通信教育QA:6大規模大気特論

第1章 拡散現象一般

Lesson1 大気汚染濃度の推定と非煙拡散の一般特性

煙突の風下距離と着地濃度の関係について
  • Q全文:煙突の風下距離と着地濃度の関係について詳しく知りたい。

    A答え:

    煙の拡散状態を図―1に示します。上図は実際の拡散図であり、色が濃くなるほど濃度が高いことを示しています。下図は“地表面における煙濃度”の変化を表しています。煙源の近くでは煙は地上まで拡散してきませんから煙濃度 C = 0 です。煙は風に乗って風下方向に流されながら、垂直(高度)方向、水平方向に拡散して広がり、煙は縦方向、横(風下方向に直角:図では奥行前後)方向の幅が広がります。
     煙が拡散して地上に達すると煙の濃度が測定できるようになります。さらに風下方向では、煙濃度の高い部分が地上に達するようになり、濃度は上昇します、さらに風下では拡散した煙が地表面に達するため、煙濃度は低下し図-1の下図のようになります。
    QA105.PNG
    次に、有効煙突高が約2倍の場合の拡散状態を図-2の赤で示しました。有効煙突高が低い黒煙突からの拡散と有効煙突高の高い赤煙突からの拡散を比較すると、
    ①  着地濃度が最初に現れる点は、黒煙突の方が煙源に近く、赤煙突の方が煙源から遠くなります。
    ②  このため、最大着地濃度(Cmax)出現地点(xmax)も黒煙突の方が煙源に近く、赤煙突の方が煙源から遠くなります。
    ③  すでに述べたように、煙は風下方向に煙源から離れるににつれ、拡散によって垂直方向、水平方向に幅を広げていきますから、必ず煙源から離れると濃度は低下します。したがって、図-2に示すように “黒煙突のCmax > 赤煙突のCmax” となるのです。
    QA106.PNG
    煙の拡散幅(垂直方向の拡散幅 σz)が大きいということは、煙を横から見た時の煙の幅(図-2の煙の幅)が大きいということです。この幅(σz)が大きければ煙は早く地表に達しますから煙の着地点は小さくなります。すなわちあまり拡散しない状態で地表に達します。このため、xmax は小さく、Cmax は大きくなるのです。

Lesson3 大気拡散と気象条件

風速の対数分布則と大気の熱的安定度に関係について
  • Q全文:風速の対数分布則と大気の熱的安定度に関係について詳しく知りたい。

    A答え:一般に、低層大気中では地表面摩擦のために下式の微分方程式式が成立します。

        du/dz = u0/kz
    ここで、u:高度 z における風速(m/s)   u0:摩擦速度(m/s) k:カルマン定数(0.41)
    この式は、風速 u の高度変化率 du / dz は摩擦速度 u0 をカルマン定数と高度 z に反比例することを示しています。
     高度 z における風速 u(z) は上式を高度で積分することによって得られます。結果は下式となります。
        u(z) = u0/k・ loge(z/z0 )
    これをグラフにしたものが下図なります。中立の大気中での風速は図中の実線グラフとなり、このため風速の「対数分布則」といわれます。一方、中立でない大気中では風速は安定度によって中立の大気より早くなったり遅くなったりします。一般に、不安定な大気中では風速は早く、安定な大気中では風速は遅くなります。これが図中の点線部分であり、完全な直線関係ではありませんから、この関係を“log + limear 則”といいます。linear とは直線を意味します。0618A.PNG

低層大気中における風速の鉛直分布で,べき乗則が近似的に適用される場合は?
  • Q全文:低層大気中における風速の鉛直分布は,理論的には対数分布則又はlog+linear 則で表されることになります。また,これとは別に式3‒5 で示されるようなべき乗則が近似的に適用されるのはどのような場合ですか?

