特別対談・インタビュー 2015年1月環境最新情報

特別対談:産業技術総合研究所 中鉢良治 理事長にきく(2015年1月)

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201501_chubachiXtomizawa_pic.png 産業技術の向上で持続可能な社会を実現し、社会的・経済的な価値を創造する── この方針の下、産業技術総合研究所は、長年日本のテクノロジーの進化を牽引してきた。そしていま、革新的なイノベーション創出に向けて新たな展開を進めている。本記事では、産業技術総合研究所・中鉢良治理事長に当協会・冨澤龍一会長とご対談いただき、企業が抱える環境経営の課題、環境技術が持つ国際競争力のポテンシャル、そして産業技術総合研究所と当協会がこれから果たすべき役割まで、多岐にわたり語っていただいた。
(写真 左:冨澤(産業環境管理協会) 右:中鉢理事長(産業技術総合研究所))

||| コンテンツ |||
日本の産業を支えるイノベーションで新たな価値を創出する
産総研が取り組む「攻め」と「守り」のグリーン・テクノロジー
「そうだ、産総研に行こう」活用してほしい産総研の技術力
イノベーションに必要な「インテグレーション」の担い手
企業の環境経営をサポートして国際競争力を高める
「ゼロでないリスク」をロジカルに評価するマネジメントが日本には必要
3Rはインフラ整備の問題国の制度設計が重要になる
化学物質管理には新しい国際ルールが必要になる
これからの環境経営と産総研、産環協の役割

 

日本の産業を支えるイノベーションで新たな価値を創出する

冨澤:本日はご多忙のところありがとうございます。まず始めに我々産業環境管理協会(以下、産環協)の紹
介を簡単にさせていただきます。私どもの組織は昭和37年秋の創立で52年の歴史があります。大気汚染防止の機器メーカーなど民間企業で構成される任意団体としてスタートしました。その後、工場の排水処理技術や鉱山を含むほとんどすべての産業にかかわる環境保全に事業対象が広がりました。
 その間、石油化学産業の発展や自動車の普及などでNOxやSOxの問題が生じ、その解決で産業技術総合研究所(以下、産総研)とはご縁がありました。産総研の前身は工業技術院ですが、その時代に産総研が開発した大気汚染防止の技術を当協会会員のエンジニアリング会社が発展させるなど、当協会が関係する数多くの公害防止技術を研究開発されてます。

中鉢:産総研は産環協に対し公害防止技術に関する支援をしていたのですね。実は私も大学で鉱山工学を学んでいて環境とは深い関係がありました。鉱山工学の中の浮遊選鉱*1を専攻していたのですが、金属資源そのものが激減し、専門知識が活用できる鉱山が衰退していった時代にぶつかりました。神通川ではイタイイタイ病の問題が発生し、鉱害のみならず水俣や四日市の公害などが各地で勃発し、この二重苦のような環境にあって鉱山工学の学科を卒業しても就職はどうなるのかという危機感がありました。
(*1 浮遊選鉱:手選別が困難である粉状鉱物を水に懸濁させて気泡等を利用して岩石と鉱物を浮遊選別して分離するもの。岩石表面の親水性と金属の疎水性を活用した選鉱方法で低品位の鉱石からの金属回収率を抜本的に改善させた技術)
冨澤:その後、民間企業の経営者を経て、現在、産総研のリーダーになられたわけですね。詳しく産総研を存じ上げてない読者のために産総研の組織概要をご紹介下さい。
中鉢:産総研は旧通産省工業技術院の15の研究所などが統合・再編されて平成13年に設立されました。日本の産業を支える環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジー・材料・製造、計測・計量標準、地質などの分野の研究を行う我が国最大級の公的研究機関です。新成長戦略にも示されているグリーン・テクノロジーやライフ・テクノロジーを研究の二枚看板にして、基礎研究から応用研究、そして製品化・事業化への展開に力を入れています。
201501_chubachiXtomizawa_pic2.png 現在2,200名を超える研究者が、つくば本部を中心に全国の拠点で企業・産業界、大学、行政と連携しながら活動しています。特に環境や資源分野では大正9年の燃料研究所の設立に始まり、資源技術や公害対策、近年ではライフ・サイクル・アセスメント(LCA)やリサイクル技術など多くの分野で成果を上げてきました。
冨澤:当協会は、LCAにも関連するユニークなイベントを開催しています。環境製品の展示会「エコプロダクツ展」は昨年で第16回を迎えました。

(写真 左:対談中の冨澤(産業環境管理協会) 右:同 中鉢理事長(産業技術総合研究所))


産総研が取り組む「攻め」と「守り」のグリーン・テクノロジー へ続く〔PDFファイルにて、ご覧ください。〕)

 

201501_chubachiXtomizawa_kikanshi_top.gif産総研が取り組む「攻め」と「守り」のグリーン・テクノロジーこれからの環境経営と産総研、産環協の役割については、下記よりPDFファイルをダウンロードのうえ、ご覧ください。

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