環境管理バックナンバー カテゴリ:法令違反から学ぶCSR経営シリーズ

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<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営35】メタンハイドレートなど我が国近海における資源開発とそのプロジェクトファイナンスにおける法的課題
高橋大祐 弁護士(真和総合法律事務所)/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2015年3月号
 日本近海には、我が国の天然ガス消費量の約100年分に相当するメタンハイドレートが埋蔵されているといわれる。近年メタンハイドレート開発にきわめて大きな注目が集まっており、事業化に向けた動きが急速に進行している。我が国のエネルギー自給率を向上し、原油価格の乱高下による影響を緩和するためには、日本国内における新エネルギー開発が急務である。一方、メタンハイドレートのような非在来型の資源開発には、経済性の不確実性や技術開発の必要性といった課題に加えて、環境に対する影響の不確実性に関する問題点が存在する。現在政府主導で推進されているメタンハイドレート事業を民間が適切に引き継ぐためには、海洋・環境・鉱業関係法規のコンプライアンス上の課題、漁業者など海域を利用する多種多様なステークホルダーとの合意形成上の課題などに対し、適切に対処する必要がある。また、その資金調達のためのプロジェクトファイナンスにあたっては、各当事者が適切に事業リスクを把握した上で、これを分担していく必要がある。そこで、本稿では、このようなメタンハイドレート開発及びそのプロジェクトファイナンスにおいて問題となり得る法的論点を整理する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営34】シックハウス症候群と職場環境について
野尻裕一 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2015年2月号
  シックハウス症候群は、多岐にわたる症状を引き起し、個人差も大きく、診断のための臨床検査の方法も確立しているとはいえない状況にある。厚生労働省の研究に基づく診断の方法が公表されているが、なお診断は容易とはいい難い。
 もっとも、シックハウス症候群を引き起こす物質やそれらの安全量については、公的研究により、有益な情報が公表されている。また、建築基準法による建材の規制もある。シックハウス症候群は、短期間の揮発性有機化合物への曝露でも発症し得るものであるから、従業員を雇用する事業主としては、シックハウス症候群についてよく理解し、職場環境を整え、その従業員をシックハウス症候群に罹患させないよう配慮する必要がある。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営33】太陽光発電と地域社会
北島隆次 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2015年1月号
 九州電力(株)の接続留保問題をきっかけにFIT制度(固定価格買取制度)のあり方が問題になっている。今後の新規認定取得や、すでに経済産業省から認定を得ているが事業化の目途がたっていない事業のあり方等に注目が集まっている。
 FIT制度が20年の固定価格買取を認めている以上、同制度に基づき設置された太陽光発電設備は、20年もの間、地域社会と共生する存在となり、今後は景観、既存営業者への影響、安全といった地域社会との関係も重要になってくるものと思われる。
 そこで本稿では、以前にこの連載でも取り上げた太陽光パネルの撤去を求めた争いで、一審では、太陽光パネルの反射光が受忍限度を超えるとして同パネルの撤去請求が認められた事件について、控訴審の判断がなされたので(東京高判平成25年3月13日判時2199号23頁、原審横浜地判平成24年4月18日NBL983 号98 頁)、その判断も踏まえながら、これまであまり語られてこなかった太陽光発電と地域社会の関係を検討する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営32】シェールガスにおける法的問題点(上流部門)
角田進二 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年12月号
 近年シェールガスの開発に携わるため投資を検討している日本の企業も多く存在することを聞く。今回、紙面の関係から判例には深入りせず、特に米国における環境負荷の側面を検討し、法律的な問題を記載した。①現在投資及び調達をしている企業は、社会的責任投資及びCSR調達の観点から鑑み、環境上の問題点及びIEAの行動規範等の自主規制を検討し、投資先及び調達先を選択する必要がある旨、②今後日本においても、主にメタンハイドレートという非在来型天然ガスの採掘を検討する際、鉱山保安法等の主要な法律を遵守する他必要に応じて様々なステークホルダーとリスクコミュニケーションをとり自主基準の策定し、形骸化しないシステムづくりをすることが望ましい旨、記載した。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営31】設置許可が取り消されたことを違法とする 損害賠償が認められたケースが 教えてくれること
