電の事業化にあたっては、海洋・沿岸域管理法制度上の法規制を遵守する必要があるところ、同制度に関しては、法の空白域が存在し、かつ総合的な管理が欠如しているなどの問題点が指摘されてきた。特に洋上風力発電の事業化に向けた動きが進むにつれて海洋・沿岸域管理法制度の問題点が一気に顕在化しており、コンプライアンス上のリスクとして様々な法的課題が浮かび上がっている。
 本論文では、その法的課題を詳細に分析した上、これらの課題に対処するための法制度のあり方及び動向を解説するとともに、現状での事業者の対応のあり方に関して議論する。
<特集2>洋上風力発電の事業化における漁業関係者等ステークホルダーとの合意形成上の法的課題と展望
松谷真之介 弁護士法人鈴木康之法律事務所弁護士
▼概要文表示2014年6月号
 洋上風力発電の事業化には、同事業を取り巻くステークホルダー、とりわけ漁業関係者との合意形成が不可欠である。本論稿では、合意形成が実現しなかった場合のリスク等を検討した上で、漁業関係者との合意形成の必要性を明らかにする。そして、事業者及び漁業関係者等がwin-winの関係を築けるような合意形成を実現する上での現行法制度上の課題及び展望を述べる。
<特集2>漁業権に関する裁判例の分析と洋上風力発電事業における留意点
鎌田 智 鎌田法律事務所弁護士
▼概要文表示2014年6月号
 漁業権は妨害排除請求権等の物権的性質を有する権利であり、漁業関係者との合意形成なしに海域を利用する事業の円滑な進行は望めない。事業者、国、自治体と漁業関係者との裁判は数多い。裁判例を踏まえ、漁業協同組合が一枚岩ではなくステークホルダーの選出・合意形成にあたって慎重な配慮を要すること、一方で合意形成を進めるための漁業補償金の支払いが株主・自治体住民からの反発につながる場合があることなど、洋上風力発電事業の推進についていくつかの重要な留意点を実務面から解説する。
<特集2>洋上風力発電の事業化における再エネ法上の課題
中山和人 虎ノ門イデア法律事務所弁護士
▼概要文表示2014年6月号
 洋上風力発電については、これまで、十分なコストデータが集まっていないとの理由により、単独の区分が設定されず、洋上風力に見合った調達価格が設定されていなかった。平成26年度には洋上風力区分が新設され、調達価格も設定されたが、一定の課題も存在する。また洋上風力発電は、風況により出力が左右されることから特有の問題があり、それが電力会社からの接続拒否に至る場合も存在する。そこで、洋上風力の調達価格設定に至る経緯、設定された調達価格の課題及び展望を述べるとともに、接続拒否とその問題点についても述べる。
<特集2>洋上風力発電事業に対するファイナンス手法とその法的課題
遠藤幸子 ベリタス法律事務所弁護士・税理士
▼概要文表示2014年6月号
 固定価格買取制度の導入で、洋上風力発電事業等再エネ事業への投資に予見可能性が与えられ、投資を推進するためのスキームづくりも進んでいる。しかし、固定価格買取制度を実現していく場合には電力会社の接続拒否等の問題があること、様々なステークホルダーとの利害調整の見通しが難しく時間と費用が不透明であること、大きなポテンシャルを有するとして注目されている海洋再エネには実例が少なく技術も開発途上であること、海洋についての法整備も不十分であることなど、リスクもある。このような現状を踏まえて、再エネ事業のファイナンス手法と実際に行われている実例、及び事業リスクについて検討を加える。
<特集2>我が国の洋上風力発電の 課題と展望
岡田康彦 弁護士法人北浜法律事務所弁護士/日本CSR普及協会環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年6月号
 風力発電は、大型化、集合化を図れば発電量も確保でき、価格の低下も期待できる。しかし、陸上では限界があり、こうした特長が活かせるのは洋上風力発電であるが、課題も多い。
 本稿では、どういう課題がありそれをどのように克服すべきかを考察している*1が、詰まるところ洋上風力発電の目標発電量(ポートフォリオ)を決めて国策として関係省庁、自治体、電力会社等が協調して目標実現に取り組んでいくしか諸課題の克服の道はない。最近、エネルギー基本計画が策定され、国のエネルギー政策の取り組み方針が打ち出されたので、まずこれを概観した上で本論に入る。最後に、当面の洋上風力発電伸長のための道筋を示す。
<特集>バイオマス利用技術の展望と課題
横山伸也 鳥取環境大学環境学部教授
▼概要文表示2012年11月号