    A答え:log+linear則は大気が中立である場合には p23 の図3-5に示すように地表面からかなりの上空まで直線であり、3-4式で種々の高度の風速を計算することができます。

    しかし、大気が安定であったり逆に不安定な場合には中立の場合とは異なってきます。このため、種々の高度における風速を求めるには中立の場合と比べて簡単ではなくなるのです。一般に煙等の拡散において風速は極めて大きな要因であるため、種々の高度での風速を計算する必要があります。

    この時、コンピュータで効率よく拡散計算を行うには簡単な計算式(計算パラメータ数が少なくその値を明確に決定できる必要があります。)を用いる必要があります。すなわち、べき乗則は近似則ですが計算の目的には良く合致しており非常によく使用されます。

    まとめると、低層大気中における風速の鉛直分布は、理論的には対数分布則または log+linear則で表されますが、実際にシミュレーション等で拡散計算する場合には近似的にべき乗則が使用されることが多いのです。0618A.PNG

コンスタントフラックス層で熱と運動量の鉛直フラックスが一定の理由は?
  • Q全文:コンスタントフラックス層について熱と運動量の鉛直フラックスが高度によらす一定であることと風速、温度の鉛直変化が大きいこととは矛盾していないですか?

    A答え:コンスタント・フラックス層(CFL)とはその名のとおり、“フラックスが一定(コンスタント)”な層を示します。通常“平坦な地形”上に形成される大気境界層の最底部、30~50 m を指します。ここで、“平坦な地形”とはアメリカなどにみられる大平原のような地形です。日本の特に都市部などでは異なる状況にあります。都市部におけるCFL の研究は現在精力的に行われていますが、まだ、不明な点が多いようです。“鉛直フラックスが高度によらず一定”ということは、鉛直方向のフラックスが“無い”ということではありません。CFL は極めて薄い層(高度30~50mの間)ですが、その間において一定速度で熱量、運動量のフラックスがあり、このため乱流が生じています。このため、”風速、温度の鉛直変化が大きく”なります。通常の中立や安定な大気では高度に応じてフラックス速度が異なるため、安定化し、上下の大きな乱流は生じません。
大気安定度と煙の形状の関係は?
  • Q全文:大気安定度と典型的な煙の形状について詳しく知りたい。

  A答え:下層安定、上層不安定な状態の屋根形と下層不安定、上層安定のいぶし形について
     説明します。

・下層安定、上層不安定(屋根形) 

qa6_1.png

  左図:大気の温度勾配(破線;乾燥空気、実線;実際の大気)

右図:左図のような大気中に煙が放出された場合の煙の挙動

  温度勾配から見た大気の様子(安定度)

1. 地表面付近:強安定状態 ----- 煙はほとんど拡散しない → 運動量、外気との温度差で煙上昇

2.上空:不安定状態-----煙はよく拡散

3.この結果、強安定状態の地表面付近では煙は拡散することなく上昇し、不安定状態な上空に達すると急激に拡散します。また、強安定な下層には拡散してきませんから、煙の状態は右図のように「屋根形」と呼ばれる状態になります。

・下層不安定、上層安定(いぶし形)

qa6_2.png

          左図:大気の温度勾配(破線;乾燥空気、実線;実際の大気)

  右図:左図のような大気中に煙が放出された場合の煙の挙動

  温度勾配から見た大気の様子(安定度)

1.地表面付近:中立〜不安定状態 ----- 煙はよく拡散する

 2.上空:強安定状態----- 煙は全く拡散しない。また、下層からこの状 態の大気に煙は拡散してこない。

3.この結果、煙突から排出された煙は上空に上昇するものの、強安定状態の領域には拡散することができず、下層内でのみ拡散します。煙の状態は右図のように「いぶし形」と呼ばれる状態になり、大気汚染としては最悪の状態になります。

   これらの大気の状態には、冬季の放射冷却、上空に気団が侵入してきた

   場合などに発生します。

        中立大気中での煙の拡散は、「不安定と安定の中間的な状態」になります。
温位、温位勾配と大気安定度の関係について
  • Q全文:温位、温位勾配と大気安定度の関係について詳しく知りたい。

  A答え:“温位”とは「各高度(z)にある気塊を地表面付近(1,000hPaの高度)に断熱的に移動させたときの“温度”」です。“温度”と“温位”は間違いやすいですから特に注意してください。ご質問の内容からどうも上記を混同されているように感じます。