渡辺昇一 弁護士・日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年11月号
 産業廃棄物処理場の建設は、地域に大いなる環境問題を及ぼす可能性がある。そこで、廃棄物処理法により、適正な手続き、要件認定が要求されることになる。この過程では、この法律以外にも、行政指導や、公害防止協定等による法律以外のコントロール手段も利用される。地域の意見を広く聞き、専門家の意見も取り入れるなどして、設置の許可を出し、建設後も計画が実行されているかを確認することが予定されている。
 平成26年3月13日に判決が出されたケースでは、施設の設置許可がなされたが、その後、行政指導による自主検査の過程で計画が達成されていないという測定結果が出たことを契機に、許可が取
り消された。これは、その測定結果が信用性に乏しいこと、この過程でなされた行政側の改善命令が必要性以上のものを求めているということで、行政の責任を認めて、損害賠償を認めたものであった。この事案では、施設は完成したが、操業はされぬままの状態となっている。事業者としては、今のところ相当額の損害賠償は認められたが、操業を行うという当初の計画は達成できなかったわけである。法律が定める事項以外の事柄に関しても慎重に手続きを踏んでいくことが重要であることを、本件は教えてくれる。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営30】土壌汚染と所有者責任
内藤丈嗣 弁護士・明治大学法科大学院特任教授/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年10月号
 土壌汚染対策法(以下「土対法」という)は、要措置区域の指定をした土地の所有者(同法上は、管理者・占有者を含め「所有者等」に指示できるとする)に対し、当該所有者が汚染原因者であるか否かにかかわらず、汚染除去等の措置を講ずべきことを指示するものと定めている。
 他方で、同法は、所有者とは別に汚染原因者が存在する場合に、一定の要件のもと、汚染原因者に対して当該措置を指示すると定めたり、所有者から汚染原因者に対する求償を認めており、最終的に汚染原因者に責任を負わせることができる建前となっている。
 しかし現実には、汚染原因者を特定することが困難であったり、汚染原因者を特定できても汚染原因者に負担を求めることが困難な場合も多く、結局、汚染原因と無関係な土地所有者において、莫大な費用負担をして、汚染除去等の措置を強いられる場合が多いといえる。
 川崎市土壌汚染訴訟は、昭和40年代前半の処分場の跡地と思われる土地を平成4年に取得した者が、当該処分場に廃棄物等を搬入していた市を汚染原因者としてその責任追及を試みようとしたものの、裁判所がこれを認めなかった事例である。企業が土壌汚染された土地を取得するリスクを考える上で、参考になる事例である。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営29】低周波音問題への対応策―企業の「CSR度」が試される問題
伊藤茂孝 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年9月号
 近年、低周波音を理由とする苦情・紛争等は増加傾向にあり、なおかつ社会問題化している。しかし、低周波音については法規制等がなく、知見も確立していないことなどから、低周波音に関する問題は混乱を来しているのが現状である。
 もっとも、そうであるからこそ、低周波音問題においてはその企業のCSRに対する意識、いってみれば「CSR 度」が試されるといってよい。
 本稿では、低周波音及び低周波音問題の概要、低周波音を巡る行政の指針等、及び低周波音が問題となった裁判例や公害等調整委員会に係属した事例等を概観した上、これらを踏まえ、低周波音問
題の予防・解決のために企業としてどのような姿勢で取り組むべきかを検討する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営28】自由貿易と環境保護規制
寺浦康子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年8月号
 グローバルビジネスの進展する中で、自由貿易と環境保護のバランスをどのように取っていくかは全世界に課せられた課題である。従来WTOは、環境保護を目的とする規制措置が自国産業保護という真の目的の隠れ蓑となっているのではないかという強い疑念を持ち、貿易障壁となる規制措置に厳しい目を向けてきた。しかし、自由貿易のみを推し進めると、環境保護施策の効果が損なわれるばかりか、厳しい環境保護規制を遵守している事業者が不利な競争環境に置かれるおそれもある。そこでWTOも、一定の要件を満たした場合に規制措置の正当性を認めるようになっている。グローバルに事業活動を行う企業としてもこの流れを踏まえ、日本だけではなく他国の環境保護措置も考慮に入れた事業展開が求められている。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営27】食品の臭いに関する事業者の責任と対応策―クサイ臭いだけが悪臭ではない!