 バイオマスの有力な利用技術の一つとしてエネルギー変換技術があるが、バイオマスそれ自身が多様な形態、性質を有していることから変換技術も多岐にわたっている。ここではバイオマス変換技術を既に実用化されているものと、開発途中のものに大別してそれぞれの課題を明らかにした。一方、実用化にあたって特に発電事業に関しては、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が今年の7月から実施されている。バイオマス発電に関しての問題点、さらにはバイオマス全般の事業化に関しての展望を述べる。

<特集>バイオマスエネルギー技術に関するNEDOの取り組み
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 新エネルギー部 バイオマスグループ
▼概要文表示2012年11月号
 再生可能エネルギーの一つであるバイオマス資源のエネルギー利用は、バイオマスがカーボンニュートラルという特性を持ち、化石資源由来のエネルギーの代替につながり、地球温暖化防止に有効であるとともに、持続可能な循環型社会の形成に向けて重要な役割を担うものであること等から、その積極的な導入促進が強く期待されている。
 輸送用液体燃料としてのバイオ燃料は、電力供給が中心の太陽光発電、風力発電といった他の再生可能エネルギーでは得ることができないことから特に重要であり、我が国においても様々なバイオマス資源利用による輸送用液体燃料(以下、バイオ燃料)の導入拡大に向けた研究開発が進められている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)ではバイオ燃料を中心とした研究開発を推進しており、これらの技術の現状と課題及びNEDOの取り組みについて述べる。
<特集>木質系バイオマスを液体燃料化するBTLプロセスの技術
平田悟史 独立行政法人産業技術総合研究所バイオマスリファイナリー研究センター研究センター長兼 BTLプロセスチーム研究チーム長
▼概要文表示2012年11月号
 Biomass to Liquid (BTL)プロセスは、バイオマス原料をガス化してH2とCOを主要成分とする合成ガスを製造し、この中の不要成分を取り除いたのち、高温・高圧条件下での触媒反応で、液体炭化水素を合成するものである。原料は木質系バイオマスだけでなく、プラスチック類、紙類、RDFも利用できる。また液体燃料製造工程の反応条件を変えることで、灯油、ガソリン、軽油、ワックス、ジェット燃料など、さまざまな種類の液体燃料が製造可能である。本稿ではBTLプロセスの概要、研究開発動向と実用化に向けた課題について紹介する。
<特集>藻類バイオマスエネルギー技術開発ロードマップ
渡邉 信 藻類産業創成コンソーシアム/筑波大学 生命環境系 教授 井上 勲 藻類産業創成コンソーシアム/筑波大学 生命環境系 教授
▼概要文表示2012年11月号
 藻類は単位面積あたりのオイル収量がきわめて高く、食糧と競合せず、バイオマス生産にかならずしも耕作地を必要としないことから、第三世代のバイオマスエネルギー資源として注目されている。欧米をはじめとして、アジア、オセアニア、南米各地で国家的プロジェクトが推進され、藻類関連ベンチャーも数多く創出されており、藻類バイオマスへの期待の高まりは大きい。本稿では、藻類産業創成コンソーシアムが国家的見地で作成した藻類バイオマスエネルギー技術開発ロードマップのポイントとなる研究開発の動向、現技術によるLCAから示唆される論点、事業化のための技術課題と方策、技術開発ロードマップの時系列概要について解説する。
<特集>地熱エネルギー開発利用の現状と将来展望
江原幸雄 地熱情報研究所代表・九州大学名誉教授
▼概要文表示2012年7月号

 地熱エネルギーは火山国のわが国に恵まれた再生可能エネルギー資源であり、これまで浴用には広く利用されてきたが、地熱発電利用等の多様な有効利用は限定的であった。しかしながら、いわゆる3.11以降、地熱エネルギーを取り囲む状況は大きく変化してきており、その活用が大きく展開していく状況になりつつある。小文では、わが国における地熱エネルギー開発利用の現状と将来展開を紹介することにより、地熱エネルギー利用の大きな可能性を示した。

<特集>地熱資源開発における地下水への影響
平山利晶 国際航業株式会社
▼概要文表示2012年7月号

 地熱開発における大きな問題の一つは、温泉水の取水による周辺への影響である。地層中の地下水の流速はかなり遅いため、影響が現れるには時間を要する。また、透水性の小さな地層が分布するような地質構造では、深部における温泉水取水の影響は、浅層部には及びにくい。さらに、温泉水取水だけでなく、自然的、社会的な要因が、浅層地下水に影響を及ぶす可能性がある。そのため、温泉水を取水する際には、影響メカニズムは単純ではないことを前提に、調査やモニタリングを行うことが必要である。

<総説>LNG火力発電所の電力安定供給に関する一考察
山本泰三 株式会社エコ・サポート代表取締役(役(元大阪ガス株式会社環境部部長) 公益社団法人日本技術士会近畿本部環境研究会幹事
▼概要文表示2012年4月号

