2014年7月

 

【中央環境審議会水環境部会】排水規制等専門委員会(第18回)報告
(2014/7/16更新)

排出基準の見直し委員会報告案(カドミウム関連)と次期の見直し対象物質について

 平成26年7月16日に行われた排水規制等専門委員会(第18回)を傍聴したので審議内容について速報として報告する。
カドミウムの排出規制(排出基準値)の強化が2月から検討されてきたが、先月に実施されたパブリックコメントへの対応などが検討され、本委員会における報告(書)が取りまとめられた。
 また、排水規制の次期見直し項目として「トリクロロエチレン」が挙げられており、同物質の基礎情報が参考資料として示された。

(参考:パブリックコメント)
「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて(報告案)」に対する意見の募集(平成26年5月30日)

━━┃審議事項┃━━━━━━━━━━━━━━━━
 1.パブリックコメントの実施結果とその対応について
 2.今後の予定
 3.その他(検討予定物質について(トリクロロエチレン))
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 1.パブリックコメントの実施結果とその対応について

  今回寄せられたパブリックコメントは1件のみで、報告書(案)の文書表現についての意見で、内容については前回の報告書から特に変更された点はなかった。報告書の主な事項として下記の通り。
 
報告内容(資料3)
(1)カドミウムの排水基準値を現行の0.1 mg/Lから0.03 mg/Lに強化
 ⇒ H23に環境基準が0.01 mg/Lから0.003 mg/Lに強化されたことを受けたもの
(2)地下浸透基準については、現行据え置き(0.001 mg/L)とする
 ⇒ 暫定的な据え置きである旨が強調されており、今後見直しの可能性がある 
(3)下記3業種に対して暫定排水基準を設定【暫定基準値:適用期間(施行後)】
 -金属鉱業【0.08 mg/L:2年間】
 -非鉄金属第1次製錬・精製業、非鉄金属第2次製錬・精製業(亜鉛に係るものに限る)【0.09 mg/L:3年間】
 -溶融めっき業(溶融亜鉛めっきを行うものに限る)【0.1 mg/L:2年間】
 

2.今後の予定

 改正(施行)は本年11月に予定されている。(資料5)

日 付 内 容
2014/09 水環境部会への報告
(その後、中環審から環境大臣へ答申)
2014/10下旬 改正省令公布
2014/11下旬 改正省令施行

 

3.その他(検討予定物質について(トリクロロエチレン))

 トリクロロエチレンの環境基準改正 0.03→0.01mg/L(2011)に伴い、排水基準の強化検討(現状0.3mg/L)の準備が始まった。(参考資料1)


※本取りまとめは本編集部独自によるものです。 ↓委員会資料は『改正内容はこちら』をクリック↓

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【中環審/循環型社会部会水銀廃棄物適正処理検討専門委員会(第2回)報告
(2014/7/7更新)

 いよいよ始まった水銀条約(水俣条約)の批准に向けた国内体制の整備、第2回の水銀廃棄物適正処理検討専門委員会では、廃棄物処理法の改正案など水銀廃棄物対策における基本的な論点が示された。検討すべき事項は多岐にわたり今後も議論が白熱しそうだ。

審議事項
 1.他部会における検討状況の報告(水銀廃棄物との関連分野)
 2.水銀廃棄物の処理に関する論点について
 3.その他

 

1.他の部会での審議状況について(報告)

 中央環境審議会では、循環型社会部会に設置された本委員会の他、2つ委員会でも並行して国内の水銀対策について審議が行っている。各委員会とも5月に第1回委員会が開催され、論点などの洗い出しが行われている。第2回目となる本委員会では、他の部会での第1回委員会の審議状況などについて報告がされた。

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※中環審のほか、産業構造審議会(経済産業省)においても水銀規制(水俣条約)への対応方法が検討されている。
 

2.水銀廃棄物の処理に関する論点について(審議)

 環境省から水銀廃棄物の論点と考え方について案が示された。
大別すると(1)廃金属水銀の処理(2)水銀を含有する水銀汚染物の処理(3)水銀添加製品の処理の3つが論点として挙げられた。

論点と考え方(環境省案)

(1)廃金属水銀の処理

1.廃金属水銀を特別管理産業廃棄物(特管産廃)に指定
  ⇒その有害性に鑑み特管産廃化
2.既存の特管産廃の収集運搬/保管基準に追加すべき項目
  ⇒特管産廃の収集運搬基準に加え、密閉性・耐損傷性・耐腐食性のある容器による運搬の追加
  ⇒特管産廃の保管基準に加え、容器に密閉、高温にさらさない、腐食防止の措置の追加
3.中間処理方法及び処分方法をどう定めるか
  ⇒精製→硫化→固形化による中間処理後、管理型処分場での処分(溶出基準を満たさない場合は遮断型最終処分場で処分)。
  ⇒管理型最終処分場への埋立て時には、他の廃棄物との混合禁止や雨水侵入防止措置等の上乗せを検討
4.金属水銀の廃棄物該当性について
  ⇒現在有価物として取り扱われることが一般的な金属水銀について、需要が軽減していくことが想定されるが、水俣条約上で認められた用途においては、今後も利用の継続が想定される。金属水銀=廃棄物という考え方はできず、他の廃棄物と同様に、個別事案ごとに総合的に判断する。

POINT
(3.について)環境省案では、遮断型最終処分場数が限られていることから、現実的な対応として、中間処理後は管理型の処分場で処分する案が示されたが、処分場からの排水管理や処分場の廃止が難しくなる点について委員から指摘があり、今後も議論の中心となりそうだ。

(2)水銀汚染物の処理

・一定濃度以上の水銀を含有する水銀汚染物について、中間処理方法を明示すべきか。
  ⇒水銀濃度が0.1%以上の水銀汚染物について、現在では水銀資源回収が一般的であったが、水銀需要の低下により埋立処分に回る可能性があり、水銀を回収してから埋立等の処理にかけることを明示化する。

(3)水銀添加廃製品の処理

1.家庭から排出される水銀添加廃製品の適正処理の促進策について(一廃関係)
  ⇒水銀を含む電池や蛍光管等は、7割程度が分別回収されている。水銀含有製品の一覧の明示など普及啓発を行い、既存の水銀回収スキームの活用を促す。
2.水銀が飛散/溶出しやすい廃製品の整理とその処理方法
  ⇒計測機器、照明機器については、水銀の飛散、溶出の可能性がある。水銀の付着しものの安定型最終処分場への埋立不可(蛍光管等の破砕したものが「ガラスくず」など)。
3.水銀が飛散/溶出しやすい廃製品であることを明示するための取組み
  ⇒マニフェストや委託契約書において水銀含有産業廃棄物であることを明示する。

(4)その他必要な施策

 ・家庭や医療機関での退蔵品(体温計、血圧計)への対応
 ・水銀使用製品のリスト化、上流側での対策
 ・新たな水銀処理施設の整備促進
 ・廃水銀と有価物水銀の保管基準の整合について
 ・水俣条約の輸出規定の影響について

POINT廃棄物でない水銀の保管方法についても、委員から意見が集まった。条約では、水銀の一時的な保管に関する規程はあるが、(廃棄物でない)水銀の長期間保管については定めていない。水銀需要の低下が想定される中で、今後、使われる見込みのない在庫が発生する恐れがある。これら余剰在庫となる水銀の取扱いについても今後審議が進む見込みである。 

3.その他

その他の議案として、廃棄物処理施設の排ガス対策について、環境省より報告があった。(参考資料3)


※本取りまとめは本編集部独自によるものです。 ↓委員会資料は『改正内容はこちら』をクリック↓

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