2014年9月

【中央環境審議会水環境部会(第35回)】報告
(2014/9/11)

第8次水質総量削減(規制)の検討が始まる

 平成26年9月11日に行われた中央環境審議会(第35回)を傍聴したので審議内容について速報として報告する。
 本委員会では、下記事項が議題として挙げられ、環境基準(トリクロロエチレン)、排水基準(カドミウム)の見直し報告がまとめられた他、第8次水質総量規制の検討をするための専門委員会の設置が承認された。
 水質総量削減は、現在第7次削減期間中で、閉鎖性海域(東京湾、伊勢湾、大阪湾)を対象に、COD、窒素、りんの当該海域の流入量の削減の取組みが行われている。この第7次規制の削減目標は平成23年に設定され、本年度(26年度)が第7次規制の目標年度となっている。〔議題4&5〕

【環境省 第7次水質総量削減】
http://www.env.go.jp/water/heisa/7kisei.html

━━┃審議事項┃━━━━━━━━━━━━━━━━
 1.水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて
 2.水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について
 3.水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて
 4.第8次水質総量削減の在り方について
 5.総量削減専門委員会
 6.地下水汚染未然防止小委員会の廃止について〔報告割愛〕
 7.報告事項
  ・1,4-ジオキサンに関する暫定排水基準について
  ・水環境における放射性物質モニタリングについて
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 1.水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて

  トリクロロエチレンの環境基準値の見直し案がとりまとめられた。今後、中央環境審議会会長の承認、環境大臣への答申を経て、改正施行される。

水質環境基準 項目名 新たな基準値 現行の基準値
トリクロロエチレン 0.01 mg/L以下 0.03 mg/L以下

 

2.水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について

 水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定の第7次報告が取りまとめられた。新たに下記3水域の類型が指定される。

 (今回類型指定がされる水域)
  (1)播磨灘北西部  (2)備讃瀬戸  (3)燧灘東部
 

3.水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて

 カドミウムの排水基準値等の見直し案がとりまとめられた。今後、中央環境審議会会長の承認、環境大臣への答申を経て、改正施行される。施行されれば、現行規制の3倍程度規制が厳しくなる。

(1)カドミウムの排水基準値を現行の0.1 mg/Lから0.03 mg/Lに強化
 ⇒ H23に環境基準が0.01 mg/Lから0.003 mg/Lに強化されたことを受けたもの

カドミウム 新たな基準値 現行の基準値
排水基準 0.03 mg/L 0.1 mg/L
地下水浄化基準 0.003 mg/L 0.01 mg/L

(2)地下浸透基準については、現行据え置き(0.001 mg/L)とする
 ⇒ 暫定的な据え置きである旨が強調されており、今後見直しの可能性がある 

(3)下記3業種に対して暫定排水基準を設定【暫定基準値:適用期間(施行後)】

暫定排水基準 指定業種 基準値 適用期間
金属鉱業 0.08 mg/L 2年間
非鉄金属第1次製錬・精製業
非鉄金属第2次製錬・精製業(亜鉛に係るものに限る)
0.09 mg/L 3年間
溶融めっき業(溶融亜鉛めっきを行うものに限る) 0.1 mg/L 2年間

 

4.第8次水質総量削減の在り方について & 5.総量削減専門委員会

 平成26年9月8日、環境大臣より、中央環境審議会会長に対して、第8次総量削減の在り方が諮問された。水環境部会内に「総量削減専門委員会」が設置され、COD、窒素、りんの指定水域内の汚濁負荷量の削減など水環境改善対策が検討される。
 今回の諮問(環水大水発第1409081号)では、「豊かな海」の観点から、干潟・藻場の保全・再生等を通じた生物の多様性及び生産性の確保を考慮した検討が必要であるとの記載があり、削減目標値など実際の政策にどのような影響があるか注視が必要である。

8ji_souryousakugen.png
第8次水質総量削減の在り方について(諮問)

 

7.報告事項
  ・1,4-ジオキサンに関する暫定排水基準について
  ・水環境における放射性物質モニタリングについて

1,4-ジオキサンに関する暫定排水基準について
平成27年5月に適用期限終了をむかえる1,4-ジオキサンの暫定排出基準について、継続の必要性や適用業種、許容限度値の見直しについて、排水規制専門委員会にて議論が始まる。

水環境における放射性物質モニタリングについて
平成25年の水質汚濁防止法の改正により、放射性物質についても同法の対象となった。現行法では、環境大臣による常時監視のみの規定(水質汚濁防止法第15条第3項)であり、今回そのモニタリング結果について報告があった。

 


※本取りまとめは本編集部独自によるものです。 ↓委員会資料は『改正内容はこちら』をクリック↓

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