環境管理バックナンバー カテゴリ:MFCAシリーズ

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<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計100】実践マテリアルフローコスト会計シリーズの貢献 ─連載100回をふりかえって
國部克彦 神戸大学大学院経営学研究科教授
▼概要文表示2014年2月号
 「実践マテリアルフローコスト会計」は、第100 回の今回をもって最終回となる。本シリーズは、世界でも類を見ない長期にわたるマテリアルフローコスト会計(MFCA)に関する連載で、MFCAのケースと理論が数多く蓄積されてきた。本稿では100 回の連載を振り返り、本シリーズの内容を、ケース研究、理論研究、国際・国内動向の三つに分類して、それぞれの重要な貢献をまとめ、さらにMFCAの将来課題を検討する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計99】マテリアルフローコスト会計(MFCA)の 次の10 年の展開に向けて
中嶌道靖 関西大学商学部教授
▼概要文表示2014年1月号
 マテリアルフローコスト会計(MFCA)は、これまで本特集でいろいろな企業事例や手法発展が紹介されてきた。2000 年秋に始まる日本でのMFCAの発展・展開も10 年以上を経て、次の段階に向けた手法自体の発展・普及という視点から次の展開に向けた議論が必要である。本稿ではMFCAの今後の発展のために、次の10年間にいかにMFCAを展開させるべきかという観点で論説している。MFCAという手法を長く残したいということではなく、
MFCAの導入によって目指した環境経営、サステナビリティの構築を実現するために、MFCAが企業経営の基礎として根ざす10 年にすべきであるという主張である。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計98】マテリアルフローコスト会計の導入効果: 企業単独とサプライチェーンの比較検討
岡田華奈 神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程/國部克彦 神戸大学大学院経営学研究科教授
▼概要文表示2013年12月号
 本稿では、これまで積み重ねられてきたマテリアルフローコスト会計の事例を体系的に整理して、企業単独での導入の場合とサプライチェーンでの導入の場合の効果の比較を行った。その結果、企業単独のケースとサプライチェーンのケースでは、いくつかの重要な相違が明らかとなった。重要な発見事項としては、企業単独のケースでは、工程内リサイクルに関するロスについて改善の機会が大きいことや、サプライチェーンの場合には、企業単独の場合ではロス率の低かった電子電機製造のような加工組立型の適用分野において、大きなロスが発見される傾向が高いことなどが示された。
このような結果は、今後マテリアルフローコスト会計を新たに導入していく際の参考になるであろう。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計97】MFCA 10年の進化を振り返る
下垣彰 株式会社フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング/日本MFCAフォーラム運営委員
▼概要文表示2013年11月号
 MFCA(Material Flow Cost Accounting)が日本に紹介された2010 年から10 年以上が経過した。その間、多くの企業での適用結果から学びとりながら、MFCAは大きく進化を遂げてきた。計算理論がシンプルになった。改善手法として基本手順やロスの区分原理が明確になった。そして企業の改善活動への展開方法の進化が図られている。
 本稿では、現在のような姿に至ったMFCAの進化を振り返るとともに、現在のMFCAの適用方法の全体像を整理した。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計96】MFCAの国際的研究動向:EMAN2013報告論文の分析
中澤 優介 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程前期課程/天王寺谷 達将 広島経済大学経済学部経営学科 助教/國部 克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授
▼概要文表示2013年10月号
 2013 年3月、ドイツ・ドレスデンにおいて開催された環境管理会計の国際学会であるEnvironmental Management Accounting Network(EMAN)では、マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting:MFCA)がテーマとして設定された。本学会では、MFCAの実践的な活用可能性やほかの手法との統合的な利用による適用範囲の拡張について考察した研究や、中小規模の企業でのMFCAの適用分析した研究が多数報告された。本稿ではこれらのMFCA 関連の研究について、理論研究とケース研究に分類し、それぞれ
の概要の説明と特徴的な研究の紹介を行う。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計95】中国における資源フローコスト会計の展開
賀 振華 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程前期課程/國部 克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授
▼概要文表示2013年9月号
 MFCAは2007 年のISOによる国際標準化プロジェクトの開始以降、アジア諸国でも関心が高まり、資源生産性を高めるための様々な政策や手法の開発に影響を与えている。中国では循環経済を促進するための政策の中で、資源フローの効率化が目指されている。そのための手法として資源フローコスト会計が考案されているが、この手法にはMFCAの考え方が大きく影響しており、中国版MFCAと称してもよいものである。
 本稿では、資源フローコスト会計の理論的内容を紹介した上で、企業事例分析も検討し、
資源フローコスト会計の意義と今後の展開方向を検討する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計94】韓国におけるマテリアルフローコスト会計の展開
金 宰弘 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程前期課程/國部 克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授
▼概要文表示2013年8月号
 環境経営に対する企業の関心が高まるにつれて、企業の廃棄物管理および原価管理手法として有用なツールであるマテリアルフローコスト会計(以下、MFCA)を導入することは、企業の原価および環境競争力を高めることができると認識されている。そのため、資源効率性の向上に貢献できるMFCAが韓国にも導入され、MFCAに関する多様な研究と実務的なアプローチが行われている。本稿では、韓国の産業通商資源部が施行したMFCA導入プロジェクトとMFCAの研究を通じて、韓国におけるMFCAの動向およびMFCA導入の効果を示し、さらに将来の展望を述べる。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計93】MFCAを活用した原価低減活動:荒川工業(株)における事例紹介
鈴木宏章 荒川工業株式会社 技術部技術課グループ長
▼概要文表示2013年7月号
 荒川工業株式会社は、機械加工を中心とした自動車部品の製造を行っている。10年度に社団法人中部産業連盟が主催した「モノづくり中小企業 省エネコーチング」の参画のもとMFCAを導入した。結果は従来と違った切り口から進めることで、マンネリ傾向だった省エネ活動の打破に繋がり、大きな効果を得ることができた。現在、原価低減活動のおける「コストの見える化」できる手法として、MFCAを取り入れ進めている。また、機械加工ラインに特化した簡易ツールをつくることで、従来手間のかかった収集・計算・分析の短縮も同時に進めている。
<シリーズ>経営のMFCAとシステム化―継続的な資源生産性改善
下垣 彰 株式会社 フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング日本MFCAフォーラム 運営委員、運営委員会幹事
▼概要文表示2013年6月号
 MFCA(Material Flow Cost Accounting)の適用は、負の製品を削減することで、製造コストと環境負荷の同時低減につながるとされ、導入企業が増えている。
 しかし、資源生産性の継続的な改善活動を推進するマネジメントの基盤の整備不足等により、MFCAを使った継続的な改善は今後の課題の一つとされている。継続的な改善活動の推進には、組織的な仕組みと体制、及び、その活動を支援する指標などのツールを整備する必要がある。
本稿では、資源生産性の継続的な改善活動を推進するためのマネジメントの考え方と、それを支援するツールとして、MFCAのシステム構築の考え方を紹介する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計91】MFCAに活用できるエネルギー計測と管理手法の検討
清水 敬祐 株式会社ミツバ環境分析リサーチ 常務取締役石川 智治 株式会社 ミツバ環境分析リサーチ 調査・ソリューション部 次長
▼概要文表示2013年5月号
 筆者らは、工場における廃棄物削減、総排水量の削減に加え、CO2排出量の削減にかかわる手法について指導を行ってきたが、最近では、エネルギー消費量削減についてのニーズが高まり省エネに関する支援が増えている。しかし、工場全体のエネルギー消費量を消費の多いユーティリティレベルに分類し、運用改善や老朽更新にあわせた設備の入れ替えなどを助言する方法に支援の限界を感じていた。
本稿は従来の省エネ診断手法に生産工程で消費する電力や熱量の計測を行い、エネルギーロスを明らかにするとともに、MFCAの考え方を導入して省エネ改善を提案した事例とMFCA活用の可能性について報告する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計90】MFCAとLCAとの交流とその可能性:エコバランス国際会議2012から
中嶌 道靖 関西大学 商学部 教授國部 克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授
▼概要文表示2013年4月号
 2012年11月、横浜において開催された第10回エコバランス国際会議(2012)で、特別セッションのひとつとして「S6:環境管理会計(EMA)」が開催された。国際規格ISO14051となった環境管理会計手法、マテリアルフローコスト会計(MFCA)とライフサイクルアセスメント(LCA)との連携によるサステナブルマネジメントの実現を目指して、MFCA専門家とLCA専門家それぞれが研究成果を発表し討論が行われた。その結果、お互いの相違点と連携によるお互いの発展可能性を実感することができた。その発表の概略と討論の要点を整理してまとめている。
<シリーズ>【環境法改正情報】(2013年2月改正分)
見目 善弘 見目エコ・サポート代表
▼概要文表示2013年4月号
・省エネルギー法
・廃棄物処理法
・再生エネルギー特措法
・放射性物質汚染対処特措法
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計89】生産ロットサイズによる環境コストへの影響に関する研究
趙 潤 名古屋大学大学院 経済学研究科 博士後期課程/市村 光 名古屋大学大学院 経済学研究科 博士後期課程/唐 旭中 名古屋大学大学院 経済学研究科 博士後期課程/高桑 宗右ヱ門 名古屋大学大学院 経済学研究科 教授
▼概要文表示2013年3月号
 地球温暖化の問題について、生産システムにおけるオペレーションの各部分をグリーン化させる方法がよく検討されている。マテリアルフローコスト会計はグリーン化問題への解決を目指して、環境にやさしく先進的な生産方式への要求を満たす。本稿では、多品種少量生産方式を応用して、ある自動車部品製造会社の生産ラインの一部を対象として、生産ロジックの現状と生産ロットの特徴について分析する。これにより、マテリアルフローコスト会計をこの生産ラインに導入し、生産プロセスに隠れた種々の正の製品コストと負の製品コストを分別し認識する。さらに、シミュレーション手法によって、生産ロットサイズの調整を行うことにより、生産ラインの環境コストへの影響を検討する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計88】物量産業連関表を用いた地域のマテリアル・フロー解析
湯川 創太郎 滋賀県立大学環境共生システム研究センター研究員
▼概要文表示2013年2月号
 本稿では、国や地域レベルのマテリアル・フロー集計の試みの一つとして、本研究センターが整備を進めている、「滋賀県環境分析用産業連関表」を紹介する。貨幣を尺度として記述した産業連関表は産業の経済活動を可視化するが、本表では、貨幣を物量に置き換え、投入の算出の差分を自然界からの物質の投入とCO2や廃棄物の排出といった情報により補充し、マテリアル・フローを可視化する物質表記の環境分析用産業連関表を構築している。本表はこのようにして、1995年、2000年、2005年の3期を対象に作成された。ここでは本稿を用いた分析の結果についても紹介する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計87】MFCA-CFP統合モデルの実践への適用可能性
國部克彦 神戸大学大学院 経営学研究科 教授/北田皓嗣 法政大学 経営学部 専任講師/渕上智子 東京大学大学院理学系研究科特任研究員/田中大介 大日本印刷株式会社
▼概要文表示2013年1月号
 CFP(カーボンフットプリント)は製品のサプライチェーン全体でのGHGを測定評価する手法で、現在ISO化が進められている。CFPは製品のライフサイクルにわたるGHGを測定するが、企業にGHGを削減するためのメカニズムを備えていない。そこで、CFPにMFCAによるコスト情報を追加したMFCA-CFP統合モデルを開発することが、この限界に対して有効であると考えられる。本論文では、MFCA-CFP統合モデルを、実際に企業のある製品に適用して、実践での活用可能性について検討する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計86】MFCAの次なる国際標準に向けた議論の最新動向―ISO/TC 207バンコク総会の報告
立川 博巳 ISO/TC 207/WG8(MFCA)日本代表エキスパート 国際幹事補佐 プロファーム ジャパン株式会社
▼概要文表示2012年12月号
 環境管理手法のひとつであるマテリアルフローコスト会計(MFCA)は、原材料投入量や製品産生量の把握を通じて、物質・エネルギーの使用状況の透明性を向上させる。MFCAは2011年9月にISO 14051として国際標準化されたが、その後も各国からの要望にもとづき、サプライチェーン規模での実施などを含めた次規格を国際標準として策定する可能性について検討が進められている。本稿では、2012年6月に開催されたタイ バンコク総会での議論の結果及び検討が進められている次規格の概要について報告する。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計85】長野県におけるMFCAの取組み
関 利恵子 信州大学経済学部准教授
▼概要文表示2012年11月号
 長野県工業技術総合センター環境・情報技術部門(以下、県工技)では、平成21~23年度まで「環境対応型ものづくり収益向上普及事業」を通じて、県内中小企業9社にMFCA(マテリアルフローコスト会計)の導入支援事業を行なった。支援企業は、環境負荷低減、収益向上にて成果をあげ、その効果は従業員の作業モチベーション向上や人材教育ツールとしても効果があることも明らかになってきた。支援企業は業種、企業規模ともに幅広く設定されているため、本事業は多様なMFCAの導入成果を蓄積した。引き続き平成24年度のMFCA支援は、公益財団法人長野県テクノ財団と県工技が連携をした民間主導のスタイルにて継続され、中小企業へのさらなる普及活動が進められている。
<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計84】食品小売業におけるマテリアルフローコスト会計情報の導入研究―生鮮部門の食品廃棄物に関する考察
萬田義人 有限会社オーケー食品取締役
▼概要文表示2012年9月号