川波佳子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年7月号
 飲食店の発する臭気が近隣住民との間で争いになる事例は、社会の都市化・高密度化、外食産業の発展、住宅と飲食店の接近・混在、住民の環境意識の高まりなどを背景に増加してきている。今回は、飲食店の発する調理臭や製菓工場の甘味臭という、直ちに悪臭とは言い難い臭気に関して争われた2 件の裁判例を取り上げ、事業者として取り組むべき対策について検討する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営26】裁判例から考える高層建築物建設による風環境の変化を巡る紛争の対策
町野 静 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年6月号
 高層建物が建築されると、それによって建物周辺の風環境が変化し、近隣の生活環境にも重大な悪影響をもたらす場合がある。しかし、風環境の変化による環境問題は、風が自然現象であるという性質上、法規制も少なく、紛争になった場合の解決が容易ではない場合も多い。裁判においては、風環境による被害の内容や、被害と建物建築との間の因果関係等の判断の難しい論点について争われており、慰謝料のほか、近隣に所在する不動産の価値下落分が財産的損害として認められた例もある。こうした事情は、事業者としては無視できないものである。
 そこで本稿では、風環境の変化に関する基本事項をごく簡単に解説した上で、風害が問題となった裁判例を紹介し、そこから得られる紛争防止の対策について検討を試みる。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営25】太陽光パネルの反射光問題 ―太陽光パネル設置者のリスク及び今後予想される不動産取引への影響
関根良太 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年5月号
 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(以下「再エネ特措法」という)が平成24年7月1日に施行されてから、間もなく2年が経とうとしている。その間、個人レベルでの居宅屋上等への太
陽光パネルの設置・売電、事業者レベルでの太陽光発電事業への参入やメガソーラ設備の導入が急増するなど、太陽光発電にかかわる事業はめざましい発展を遂げている。これは、再エネ特措法に基づくいわゆる固定価格買取制度が期待どおりに機能していることの現れであり、国家命題としての再生可能エネルギー利用の促進が順調に進んでいるものと評価し得よう。
 他方で、太陽光発電設備にかかわる様々な問題も生じてきており、なかでも、メガソーラ設備の景観への影響、太陽光パネルの反射光の近隣への影響などが指摘されるところである。また、近時は太陽光発電に係る設備認定を受けたものの、発電事業(準備行為)を開始しない事業者が多数出現し、経済産業省がこれらの設備認定の取り消しを検討しているなどの問題も生じてきている。
 このようななか、太陽光パネルの反射光を巡り、太陽光パネルを設置した住宅の居住者及び設置業者が、近隣住民から太陽光パネルの撤去及び損害賠償を求められた事案に関する裁判例が公表されている。今後も同様の事例が出てくることも予測され、先例として参考となるものと考え、本稿で取り上げ、考察を試みる。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営24】食品のリコールについて
島田浩樹 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年4月号
 市場に供給された食品について人の健康被害を生じるおそれがあることが判明した場合、当該食品は直ちに万難を排してリコールされなければならない。他方、人の健康被害を生じるおそれがない事案においてもリ
コールが行われている例が多いところ、過剰なリコールによる環境負荷等の問題も指摘されている。
 いかなる場合にいかなるリコールを行うべきかについては、悩ましい問題が少なくない。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営23】風評被害に対する損害賠償 ―ダイオキシン類を含む排水の排出事件 (横浜地方裁判所 平成18年7月27日判決)を中心として
小谷晋一 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年3月号
 被告会社の工場内に設置された廃棄物焼却炉の排ガス洗浄施設において、排水管が雨水路に誤接続されたため、ダイオキシン類が含まれている排水が未処理で、7年以上にわたって、雨水路を通じて河川に排出され続けた。このことがテレビ等により全国的に報道されたことにより、同河川の河口付近で観光地引き網やしらす漁等を営む原告らが、観光地引き網の予約のキャンセル、しらす販売量の減少等による営業損害を被ったと主張して、損害賠償を請求した事案である。
