特別対談・インタビュー 2020年2月環境最新情報

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      SDGs未来都市・横浜の実現に向けて
     ーヨコハマSDGsデザインセンターの取り組み

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 横浜市は、2008 年に「環境モデル都市」、2011 年に「環境未来都市」に選定され、環境問題や超高齢化問題など世界共通の都市課題に取り組んできた。その先進的なまちづくりをさらに推し進めるとともに、世界が合意した「持続的な開発目標(SDGs)」の達成に貢献するため、2018年6月に「SDGs未来都市」に選定され、一層の先鋭的な取り組みを求められることとなった。
 本稿では、企業や団体との「連携」により事業を創出し、SDGs未来都市を実現するために創設された「ヨコハマSDGsデザインセンター」における具体的な取り組みについて、横浜市温暖化対策統括本部 SDGs未来都市推進課 小林 武担当係長に話を聞いた。

【環境管理|2020年2月号|Vol.56 No.2 より】
取材・文:本誌編集部/図・写真提供:横浜市

||| 目 次 |||
環境モデル都市からSDGs未来都市へ ──「環境」と「超高齢化」への取り組み
- 「シーズ」と「ニーズ」を SDGsを共通言語として連携
「住みたい」「住み続けたい」 まちの実現へ ── 民間企業とのコラボレーション
短時間勤務を職住近接で実現 ──ショートタイムテレワークの実証実験
子育て世代、高齢者のための モビリティ環境の形成 ── オンデマンドバス実証実験
- 「SDGsハウス」における 企業同士のコラボレーション
- SDGsの新たな一歩のために

※太字部のみWEB掲載(全編は本ページ下部より、PDFファイルをダウンロードのうえご覧ください。)

環境モデル都市からSDGs未来都市へ ー「環境」と「超高齢化」への取り組み

 ── SDGs未来都市の選定に取り組まれたそもそも の契機を教えてください。
小林:2008 年に最先端の環境対策、温室効果ガス削減の対策を進める取り組みをモデル的に実現するための都市指定が行われました。それが「環境モデル都市」で、選定された 13 都市の中に横浜市もラインナップされました。それをベースに超高齢社会の対応をプラスさせたものが「環境未来都市」で、2011 年に新たに選定されました。
 さらに 2018 年 6 月に、これをステージアップさせる形で、「経済・社会・環境」というSDGsの三つの側面の統合的解決を図る日本のSDGsの達成に向けたモデルとなる都市として「 SDGs未来都市」に選定されたのです。
 ── 横浜市は環境への取り組みでは歴史がありますね。
小林:
2008 年頃から環境への前向きな取り組みがはじまり、2010年に策定した横浜市の総合計画では、「環境最先端都市戦略」という中期的戦略を打ち出しました。積極的な環境対策、低炭素な都市づくりを目指す最先端の取り組みを政策的に行い、それを対外的に発信していくことを脈々と続けているわけです。
 2011 年からの「環境未来都市」での一番の取り組みは、「横浜スマートシティプロジェクト」でした。約4,000世帯の方々と企業の皆様に協力をいただき、デマンド・レスポンスと呼ばれる電力使用のピークカットを目指す実証プロジェクトを実施しました。ビル部門と家庭部門をあわせてCO2排出量を29%削減、省エネ率が17%という成果があがりました。
 超高齢社会への取り組みとしては、「持続可能な住宅地モデルプロジェクト」があります。横浜市の住宅地は鉄道網の建設にあわせて横浜港を中心に放射的に広がっていきましたが、新しく開発された住宅地には一気に人が流入してくるため、一斉に高齢化してしまうのです。そのような方々に長く横浜に住み続けたい、新しい方々に住みたいと思っていただけるような取り組みをしていこうということで始まったのがこのプロジェクトです。「たまプラーザ駅北側地区(青葉区)」、「十日市場町周辺地域(緑区)」、「相鉄いずみ野線沿線地域(旭区・泉区)」、「洋光台周辺地区(磯子区)」で展開しており、現在も続いております。
 2,000 世帯以上の団地の老朽化の進行、バス便の減便による地域交通の不足などの問題があります。このような住宅地の魅力向上を図るために、沿線開発を進めてきた鉄道事業者や住民の方々とともにまちづくりに取り組むことは非常に重要です。横浜市は自治会、町内会の結成率が70%以上と、昔から「地縁」や「地域コミュニティ」を大切にしている都市で、新たに入ってくる若い人たちが自然と地縁の中に溶け込んでいくような形を目指すべく、地域コミュニティを活性化させるしくみづくりを重要視しています。

「シーズ」と「ニーズ」を SDGsを共通言語として連携

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 ── 2018 年にSDGs未来都市に選定されます。
小林:
選定を取るにあたって、横浜市の総合計画との連動を十分に考えることを重視しました。基本的には中期4か年計画とSDGs未来都市計画を同時期に策定していたため、できるだけ一体的になるように策定するよう進めました(図1)。このことで、中期計画に位置づけられた市の取り組みと、SDGs未来都市・横浜の取り組みが合致するということになります。
 ── 全市的にSDGs未来都市・横浜の実現に向けて 取り組んでいるということですね。
小林:
そうです。第1回の都市選定にて29都市がSDGs未来都市に選定されました。そのうちの10都市が、さらに先駆的な取り組みを行っているという評価を受けて、自治体SDGsモデル事業というものに認定されています。これにより、国から先進的な取り組みを行っているというお墨付きと交付金をいただきました。
 そのSDGsモデル事業として、今一番打ち出しているのが「ヨコハマSDGsデザインセンター」です。それは「経済・環境・社会的課題の統合的解決を図る、『横浜型大都市モデル』の創出に向け、多様な主体との連携によって自らも解決に取り組む中間支援組織」です(図 2)。

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 「市内の様々な主体」というのは、企業や大学、地域活動団体などのステークホルダーの方たちです。その方たちから、「SDGsというものを企業活動に取り入れていきたいのですが、どんな取り組みをしていけばいいのか」というような相談があります。そこで具体的に、「ではそちらの企業としてはどのようなことができるのか」ということを引き出す。それがシーズとなります。
 そこに、市の地域にある課題、例えば高齢化が進んでいたり、駅から離れているので交通の問題が生じているなど、地域のニーズをSDGsの視点からうまくくっつける。そうすることで新しい取り組みを生み出し、それを成功させることによって、横浜はこんな事業を成功させたというモデルをつくる。それを「横浜型大都市モデル」として世の中に発信していく。
 それが評価されれば、いろいろな都市で展開、実践して定着していく。そういう将来を見据えながら、様々な取り組みを新しく生み出していこうというのがヨコハマ SDGsデザインセンターです。

【環境管理|2020年2月号|Vol.56 No.2】

20180309163325-0001.gif下記よりPDFファイルをダウンロードのうえ、ご覧ください。
(本インタビュー全編ご覧いただけます。)

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