 マテリアルフローコスト会計(以下,MFCA)は,環境と経済の両立を目指したマネジメントツールで,製造業の製造プロセスにおける問題点への気づきが期待できる手法である。本稿では,この概念を食品小売業の実務の中で,製造機能を有する生鮮加工のうち精肉部門に導入している。手作業に依存する精肉商品化において,従来から定性的に推認している課題を数値化し,改善方策の策定からコストシミュレーションに発展させている内容は実践的である。また,一つの原料から複数の製品価値を創出する工程への適用は,MFCAの応用といえる。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計83】マテリアルフローコスト会計情報の利用可能性―日本電気化学株式会社における静電塗装工程の事例
天王寺谷達将 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程/  北田皓嗣 法政大学経営学部専任講師/  岡田 斎 広島経済大学経済学部教授/國部克彦 神戸大学大学院経営学研究科教授
▼概要文表示2012年8月号

 本稿では、マテリアルフローコスト会計(以下、MFCA)情報の利用可能性について、特に設備投資意思決定プロセスと環境マネジメントシステムにおける活用局面に焦点を当て明らかにする。企業の持続的な発展のために、設備投資が重要であるのにもかかわらず、MFCAと設備投資意思決定の関係については究明すべき多くの課題が残っている。また、MFCAは環境管理会計手法である一方で、環境マネジメントシステムの中でのMFCAの活用局面については十分に明らかにされていない。本稿では、MFCA情報は「わかりやすさ」、「現金効果」という特徴を有するために、その改善見込み効果額は設備投資意思決定のプロセスに組み込める可能性があることと、その改善効果額はキャッシュで表れるので設備投資の原資を確保するために利用できる可能性があることを主張する。さらに、同様の理由から、MFCA情報は環境マネジメントシステムにも組み込めることを主張する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計82】MFCAのISO化によるアジアへの展開ーマレーシア・ベトナムを例として
中嶌道靖 関西大学商学部教授、木村麻子 関西大学商学部准教授
▼概要文表示2012年7月号

 MFCA(マテリアルフローコスト会計)の基本的な枠組みが、2011年にISO14051(ガイダンス)として発行された。ISO化の過程でMFCAの基礎概念と日本の企業事例が紹介されたことにより、アジアでのMFCAへの理解と普及も進展している。本稿ではマレーシアとベトナムの調査をもとに、アジアにおけるMFCAの理解・普及の現状と課題について考察している。MFCAは製造業において、資源生産性を向上させ、コスト削減に寄与する有用な考え方として容易に理解される反面、日本同様にMFCAの導入・普及にはMFCAの有用性を容易に理解できる各国での企業事例を蓄積する必要性が明らかとなった。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計81】マレーシアでのマテリアルフローコスト会計の応用展開
立川博巳 プロファーム ジャパン株式会社代表取締役社長
▼概要文表示2012年6月号

 マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting: MFCA)は,生産プロセスにおける投入物質のフローに基づき製品(良品)となった投入物質を「正の製品」,廃棄物となった物質を「負の製品」と捉え,正の製品及び負の製品を同等に価値評価する。この価値評価を通じて,負の製品コストを算出することで,生産プロセスにおけるムダの削減を促進する,環境負荷の低減とコストダウンの両立を達成することを目的としたマネジメント・ツールである. 当該手法の国外での普及を図るべく,2010~2012年にかけて,マレーシアにおいてMFCAの実行プロジェクトが実施された。対象企業の業種は,自動車オーディオ部品製造業者,自動車金属パーツ製造業者2社,石油ガスパーツ製造業者,及び電線製造業者の計5事業者である。これらの企業に対して,筆者を含む専門家がマテリアル/コスト計算方法,及び改善ポイントに関して指導並びに関連知識についてアドバイスを実施した。当該プロジェクトの結果,5社で日本円に換算して少なくとも約5,000万円のコスト削減及び大幅な廃棄物削減効果が確認され,海外企業におけるMFCAの効果が確認された。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計80】省エネのMFCAー用役のエネルギーロスを見える化
下垣 彰 株式会社フューチャーマネジメント アンド イノベーションコンサルティング 日本MFCAフォーラム運営委員運営委員会幹事
▼概要文表示2012年5月号

 水,圧縮空気,蒸気等の用役エネルギーを,マテリアルフローコスト会計(MFCA)でどのように扱うかについて,これまで具体的な方法の提案がなかった。測定の方法,エネルギー量の計算方法,改善の考え方等,実施する上で多くの課題があったためと思われる。今回,その方法の研究結果を報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計79】MFCAの国際動向―国際シンポジウム「アジアにおけるサプライチェーンのグリーン化のための環境会計とLCA」より
國部克彦 神戸大学大学院経営学研究科教授
▼概要文表示2012年4月号

 2011年12月3日に神戸大学にて、国際シンポジウム「アジアにおけるサプライチェーンのグリーン化のための環境会計とLCA」が開催され、その第一セッションで「MFCAとサプライチェーン」というタイトルのもとで、MFCAの国際的な討議が展開された。本論文では、同セッションのパネリストである日本の中嶌教授、ドイツのシュミット教授、マレーシアのスレイマン教授、韓国の金教授の報告要旨を紹介し、MFCAの国際動向の一端を示すと同時に、今後の発展動向を展望した。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計78】日本MFCAフォーラムWG3活動状況報告 WG3研究テーマ「ME:もったいないエンジニアリング」--生産革新ツールとしてのMFCA
安城泰雄 MFCA研究所代表日本MFCAフォーラム運営委員/WG3座長
▼概要文表示2012年3月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)が日本に紹介されて10年が経過した。この間MFCAは多くの企業・製造現場において導入(試行)がなされ,大きな進化を遂げてきた。これらの活動及び成果を通して,MFCAは新たな視点の生産革新ツールであることが明らかになっている。WG3はMFCAを新しい生産革新ツールとして,その視点で特徴を整理し,生産の場にデビューさせることを目標にしている。昨年6月,以後月1回位のペースで研究会を開催し,この1月で計6回となった。その結果WG3は,MFCAを新しいコンセプト「ME:もったいないエンジニアリング」として生産の場に訴えることとした。ここでは,WG3における議論の中からみえてきたものを報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計77】MFCAとCFP統合モデルの開発
國部克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授,渕上智子 オフィスエコロジーコンセプション,山田明寿 株式会社環境管理会計研究所 上席コンサルタント
▼概要文表示2012年2月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)とカーボンフットプリント(CFP)は,マテリアルおよびエネルギーのフローを評価する手法として,親近性を持ち,国際標準化も進んでいる。これまで,MFCAとCFPは統合的利用の重要性が主張されてきたが,実際のモデルまでは落とし込まれていなかった。そこで本稿では,CFP計算からMFCA計算を連結する「CFPのMFCA展開」として,MFCAとCFPの統合モデルを開発した。そのモデルによって,MFCAとCFPを統合することによって,マテリアルロス(負の製品)のCO2量とコストが測定されるようになり,マテリアルロスを減らすことによってCFPを改善させる活動を促進可能なことが示された。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計76】武田鋳造株式会社における熱損失の評価へのMFCA適用事例
大木悦郎 武田鋳造株式会社工場長,仲井俊文 株式会社サンキョウ-エンビックス環境経営支援室エキスパート
▼概要文表示2012年1月号

 武田鋳造株式会社では,自動車部品,農機具部品,一般産業部品などの鋳鉄鋳物製品の製造を行っている。工程の概略としては鋳鉄原材料を溶解したものを,砂型に流し込み,成型加工・仕上げ加工したのち検査・出荷となる。MFCA手法では,マテリアル別にロス物量の総量を計算し,エネルギーはシステムコストとして,正の製品と負の製品の物量で按分することが多かった。このたび,弊社においてMFCAを導入するにあたり,電気炉による大量の熱エネルギー投入量をシステムコストではなく,マテリアルとして捉え,製品の加工に消費された熱エネルギー投入量を正の製品,それ以外の熱エネルギー投入量を負の製品と定義した。この定義を用いてMFCAでの熱損失の評価,改善検討を行った。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計75】集知技術集団による最強アルミ加工技術の確立と省資源化活動―ブルーディスク・レコーダーの外筐パネルの製造ライン
大関 光 株式会社佐渡島テック取締役副社長 岩槻工場
▼概要文表示2011年12月号

(株)佐渡島テックの主な事業は,家電,自動車等の機構部品の製造である。加工分野はプレス加工,電着塗装,静電塗装,研磨加工,ブラスト加工,及び組み立てを得意としている製造工場である。今回,経済産業省が平成20年度から実施している「サプライチェーン省資源化連携促進事業(以下SC事業)」に当社と切削加工メーカー,表面処理加工メーカー,アルマイト処理加工メーカーを担うサプライチェーン4社で参画した。診断委員の支援を受けながら,マテリアルフロー分析手法を用い,「資源ロスの見える化」に取り組んだ。対象モデルはブルーレイディスク・レコーダー(ハイエンドモデル)のトップ面とフロント面を一体化したアルミ押し出し材で構成されている外筐部品である。サプライチェーンで取り組んだ製造工程の改善と省資源化の成果と課題について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計74】完成品の高い既存商品のロスをMFCAで徹底追及
新帯哲哉 株式会社生方製作所バリューセンターアウトソーシング主担当
▼概要文表示2011年11月号

 生方製作所(株)は,エアコンのコンプレッサー内部に取付けられ,温度や電流の異常からモーターを保護する安全スイッチ(インターナルモータープロテクター)の世界トップメーカー。製品シリーズの中にあって販売開始から10年以上経っている最量産機種の製造工程を,サプライチェーン企業とともに,マテリアルフローコスト会計(MFCA)やライフサイクルアセスメント(LCA)の手法を用いた改善活動の対象として選定し,部品製造における資源効率,エネルギー効率,工数削減等の改善項目を定量化,見える化することによって原価低減を図ることができた。「サプライチェーン省資源化連携推進事業(SC事業)」で取り組んだ成果と課題について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計73】MFCA によるロスの見える化で廃棄物量1/5 に!―サプライチェーン連携強化によるマテリアルロスの削減
中山恵一 株式会社京写京都工場長
▼概要文表示2011年10月号

 株式会社京写は,家電製品用のプリント配線板の製造を事業としている。平成22年度のサプライチェーン省資源化連携促進事業(SC事業)に参画し,事業パートナーであるチーム企業2社と一体となって省資源化活動に取り組んだ結果,多くの改善策ならびに改善成果を得たとともに,同年度の「グリーンサプライチェーン賞」受賞の栄誉に浴することができた。チーム企業3社の連携・協業により,初めて出会ったマテリアルフローコスト会計(MFCA)手法を専門家の支援を受けながら用い,プリント配線板の生産工程における「資源ロスの見える化」を図り,新たな切り口での課題の抽出と改善を図った。製造工程の改善と省資源化に取り組んだ経緯と成果及び課題について報告させていただく