 被告会社は、排水管の誤接続について責任があることは争わないものの、損害が生じたこと及び損害と誤接続との間の相当因果関係について争った。
 裁判所は、原告らの請求額の総額およそ5,616万円のうち、およそ565万円を支払うよう命じ、原告らの請求を一部認めた。
 現在、東日本大震災をきっかけとした原子力発電所からの放射能漏れによる周辺地域の汚染と、これによる風評被害が大きな問題になっている。また、マルハニチロホールディングス傘下のアクリフーズが製造した冷凍食品から農薬が検出された事件をはじめとして「食の安全・安心」を脅かすような事件、事故が相次いでいる。
 本裁判例は、「食の安全・安心」を脅かすような汚染事故をきっかけにして発生した買い控え等による風評被害について、損害賠償請求を一部であるが認めたものである。そこで、本裁判例を中心に、風評被害に関する裁判例を紹介しながら、CSR的な視点も踏まえて、風評被害の発生ないしその拡大を回避、軽減するためには、どのような対策をとったらよいのかという点についても触れたいと思う。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営22】建設廃棄物の排出事業者の判断基準 ―フジコー事件
伊達雄介 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年2月号
 法律を実際に運用するにあたっては、法律の解釈等に関して、行政庁からの通知や行政指導がなされ、これに基づいて実務的な処理がなされることが通常であり、これは環境関連法規においても同様である。しかし、通知や行政指導が法律に違背するような場合には、当然、その通知や行政指導によって損害を被れば、損害賠償の対象となる。
 フジコー事件高裁判決は、「建設廃棄物の排出事業者とは何か」という重要な問題が争われ、解体を請負った下請業者も排出事業者になりうるとして、これと反する行政庁の通知の解釈は違法であり、同解釈に基づく違法な行政指導による損害賠償が認められた裁判例である。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営21】自然的原因に基づく 土壌汚染に対する対応
高久尚彦 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2014年1月号
 不動産取引における土壌汚染の調査は、これまで主に自主調査によって、買主が売主に対して事前に土壌汚染調査報告書の提出を求め、汚染がないことの証明を要求することが一般に行われていた。そして、取引前に汚染が判明した場合には、汚染の除去等の措置として掘削除去が選択されるケースが多く、汚染土壌の搬出先への影響や不適正な処理が問題となってきた。
 ところで、この場合の「汚染がないこと」とは具体的にどのような内容なのかについては、必ずしも統一的な処理方法があるわけではなく、環境基本法に基づく環境基準が契約の内容として準用されているケースも多い。この点、この環境基準は、もともと事業活動そのほかの人の活動によって生じた汚染を対象とした基準であり、自然的原因によるものは対象外とされている。平成21年改正前の土壌汚染対策法もこの考え方に準じて、自然的原因による土壌汚染は同法の対象とはなっていなかった。
 今回、取り上げた裁判例は、自然的原因に基づく汚染が環境基準の対象とならない場合において、当事者間において、環境基準を上回る汚染があった場合に売主に一定の責任を課す契約条項の解釈が争いになった事案である。裁判所は当事者の属性や契約に至る経緯等を勘案して、環境基本法に基づく環境基準の考え方をそのままあてはめ、自然的原因に基づく汚染であるから当該契約条項は適用されないため、売主に責任はないと結論付けた。
 土壌汚染対策法は平成21年改正により、自然的原因に基づく汚染についても対象とされるようになり、要措置区域・形質変更時要届出区域の指定にあたり自主的調査を行った者の申請による指定の制度を導入したことなどから、今後は自主的調査によって自然的原因に基づく汚染が判明した場合の対応がより一層重要になると思われる。
<シリーズ>【法令違反から学ぶC S R 経営20】不法投棄と排出事業者責任
佐藤泉 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年12月号
 環境関連法の違反には刑事罰の対象となるものが多いが、そのなかでも廃棄物処理法違反は最も摘発件数が多い。平成24年の廃棄物処理法検挙数は5,655件であり、環境犯罪全体の検挙数の約9割を占めている。また、検挙に至らない場合であっても、行政から排出事業者に対して、不法投棄に関連した拠出金の支払を任意に求められるケースが増えている。
 青森・岩手県境不法投棄事件は、平成12年に現地の廃棄物処理業者が摘発されたが、実行者は原状回復費用を支払わなかった。そこで両県は、首都圏を中心とする排出事業者約12,000社に、廃棄物処理法に基づく報告徴収を求め、契約書やマニフェストの不備、再委託違反などを理由として排出事業者に対する拠出金請求を現在も行っている。