 “温位勾配”も大気安定度の基本になっている“気温勾配”も、いずれも“気温の高度変化”です。もう少し正確に言うと温位勾配は「地点 z と地表面付近との“温度差”の高度変化」であり、気温勾配は「地点 z の“気温そのもの”の高度変化」なのです。そして、両者とも基準となるのは乾燥空気の“乾燥断熱減率(0.98℃/100m)”なのです。まず、“気温勾配”についてまとめておきます。こちらの方が温位勾配よりも出題頻度が高く重要です。
① 基準の“乾燥断熱減率 γd ”は0.98℃/100m です。すなわち高度が100m 上昇すると温度が0.98℃ 下降します。
② 中立な大気の場合:温度変化はほぼ乾燥断熱減率と同じです。
③ 不安定な大気の場合:不安定な大気の気温勾配(減率)γ は乾燥断熱減率 γdよりも大きく、“γ > γd ”なる大気で、100m の高度変化(上昇)で気温が0.98℃以上下降します。このような空気中では煙の拡散は大きくなります。
④ 安定な大気:安定な大気の気温勾配(減率)γ は、乾燥断熱減率 γdよりも小さく、“γ < γd ” なる大気です。すなわち, 100m の高度変化(上昇)で気温が0.98℃以下しか下降しません。このような空気中では煙の拡散は小さくなります。
これらについては完全に理解・暗記しておく必要があります。なお、温位との関係で補足をするならば、γ, γd はいずれも“減率”であることに注意してください。この定義は

                     (dT/dZ)d =-g/cp = -γ ------------(1) :乾燥断熱減率の定義式

次に温位についてまとめておきます。
 

  温位とは:各高度(z)にある気塊を地表面付近(1,000hPaの高度)に断熱的に移動させたときの“温度”です。
温位勾配とは:温位の高度変化を“温位勾配” と呼びます。

        dθ/dz = γd+dT/dz   ----------------------(2)  :温位勾配の定義式

  ここで右辺第2項は前述した“気温勾配”そのものです。
したがって、中立大気の場合の温位勾配は

中立大気の場合: dθ/dz = γd+dT/dz =  γd-γd = 0

となり、温位勾配(温位の変化率)は一定値となり、高度が変化しても同じ値となります。

不安定な大気の場合:気温勾配の③で述べたように、不安定な大気の気温勾配は大きく、 「 γ > γ d 」ですから、

 

        dθ/dz= γd+dT/dz =  γd-γd < 0


となります。すなわち不安定な大気の場合、上空に上がると温位が下がることになります。

 安定な大気の場合:気温勾配の④で述べたように、安定な大気の気温勾配は小さく、 「 γ < γ d 」ですから、

        dθ/dz= γd+dT/dz =  γd-γd > 0

となります。すなわち、安定な大気の場合、上空では温位が上昇することになります。
Q104.PNG

 

乾燥した空気の減率(温度勾配)と低層大気の減率について
  • Q全文:乾燥した空気の減率(温度勾配)と低層大気の減率はそれぞれ0.0098℃/m、0.6℃/100mとなっているが違いについて詳しく知りたい。

    A答え:前者は乾燥した空気の場合の減率であるため「乾燥断熱減率」と呼ばれています。この値が0.0098 ℃/m で高度が 1m 上昇する毎に温度が 0.0098 ℃ 低下することを示します。よって、高度が 100 m 上昇すると温度は0.98 ℃低下することになります。後者は低層大気に関するもので低層大気は通常の大気ですから通常は湿度(水蒸気)を含有しており、乾燥した空気の「乾燥断熱減率」とは減率が異なります。この値は0.6 ℃/100 m です。この数値は100 m 上昇する毎に温度が0.6 ℃低下することを示しています。この値は 0.006 ℃/m です。
大気境界層の中間境界層(強制対流層)の発生について
  • Q全文:大気境界層の中間境界層(強制対流層(について力が下向きに働いているのに上むきの強制対流が発生するのは何故か詳しく知りたい。