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計72】マテリアルフローコスト会計(ISO14051)の最新動向―ISO/TC207オスロ総会における活動
古川 芳邦 日東電工株式会社 サステナブル・マネジメント推進部長 ISO/TC207/WG8国際幹事,立川 博巳 プロファームジャパン株式会社代表取締役社長 ISO/TC207/WG8 日本代表エキスパート/国際幹事補佐
▼概要文表示2011年9月号

 ISO/TC207年次総会が,本年6月下旬より7月初旬にかけ,ノルウェーのオスロで開催された。マテリアルフローコスト会計(MFCA)の国際規格(ISO14051)策定に携わる作業グループ(WG)8の日本からの参加者は,議長の國部克彦(神戸大学教授),中嶌道靖( 関西大学教授),古川(筆者),及び立川(筆者)の4名であった。総会はFDISの投票期間中に開催されたため,ワークショップを実施し,各国からの代表エキスパートによるMFCAの事例発表やISO14001におけるISO14051の有効活用方法等活発な議論が実施された。ISO14051は2011年中に国際規格化される予定であり,8月の投票を終え,規格発行に向けた最終作業が実施される予定である。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計71】医療機関へのマテリアルフローコスト会計の導入―血液透析の事例
天野輝芳 諏訪東京理科大学経営情報学部教授,松井 豊 まついe-クリニック院長
▼概要文表示2011年8月号

 本稿では,血液透析にマテリアルフローコスト会計(MFCA)を導入し,透析中の水の流れに着目し,コスト構造とプロセスの無駄を可視化した。その結果,RO水に溶解した透析剤とRO水製造時のロスが大きいことが判明した。装置の仕様やシステムの見直すことが重要であり,メーカーの技術開発に負うところが大きい。このように,MFCAは,患者と医療機関の満足度を高める競争優位の源泉を洗い出す有効な分析ツールであることを検証した。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計70】MFCAがマテリアルロス削減につながる理由
下垣 彰 株式会社日本能率協会コンサルティング MFCAセンターマネージャー 日本MFCAフォーラム 運営委員,運営委員会幹事,安城 泰雄 MFCA研究所代表 日本MFCAフォーラム 運営委員
▼概要文表示2011年7月号

 企業におけるマテリアルロスの管理対象は,プロセスの一部や,使用するマテリアルの一部になっていることが多い。一方マテリアルフローコスト会計(MFCA)は,マテリアルロスのすべてをみようとする。MFCAでは,マテリアル別に,ロス物量の総量を算出する。その次にロスの内訳を整理し,内訳別にロスの物量を整理する。これまで管理しているマテリアルロスの物量を合計しても,ロス物量の総量と等しくならないことが多い。これは,「未知のロス」があることを示しており,MFCAが「未知のロス」の存在と物量を明らかにするからである。さらにMFCAは,マテリアルロスについて,廃棄物処理費用まで含めたコストを算出するが,これは改善の検討に有益な情報になる。このようにして,MFCAは新たなマテリアルロスの発見と改善につながって行く。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計69】株式会社津梁(食品加工業)におけるMFCA導入事例
安城泰雄 MFCA研究所代表日本MFCAフォーラム運営委員
▼概要文表示2011年6月号

 本事例は,平成21年度経済産業省のマテリアルフローコスト会計(MFCA)導入実証事業に参加された株式会社津梁の事例であり,また沖縄初のMFCA導入事例である。私は同社を担当しMFCA導入の支援を行った。また,本事例は,同事業の中のテーマの一つである"中小企業,小規模事業者向け「簡易型MFCA(仮称)」MFCA計算ツール開発"で私が提案した「MFCAバランス集計表」が組み入れられたが,これを展開したものである。このMFCAバランス集計表を導入したことで色々なことが見えてきた。事業報告にて既に公表された事例であるが、今回さらに踏み込んだ見方を提示する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計68】店舗用機器の整備・クリーニングサービスへのMFCA適用事例
渡辺一重 サンデン株式会社環境推進本部,勝呂信夫 サンデン株式会社店舗システム事業部
▼概要文表示2011年5月号

  サンデン株式会社(以下,サンデンという)は,2005年度の経済産業省委託・株式会社日本能率協会コンサルティングが実施した「大企業向けマテリアルフローコスト会計(MFCA)導入共同研究モデル事業」に参画以降,主要製品であるカーエアコン用コンプレッサーの部品加工工程で,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を展開してきた。MFCA導入により,新しい視点で「ロスの見える化」ができたことから,各工程での改善が進むとともに,工場全体の改善効果の「見える化」もできた。今回,MFCAで初めてとなるサービス分野への導入検討を,当社店舗システム機器のリユース,整備,クリーニングサービス事業を対象に行った。その中で,サービス分野でのMFCAが,お客様からの視点での環境負荷低減と資源生産性向上に寄与できることがわかった。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計67】川上から川下までのロス検出力の向上とデザイン革新によるグリーンファクトリー(ECO工場)の実現―(株)ミツバにおけるサプライチェーン省資源化連携促進事業への取り組み
高草木 亮 株式会社ミツバ新里工場製造1課課長,冨所弘栄 株式会社ミツバ新里工場製造技術課チームリーダ 
▼概要文表示2011年4月号

(株)ミツバは輸送機器関連事業に属し,二輪,四輪電装部品の開発,製造,販売を行なっている。その中で当新里工場は,マザー工場としてワイパーモータ,パワーウインドモータ,パワーステアリングモータ,四輪用スタータモータ,二輪用スタータモータを主力製品として生産している。当工場は2009年度,経済産業省委託事業であるサプライチェーン省資源化連携促進事業((一社)産業環境管理協会と(財)日本生産性本部が運営)に参加した。サプライヤである川上企業とともに参加する当事業はグリーンサプライチェーン(GSC)と称され,製品のINからOUTまでの課題を通して整理し,マテリアルフローコスト会計(MFCA)手法で課題の見える化を行なうものである。本稿では,その課題に手を打ち,環境配慮設計(DfE)にまで踏み込んだ一連の流れを紹介する。なお,MFCAは今後,国際標準化機構(ISO)にて規格化され益々注目されるものと確信している。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計66】日本MFCAフォーラムの活動
下垣 彰 株式会社日本能率協会コンサルティングMFCAセンターマネージャー(日本MFCAフォーラム 運営委員,運営委員会幹事)
▼概要文表示2011年3月号

 日本MFCAフォーラムは,マテリアルフローコスト会計(MFCA)の普及と進化を図るために,2009年7月に発足した団体である。MFCAの実践,支援,研究を行う多くの企業,研究者等が参加し,セミナー等のMFCAの普及活動だけでなく,交流会,ワーキンググループ:研究会(WG)等の研究活動を行っている。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計65】大平洋金属株式会社におけるサプライチェーン省資源化連携促進事業への取組み―見過ごされた資源,二段構えの有益化
加藤正貴 大平洋金属株式会社技術開発室室長
▼概要文表示2011年2月号

 大平洋金属(株)は,赤道に近い国々からNi鉱石を輸入し,内径5.5mの大型ロータリーキルン3基と6万KVA,7万KVA,8万KVAの3基の大型電気炉を使用し,ステンレス鋼の原料に使われるフェロニッケルを製造して,日本及び韓国,台湾,中国の主要ステンレスメーカーへ製品を出荷している。また,このフェロニッケル製造工程で発生するスラグも環境面で優れた土木・建築資材として路盤材やコンクリート細骨材等として国内販売している。今回,大型ロータリーキルンのライニング材として使用されている耐火レンガを資源として見直し,省エネルギー及びコスト削減を進めるため,㈱佐々木組と㈱ファーストインターナショナルと連携し,大きな成果が得られる事業活動として確立できたので,その活動内容を報告する。活動を進めるにおいて,その成果を評価するため,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を導入したことで,連携3社及び社内の関係部署への問題意識の共有化が図れ,活動の重要性が再認識されて,関係者の協力が円滑になされたことで,サプライチェーン省資源化連携推進事業に参加して良かったと考えている。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計64】液晶テレビ用キャビネット製造工程の改善と省資源化への取り組み
遠藤明宏 嶋田プレシジョン株式会社品質技術グループ
▼概要文表示2011年1月号