 不法投棄は、本来故意犯であるところ、排出事業者が委託した業者が不法投棄をした場合には、不法投棄の実態について具体的事実を知らされていないことから、確定的な故意はないことが多いと思われる。しかし、最高裁判所第三小法廷平成19年11月14日決定は、排出事業者は、委託した業者が現実にどこでどのような処理をするか具体的に知らなかった場合でも、不法投棄に未必の故意があるものとして、共謀共同正犯として不法投棄罪の成立を認めた。このような判例を踏まえ、排出事業者は、廃棄物についてのリスク管理を強化し、不法投棄等を未然に防止するため、サプライチェーンマネジメントが必要である。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第19回】地熱発電と温泉― 温泉法上の土地掘削申請を不許可とした処分が違法とされた事例を参考に
川波佳子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年11月号
 昨今、再生可能エネルギーが注目される中で、地熱発電開発を巡る動きも活発になってきた。2012年3月の環境省による国立・国定公園内における地熱発電開発の規制緩和を受け、今年7月からは北海道のほか、秋田県湯沢市の国定公園内においても地熱発電所建設に向けた掘削調査が開始された。一方、一般的に、地熱発電開発においては、温泉が枯れるとの懸念から、地域の温泉事業者からの反対が根強いといわれている。今回は、温泉法上の土地掘削許可に関する判断基準を示した判例を紹介するとともに、地熱発電と温泉の共生について考える。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第18回】公海航行中のコンテナ船上で、積載貨物が発煙した場合の荷送人(商社)の責任
浅野 明子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年10月号
 公海航行中のコンテナ船で、積載貨物(危険物)が化学反応を起こして高熱、発煙した事故において、製造者から危険物と知らされていなかった貨物の荷送人(商社)には、どこまで予見可能性と注意義務があるのか。ほかの貨物の荷受人や運送人、裸傭船者(船舶賃借人)、損害保険会社等から起こされた当該荷送人への損害賠償請求訴訟で、地裁判決が失火責任法を適用して荷送人には重過失がないとして免責したのに対し、高裁判決は、国際海上運送の安全確保のため荷送人に危険物分類、表示義務を課す船舶安全法等の趣旨に照らし、失火責任法の適用を否定して、荷送人には過失があるとして賠償を命じた。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第17回】海洋汚染事故における損害賠償実務と企業の法的・社会的責任
高橋 大祐 真和総合法律事務所弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年9月号
 海洋汚染事故は、海洋環境や沿岸域の人々の生活や経済活動に多大な被害を生じさせる。このように様々な被害者に莫大な損害を生じさせる海洋汚染事故において、企業の法的・社会的責任はどのように顕在化し、どのような形で損害の賠償が行われるのか。また、海洋汚染事故において顕在化した企業責任は、海洋汚染事故以外の様々な事故における企業の損害賠償実務や事故対応にどのような影響や示唆を与えているのか。本論文は、1997年に日本海において発生した重油流出事故であるナホトカ号事件と、2010年にメキシコ湾においてBPの石油掘削施設ディープウォーター・ホライズンが爆発し原油が流出したBP流油事故という二つの顕著な海洋汚染事故の解説を通じて、海洋汚染事故における損害賠償実務と企業の法的・社会的責任等について分析する。
 両事件を契機として、海洋汚染・水質汚染のリスクが高まっており、企業にはそのリスクの高さに応じた事故の予防・対処の必要性が生じていることを議論する。また、海洋汚染事故に限らずあらゆる事故に関して、企業は、従来の損害賠償制度の枠組みを超えた、環境回復や被害者救済に向けた自主的な取り組みや、事故の再発防止に向けた具体的な措置をとるなどのきめ細やかな対応を行う必要性に迫られていることも議論する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第16回】省エネルギー法に関する温暖化情報の開示請求
渡辺 昇一 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年8月号
 環境情報が情報公開法の開示請求がされ、利益を害するとして不開示処分となり、開示請求者と行政機関との間で訴訟となる場合がある。いわゆる省エネルギー法に基づく定期報告書の開示に関して、温暖化に関連する情報として燃料等、電気使用量の開示を求めた事例に関して、最高裁判所は、私企業として当該情報の開示は利益を害するし、温暖化対策のために制定された温暖化対策推進法によると開示されない程度の情報をも開示することにもなってしまう等を理由に不開示が相当と判断した。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第15回】想定外の土壌汚染が発覚した場合の諸問題