    A答え:運動量とは物質の質量(m)と移動速度(v)の積、すなわち mv をいいます。局所的な大気で下向きに運動量が作用するということは、空気が移動するということですから、移動した部分の気圧が低下し、そこに向けて空気の移動が生じます。これが強制による乱流であり、この連続によって強制対流が発生します。
     
鉛直フラックスについて
  • Q全文:鉛直フラックスについて詳しく知りたい。

    A答え:“鉛直フラックス”とは“熱”や“運動量”の鉛直方向の“変化量”です。フラックスは“流束量”とも呼ばれ、単位面積を単位時間内に移動する量を表します。すなわち“鉛直フラックス”は鉛直方向の“熱フラックス”や“運動量フラックス”から構成されており、熱フラックスは“長波放射フラックス”、“短波放射フラックス”、“潜熱フラックス”、“顕熱フラックス”などからなり、“運動量フラックス”は風によるものです。

     

第2章 拡散濃度の計算方法と予測手法

Lesson5 パフ拡散式、プルーム拡散式

最大着地濃度を求める際の設定条件について
  • Q全文:最大着地濃度を求める際の設定条件について排出口が地上源とみなせる場合はHe = ΔH となる理由を知りたい。

    A答え:“地上源とみなせる排出口において,”と記述されています。“地上源”とは“地上煙源”のことであり、“地面 = 煙源”と考えます。したがって実煙突高さ= 0 と考えますから 有効煙突高さ He は運動量および熱量による煙の上昇分 ΔH ということになります。
排出源での排出量の算出方法について?
  • Q全文:排出源での排出量の算出方法について知りたい。

    A答え:「煙突内部の面積×排煙流速」でもとめることができます。風速とは煙突外の風の速度を意味しますから、注意が必要です。

Lesson7 大気環境法令と環境影響評価

「環境影響評価法」の主務省令、主務大臣、所管の官庁は?
  • Q全文:「環境影響評価法」の主務省令、主務大臣は?所管の省庁はどこですか?

    A答え:「環境影響評価法」は環境省を主務省とする法律です。したがって、省令を出すのは環境省(すなわち「主務省令」=「環境省令」)、「主務大臣」=「環境大臣」ということになります。
     

Lesson8 大気環境濃度の予測手法

CTDM の主要構成要素である分配流線高度Hcについて
  • Q全文:CTDMの主要構成要素である分配流線高度Hcについて詳しく知りたい。

    A答え:
    風下に山がある場合の煙の拡散は、複雑地形上の拡散計算の最も基本となる考え方です。これはテキスト P92 及び図8-3 にあるように大気の安定度によって煙の拡散状態を分ける考え方です。

    すなわち、

    ① 大気が不安定な場合:垂直方向の拡散が大きいため、プルーム主軸は地面に沿って流れ、地表面に対する相対的な高度は一定。つまり、プルームは風下にある山を乗り越える形で拡散していく。
    ② 大気が安定な場合:煙は垂直方向への拡散が大きくないため、プルーム主軸は水平に流れ、プルームの絶対高度は一定で拡散していきます。すなわち、プルームは風下の山を回り込むようにして拡散していきます。 上記は非常に単純な仮定ですが、他のモデルの基礎となるものです。
     

 EPA (Environmental Protection Agency:アメリカ環境保護庁) は1980年代後半にCTDM (Complex Terrain Dispersion Model:複雑地形における拡散モデル) を提案しました。風下の孤立丘(単独に存在する丘陵、山)周囲における気流と拡散についての理論に基づいています。これは最初に示した複雑地形モデルに似た考えですが、大気安定度ではなく、プルーム位置の高度によって、孤立丘を乗り越えていく LIFT モデルと孤立丘を迂回するWRAPモデルという2種のサブモデルで計算するものです。 この時、LIFT モデルとWRAP モデルの分岐高度を分配流線高度(HC)といいます。このように、HC は重要な概念の値ですが拡散計算結果と実測結果の比較等によって決定します。

0618B.PNG

 

