2021年1月
【NO.103】2050年カーボンニュートラルに向けた政府・国会の動き 他2本 『機関誌:環境管理2021年1月号 シリーズ連載|先読み!環境法』より |
2021年1月号の『環境管理(機関誌)』では、下記の3テーマについて、最新動向を解説している。各テーマの概要について紹介する。
1.2050年カーボンニュートラルに向けた政府・国会の動き
2020年10月26日の第203回臨時国会冒頭の所信表明演説で菅総理は、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。
同日、梶山経済産業大臣は記者会見で、総理の宣言を受け、この挑戦は日本の成長戦略そのものものとし、今後、2050年のカーボンニュートラルを目指す道筋について、総合資源エネルギー調査会とグリーンイノベーション戦略推進会議で集中的に議論をしていく。カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な水素、蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力などの重要分野についての実行計画を、年末を目途にまとめる、と述べた。なお、2030年代半ばには新車販売をすべてEV、PCHV等にするという目標の検討に入った(2020年4月1日に乗用自動車の2030年度燃費基準に係る省エネ法の省令・告示施行(本誌2020年11月号で紹介)後、わずか9か月で!)。【全編内 ヘ続く】
2.衆・参の決議、地球温暖化対策推進本部の開催、地球温暖化対策計画の見直し
近年、地球温暖化も要因として、世界各地を記録的な熱波が襲い、大規模な森林火災を引き起こすとともに、ハリケーンや洪水が未曽有の被害をもたらしている。我が国でも、災害級の猛暑や熱中症による搬送者・死亡者数の増加のほか、数十年に一度といわれる台風・豪雨が毎年のように発生し深刻な被害をもたらしている。
これに対し、世界は、パリ協定の下、温室効果ガスの排出削減目標を定め、取組みの強化を進めているが、各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足しており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面している。【全編内 ヘ続く】
3.11月11日に第3回グリーンイノベーション戦略推進会議が開催
2020年11月11日に第3回グリーンイノベーション戦略推進会議が開催され、2050CN(2050年カーボンニュートラル)に向けた検討が開始された。
資料5の検討スケジュール(案)に沿って、11月27日に第4回WGが開催され、重要分野の方向性が検討された。12月中に第4回戦略推進会議を開催する予定。
資料をみると、資料3-2の英国・EUにおけるカーボンニュートラルシナリオが目につく。モデルとしてこれを参考にしていくのであろう。ここでは、事務局が議論のたたき台として示した「資料4 2050年カーボンニュートラルに向けたグリーンイノベーションの方向性」を取り上げる。この中に経済産業省の狙いが隠されているといえよう。
そこで、資料4について、筆者が捉えた経済産業省の狙いを述べ、それから内容を紹介する。【全編内 ヘ続く】