北島隆次 弁護士・公害防止管理者(ダイオキシン類)・危険物取扱主任者/日本CSR普及協会・運営委員・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年7月号
 土地取引後に土壌汚染が発覚し、トラブルになる事例は少なくない。
 今回紹介する事件は、土地取引において土壌汚染の可能性は認識した上で契約を締結したが、その後、当初の想定外の汚染が発覚したケースにおいて、契約の有効性や妥当な土壌汚染処理費用について判断したものである(前橋地裁判決平成24年7月6日)。事件及びその後の対応を踏まえて、土地取引時での注意点に加えて、汚染された土地の有効活用や地域住民とのコミュニケーションの重要性等について検討したい。
<シリーズ>企業が廃棄物を保管する場合の注意点について―野積み事件を例として
角田 進二 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年6月号
 廃棄物処理法は、社会問題化する不適正処理や不法投棄等に対して厳罰化の方向にある。また、廃棄物処理法の罰則規定は、環境法で最も詳細になっている。のみならず、刑事責任を問うタイミングも、未遂罪、目的犯、準備罪が規定される等前倒しにする傾向がある。企業活動においては廃棄物の排出は避けられないところ、廃棄物処理法制定当時(1970年)から廃棄物を自らの責任において処理しなければならないとされている(排出者処理責任原則 同法条1項)。本稿では、自社敷地内に廃棄物を野積みしていた行為について刑事的な責任を問われた判例(野積み事件 平成18年2月20日第二小法廷決定)を検討することにより、企業活動における廃棄物の保管に関し、CSRの観点から企業が留意すべき事項について検討する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第13回】ダイオキシン類による土壌汚染と事業者の責任
渡辺 敦子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年5月号
 ダイオキシン対策特別措置法は、環境汚染の防止とその除去のため、ダイオキシン類による土壌汚染の環境基準(土壌1,000pg-TEQ/g 以下)を設定し(法7)、このダイオキシン類土壌環境基準を満たさない土壌については、都道府県知事が、当該地域を土壌汚染対策地域と指定したうえ(法29)、汚染土壌の除去を行う土壌汚染対策計画を定めこれを実施する(法31)。そして、対策事業費用は公害防止事業費事業者負担法により、「公害の原因となる事業活動を行う事業者」が負担する。東京高等裁判所平成20年8月20日判決の事案は、親会社が、ダイオキシン類を使用していた化学薬品工場を操業する子会社清算の過程において、ダイオキシン類を地中に排出したが、その後、当該親会社と合併して発足した会社が、ここでいう事業者に該当するとして、11億円を超える事業費を負担することになった事例である。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第12回】食品事故に対する企業の対応策-ダスキン株主代表訴訟判決を題材として
伊藤 茂孝 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年4月号
 「自社が取り扱う食品に違法な成分が混入していることが判明!」すわ一大事である。このような場合、企業はどう対応すべきであろうか。また、そもそもこのような事態を防止するにはどうすればよいのだろうか。
 今回紹介する裁判例は、ある企業が販売する食品に無認可添加物が混入していたことに関連して、役員が「善管注意義務」を怠ったことにより自社に多額の損害を与えたとして、役員に億単位の賠償を命じたものである。本裁判例は、食品関連企業の事案であるが、企業は消費者の信用・信頼の確保に努めるべきであると力説しており、広く企業一般の不祥事対応、不祥事の防止策、さらにはCSRについて大いに示唆を与えるものである。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第11回】アスベストが使われた建物の占有者・所有者の法的責任
町野 静 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年3月号
