2016年3月
【中環審/土壌農薬部会】土壌制度小委員会(第1回)報告 (2016/3/28) |
土壌汚染対策法の見直しが始まる
平成28年3月28日に中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第1回)が開催され、土壌汚染対策法の見直し検討が始まった。4月、5月と自治体や関係団体へのヒアリングを行い、6月以降に改正骨子が明らかとなる予定だ。
今回は、第1回の検討会資料において環境省がまとめた土壌汚染対策の現状と課題(資料6)をもとに、土壌汚染対策法の改正議論の方向性についてお知らせする。
《土壌汚染対策法の改正議論の行方(環境省作成資料による議論方向性)》
- 施設操業中や土壌調査の一時的免除中の事業場であっても形質変更や搬出の規制をすべき
- 水質汚濁防止法による地下浸透防止措置が適用されている場合における、土壌汚染調査の免除又は軽減。土地所有者が有害物質使用特定施設の設置者でない場合の、施設設置者への調査協力依頼
- 4条調査(3,000平米以上の土地の形質変更時)の手続きの迅速化(土地所有者への私的資料の事前提出依頼等)
- 4条調査の届出対象となる土地について利用用途を踏まえて適正化(限定化)
- 4条調査における調査対象深度の変更
- 地下水の到達範囲について、環境省通知の目安によらず、個々の測定結果に基づく範囲とするよう促す
- 飲用井戸の効果的な把握のための取組強化
- 要措置区域の措置実施計画、完了報告の自治体への届出制の導入及び自治体による確認。分解生成物への対応、測定期間の措置実地計画への明記、措置完了後の台帳からの記録の抹消
- 要措置区域、形質変更時要届出区域に対する措置方法の見直し(両者のバランス調整)
- 同一事業場内において飛び地で区域指定がされている場合に、別の指定区域への移動を認めるべきか
- 土壌搬出時の認定調査の合理化
- 健康リスクの低い臨海部の工業専用地域への特定措置(土地の形質変更等)
- 自然由来、埋立材由来の汚染土壌の有効活用の仕組み検討
- 汚染土壌の処理について、処理業者から都道府県への処理状況報告の徹底
- 指定調査機関の技術能力向上のための対策の検討等
- 基金制度の今後の在り方の見直し(基金の利用促進)
(中環審土壌農薬部会土壌制度小委員会(第1回)資料6より本編集部作成)
※中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第1回) 議事次第・資料
https://www.env.go.jp/council/10dojo/y1011-01.html
※取りまとめは本編集部独自によるものです。本記事に会員専用情報はございません。
【水俣条約関係】水銀大気排出抑制対策調査検討会(第3回)報告 (2016/3/4) |
大気汚染防止法省令改正へ、水銀大気の排出規制の概要が明らかに
平成28年3月4日に水銀大気排出抑制対策調査検討会(第3回)が行われた。昨年の国会で、水俣条約の批准に向け改正大気汚染防止法が成立し、水銀排出施設に対し排出規制が導入されることが決定していたが、具体的な規制対象や排出基準値は決まっていなかった。
第3回となる本検討会では、大気汚染防止法で新たに規制対象となる「水銀排出施設」と「排出基準値」の検討会案が示された。今後中央環境審議会での議論、環境大臣への答申を経て省令改正が行われる予定だ。
━━┃第3回水銀大気排出抑制対策調査検討会 議題┃━━━━━━━━━
1.水銀排出インベントリーの更新結果の報告(割愛)
2.水銀大気排出抑制対策について
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2.水銀大気排出抑制対策(大気汚染防止法省令改正)について【検討会案】
条約の対象は、1.石炭火力発電所、2.産業用石炭ボイラー、3.非鉄金属精錬施設、4.廃棄物焼却炉、5.セメント製造施設となるが、大気汚染防止法上の規制対象施設の枠組みは、現行法のばい煙発生施設が利用される。排出基準値については、施設の規模やその用途等によってに排出基準が異なること、新設と既存施設でも異なる基準値が設定されていることがポイントとなる。
《検討会案による規制対象施設と排出基準》
条約上の対象施設 | 【規制対象施設】 大気汚染防止法のばい煙発生施設 |
【排出基準(μg/Nm3)】 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
項 | 分類 | 対象規模 | 区分け | 新規 | 既存 | |
石炭火力発電所 | 1 | ボイラー(熱風ボイラーを含み、熱源として電気又は廃熱のみを使用するものを除く。) | 伝熱面積が10m2以上であるか、又はバーナーの燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50L以上のもの。 | 石炭ボイラー | 8 | 10 |
産業用石炭燃焼ボイラー | 小型石炭ボイラー(燃焼能力が10万L/hr未満) | 10 | 15 | |||
非鉄金属(鉛、亜鉛、銅及び工業金)製造に用いられる製錬及びばい焼の工程 | 3 | 金属の精錬の用に供する焙焼炉、焼結炉(ペレット焼成炉を含む。)及び煆焼炉 | 1時間当たりの原料処理能力が1トン以上のもの。 | (1次施設) 銅又は金の精錬用※ |
15 | 30 |
