2013年4月
環境関連法規の改正動向〔H25.3月~4月 閣議決定〕(H25.04.30更新)
現在(平成25年4月30日)、国会の会期中の真っただ中であり、環境関連法規についても改正の論議が行われている。以下の法律案について閣議決定がされ、今後国会で可決されれば改正が決まる。
■NO.1■「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」(H25.3.15)
我が国は、京都議定書第二約束期間(平成25~32年)には加わらないものの、国連気候変動枠組条約下のカンクン合意に基づき、今後の地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るべく、国による地球温暖化対策計画の策定を規定する等の所要の措置を講じる。
⇒ 改正法の施行は、一部を除き公布の日(即日)
- ■■改正の概要■■
【1】三ふっ化窒素を温室効果ガスの種類として追加する。 - 【2】国は、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、温室効果ガスの排出抑制及び吸収の目標、事業者・国民等が講ずべき措置に関する具体的事項、目標達成のために国・地方公共団体が講ずべき施策等を内容とする地球温暖化対策計画を策定するものとする。
- 【3】地球温暖化対策計画の案は、地球温暖化対策推進本部において作成することとする。
■NO.2■「大気汚染防止法の一部を改正する法律案」(H25.3.29)
一部の解体等工事において、石綿が飛散する事例や石綿含有についての事前調査が不十分である事例が報告されている。また、工事の発注者が石綿の飛散防止措置の必要性を十分に認識しないで施工を求めることについて問題視されており、石綿飛散防止対策強化が実施される。
⇒ 改正法の施行は、公布から1年以内
- ■■改正の概要■■
【1】石綿の飛散を伴う解体等工事の実施の届出義務者を、工事施工者から発注者に変更し、発注者にも一定の責任を担うことを位置付ける。 - 【2】解体等工事の受注者に、石綿使用の有無の事前調査の実施と、発注者への調査結果等の説明を義務付ける。(解体等工事に係る建築物等に石綿が使用されていないことが明らかなものを除く。)
- 【3】都道府県知事等による立入検査の対象に解体等工事に係る建築物等を、報告徴収の対象に解体等工事の発注者又は自主施工者を加える。
■NO.3■「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」(H25.4.19)
フロン類及びフロン類使用製品のメーカー等や業務用冷凍空調機器のユーザーに対して、フロン類の使用の合理化や管理の適正化を求めるとともに、フロン類の充填業の登録制及び再生業の許可制の導入等の措置を講じる。
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- ■■改正の概要■■
フロン類のライフサイクルの各段階の当事者によるフロン類の使用の合理化及びフロン類の管理の適正化を促すための措置を講ずる。また、法律の名称を「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」に改める。
⇒ 改正法の施行は、公布から2年以内
【1】フロン類の製造・輸入業者
温室効果の低いフロン類の技術開発・製造や一定の使用済フロン類の再生といった取組を通じフロン類の使用の合理化を求める。【2】フロン類使用製品(冷凍空調機器等)の製造・輸入業者
冷凍ショーケースなどフロン類使用製品について、一定の目標年度におけるノン フロン製品又は温室効果の低いフロン類を使用した製品への転換等を求める。【3】業務用冷凍空調機器の管理者
フロン類を使用した業務用冷凍空調機器の管理の適正化に取り組むことを求める(フロン類の漏えい防止のための適切な設置、点検、故障時の迅速な修理等を 主たる内容とする予定)。また、一定の要件に該当する管理者には、フロン類の漏えい量 の年次報告(国が集計して公表)を求める。【4】充填・再生の適正化
業務用冷凍空調機器に使用されるフロン類の充填業の登録制※、再生業の許可制を導入する。
- ■■改正の概要■■
- ※ 現行の「第一種フロン類回収業者」を「第一種フロン類充填回収業者」とし、フロン類の充填行為(整備時の冷凍空調機器への冷媒補充等)についても登録業者のみが行い得ることとする。
■NO.4■「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案」(H25.4.19)
特定外来生物が交雑することにより生じた生物による生態系等に係る被害が懸念されるなどの状況にあり、被害を防止するための施策を一層強化するための措置を講じる。
⇒ 改正法の施行は、公布から1年以内
- ■■改正の概要■■
外来生物の定義を改正し、これまで法の対象となっていなかった外来生物が交雑することにより生じた生物を、外来生物に含めることとします。
【2】放出等の禁止の例外
現在例外なく禁止されている特定外来生物の放出等について、防除の推進に資する学術研究の目的で主務大臣の許可を受けた場合及び防除の目的で主務大臣の確認又は認定を受けた場合は例外として行えることとします。
【3】措置命令の対象の拡充