 今でこそアスベストによる健康被害の実態やその危険性は一般市民にまで広く認識されているが、数十年前までは決して広く知られたものではなく、とりわけアスベストを直接的に取り扱うわけではない建物の所有者にとっては過去に賃貸していた建物においてアスベスト飛散防止のための措置が適切に採られていなかった可能性は否定できない。他方で、アスベストを巡る訴訟が増加しているという実態からすると、アスベストを使用していた建物を保有していた企業に対して、そのような建物には「瑕疵」があるとして損害賠償請求がされる可能性がある。本稿では、アスベストを含む吹き付け材が使用されていた建物で就労していた男性がアスベスト曝露により悪性胸膜中皮腫に罹患して死亡した事案において、当該建物の所有者兼賃貸人に土地工作物責任(民法717条)を根拠として損害賠償責任を認めた裁判例(大阪地裁平成21年8月31年判決)を取り上げ、とりわけ建物を所有、賃貸する企業が建物に使用されたアスベストに関していかなる法的リスク負うかについて検討する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第10回】法律が規制する有害物質の原因物質(前駆物質)を排出した企業の責任─ホルムアルデヒドの事例を題材に
内藤 丈嗣 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年2月号
 平成24年5月、利根川水系の浄水場の水道水において、水質基準値を超えてホルムアルデヒドが検出され、大規模な取水障害を発生させたことは記憶に新しいところである。このホルムアルデヒドは直接河川に流出されたものではなく、河川に流出したヘキサメチレンテトラミン(以下「HMT」という)が浄水場の消毒用塩素と反応して生成されたものであった。 ところで、企業が扱う化学物質の中には、当該物質自体は法規制の対象ではないが、法規制物質の原因物質(前駆物質)となりうる物質は、沢山存在する 。従って、本件のような事態は、化学物質を扱う化学工業その他の製造業者にとっては、決して無関心ではいられない問題であることから、本稿では、裁判事案ではないが、法的規制物質の前駆物質を排出した企業の責任について、考察を試みることとする。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営9】公害防止協定の法的効力とその活用―最高裁平成21年7月10日第二小法廷判決
寺浦 康子 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2013年1月号
 公害防止協定は、使い勝手のよい環境政策の一つとして広く利用されてきたが、その法的性質や効力等については、従前より議論のあるところである。この点、最高裁が公害防止協定の法的拘束力を認める判決を示したことにより、今後も公害防止協定の利用は継続されるものと考えられる。事業者としては、公害防止協定の問題点やその前提条件には十分な留意を払いつつ、地域住民との関係円滑化による事業促進や、CSRの観点、環境配慮企業というイメージ戦略の観点等からも、公害防止協定を上手に活用していくべきである。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営8】有害物質による地下水汚染を生じさせた企業の責任
関根 良太 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年12月号
 地下水は、我が国における貴重な淡水資源である一方、汚染物質の希釈が期待できないという特質から、いったん汚染されると自然の浄化作用による水質の改善、回復が困難であるとされ、汚染の未然防止が重要とされている。地下水の汚染に関しては、水質汚濁防止法が、平成元年、平成8年及び平成23年(本年6月施行)の改正により、地下水の水質汚染防止を目的規定に加えるとともに、地下浸透規制や、地下水浄化措置命令制度の導入、さらには有害物質使用特定施設等の構造基準遵守義務及び定期点検義務の創設等により、地下水汚染の未然防止を図るための制度を導入・拡充している。このように厳格化する行政規制に加え、企業としては、他者に損害を与えることとなった場合の民事責任についても留意する必要がある。本稿では、有害物質による地下水汚染を生じさせた企業の責任が問われた裁判例(福島地裁郡山支部平成14年4月18日)を検討することにより、地下水汚染に関し、CSRの観点から企業が留意すべき事項について考察する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営7】騒音規制法の規制基準を下回る工事騒音等による損害について工事業者及び発注者の賠償責任が認められた裁判例
島田浩樹 弁護士日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年11月号
 企業にとって法令を遵守することは,法治国家において当然・最低限の「必要条件」でしかなく,それだけで後日に司法の場等における免責が保証されるという「十分条件」ではない。
 本稿では,騒音規制法による規制を遵守して行われた工事の騒音等により近隣者に生じた被害について工事業者のみならず発注者にも損害賠償責任が認められた裁判例を紹介し,企業としてそのような事態を如何にして回避すべきかを検討する。
<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営6】容器包装リサイクル法の合憲性―リサイクルのため誰がどのような責任を負担すべきか?