 嶋田プレシジョン(株)は,プラスチック成型品の金型の設計・製造,各種プラスチック部品(外観部品,精密メカ部品,導光板,透明アクリル部品等)の成形と二次加工を手がけている。今回,経済産業省が平成20年度から実施している「サプライチェーン省資源化連携促進事業(以下SC事業)」に当社とプラスチック部品の成形から二次加工を担うサプライチェーン4社で参画した。その結果,幸いなことに同事業の平成21年度「優秀カイゼン賞」受賞という名誉を与ることができた。専門家の支援を受けながら,マテリアルフロー分析手法を用い,「資源ロスの見える化」を通じて,液晶テレビ用キャビネット製造工程の改善と省資源化に取り組んだ成果と課題について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計63】「町工場連合」とサプライチェーン省資源化連携促進事業
佐々木修一 株式会社アサヒ生産支援部部長
▼概要文表示2010年12月号

 株式会社アサヒは,平成21年度のサプライチェーン省資源化連携促進事業(以下,SC事業と言う)に参画し,チーム企業2社と一体となって省資源化に取り組んだ結果,多くの有意義な改善策を立案するとともに,同年度の「グリーンサプライチェーン賞」受賞の栄誉に浴した。当社チームは,株式会社アサヒ,チーム企業A社(樹脂成形加工),チーム企業B社(塗装・印刷等の二次加工)の3社からなり,初めて体験するマテリアルフローコスト会計(MFCA)手法を用いて,生産工程に内在する課題の抽出と改善を図った。この活動を通じて,チーム各社での改善スキルや改善意欲が高まり,またチーム企業間の連携もより深まった。この経験と成果を活かした改善活動を,当社チーム企業間で継続するとともに,他の製品群や関連企業へも横展開し,株式会社アサヒの事業全般でのグリーンサプライチェーン化に取り組んでいる。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計62】マテリアルフローコスト会計の深化と拡張の方向性―日本ユニシスサプライ㈱のケースを中心とした考察
伊藤嘉博 早稲田大学商学学術院教授
▼概要文表示2010年11月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)の貢献は,廃棄部材の削減のみならず生産現場における原価低減にも及ぶ。とはいえ,当該手法の本質を環境保全への役立ちに求めるのであれば,その特徴の深化を図ることが大きな課題として浮上してこよう。本稿では,MFCAの革新につながる三つの課題を識別したのち,とくに前述の環境管理会計手法としての特徴の深化を具現化する試みとして,カーボンフットプリント情報を組み込んだMFCAの適用事例を紹介し,検討を加える。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計61】オムロンリレーアンドデバイスとサプライチェーン3社によるMFCA取り組み展開
原口智博 オムロンリレーアンドデバイス株式会社購買部 部長代行,原田聖明 オムロン株式会社 ものづくり革新本部環境革新センタ Ecoものづくり推進部,木村嘉宏 オムロン株式会社 ものづくり革新本部環境革新センタ Ecoものづくり推進部
▼概要文表示2010年10月号

 オムロンリレーアンドデバイス(株)(以降OER)は,2008年度の内作機種でのMFCA導入以降,社内展開を進める中,より導入効果を拡大するため方法の一つとしてサプライチェーンでの展開を検討していた。本取り組みで複数企業をまたぐ部品加工プロセスのMFCA分析を実施することにより,単純な加工ロスだけでなく,サプライチェーンに隠れていたロスの見える化と全体最適に向けた気付きを得ることができた。この気付きによる成果,課題,及び今後のWIN-WIN関係構築に向けた展望について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計60】MFCAのシステム化と木工材料の材料ロス徹底削減
下垣 彰 株式会社日本能率協会コンサルティングMFCAセンターマネージャー
▼概要文表示2010年9月号

 (株)光大産業では木工製品を製造している。平成19年度にモデル品種でマテリアルフローコスト会計(MFCA)を導入した。その後,生産管理システム,モクティーSYSTEMを構築したが,そのシステムでは,材料の木材のロス物量を測定する仕組みが組み込まれている。モクティーSYSTEMは平成21年度に完成し運用が始まった。このシステムの構築によって,製品,部品,材料別に,マテリアルロスを管理するデータが蓄積され始めた。現在,そのデータを活用し,マテリアルロスを改善する取り組みが,本格的に開始された。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計59】(株)藤田電機製作所におけるサプライチェーン省資源化連携促進事業への取組み
野谷征史 株式会社藤田電機製作所伊勢原事業部生産管理チームリーダー
▼概要文表示2010年8月号

 (株)藤田電機製作所は、平成20年度のサプライチェーン省資源化連携促進事業に参画し、主力製品であるアイリスメーターの設計および生産工程の見直しを行った。MFCA手法を用いて隠れたロスを顕在化することにより、金属プレス加工工程(㈱藤田電機製作所)、樹脂成形加工工程(チーム企業A社)、総合組立工程(チーム企業B社)での問題点を抽出し、この3社の連携による改善活動に繋げた。この事業を通して体得した改善手法と、サプライチェーン企業間の連携関係の深化は、大きな成果であったと言える。この経験・成果を活かして、平成21年度以降も継続した取組みを行い、省資源・環境貢献と原価低減を推進している。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計58】「現場主体型」と「マクロ分析」のMFCAでコスト・排出物削減活動
佐久間清一 長浜キヤノン株式会社総合企画部部長
▼概要文表示2010年7月号

 生産拡大に伴い増加する環境負荷の低減,資源生産性の追求による経営貢献を目的に2005年よりマテリアルフローコスト会計MFCA)を導入している。環境負荷の発生する加工職場ではMFCA定着のために現場自らが運用主体となるかたちで順次導入した。情報技術(IT)を駆使し分析負荷を軽減するなどの工夫で,今年度末までに全16種ある加工職場すべての展開を完了させる予定である。一方,加工職場以外の部門(組立・物流・間接職場等)には「マクロ分析 MFCA」を取り入れた。 これは出された排出物から出どころの職場に遡る手法で,すべての部門の資源ロスを顕在化している。今後の課題は上流遡求とサプライチェーン展開と捉えており,その活動と展望について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計57】栗本コンクリート工業株式会社におけるマテリアルフローコスト会計の導入
岡田 斎 株式会社環境管理会計研究所上席研究員 博士(工学,経営学) 技術士
▼概要文表示2010年6月号

 栗本コンクリート工業株式会社およびサプライチェーンを構成する2企業は,平成21年度経済産業省委託事業 サプライチェーン省資源化連携促進事業に採択され,3企業チームにマテリアルフローコスト会計が導入された。遠心力を利用して製造するコンクリート管をヒューム管と呼ぶが,同社ではその製造工程で,年間約2,000トンもの廃棄コンクリートが排出される。そこで,投入資源の歩留り向上,廃棄物削減とコストダウンを実現することを目的として活動を行ない,大きな成果をあげることができた。なお,ヒューム管製造工程にMFCAを適用した事例は,おそらく初めてである。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計56】日本電気化学㈱におけるマテリアルフローコスト会計の導入―化学銅めっき工程での導入事例
天王寺谷達将 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程,北田皓嗣 神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程,岡田 斎 株式会社環境管理会計研究所(IEMA)上席研究員
▼概要文表示2010年5月号

 本稿は,京都MFCA研究会の実証トライアル事業として,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を日本電気化学㈱加悦工場の化学銅めっき工程へ導入した事例である。同社加悦工場では,以前から化学銅めっき工程におけるめっき液管理の妥当性と資源ロスの削減を考え改善の余地があると感じていた。そこで,MFCAを導入することで,現状のめっき液管理におけるロスの見える化と負の製品の削減を図った。MFCAを導入した結果,資源ロス削減の方向性として自然分解により生成する金属銅に着目した改善案が検討された。また,改善効果のシミュレーションにより,採用すべき改善策が金額で評価された。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計55】マテリアルフローコスト会計の環境リスクマネジメントへの応用可能性
立川博巳 プロファームジャパン株式会社代表取締役
▼概要文表示2010年4月号