主務大臣による措置命令の対象は、これまでは許可を受けて飼養等している者に限られていましたが、許可なく飼養等をしている者等に拡大するとともに、措置命令の内容として、特定外来生物の飼養等の中止、放出等をした特定外来生物の回収等を新たに規定します。
【4】所有者等不明の土地への立入り等の手続の整備
主務大臣等が、防除のために、その職員に所有者等不明の土地への立入り等をさせる場合の手続を新たに規定します。
【5】輸入品等の検査等の創設
特定外来生物が付着し、又は混入しているおそれがある輸入品等の検査及び特定外来生物が付着し、又混入している輸入品等の消毒又は廃棄の命令を新たに規定します。
■NO.5■「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案」(H25.4.19)
希少野生動植物種はその希少性から高額で取引されるものが多く、違法な譲渡し等の再犯事例も発生しており、悪質な違法取引が後を絶たない状況にあります。こうした状況を踏まえ、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存施策を一層強化する。
⇒ 改正法の施行は、公布即日~1年以内
罰則において大幅な強化を図り、希少野生動植物種の個体等の違法な譲渡し等に関する罰則の上限を引き上げます。
【2】広告に関する規制の強化
流通が認められていない希少野生動植物種の個体等に関して、販売又は頒布の目的で広告することを禁止します。
【3】登録関係事務手続の改善
国際希少野生動植物種の個体等の登録に関する事務手続を改善し、個体等の区分又は主な特徴等に変更が生じた場合における変更登録、登録票の書換交付等の手続を新設します。
【4】認定保護増殖事業の特例の追加
国内希少野生動植物種の保護増殖事業の円滑化を図るため、国及び地方公共団体以外の者が、環境大臣の認定を受けた保護増殖事業として行う個体等の譲渡し等について、環境大臣の許可を要しないこととします。
【5】目的規定に「生物の多様性の確保」を加えること等の追加
法の目的において、「生物の多様性の確保」の明記、国の責務規定に「科学的知見の充実」の追加、「教育活動等により国民の理解を深めること」の規定及び施行後3年を経過した場合の法の見直し規定を追加します。
■NO.6■「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案」(H25.4.19)
昨年の法改正により、放射性物質による環境汚染を防止するための措置が環境基本法の対象とされたことに伴い、大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)等の個別の環境法においても、放射性物質による環境汚染を防止する措置を講ずるための規定の整備を行う。
⇒ 改正法の施行は、公布の日から6か月ないし2年以内
■■改正の概要■■
【1】大気汚染防止法及び水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)について、放射性物質に係る適用除外規定を削除し、環境大臣が放射性物質による大気汚染・水質汚濁の状況を常時監視することとする。
【2】環境影響評価法(平成9年法律第81号)について、放射性物質に係る適用除外規定を削除し、放射性物質による大気汚染・水質汚濁・土壌汚染についても環境影響評価を行うこととする。
【3】南極地域の環境の保護に関する法律(平成9年法律第61号)について、放射性物質に係る適用除外規定を削除し、南極地域活動計画において放射性物質による環境影響も含めて確認することとする。
※ 改正の背景などの詳細は「改正内容はこちら」をクリック。(環境省ホームページへのリンク集)
NO.10-1 エネルギーの使用の合理化に関する法律改正案(H25.04.18更新)
現在会期中の通常国会において、昨年の国会では審議未了により廃案となった省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)の改正案が再び審議がされている。
国内のエネルギー需給の早期安定化が不可欠として、需要サイドで更なる省エネの推進を図るための改正
■■省エネ法(改正案)-概要-※一部分のみ■■
■トップランナー制度の対象品目の追加
-現行法では、テレビや車など実際にエネルギーを消費する機器23種が本制度の対象となっているが、
それを拡大し、建築材料(断熱窓・材)等のエネルギーの消費効率の向上に資する品目を追加する。
■工場等にかかる措置
-特定事業者が設置している工場において、エネルギー使用の合理化の状況が著しく不十分で、改善の
指示にも従わなかった場合、その旨公表がされる。
※その他詳細は、『改正内容はこちら(会員のみ)』をクリック
NO.10-2 新築住宅・建築物の省エネ基準の適合義務化に向けて(H25.04.18更新)
平成24年7月の経済産業省・国土交通省・環境省による「『低炭素化社会に向けた住まいと住まい方』の推進方策についての中間取りまとめ」において工程表が作成され、2020年までにすべての新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合化の義務付けが検討されている。
低炭素化社会の実現に向けた制度だが、伝統的な木造建築など省エネ基準の達成が難しいものもあり、制度化に向けた課題も多い。
※その他詳細は、『改正内容はこちら(会員のみ)』をクリック