小谷普一 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年9月号

 わが国では,「大量生産・大量消費・大量廃棄型」の社会から「循環型社会」への転換を図るため,法体制の整備を進めてきた。「循環型社会」推進の基本的な枠組みを定める循環基本法,リサイクル等に関する一般法としての資源有効利用促進法や個別法としての各種リサイクル法である。循環基本法では,製造業者や輸入業者などの生産者は,当該製品の生産・使用の段階だけではなく,使用後,廃棄後となった後まで責任を負うという「拡大生産者責任」の考え方を定めているものと思われるが,その具体的な責任分担のあり方は一様ではない。本事案は,「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」「容リ法」に基づく,このような責任負担のあり方が,法の下の平等に反するのではないかが問題とされた。

<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営5】ディーゼルエンジンの有害物質排出削減努力を怠った自動車メーカーが問われた責任-東京大気汚染公害訴訟を題材に
川波佳子 弁護士普及・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年8月号

 1996(平成8)年に第1次訴訟が東京地裁に提訴されてから高裁で和解するまで約11年もの間争われた東京大気汚染公害訴訟は、「判決のみでは解決できない種々の問題を含んでいる」として、国、都、及び旧・首都高速道路公団の他に自動車メーカーもが医療費助成制度の創設費を負担し、また、自動車メーカーが解決金を負担することで和解により決着した。この訴訟を契機として、車種規制の強化、運行規制の実施、自動車メーカーによるディーゼルエンジン搭載乗用車の見直し等が行われ、裁判の前後で自動車排出ガスの排出環境は大きく様変わりした。今回は、自動車メーカー7社に問われた責任に重点を置きつつ、東京大気汚染公害訴訟を解説する。

<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営4】土壌汚染と瑕疵担保責任-瑕疵とは何か
伊達雄介 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年7月号

 不動産の売買後、土壌汚染が発見された場合、買主は、売主に対して、不動産に「瑕疵」があったとして、瑕疵担保責任(民法570条、566条)に基づく損害賠償請求を行うことが多くみられる。「瑕疵」とは、売買目的物の欠陥であるが、何が欠陥かは必ずしも明確ではない。本事案は、売買契約締結時は、社会的に有害性の認識がなく、法規制もなかった有害物質の存在が瑕疵にあたるか、その瑕疵の本質をどう捉えるかが争われた。そして、東京高裁は瑕疵を認めたが、最高裁ではこれを否定し、審級によって見解が分かれた。

<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営3】微量化学物質による健康被害-化学物質過敏症
浅野明子 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年6月号

 近時,人体に有害な化学物質であれば,健康被害を引き起こす科学的メカニズムが必ずしも明らかでなくても,微量化学物質と慢性的な健康被害との因果関係を認める裁判例等が徐々に出てきている。特に大手事業者の責任を広く捉える傾向にある。今回は,販売ストーブで化学物質に対する慢性疾患を発症したとして販売者の不法行為責任を認めた裁判例を取り上げ,販売業者に課せられる予見可能性や結果回避義務の範囲の課題を解説する。

<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営2】エコ商品の説明責任
高久尚彦 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年5月号

 福島第一原子力発電所の事故以降,東京電力は産業用電力の値上げを打ち出し,また,関西電力がすべての原子力発電所の稼働を停止している。そこで,今後産業界が必要とする電気は,ますます火力発電に依存する割合が増え,石油や天然ガスの高騰による電力料金の上昇も予想されるところである。このような状況において,CO2削減やエネルギー自給率向上などの観点から,風力・太陽光・地熱発電などの再生可能エネルギーの促進は急務であり,国・地方公共団体,研究機関及び企業には大量安定供給に向けた一層の努力が期待される。しかしながら,再生可能エネルギー事業はクリーンなイメージがある反面,不確定要素が少なくないため,安易な事業化は多大な損害を招くことになる。今回は風力発電をめぐる地方公共団体と研究機関の共同事業の失敗事例を解説する。

<シリーズ>【環境法 法令違反から学ぶCSR経営1】廃棄物の該当性の判断基準―木くず事件を例として
佐藤 泉 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
▼概要文表示2012年4月号

 環境関連の規制は,毎年のように強化されている。このような中で,企業は環境関連法のコンプライアンス手順を確立するとともに,自主的取り組みにより,環境配慮設計,温暖化対策,廃棄物削減等の環境活動を進めている。しかし,現場担当者の安易な判断,法令の無知により,行政処分や刑事事件へと発展する例は後を絶たない。日本CSR普及協会は,企業の社会的責任(CSR)の観点から,社会と企業の持続可能性を保障する健全なる経営基盤を企業が自主的に確立する取り組みを普及/啓発することを目的に,弁護士が中心となって2008年に設立した任意団体である。日本CSR普及協会の環境法専門委員会では,環境を専門とする弁護士が集まり,陥りやすい法令違反の事例の検討を行っている。その検討の成果を踏まえ,今回は,廃棄物の定義をめぐる裁判例をとりあげ,循環型社会における資源有効活用と廃棄物処理法適用範囲の課題を解説する。

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