風洞実験における大気との相似則について
  • Q全文:風洞実験にに置いて、地形や建屋の影響に関しては、大気との相似則を満足しやすいとあるがこれについて詳しく知りたい。

    A答え:
    ここでいう“相似”とは、幾何における相似であり、物体A とBが同じ形状をしていてその大きさが正確に比例関係にあることを言います。
     風洞実験の場合、どんなに大きな風洞であっても現実の建築物を風洞内に持ち込むことはできず、当たり前のことですが何分の1かの模型で実験することになります。例えば1/100の縮尺の模型を風洞内に入れて実験する場合、通常実験する風速も1/100 の風速で実験を行います。これが“大気との相似”です。
    風洞実験の主要目的である大気中におけるダウンドラフトなどの煙の挙動に関しては、模型の縮尺に合わせて風速を制御すればよいため、「大気との相似則を満足しやすく」と表現しています。
風洞による拡散の模型試験の測定時間について
  • Q全文: 風洞実験で得られる濃度は数分程度の平均化時間に対応』とありますが、測定はどの程度の時間必要か詳しく知りたい。

    A答え:
    風洞とは、固定した模型の周りに空気を流し、目に見えない「空気の流れ」によっておこる現象(その模型に働く力やその周りの風の流れを計測する)を調査研究するための装置で、100年以上の歴史があります。最初は航空機の機体の研究に使用され、現在では自動車車体周囲の空気の流れや車体に対する力学的な状態を計測するなどに多用されています。環境面では、煙源からの排煙の流れの可視化や濃度測定などにも使用されますが、上の説明から明らかなように日本最大の風洞を用いても実物大での実験は不可能であり、煙突周囲の精密模型を使用せざるを得ません。風下距離数キロメートルの模型を製作するとなるとその大きさ(縮尺)は非常に小さくならざるを得ません。したがってその縮尺に対応した安定した風速を風洞内で実現することは非常に困難なのです。
    風洞実験では煙源の極近辺について拡散状況を再現することは可能ですが、風向が一定している場合であり、通常その平均化時間は数分程度と考えられています。通常の環境汚染物質に関しては1時間程度の平均化時間が必要とされます。平均化時間1時間の間に風向変化、大気の安定度が変化しますから、風洞実験ではこれを再現する必要があります。風向に関しては模型の方向を変えることなどによって対応は不可能ではありませんが、大気の安定度などの変化に対しては対応が非常に困難です。そのため中立の大気であればある程度の予測は可能ですタから、平均化時間1時間を単純に予測することはできません』。しかし、風洞実験で1時間平均濃度を予測するための方法が電力会社を中心として模索されています。

Lesson11 セメント

残存酸素濃度を規制する目的及び範囲について
  • Q全文:残存酸素濃度を規制する目的及び範囲について教えてください。
     
    A答え:セメント焼成炉からの、ばいじん、SOx、NOx、ダイオキシン類の排出規制値は排気中の物質濃度で規制されていますから、燃焼時に用いる空気量(空気比の値)によって、排気中の物質濃度が変化します。空気比の値によって、排気中の「酸素濃度」が変化し、空気比を大きくすると「所要空気量」が大きくなり、排気中の酸素濃度が増加します。(「大気特論」の燃焼計算参照)
  種々の法律では、燃焼条件を一定とするため、排気中の残存酸素濃度の概略値を決めてあります。これが「適用法令」欄の記載値です。
「ばいじん」の場合の標準酸素濃度補正の式は次のようになります。セメント焼成炉の標準的な残存酸素濃度はこの式のOnの値(施設と規制対象物質によって規定されている)です。実際のセメント焼成炉の残存酸素濃度(実測値)をOsとして、標準酸素濃度でのばいじん量に補正して評価します。
     C=(21-O_n)/(21-O_s )×C_s (g)

   C :ばいじんの量(g)
   On:標準酸素濃度(%)
   Os :排出ガス中の酸素の濃度(%)
   Cs :JIS Z 8808 に定める方法で測定されたばいじんの量(g)

【参照】 大気特論第2章燃焼計算
 

ページの先頭へ戻る