2016年7月

【パブリックコメント】「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画(案)」について
(2016/7/21)

 「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画」の案が、環境省のホームページ上で公開されパブリックコメント(意見募集は8/22まで)にかかっている。
 本計画は、昨年公布された“水銀による環境の汚染の防止に関する法律”に基づき、水銀等による環境の汚染の防止に関する対策を総合的かつ計画的に推進し、あわせて水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保を目的として策定することとなっている。
 水俣条約で規定された措置は、我が国では下記の法令により実施されることになっており、本計画は、多岐の法令にまたがる措置について簡潔にまとめられており、“水俣条約”の受諾により、日本の水銀規制が今後どう変わるのか全容を把握するうえで非常に参考となる。

〔水俣条約の規定とそれを担保するための国内法令〕※計画案より本編集部作成

水俣条約の規定
それを担保する法令
水銀の採掘に関する措置(条約第3条(水銀の供給源及び貿易)関連) 水銀環境汚染防止法、鉱業法
水銀の輸出入に関する措置(同) 外為法
水銀添加製品の製造、輸出入に関する措置(条約第4条(水銀添加製品)関連) 水銀環境汚染防止法、外為法
歯科用アマルガムに関する措置(同) 歯科口腔保健の推進に関する法律、健康保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、高齢者の医療の確保に関する法律
製造工程における水銀等の使用並びに水銀等を使用する方法による金の採取(零細及び小規模な金の採掘を含む)に関する措置(条約第5条(水銀又は水銀化合物を使用する製造工程)、条約第7条(零細及び小規模な金の採掘)関連) 水銀環境汚染防止法
排出に関する措置(条約第8条(排出)関連) 大気汚染防止法
放出に関する措置(条約第9条(放出)関連) 水質汚濁防止法
水銀廃棄物以外の水銀等の環境上適正な暫定的保管に関する措置(条約第10条(水銀廃棄物以外の水銀の環境上適正な暫定的保管)関連) 水銀環境汚染防止法
水銀廃棄物に関する措置(条約第11条(水銀廃棄物)関連) 廃棄物処理法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、水銀環境汚染防止法、鉱山保安法
汚染された場所に関する措置(条約第12条(汚染された場所)関連) 土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、鉱山保安法


〔環境省報道発表(H28.7.21)〕
 「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画(案)」に関する意見募集について

〔環境省〕水銀に関する水俣条約の概要


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【NO.49】パリ協定批准に向けて——5月成立の改正地球温暖化対策法による国民運動の強化を出発点としてエネルギー政策から脱炭素化に向け社会構造のパラダイム転換を構想するアクション50-80 他1本
 『機関誌:環境管理2016年7月号 シリーズ連載|先読み!環境法』より

 2016年7月号の『環境管理(機関誌)』では、下記の2テーマについて、最新動向を解説している。各テーマの概要について紹介する。

1.パリ協定批准に向けて
――5月成立の改正地球温暖化対策法による国民運動の強化を出発点としてエネルギー政 策から脱炭素化に向け社会構造のパラダイム転換を構想するアクション50-80

 環境省は平成28年3月29日、「パリ協定から始めるアクション50-80~地球の未来のための11の取組~について」を公表した。  このアクション50-80は、2030年度までに温室効果ガス排出量を26%削減するとの中期目標の達成に向けて、また2050年80%削減の長期目標を目指し、今から具体的なアクションを起こすことが必要であるため、中長期の時間軸も念頭に、今後、環境省が進める取組の全体像を「パリ協定から始めるアクション50-80~地球の未 来のための11の取組~」として示すものとしている。
 その背景として、昨年のパリ協定の採択を受け、その実施に向けて、世界は新たなスタートを切ったこと。我が国は、温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比で26%削減(2005年度比で25.4%削減)するとの中期目標の達成に向けて、また、2050年に80%削減するとの長期目標を目指し、今から具体的なアクションを起こすことが必要(下線は筆者、以下同じ)であることを挙げている。こうした観点から、今国会で成立した地球温暖化対策推進法の改正で位置付けた国民運動の強化等を出発点として、社会構造(注)のイノベーションを目指し、環境省が進める取組の全体像を示すこととした、としている。
(注)経済・産業構造の変革は含まないのか? 

2.パブリックコメントが実施された「水銀大気排出抑制対策について(第一次報告書)」
――地球規模での水銀汚染の最小化を図る水銀排出基準

 平成27年6月19日に公布された大気汚染防止法の一部を改正する法律(本誌平成27年4月号及び5月号の「先読み! 環境法」で紹介)は、水銀に関する水俣条約(「水俣条約」)の 履行のため、①水銀排出者に対する排出基準の遵守、水銀濃度の測定等を義務付けるとともに、②水銀排出施設以外で水銀等の排出量が相当程度多い施設であって、その排出を抑制することが適当である施設を要 排出抑制施設と位置付け、自主的取組を求めていく仕組み等を規定した。
 具体的な排出基準等を検討するため、平成27年12月18日に中央環境審議会に「水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について」が諮問され、平成28年1月より、中央環境審議会大気・騒音振動部会に設置された大気排出基準等専門委員会において、水銀排出施設の種類や規模、排出基準、要排出抑制施設の種類、排ガス中の水銀の測定方法について検討が行われ、平成28年4月19日に開催された同専門委員会(第4回)において、「水銀大気排出抑制対策について(第一次報告書案)」がとりまとめられ、パブリックコメントが実施された。そして6月9日の大気・騒音振動部会(第11回)に報告され、決定された。次は省令等を作成する段階に入ることになろう。
 なお、要排出抑制施設における自主的取組の状況の把握・評価の在り方については、第二次報告書として別途とりまとめる予定としている。


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