2015年5月

interviewmark.png 栗田工業にき(2015年5月)

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〔取材・文:本誌編集部/写真提供:栗田工業〕

「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念として掲げる栗田工業(株)は、水と環境のマネジメント企業として、水処理薬品、水処理装置、超純水供給の分野におけるトップランナーである。特集にあたって本誌では、水資源、処理コストの削減、技術開発についての現状を聞くとともに、我が国の工場・事業所で使われる水処理の最新技術について、プラント事業本部 技術サポートグループ グループリーダー 北辻 桂氏にインタビューした。【環境管理|2015年5月号|Vol.51 No.5 より】

||| コンテンツ |||
  1.水環境は業種や立地条件によって異なる
  2.環境負荷の低減とコストダウン
  3.工場の現状にあわせたユニット型の処理装置
  4.バルキングを防ぐ技術
  5.薬品投入を調整するシステム
  6.
汚泥発生量を削減する技術
  7.工場の水処理設備をクリタが所有管理
  ex.工場排水の基本ワード解説(初級編)

1.水環境は業種や立地条件によって異なる

 201505_kurita_pic1.png── 日本の水資源、国内の工場における水の確保は現在どうなっているのでしょうか。
北辻:水資源の量の問題はあまりないといえます。その理由として、水を多量に使用する歴史のある石油化学、鉄鋼、紙パルプなどの工場は、昔から潤沢な水の取水権を確保しているからです。量の確保にはそれほど困っていません。しかも工業用水が利用できるので水の量に関してそれほど制約はありません。
 ── 内陸に立地することが多い電子産業には水不足がありませんか?
北辻:臨海工業地帯が各地にできたあとの比較的新しい産業、たとえば液晶、半導体、PC関連などの電子産業などでは、水資源確保と水コストの問題が顕在化しています。これらの産業で使う超純水では、多様な汚濁物質を含む河川の水を浄化するよりも管理下にある工程水を再利用したほうが低コストになるので、水のリサイクルが進んでいます。これらの工場では水をとても大切にしているので、伝統的産業とは水コストの評価がまったく異なります。
 ── 水を大量に使用する製鉄業や紙パルプ業はいかがでしょうか。
北辻:あくまでも一般的な話ですが、伝統的産業では水利用に関して最終製品の製造コストが確実に下がるのであれば対策をとりますが、そうでなければあまり考えずに従来通り水を大量に消費する事業所が多いといえます。水を低コストで十分確保できている伝統的産業は設備が大規模で他社競争もあるので、水資源の節約に力を入れにくい状況があるようです。
 ── 工業排水の再利用(再生水利用)について中国の大学と共同研究をしていらしたそうですが、現在の中国の状況はいかがですか?
北辻:中国は絶対的な水不足です。特に北京周辺などは慢性的な水不足に悩まされています。南の方はそれほどでもありませんが北は深刻な状況で、黄河地域の水不足のため、南の長江から数千キロの運河を築いて水を供給しています。水に困窮しているので、水の回収やリサイクルは日本よりかなり進んでいるといえるかもしれません。事実、取水に関して中国では大きな制約があるため、逆に水の再生利用が進んでいるといえます。下水処理場の隣に水再生処理場が設置されていることも珍しくありません。地域によっては、水がなければ下水も処理して使わざるを得ない状況です。

2.環境負荷の低減とコストダウン

 ── 排水処理に関して、国内工場の動向はいかがでしょうか。
北辻:既存工場では費用対効果を考慮し、水処理設備をすべて新しくつくり直すことはあまりありません。だから、最小のコストで古いものを改修したり一部分だけを更新または増設したりすることが多くなります。以前は大規模な施設を使っていましたが、生産量の減少で少なくなった排水量に応じて規模を縮小し、逆に処理効率を上げる工夫もなされています。製造プロセスの変更に合わせて処理能力や効率を最適化することも多いです。最小のコストで必要な水処理をするというのが一般的です。
 大震災以降は電気料金の問題があるので、やはり省エネの関心が高いですね。人件費に加えて高止まりしている電気代の節約、廃棄物発生量の低減、熱回収などあらゆるコストダウンについて当社に問い合わせがあります。これらが
企業ニーズになっており我々のチャレンジ対象にもなっています。たとえば嫌気のメタンガスはボイラー利用と発電利用があります。そこで弊社の「バイオセーバーTK」という嫌気生物処理装置では、発生したバイオガスをエネルギー源として発電等に活用し、企業収益に貢献することができます。メンテナンスはセンサ技術を活用したシステム化も展開しており、変調をきたしてダウンする前にあらかじめ警報を出すことも可能になっています。

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3.工場の現状にあわせたユニット型の処理装置 へ続く〔続きはPDFファイルにて、ご覧ください。〕)

【環境管理|2015年5月号|Vol.51 No.5 】

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