2013年3月
【公布・施行】水質環境基準の項目追加について〔水生生物の保全に係る環境基準〕 (2013/3/27施行) |
水生生物の保全にかかる環境基準については、平成15年に「亜鉛」、昨年(平成24年)8月に「ノニルフェノール」が指定されたところであるが、昨年末の答申(水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について(第2次答申)(環境省))において、新たに環境基準値の設定をすることが望ましいとされていた「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩」が、3月27日付けで環境基準が設定された。
改正の概要
公共用水域において、新たに水生生物保全環境基準の項目として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩を追加(表1)
表1 新たに追加する項目
項目 | 水域 | 類型 | 水生生物の生息状況の適応性 | 基準値 |
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩 | 河川 及び 湖沼 |
生物A | イワナ、サケマス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域 | 0.03mg/L 以下 |
生物特A | 生物Aの水域のうち、生物Aの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域 | 0.02mg/L 以下 | ||
生物B | コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域 | 0.05mg/L 以下 | ||
生物特B | 生物A又は生物Bの水域のうち、生物Bの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域 | 0.04mg/L 以下 | ||
海域 | 生物A | 水生生物の生息する水域 | 0.01mg/L 以下 | |
生物特A | 生物Aの水域のうち、水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域 | 0.006mg/L 以下 |
(環境省)報道発表資料
水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等に係る環境省告示について(お知らせ)
⇒ 「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩」環境基準値の設定
※その他詳細は、『改正内容はこちら(会員のみ)』をクリック
NO.9-1 第183回通常国会で 環境省の提出予定法案(H25.03.18更新)
第183回通常国会(会期:平成25/1/28~6/26)において、環境省が提出を予定している法案が6本ある。3月下旬ごろから国会内にて審議が開始される予定である。
■■提出予定法案■■
1) 大気汚染防止法など4法の放射性物質による環境汚染に係る適用除外規定を削除するなどの法案
⇒ NO.7-1 参照
2) 石綿の飛散防止対策強化のための大気汚染防止法の一部改正案
⇒ NO.8-1 参照
3) フロン類のライフサイクル全体にわたる排出抑制のためのフロン回収・破壊法の一部改正案
⇒ NO.8-2 参照
4) 昨年12月で京都議定書の達成約束期間が過ぎたことに対応するための地球温暖化対策推進法の一部改正
5) 外来生物法の一部改正案
6) 種の保存法の一部改正案
NO.9-2 水銀条約案が政府間交渉委員会第5回会合で合意(H25.03.18更新)
1月にジュネーブで開催された「水銀条約政府間交渉委員会第5回会合」において、「水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury)」の条約案が合意された。
今年の10月には、熊本市及び水俣市で外交会議が予定され、本条約が採択されれば国際的な枠組みで水銀及び水銀化合物の規制・管理が始まる。条約の発効は、本条約を50カ国が批准した90日後となっており、我が国が批准した場合には、今後、関連法規の法改正など国内法規が整備されることになる。
■■水銀に関する水俣条約(案) -概要-■■
(目的)
水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること
(主な条項)
■水銀供給の削減と国際貿易の削減(第3条)
⇒ 条約発効後の新規鉱山開発は禁止、既存の鉱山からの鉱出も発行後15年以内に禁止
■製品の水銀使用の削減(第6・8条)
⇒ 一部の水銀含有製品について、2020年までに、その製造、輸出、輸入を禁止
■製造プロセスでの水銀使用の削減(第7・8条)
⇒ 苛性ソーダ等の製造プロセスでの水銀使用を禁止
⇒ 塩化ビニルモノマーなどの製造プロセスでの水銀使用の削減
■大気への排出及び水・土壌への放出(第10・11条)
⇒ 新設施設へのBAT/BEPの義務付け、既存施設への削減目標の設定
⇒ 自国内の排出・放出インベントリの作成
■水銀の環境上適正な一時保管・水銀廃棄物・汚染サイト(第12~14条)
⇒ ガイドライン等に基づき、一時保管、廃棄物及び汚染サイトの管理を行う