 「3.11」の大地震・福島第一原子力発電所の事故を契機に,「エネルギー基本計画」の見直しが進んでいる。技術士会の環境研究会では,本年1月「わが国の中期的(2020年)エネルギー戦略」のセミナーを開催し,「大阪湾岸に総量で1000万kWの発電所を!」という提言を行った。当初は実現困難という声が上がったが,その後調査を進める中で,本提言は政府の基本計画に沿ったものであり,産官学が総力を挙げて早急に検討する必要があると考える。供給安定性,発電コストの低減と事業性,事業用地の確保,二酸化炭素(CO2)削減と省エネルギー性,時間軸を踏まえた有効で対応可能な技術システムの絞込み,予想される大地震や大津波への対応,環境アセスメント手続きの適切・迅速な展開等を通じて実現までの工程,推進方向などの概要を紹介したい。最大の課題は環境アセスメント,地域の合意形成であるが,丁寧な手続き,必要性・有効性の理解・周知活動を通じて住民合意を得て行くことは可能と考えている。技術士がもっとも得意とする現場力を発揮して,日本(関西)の再生・復活に向けて本提言の実行に向けて貢献して行きたい。

<特集>日本の海洋エネルギー・鉱物資源開発
神門正雄 内閣官房総合海洋政策本部事務局内閣参事官
▼概要文表示2011年9月号

 国際的な資源需要の増大等により,今後資源の安定供給の確保がこれまで以上に重要な課題となる中で,今後の安定的な供給源として期待されるメタンハイドレート,海底熱水鉱床,石油・天然ガス等の海洋エネルギー鉱物資源につき,その概要と,これまでの開発に向けた取り組み,また将来の適切な商業化に向けた法整備の状況につき解説する。

<特集>海洋基本法と新たな海洋立国の実現
市岡 卓 海洋政策研究財団政策研究グループ長
▼概要文表示2011年9月号

 2007年の海洋基本法成立,2008年の海洋基本計画策定を受け,我が国では「新たな海洋立国の実現」に向けた動きが加速している。政府においては,総合海洋政策本部が設置され,関係省庁が一丸となって海洋政策を推進する体制が整い,その下で海洋の開発,利用,保全等にかかわる新たな法制整備,計画策定等が進展している。海洋が新たなエネルギー・鉱物資源の供給の場として注目される一方で,海洋環境や海洋の生物多様性の保全への要請が高まっており,海洋の持続可能な開発・利用に向け,海洋の総合的管理のための新たな制度構築が求められている。

<特集>大陸棚における資源開発を巡る国際法上の問題
岡松 暁子 法政大学人間環境学部准教授 
▼概要文表示2011年9月号

 1982年に採択された国連海洋法条約は,排他的経済水域を設定し,また大陸棚概念を拡大して,そこに沿岸国の天然資源に関する主権的権利を認めた。日中間では,東シナ海の天然資源を巡る権益が対立し,当該海域での境界画定が未解決のままであるが,中国は一方的に資源開発に着手するという事態に発展している。資源開発にあたっては,両国間の境界画定問題が重要な課題であることはいうまでもないが,現実的には,今後は,境界画定問題は暫定的に保留し,両国の共同開発についての交渉が進められることになるであろう。

<総説>何が代替エネルギーを後押しするか―風力発電を例に
荒川忠一 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻教授・工学博士、西澤真理子 リテラジャパン代表/ドイツ・シュトゥットガルト大学フェロー・社会学博士
▼概要文表示2008年12月号

 世界的に風力発電への注目が集まっており,ヨーロッパ連合(EU),なかでもドイツやデンマークではその利用が急速に進んでいる。一方,風力発電技術の水準が世界でもトップである日本では,その導入が遅れがちである。代替エネルギーを促進する,もしくは阻害する要素は何か。本稿では,風車先進国のドイツやデンマークなどの状況などにも触れつつ,風力発電についての現状報告を行い,これからの展望を論じる。

<特集>期待されるわが国の省エネルギー技術
工藤博之 財団法人省エネルギーセンター技術部部長
▼概要文表示2008年3月号

 地球規模での温暖化対策が求められている中で,わが国の省エネルギー技術への期待が高まっている。1970年代のオイルショックを契機に工場等で実施されてきた地道な省エネの努力が,環境面でも経済的にも有効と世界が認めてきている。その背景には,1979年に施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律」,いわゆる省エネ法が数次にわたって改正され,国と産業界が協力して技術開発と普及に努めてきたことがある。工場に加えてオフィスなどのビルでのエネルギー管理が強化され,家電や自動車でもトップランナー基準と目標年度に合わせた技術開発が成果を挙げている。本稿では,最近脚光を浴びつつある省エネルギー技術と,今後2030年に向けて国が推進しつつある技術開発テーマについて紹介する。

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