 企業が取り組むべき環境に関する課題は,化学物質管理,循環型社会への対応等と拡大しており,産業公害のみに対応していた過去の時代と比較して,その社会的責任及び要求は著しく高まっている。このような状況における企業の環境への取り組みとしては,環境管理システムの確立とともに自社のオペレーションに即した環境リスクマネジメントが不可欠である。この点で,マテリアルフローコスト会計(MFCA:Material Flow Cost Accounting)の環境リスクマネジメントに対する応用展開が考えられる。企業の事業プロセスで,フローする物質の視える化を促進するMFCAは,コスト削減及び資源生産性向上のみならず,事業における環境リスクの効果的なマネジメントに寄与すると考えられる。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計54】住友化学株式会社におけるマテリアルフローコスト会計の導入―ファインケミカル分野での導入事例
村田 明 住友化学株式会社大阪工場環境安全部
▼概要文表示2010年3月号

  マテリアルフローコスト会計(MFCA)は,製造業を中心に今日幅広い分野に導入されつつある。本報告は,化学工業製品のうち,加工度が高く,多品種・少量生産で付加価値の高い,医薬品・電子製品材料・合成染料などのいわゆるファインケミカル(精密化学)分野での導入事例の紹介である。化学反応により物質が変化する中での物量の考え方や少量多品種生産における機器の切り替え洗浄工程についてMFCAによる解析を行った。また改善を行う際のツールとして,同法を用いたシミュレーションによるコスト予測についても触れる。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計53】 DNPファインケミカル福島におけるMFCA導入事例
本澤裕起子 株式会社DNPファインケミカル福島品質保証部環境管理グループリーダー,塩谷明広 株式会社DNPファインケミカル福島技術部技術グループ,川原千明 経営学博士
▼概要文表示2010年2月号

 株式会社DNPファインケミカル福島では,環境保全と資源生産性向上の同時実現を目的に,有機化合物を対象にマテリアルフローコスト会計(MFCA)を導入した。MFCAの導入により,製造工程のロスが金額・物量両単位から「見える化」でき,改善施策を検討した。その改善効果としては,製品1kgあたり3900円のコスト低減,廃棄物量では,総計で約6tの削減が見込まれる。現在,MFCAの水平展開を進めるべく,社内準備を進めている。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計52】 石灰鉱山業におけるマテリアルフローコスト会計
静 俊二郎 足立石灰工業株式会社
▼概要文表示2010年1月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)では,原材料の購入単価に数量をかけたものをマテリアルコストと呼ぶ。一般的にはマテリアルコストは製造費用の多くを占める。しかし,鉱山業においては原材料は購入せずに自然界から採取するためマテリアルコストが発生しない。これによりロスが低く計算される。そこで本稿では,それを回避するためには工程を分離して社内で擬似的に売買を行うことでマテリアルコストを発生させるという工夫が有効であることを示す。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計51】MFCAとTRIZの連携による生産革新の促進について
中嶌道靖 関西大学商学部教授、山田明寿 株式会社環境管理会計研究所上席コンサルタント
▼概要文表示2009年12月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)は,資源生産性の向上を図り,「環境と経営を連携させる有効な手法」として注目されている。特に近年ではMFCA導入企業の川上・川下に位置するサプライヤーや顧客企業へMFCA分析を拡張することで,単独企業によるマテリアルロス削減よりもより多くの効果を上げはじめている。しかし,MFCAによって可視化されたマテリアルロスの改善は,試行錯誤や経験によるものが多い。本稿では,MFCAと発明的問題解決手法(TRIZ:Theory of Inventive Problem Solving)とを連携させることによって,体系的かつ論理的に生産革新を促進できないかを,鋳造工場での事例研究も踏まえて検討した。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計50】環境管理会計を使った経営革新のためのアプローチに関する考察―PIUS‐CheckとMFCA,中小企業への導入事例をもとに
梨岡英理子 株式会社環境管理会計研究所取締役/公認会計士
▼概要文表示2009年11月号

 資源生産性の向上は重要なテーマである。しかしながら経営資源の豊富な大企業とそれらが不足しがちな中小企業では,マテリアルフロー分析から改善提案までのアプローチも異なる。そこでマテリアルフローを使うマテリアルフローコスト会計(MFCA)とPIUS-Checkという二つのツールを使って,企業規模によるアプローチの方法を検討した。大企業ではMFCAから導入して効果が得られやすいが,中小企業はまずPIUS-Check的観点から始めることですぐに改善に着手し,効果を得つつMFCA概念を理解することが可能となる。この両方のツールを導入した中小企業の例を紹介しつつ,二つのツールの相違点や活用法を考察する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計49】サプライチェーン省資源化連携促進事業に参加して
田脇康広 パナソニックエコシステムズ株式会社クオリティセンター環境グループマネージャー
▼概要文表示2009年10月号

 資源生産性向上に対する国際的な関心が高まっている。この取組みは企業では当り前の合理化活動であり,常に経営の重要課題である。今回「サプライチェーン省資源化連携促進事業」に参加する機会を得た。診断員の熱心な指導を受けながらサプライヤーとオープンに意見交換した結果,予想をはるかに超える有形,無形の成果を得た。特に,省資源化の取組みを企業単独ではなくサプライチェーン全体を鳥瞰(ちょうかん)することで,多数の改善のネタ(宝の山)が眠っていることに気づいた意義は大きい。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計48】倉敷化工株式会社におけるサプライチェーン省資源化連携促進事業への取組み ―MFCA手法の実践とLCA評価の検証活動の成果
和気昭彦 倉敷化工株式会社産業機器事業部開発部開発課課長
▼概要文表示2009年9月号

 防振ゴム(自動車部品,産業防振,建築防振,精密防振各分野)の専門メーカーである倉敷化工㈱では,防振ゴムの製造工程から排出されるゴムスクラップを再利用した環境製品の製造,販売を手掛けてきた。現在,サプライチェーン(㈱USS東洋,くろがね産業㈱)で進めている工程内で排出される防振ゴム用天然ゴム(以下NR)のゴムスクラップを再生ゴム化する「クローズドマテリアルリサイクル化」について報告する。また,防振ゴムのゴムスクラップから防振ゴム用ゴム材料をつくる目的で2軸押出方式による脱硫再生ゴムの製造技術を紹介し,この技術による環境負荷(ライフサイクルアセスメント(LCA)による二酸化炭素(CO₂),省資源)の低減とマテリアルフローコスト会計(MFCA)手法を導入したコストダウンの成果について,「サプライチェーン省資源化連携推進事業(以下SC事業)」で取り組んだ成果と課題について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計47】ファブレスメーカーにおけるMFCAを活用した改善事例の報告と,効率的なものづくりへの課題―サプライチェーン省資源化連携促進事業の成果報告
永楽俊晴 コイズミ照明株式会社開発センター長
▼概要文表示2009年8月号

 照明のブランドメーカーであるコイズミ照明㈱グループは,経済産業省の平成20年度委託事業である「サプライチェーン省資源化連携促進事業(以下SC事業)」に参画し,省資源化をキーにした「ものづくりの効率的改善」の活動に取り組んだ。当社は,いわゆる内部に製造機能を持たないファブレスメーカーの企業形態である。また,環境企業を標榜し積極的に環境対応活動を行っている。このSC事業を通じて,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を広義に捉えた拡大MFCAを活用して,具体的なコストダウンの成果が得られた事例を報告するとともに,サプライチェーン間におけるファブレスメーカーとしての,ものづくり全体の効率的改善への課題について報告する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計46】MFCA活用によるグループ全体での資源生産性向上への挑戦
原田聖明 オムロン株式会社ものづくり革新本部品質・環境センタ
▼概要文表示2009年7月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)導入モデル工場:オムロン倉吉(株)は,スイッチの部品工程にMFCAを導入し,オムロングループとして資源生産性向上への第1歩を踏み出すことができた。オムロングループでは,MFCAを活用し材料のロスを物量と金額の両面で定量的に見える化したことで,マテリアルロス削減とコスト削減という「環境と経済の両立」を実現することができた。MFCA導入により,「見えているつもりでいたものが,いかに定量化できていないか」,「当たり前と思っていたものがいかに大きな“ロス”を内在しているか」に気づいたことが一番の収穫だった。しかしながら,MFCA導入・展開するにあたり,MFCA分析に必要なデータ収集においてそれなりの負荷があることも分かった。モデル工場での導入事例を紹介するとともに,MFCAを活用した資源生産性向上の取り組みと今後の展開について説明する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計45】MFCAによる廃棄物削減活動のインプロセス化
田村政也 キヤノンファインテック株式会社化成品事業企画部長
▼概要文表示2009年6月号