4 | 金属の精錬の用に供する溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含む。)、転炉及び平炉 | |||||
(1次施設) 鉛又は亜鉛の精錬用※ |
30 | 50 | ||||
5 | 金属の精製の用に供する溶解炉(こしき炉を除く。) | 火格子面積が1m2以上であるか、羽口面断面積が0.5m2以上であるか、1時間当たりのバーナー燃焼能力が重油換算50L以上であるか、変圧器定格容量200kvA以上のもの。 | ||||
(2次施設) 鉛、亜鉛又は銅の精錬用※ |
100 | 400 | ||||
14 | 銅、鉛又は亜鉛の精錬の用に供する焙焼炉、焼結炉(ペレット焼成炉を含む。)、溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含む。)、転炉、溶解炉及び乾燥炉 | 1時間当たりの原料処理能力が0.5トン以上であるか、火格子面積が0.5m2以上であるか、羽口面断面積が0.2m2以上であるか、1時間当たりのバーナー燃焼能力が重油換算20L以上のもの。 | ||||
(2次施設) 金の精錬用※ |
30 | 50 | ||||
24 | 鉛の二次施設の用に供する溶解炉 | 1時間当たりの燃焼能力が10L以上であるか、変圧器定格容量40kvA以上のもの。 | ||||
廃棄物焼却炉 | 13 | 廃棄物焼却炉 | 火格子面積が2m2以上であるか、又は焼却能力が1時間1時間当たり200kg以上のもの。 | 廃棄物焼却炉(専ら自ら処理で原油精製工程以外から排出された廃油を焼却する場合を除く) | 30 | 50 |
水銀回収義務付け産業廃棄物、水銀含有再生資源を取り扱うもの | 50 | 100 | ||||
セメントクリンカーの製造設備 | 9 | 窯業製品の製造の用に供する焼成炉 | 火格子面積が1m2以上であるか、バーナーの燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50L以上であるか、又は変圧器の定格容量が200kVA以上であるもの。 | 原料石灰石中の水銀0.05mg-Hg/kg-Limestone(重量比)未満 | 50 | 80 |
原料石灰石中の水銀0.05mg-Hg/kg-Limestone(重量比)以上 | 50 | 140 | ||||
※非鉄金属製造に係るばい煙発生施設の分類に横断的に適用 注)検討会資料を基に本編集部作成。表組みにあたり一部表現を意訳・割愛しております。 |
┃リンク┃環境省HP
平成27年度 第3回水銀大気排出抑制対策調査検討会(2016/3/4)
平成27年度 第2回水銀大気排出抑制対策調査検討会(2016/1/25)
※本取りまとめは本編集部独自によるものです。
【NO.45-2】遺伝子組み換え生物等専門委員会の行方と合成生物学の扱い (2016/3更新 『機関誌:環境管理2016年3月号 先読み!環境法』より) |
1-1.経 過
(1)中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会(平成27年度第1回)
平成27年11月9日に自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会の平成27年度第1回が開かれ、議題の一つ「カルタヘナ法を取り巻く国内外の動向」に関し、委員及び事務局から「名古屋・クアルンプール補足議定書」について次のような発言があった。
(事務局)11月11日(水)に中央環境審議会自然環境部会があり、補足議定書に対応した国内措置のあり方についての諮問が議題とされている。同部会の議論を踏まえ、本専門委員会において議論していただくことが想定される。(環境省ホームページ:遺伝子組換え生物等専門委員会(平成27年度第1回)議事要旨より)
(2)中央環境審議会自然環境部会(第28回・平成27年11月11日)
議事の一つに「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール議定書に対応した国内措置のあり方について【諮問 】」が掲げられていた 。
(「1-2.カルタヘナ議定書と名古屋・クアラルンプール補足議定書」に続く)
※会員の方は、『改正内容はこちら』より全編ご覧いただけます↓↓
【NO.45-3】気候変動長期戦略懇談会提言骨子案(案) ―「5.社会構造のイノベーションを導くための戦略」が空欄 (2016/3更新 『機関誌:環境管理2016年3月号 先読み!環境法』より) |
1.1.経 過
平成27年12月17日の第4回懇談会で懇談会提言骨子(案)が示された。これは、我が国が直面する温室効果ガスの大幅削減と構造的な経済的・社会的課題の同時解決を目指すための中長期的な戦略を議論し、その結果を取りまとめるものとしている。
その骨子(案)は、「1.科学的知見と国際社会におけるコンセンサス」、「2.温室効果ガスの長期的大幅削減への道筋」、「3.我が国の経済・社会的課題と解決の方向性」、「4.気候変動問題と経済・社会的課題の同時解決の方向性、「5.社会構造のイノベーションを導くための戦略」となっているが、そのうちの「3.我が国の経済・社会的課題と解決の方向性」の「(1)我が国の経済・社会的課題」「4.気候変動問題と経済・社会的課題の同時解決の方向性」、「5.社会構造のイノベーションを導くための戦略」を紹介する。
(「1.2.社会構造のイノベーションを導くための戦略」に続く)
※会員の方は、『改正内容はこちら』より全編ご覧いただけます↓↓