2014年3月
【中央環境審議会水環境部会】排水規制等専門委員会(第16回)報告 (2014/3/10更新) |
カドミウムに係る排水基準等のあり方について
平成26年3月6日に行われた排水規制等専門委員会を傍聴したので審議内容について速報として報告する。
平成23年10月にカドミウムの環境基準が0.01 mg/Lから0.003 mg/Lとなったことに関連し、同排水基準を10倍則に従い、従来の0.1 mg/Lから0.03 mg/Lへ規制強化すること等について審議がされた。
(審議のポイント)
- 地下浸透基準について
- 排水基準の改正と暫定排水基準の設定について
- 今後のスケジュール(改正予定日)
※本取りまとめは本編集部独自によるものです。
1.地下浸透基準について
まず地下浸透基準については、今回の委員会で提出された案では、据え置き0.001 mg/Lとなっている。
委員会では、据え置きとした場合において、平成23年度に強化された地下水環境基準(0.003 mg/L)が達成できるどうかを懸念し、土壌中挙動(地下水土壌間での吸脱着)について議論が交わされていた。
⇒本委員会では最終結論はでなかったものの、土壌中で3倍以上に濃縮され地下水に溶出する可能性は低いという見解から、据え置き賛成論が主流であった。
委員からは地下浸透基準に関する考え方について、カドミウム以外の規制物質についても整理検討する必要があるとの意見があり、今後基本理念も含め、地下浸透基準全体を整理し直される可能性がある。 (現状、一部の物質では、水道水基準より厳しい地下浸透基準が設定されており、水道水を土壌浸透させてしまうと違反となる可能性があるなど一種矛盾のような状態もあり問題視がされていた。) |
2.排水基準の改正について
排水基準値については、環境基準の10倍則に基づき、従来の0.1 mg/Lから0.03 mg/Lへの規制強化を行う案が提示され、基本的に異論はなく、3.に示すスケジュールにて改正が進む方向であった。
また、4業種で導入が検討されていた暫定排水基準については、提示された案では、①金属工業、②非鉄金属第1次製錬・精製業、非鉄金属第2次製錬・精製業(亜鉛に係るもの限る)、③溶融めっき業(溶融亜鉛めっきを行うものに限る)の3業種について、基準値案が示され、水産食料品製造業については、施行猶予期間内に達成が見込まれるものとして暫定基準の設定が見送られていた。
⇒ただし暫定排水基準案については、委員からの慎重論もあり、今後再度検討が行われる模様。
mg/L | 水質環境基準 | 地下水環境基準 | 排水基準 | 地下水浄化基準 | 地下浸透基準 | 水道水基準 |
---|---|---|---|---|---|---|
Cd | 0.003 | 0.003 | 0.1 ⇒ 0.03 | 0.01 | 0.001 | 0.003 |
※10倍則:排水口から出た排出水の水質は、公共用水域に排出されると通常少なくとも10倍程度に希釈されるため、環境基準の10倍の値を排水基準とすることが多い。
3.今後のスケジュール(改正予定日)
カドミウムの排水基準の改正については、平成26年9月の施行を目指し今後スケジュールが組まれており、5月から6月にかけてパブリックコメントが行われる予定。
日時 | 項目 |
---|---|
H26.3.6 | 第16回専門委員会(今回報告の委員会) |
H26.5~6 | 第17回専門委員会 (委員会報告案のとりまとめ) |
H26.5~6 | パブリックコメントの実施 |
H26.6~7 | 第18回専門委員会 (委員会報告とりまとめ) |
H26年度前半 | 答申 |
H26年度前半 | 告示 |
H26.9.1 | 施 行?? |