 キヤノンファインテック㈱福井事業所は2004年にマテリアルフローコスト会計(MFCA)導入し,順次全職場に展開してきた。導入前は廃棄物削減活動として有価物化・減容化などのエンドオブパイプが中心だったが,導入後は生産活動における環境負荷低減へ意識改革し,環境保証活動とコストダウン活動を同軸化することでインプロセス化を図った。その結果,2007年までに廃棄物削減は不良発生削減を中心に400tを超えた。また,2007年以降は標準作業の見直しによる投入マテリアル削減に取組み,年間20t程度の廃棄物削減の目処がついた。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計44】韓国におけるMFCA実践―現状と今後の展開
張 志仁(Jang Jee In) 韓国・中央大学校経営大学教授/次期韓国会計会長、翻訳:北田皓嗣(神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程)、監修:國部克彦(神戸大学大学院経営学研究科教授)
▼概要文表示2009年5月号

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)の考え方は、韓国知識経済省が2001年から2004年に実施した環境管理会計プロジェクトを通じて初めて韓国の産業界に紹介された。これにより韓国政府はマテリアルフローコスト会計が環境と経済活動を統合するためのツールであると理解し、それ以来、強い関心を示している。そして2005年から2007年7月には知識経済省によってマテリアルフローコスト会計導入のパイロットプロジェクトが実施され、電機機器、半導体、製紙など異なる産業から9社が参加した。参加企業はマテリアルフローコスト会計導入に対してきわめて好感触を示しており、今回の導入では単一の生産プロセスを対象としていたものの、予想していた以上にマテリアルロス率が高く、この手法は製造コスト削減に非常に有効であると評価されている。そして第二次マテリアルフローコスト会計パイロットプロジェクトが、2010年10月までの2年間の計画で実施されることとなり、6社の企業が参加している。今回のプロジェクトを通じて、韓国政府および韓国企業に,より具体的な政策方針を提示することができると考えている。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計 43】サプライチェーンにおけるマテリアルフローコスト会計の可能性について―「環境系列化」の可能性について
中嶌道靖 関西大学商学部教授
▼概要文表示2009年4月号

 日本において、環境と経済を両立させる環境管理会計手法として活用されるマテリアルフローコスト会計(MFCA)が、個別企業での無駄削減のマネジメント手法としてだけでなく、サプライチェーンでの省資源化促進のマネジメント手法として有用であることが明らかになった。サプライチェーンでのMFCAの具体的な有用性、その理論的な意義、さらには省資源化の可能性について論じるとともに、環境技術と環境バリューチェンを実現する企業の環境系列化の提言をしている。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計42】日本電気化学株式会社におけるマテリアルフローコスト会計の導入―京都MFCA研究会実証トライアル事業
岡田 斎 株式会社 環境管理会計研究所、北田皓嗣 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程
▼概要文表示2009年3月号

 京都府では,企業活動における環境負荷低減と経営力強化,また,マテリアルフローコスト会計(MFCA)に関する支援人材の育成,中小企業が活用しやすい取組手法の検討等を目的としたMFCA実証トライアル事業を行なっている。平成20年度は日本電気化学株式会社にMFCAを導入した。計測の負荷の軽減を考慮して主材料に限定した計測を試みた結果,データの収集が当初予想していたほどは大変ではなく,MFCA分析によりロスの見える化に成功した。この実証トライアル事業により,中小企業が比較的多い京都府における京都版MFCAの構築に向けた一つの方向性を示すことができた。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計41】サプライチェーンへのMFCAの適用―サンデングループでの事例
斉藤好弘 サンデン株式会社環境推進本部
▼概要文表示2009年2月号

 サンデン㈱(以下,サンデンという)は,2005年度の経済産業省委託・㈱日本能率協会コンサルティングが実施した『大企業向けマテリアルフローコスト会計(MFCA)導入共同研究モデル事業』に参画し,主要製品であるカーエアコン用コンプレッサーの部品の加工工程で,MFCAを導入した。MFCAの導入により新しい視点で「ロスの見える化」ができたことから,各工程での改善が進むとともに,工場全体の改善効果の「見える化」もできた。2006年度からは,MFCAを他の加工工程,グループ子会社の加工工程に展開しながら「ロスの見える化」を推進してきた。その中で,子会社の加工工程での「ロスの見える化」はできたが,一方で,大きな改善へつなげるためには,発見できたロスをサプライチェーンの中で共有しなくてはならないこともわかった。今回,サンデンとそのグループ子会社との間で実施したMFCAの取り組みを,サプライチェーンでMFCAを導入しようとする際の事例として紹介する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計40】セラミック粉末製造工程へのMFCAの適用―NECトーキンにおける事例
高橋幸浩 NECトーキン株式会社環境安全部
▼概要文表示2009年1月号

 NECトーキン(株)では、2007年度下期にマテリアルフローコスト会計(MFCA)をセラミックス製造の粉末工程に適用した。当該工程では、従来から様々な改善を進めてきたが、今回、MFCAを適用することで工程に存在するロスを従来と違った金額という形で顕在化させた。さらに、ロスに対する改善項目を検討する際に、改善による効果をあらかじめ評価することにより改善の優先順位を決定し、実施することができた。その結果、省資源の効果を得ることができたので、その取り組みを紹介する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計39】産業用シート素材製造のMFCA導入
我妻 明 弘進ゴム株式会社生産部企画管理チームサブチームリーダー
▼概要文表示2008年12月号

 原油高による石油製品が高騰する中,ゴム・プラスチック製造をメインとしている当社のような会社にとって,材料費アップは現実問題として大きくひびいている。そのような中,一番重要視されるのはコストダウンであると思われる。本事例は,マテリアルフローコスト会計(MFCA)を適用し“ムダ”を細分化させ改善活動を行った導入事例である。また,ISO14001の取り組みと連動させることも今後MFCAを定着させるための大きな課題である。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計38】多品種小ロットの精密板金加工におけるMFCA―テイ・エス・コーポレイションにおける事例
小倉 礁 富士通エフ・アイ・ピー株式会社環境システム部(エコステージ主任評価員)
▼概要文表示2008年11月号

 テイ・エス・コーポレイション㈱(以下,TSCとする)は精密板金・プレス加工の会社であり,これまでも環境経営への取組みとして,第三者認証環境マネジメントシステム(EMS)であるエコステージを認証取得し,環境保全・対策へ積極的な活動を展開してきている。TSCは,昨今の他社との競争激化や原材料・原油価格高騰に対し,企業体力を強化する目的で,EMSの継続的改善ツールとしてマテリアルフローコスト分析(MFCA)の導入を行った。事業の主要原材料であるステンレス鋼に着目したMFCAの導入は,会社としての数値目標が明確となり改善活動のきっかけとなったこと,検討過程において従業員の共通認識の場が提供されたこと,部署を超えた改善活動提案がなされたことなど,従来より一層従業員の取組み意欲が増進され,ロスの改善によるコスト削減・利益創出だけではない効果が得られた。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計37】輸送機器用パイプ部品へのMFCA試行
名和英夫 三遠南信バイタライゼーション浜松支部コーディネータ
▼概要文表示2008年10月号

