2015年5月
(2015/5/22更新)
水銀新法「水銀による環境の汚染の防止に関する法律(案)」の課題整理が進む
平成27年5月22日に水俣条約対応技術的事項検討会(通算第3回)が開催され、検討会での中間報告書(案)が示された。中央環境審議会(環境省)、産業構造審議会(経済産業省)合同で本報告書をとりまとめ、中央環境審議会での審議ののち、パブリックコメントが実施される予定だ。
※今回の報告書案は、3月に閣議決定した法案(現在、国会審議中)をベースに取りまとめられており、国会審議の内容に応じて、見直しされる可能性がある。
水俣条約対応技術的事項検討会中間報告書(案) 概要
水銀新法に盛り込むべき内容として、主に以下の項目が、報告書案として示された。
■特定水銀使用製品の製造等禁止(報告書項番3.<法案第2条関係>)
水銀含有量が一定以上の電池や高圧水銀ランプ等の使用期限が示された。条約による廃止期限は2020年末日だが、ボタン型酸化銀電池や蛍光ランプ類など一部製品については、条約の期限より早い2017年末日を廃止期限とする案が出された。また、代替がきかず“市民の保護及び軍事的用途に不可欠”なもの等、製造禁止の適用を除外する製品についても整理が行われている。
対象製品:(1)電池 (2)スイッチ及び継電器 (3)ランプ類 (4)化粧品 (5)駆除剤等 (6)圧力計等
■新用途水銀使用製品の流通抑制(報告書項番4.<法案第13、14条関係>)
本法が施行されると、認められた既存用途製品(別紙2)以外は製造・販売等ができなくなる。しかし、新たに“人の健康又は環境保全上の利益がある用途”が生まれ、かつ製造・流通の規制が不要と判断される場合は、国内規制上は“既存用途製品”と同等に扱われ、利用を認めるという条項が盛り込まれる見込みである。
■製造工程における水銀等使用の禁止(報告書項番5.<法案第19条関係>)
国内ではすでに、条約の規制対象となっている水銀を使用した塩化ビニルモノマーやナトリウム等の製造工程はなく、条約規制対象となっている5つのすべての製造工程が禁止される。
■水銀等の適切な貯蔵(報告書項番6.<法案第21、22条関係>)
保管容器や貯蔵場所の取り決めなど飛散や漏れなどを防止するための技術指針の内容案が示された。重量濃度95%以上の水銀及び水銀化合物※を貯蔵する者に対し適用され、毒劇法の保管指針を参考に案が作られている。保管のみを対象としており運搬時に関する指針はない。また、水銀及び水銀化合物のいずれかを30kg以上貯蔵している者には、定期報告の義務が課せられ、年1回貯蔵状況等の報告をすることになりそうだ。
※水銀化合物=塩化第一水銀、酸化第二水銀、硫酸第二水銀、硝酸第二水銀、辰砂、硫化水銀
■水銀含有再生資源の適切な管理(報告書項番7.)
回収された水銀資源を適切に管理するための保管・運搬時等の技術指針が示されたほか、管理状況の定期報告の対象者や報告事項について、その案が示された。
以上
≪関連リンク≫
経済産業省 水銀に関する水俣条約 http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/mercury.html
※本取りまとめは本編集部独自によるものです。 ↓第3回検討会資料は『改正内容はこちら』をクリック↓
【公布・施行】1,4-ジオキサンに係る暫定排水基準の見直し (2015/5/1公布、同5/25施行) |
排水基準を定める省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令(平成27年5月25日施行)
1,4-ジオキサンに関する排水基準については、平成24年5月25日に0.5mg/Lを許容限度とする一般排水基準が設定された。施行時に設定された5業種のうち4業種に対する暫定排水基準の期限(3年間)を迎えたため、平成27年5月25日以降の基準について見直しが行われました。
改正の概要(環境省HPより)
現在暫定排水基準が設定されている4業種のうち、2業種(感光性樹脂製造業・下水道業)については暫定排水基準から一般排水基準へ移行します。ま た、残る2業種については以下のとおり暫定排水基準を強化し、適用期限を3年間延長します。(ポリエチレンテレフタレート製造業は暫定排水基準から一般排 水基準へ移行済み。)
■1,4-ジオキサンに関する暫定排水基準の見直し
業種 | 改正後の基準値 | 現行の基準値 |
---|---|---|
感光性樹脂製造業 | 0.5mg/L (本改正により一般排水基準へ移行) |
200mg/L |
エチレンオキサイド製造業 | 6mg/L (適用期間:施行日から3年間) |
10mg/L |
エチレングリコール製造業 | 6mg/L (適用期間:施行日から3年間) |
10mg/L |
ポリエチレンテレフタレート製造業 | 0.5mg/L (一般排水基準へ移行済み(平成26年5月)) |
|
下水道業※ | 0.5mg/L (本改正により一般排水基準へ移行) |
25mg/L |
※感光性樹脂製造業に属する特定事業場(下水道法(昭和33年法律第79号)第12条の2第1項に規定する特定事業場をいう。)から排出される水を受け入れているものであって、一定の条件に該当するものに限る。
≪関連リンク≫
(環境省 報道発表)「排水基準を定める省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令」の公布について(お知らせ)http://www.env.go.jp/press/100937.html