特別対談・インタビュー 2014年1月環境最新情報

interviewmark.png 國部 克彦氏(神戸大学大学院経営学研究科 教授)にきく(2014年1月)

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聞き手:黒岩 進(一般社団法人産業環境管理協会 専務理事)

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||| コンテンツ |||
- 環境と会計を連携させて「環境経営」を促進する(本ページに掲載)
- サプライチェーン内部で話し合って隠れていたムダを削減(本ページに掲載)
- 行き過ぎた品質、オーバースペック(過剰品質)にも原因
- 廃棄物発生はサプライチェーンの原材料、仕様書、納期などが原因
- アジアの競争優位を獲得するための環境経営
- 環境経営に役立つMFCA
- ドイツで開発され、国内では日東電工、キャノンが最初に導入
- 中小企業や新興国にメリットが大きいMFCA

- MFCA導入を成功させるにはトップマネジメントの理解が必須
- MFCA導入の成功事例
- アニュアル・レポートでのサステナビリティ関連情報の開示が今後の世界トレンド
- 環境と戦略の関係を開示することが重要
- 経済の持続可能性のためにも環境経営による長期スパンが必要
 

環境と会計を連携させて「環境経営」を促進する

201401_kokubu_pic1.png今回の新春インタビューでは、会 計を媒介に環境と経営を結びつけるという分野で先駆的な業績を残され、またMFCA(マテリアルフローコスト会計)のISO 化で中心的役割を果たされた神戸大学の國部克彦先生をお迎えして、環境経営について語っていただきたいと思います。最初にお聞きしたいのは、環境経営というコンセプトについてです。
國部「環境経営」は日本生まれの言葉です。これは英語にするとエンバイロメントマネジメントになります。ところが、この英語を日本語に訳すと「環境管理」になってしまい「環境経営」とはかなりイメージが異なってしまいます。一方、「環境管理」は英語でエンバイロメントマネジメントシステム(EMS)と なり、ISO 14001などを指します。
 「環境経営」は、2000年頃から日本企業で使用されはじめ、工場や現場レベルよりももっと広い意味を持っています。つまり、環境経営という言葉は、日本では企業のトップマネジメントが「環境に対して全社的に取り組んでいく」という形で普及してきました。
黒岩では、企業における「環境経営」の意義はどのようなものなのでしょうか?
國部実際、「環境経営」といっても掛け声だけでは、本当にやっているかどうかわかりません。「環境管理」であれば、現場における省資源・省エネ、廃棄物を減量する、有害化学物質を削減する、CO2を削減する、といった具体的目標に向かってEMSを活用できます。一
方、「環境経営」では、企業全体の中で目標を設定し環境戦略の中に取り入れることが必要です。環境管理レベルとは異なる対応が必要になります。
黒岩経営学や会計学の分野で環境に着目するというのは比較的新しい試みと思われますが、國部先生はどういった契機で環境経営や環境会計に取り組まれたのでしょうか。
國部企業存在の主目的は環境を守ることでなく利益追求ですが、経済活動をする主体の中に環境という要素を盛り込まない限り「環境経営」とはいえません。企業の経済活動を測定し評価しているのは会計システムなので、環境と会計を連携させることで「環境経営」を促進できるのではないか、というのがもともとの研究動機です。

サプライチェーン内部で話し合って隠れていた無駄を削減

黒岩少し具体的になりますが、環境経営において社内のみならず、原材料納入者、外注・協力会社、物流関連なども注目されつつあります。こういったサプライチェーン全体をじっくり俯瞰すると、付加価値がどこで発生しどこでムダが生じているかが判明するといわれていますが、サプライチェーンの中で実際のロス削減の成功事例をご教示いただきたいと存じます。
國部サプライチェーンに関してはいろいろな事例があります。産業環境管理協会が経済産業省から請け負ったサプライチェーンをベースとした省資源事例などにも成功例があります。
 プラスチックのロール材をつくる中小企業と、それを原材料にして製造加工をする大企業の例で説明します。ロール材の長さがたとえば800mでスペックが決まっているとします。そのサプライヤーは800mで納入するのですが、そこは数十人しかいない工場で、技術的な限界もあり、どうしても最後の製品は600mとか500mの短尺になってしまいます。そうなるとスペックの標準は800mだから、短尺は全部ダメだと思ってもう一度最初からつくり直すわけです。つくり直すというのはそれだけロスですが、両者が会って話をすると、バイヤーのほうは800mでも600mでも、その長さの割合で値段に反映してくれたら、あとは機械にかけるだけだから短いものも含めて買いますよということで、それだけロスが削減できたわけです。これはサプライチェーン内部で話し合うことでロスを削減できた事例です。

行き過ぎた品質、オーバースペック(過剰品質)にも原因 へ続く〔続きはPDFファイルにて、ご覧ください。〕)

【環境管理|2014年1月号|Vol.50 No.1 】

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