 地場産業である二輪・四輪関連部品,特に少量多品種パイプ曲げ工程にマテリアルフローコスト会計(MFCA)を試行した。試行した企業は総合的設備管理(TPM)・ISO 14000を実践しており,MFCAに必要な各種データがほぼ揃っていたため,MFCA教科書通りに作業を進め解決策まで立案できた。視覚的に予想された負のコスト比率(マテリアルコスト≫システムコスト)に反し,意外にシステムコストが大きいことが判明し「MFCA=気づきの手法」を実感した。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計 36】粘着マット製品におけるMFCA―スミロン三重工場における事例紹介
阿藤崇浩 特定非営利活動法人資源リサイクルシステムセンターMFCA事業推進マネージャー
▼概要文表示2008年9月号

 ㈱スミロン三重工場では工業用粘着マット製品の製造を行っている。同社では早くからISO9001、ISO14001の認証を取得し、環境問題への対応も高い意識を持って取り組んできた。今回、「平成19年度マテリアルフローコスト会計(MFCA)普及・開発調査事業」の導入実証事業に参加し、同社三重工場において製造している「粘着マット製品」においてMFCAを実施することにより、工程ロスのより正確な把握と、それらのロス低減による環境負荷とロスコスト低減のポイントを見つけることができた。また、改善すべき工程の明確化と改善策のシミュレーションを行うことで、今後のより一層の環境負荷低減・ロスコスト低減のための多くのヒントを得ることができた。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計35】木工製品へのMFCA適用と中小企業におけるMFCAのシステム化検討事例
下垣 彰 株式会社日本能率協会コンサルティングMFCAセンターマネージャー
▼概要文表示2008年8月号

 日本の木工製品分野において、マテリアルフローコスト会計(MFCA)が適用されたのは、本事例が初めてと思われる。樹脂や金属などの工業材料は均質な材料であり、重量による物量計算が比較的容易である。それに対し、木が材料の場合、重量による物量計算が難しい。本事例は、この分野におけるMFCA適用において、物量計算を容量単位(m³)で行うことにより、効果的な適用が可能なことを示している。一方、MFCAの継続的活用には、システム化が課題となる。本事例では、生産管理システムにMFCAをどのように組み込むかの検討も、併せて行っている。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計34】中小企業におけるマテリアルフローコスト会計の活用方法
喜多川和典 財団法人社会経済生産性本部コンサルティング部エコ・マネジメント・センター長
▼概要文表示2008年7月号

 中小企業におけるマテリアルフローコスト会計(MFCA)の実施は、要領さえつかめば、通常の原価計算と比較しても難しいものではない。環境面の改善が直ちにコストダウンにつながるMFCAは、中小企業にとって有益な業務改善ツールである。MFCAはロスを「見える化」するまでのもので、改善は自分たちで行わなければならないが、問題発見の様々なヒントを示し、改善のための最適資料となる。取引先への協力交渉の強い見方にもなり、得られたデータはライフサイクルアセスメント(LCA)とのリンクも図りやすくする。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計 33】大阪府工業協会におけるMFCA研究会の実施
中嶌道靖 関西大学商学部教授
▼概要文表示2008年6月号

 2007年6月から大阪府工業協会において、マテリアルフローコスト会計(MFCA)研究会が発足した。この研究会は、MFCAという名前を冠しMFCAを専門とした日本初の研究会である。2ヶ月に1回の研究会で、その内容はMFCAに関する企業ケーススタディの講演と各回MFCAと生産管理との関係性についてテーマを設定し、議論するというものである。2008年度の研究会の内容を含めて、MFCA研究会を紹介する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計 32】田辺製薬吉城工場㈱におけるマテリアルフローコスト会計の導入
船坂孝浩 田辺製薬吉城工場株式会社総務課長、河野裕司 東和薬品株式会社生産本部生産管理部次長
▼概要文表示2008年5月号

 企業経営において環境対応が重要な経営課題となっている現在、田辺製薬吉城工場㈱では持続的な環境保全と経済活動の両立をめざし環境経営に取り組んでいる。環境経営を実践していくためには、環境保全のコストを正確に把握するとともに、その成果もまた正しく評価する必要がある。そのため、当社ではいち早く環境会計を取り入れ、環境負荷の低減に努めている。その中でも重要なのが、製品の製造過程における資源やエネルギーの損失に着目して物量と金額の両面からロス分析を行う「マテリアルフローコスト会計(MFCA)」である。本稿では、当社におけるMFCAの導入過程を振返るとともに、その成果を明らかにすることにより、MFCAの有用性を考察したい。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計 31】MFCA手法導入による環境活動の変革
廣岡政昭 キヤノン化成株式会社代表取締役社長
▼概要文表示2008年4月号

 事業拡大に比例して増大している環境負荷の低減、さらに特定部門に偏った環境活動から全員参加型の環境活動に変革、これらの課題に苦慮していた時期に出合ったのがマテリアルフローコスト会計(以下、MFCAと記す)である。2004年から一部の部品加工職場に導入をスタートし順次導入職場の拡大を図ってきた。その結果、予想を上回る環境負荷削減効果と職場主体の環境活動に変革することができた。現在は、加工部門&技術部門&開発部門を巻き込んだ三位一体型のMFCA活動として進化の途上であるが、その取組みの推移について紹介する。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計30】林業経営における原価計算システム導入とマテリアルフローコスト会計への拡張可能性
梶原 晃 あずさサスティナビリティ株式会社
▼概要文表示2008年3月号

 日本の林業経営では,特定の期間の経営成績や時点の財政状態を適正に把握することを意図する原価計算は行われてはこなかった。そこで,不透明であった林業の経営成績と財政状態を明らかにするためのツールとして,単位あたりの具体的な立木生産原価の計算過程を明らかにしその計算方法を新たに提案すること,および,その延長としてマテリアルフローコスト会計(MFCA)の導入可能性について検討することを本稿の目的としたい。こうした新しい業績評価方法を導入することによって,ライフサイクルを通じた収益費用構造を明らかにすることができれば,林業事業体の経営効率が高まり,より環境負荷の低い林業経営が可能になると考える。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計29】東北地域におけるマテリアルフローコスト会計の普及活動
今田裕美 株式会社東根新電元総務部部長付マテリアルフローコスト会計・社会コミュニケーション担当
▼概要文表示2008年2月号

 ㈱東根新電元は,2004年度(平成16年度)に廃棄物削減を切り口としたマテリアルフローコスト会計(以下「MFCA」という)を導入した。その後,資源生産性のロスをより改善するための施策を検討し,取り組んできている。また,弊社は,MFCAを導入することにより認識される資源生産性という新たな視点とその有用性を,「企業の社会的責任からの観点」と「東北地域に普及拡大させたいとの想い」から,各種団体などと連携しながらMFCAの普及啓発活動についても実施してきている。東北経済産業局においても2007年(平成19年)には,平成19年度環境経営・ビジネス促進調査事業(東北地域におけるマテリアルフローコスト会計の導入指導の普及と金融支援のあり方に関する調査)を開始しており,MFCAの国際標準化に向けての地域でのプラットホーム(共通基盤)作りが始まっている。本稿は,東北地域におけるMFCA普及の現状とMFCA普及のための施策等を紹介するものである。

<シリーズ>【実践マテリアルフローコスト会計28】ウシオにおける環境生産性向上への取り組み―マテリアルフローコスト会計の導入
藤田利和 ウシオ電機株式会社ランプカンパニー環境マネジメント推進室
▼概要文表示2008年1月号

 ウシオ電機株式会社では2006年9月にマテリアルフローコスト会計(以下,MFCAという)を導入。主要製品であるランプを構成する電極及びバルブの加工工程で試行してきた。その結果,MFCAの手法を用いて隠れたロスを物量・金額両面で顕在化することができ,改善策についても職場レベル,職場を越えた取り組みへと徐々に進展してきている。MFCAによるコスト削減効果をさらに大きな成果につなげるには,点から線へ,線から面へと拡大していく必要があり,対象工程をさらに増やしつつ活動を続けている。導入から試行実施の1年余りを振り返り,その取り組みの推移を紹介する。

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