環境管理バックナンバー 2012年 7月号

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2012年7月号 特集1:地球熱利用の展望と課題/特集2:APPからGSEPへ―協力的セクター別アプローチの世界展開②

<特集>

地熱エネルギー開発利用の現状と将来展望
江原幸雄 地熱情報研究所代表・九州大学名誉教授
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 地熱エネルギーは火山国のわが国に恵まれた再生可能エネルギー資源であり、これまで浴用には広く利用されてきたが、地熱発電利用等の多様な有効利用は限定的であった。しかしながら、いわゆる3.11以降、地熱エネルギーを取り囲む状況は大きく変化してきており、その活用が大きく展開していく状況になりつつある。小文では、わが国における地熱エネルギー開発利用の現状と将来展開を紹介することにより、地熱エネルギー利用の大きな可能性を示した。

地熱発電開発と規制の見直しについて
環境省 自然環境局 国立公園課
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 環境省では、「規制・制度改革に係る対処方針」及び「エネルギー・環境会議アクションプログラム」の決定等を受けて、国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて新たな通知を発出した。この新たな通知においては、風致景観や自然環境の保全と高いレベルで調和する地熱開発のあり方を示した。

地中熱利用の現状とこれから
笹田政克 NPO法人 地中熱利用促進協議会理事長
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 エネルギー・環境面で地中熱利用の優れた点に、省エネ効果、節電効果、二酸化炭素(CO2)削減効果とヒートアイランド現象抑制効果がある。地中熱利用は最近普及が進みつつあるが、世界的に見ると欧米諸国に大きく後れをとっている。普及課題としては、初期コスト、認知度、政策、技術開発、地質情報の整備、環境影響評価等がある。2010年に地中熱は再生可能エネルギーとして国の認知が得られ、エネルギー・環境・地域政策等の中で地中熱の普及に向けての施策が出されている。これからの地中熱利用の展開として、まちづくりの中への地中熱設備の導入がある。

地熱資源開発における地下水への影響
平山利晶 国際航業株式会社
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 地熱開発における大きな問題の一つは、温泉水の取水による周辺への影響である。地層中の地下水の流速はかなり遅いため、影響が現れるには時間を要する。また、透水性の小さな地層が分布するような地質構造では、深部における温泉水取水の影響は、浅層部には及びにくい。さらに、温泉水取水だけでなく、自然的、社会的な要因が、浅層地下水に影響を及ぶす可能性がある。そのため、温泉水を取水する際には、影響メカニズムは単純ではないことを前提に、調査やモニタリングを行うことが必要である。

東京スカイツリー地区熱供給施設の地中熱利用
今野 真一郎 株式会社東武エネルギーマネジメント常務取締役、吉田直裕 株式会社日建設計設備設計部門技師長、岡垣 晃 株式会社日建設計総合研究所理事
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 近年、場所や気象などの条件に左右されない再生可能な自然エネルギーの一つとして地中熱が注目されている。東京スカイツリータウンRを中心にその周辺を含む地域に熱供給を行う東京スカイツリー地区熱供給施設においても、省エネルギー、CO2排出量削減、ヒートアイランド現象の緩和効果を目的として、地域熱供給施設(DHC)としては日本で初めて地中熱の利用を図っている。本稿では、東京スカイツリー地区熱供給施設における、地中熱利用設備の概要、各削減効果等について紹介する。

GSEP鉄鋼WGについて
岡崎照夫 一般社団法人 日本鉄鋼連盟国際環境戦略委員会委員長、手塚宏之 一般社団法人 日本鉄鋼連盟国際環境戦略委員会理事、中野直和 一般社団法人 日本鉄鋼連盟国際環境戦略委員会理事、内藤敏幸 一般社団法人 日本鉄鋼連盟国際環境戦略委員会事務局
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 中国・インドなどの成長により中長期的にも世界の粗鋼生産が拡大基調で推移していくことが見込まれているなか、鉄鋼業はエネルギーを多く使うことから、日本の優れた省エネ・環境技術の世界中の製鉄所への移転は、地球規模で見た際の持続可能な社会形成に不可欠である。日本鉄鋼業界は、省エネ・環境技術普及のための協力的セクトラルアプローチを推し進めており、とりわけ技術に基づくボトムアップ型の官民連携アプローチであるGSEP (エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ)鉄鋼WG(ワーキンググループ)はその中核をなす取組である。本稿では、鉄鋼業界が取組む協力的セクトラルアプローチをStepごとに分けて解説し、官民連携の意義、APP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ) 鉄鋼Task Force(特別作業班)からGSEP 鉄鋼WGへの移行した経緯、GSEP鉄鋼 WGの概要を紹介していく。

セメント産業におけるセクター別アプローチとGSEPの取り組み
和泉良人 社団法人セメント協会
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 官民が連携した国際的なセクター別アプローチは、2006年に開始された「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」が代表的な事例であり、その後「エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ(GSEP)」に引き継がれた。GSEPのセメント部会は、APP7カ国に加えて、欧州、ブラジル、南アフリカのセメント協会や欧州セメント研究機関(ECRA)などが参加を希望しており、これまでAPPで行なってきた既存技術の普及・促進や新技術の開発、人材育成プロジェクトに加え、測定・報告・検証(MRV)方法論や資金支援メカニズムなどの政策的な議論をする場になることを期待したい。

電力セクターにおけるAPP活動の実績とGSEPへの取り組み
前田一郎 電気事業連合会
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 電力セクターはAPP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)活動の中で、火力発電所運転保守管理のピアレビューを「発送電タスクフォース」の主要なアクションプランと位置づけて推進してきた。ところが米国は政権が民主党に代わったことからAPP活動の終了が提案されたが、APP活動が重要であると考える日本他の関係者は、新たに成立したGSEP(エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ)のワーキンググループにAPPの活動と経験を引き継がせることとした。GSEPの元で日本が議長となり、パワーワーキンググループが今年立ち上った。GSEPにおいては関係国を拡大すること、官民パートナーシップの中、民の資源を一層活用する必要から電力の民間の国際的イニシアティブである「国際電力パートナーシップ」が関わることとした。

<総説>

リスクコミュニケーションという社会技術の使い方
西澤真理子 リテラジャパン(株式会社リテラシー)代表取締役 リスクコミュニケーションPhD
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 2011年3月に起きた原発事故以来、放射線の安全情報に混乱がある。一年経過した2012年5月現在でも、何を信じればいいのか、何が安全であるのか、一般の不安が依然として大きい。この混乱はなぜ起きるのだろうか。一つは、リスクコミュニケーションは社会技術で、論理的で正確な説明をしたからといって、必ずしも相手に伝わるものではない、との認識が広く共有されていないことにある。リスクのイメージを具体的に描けるよう、具体例を入れながら、誰でもが話せる言葉で、そして、相手の頭に焼きつくことを意識しながら、継続した対話を行うことがひとつの突破口であることを論じていく。

<シリーズ>

カーボンフットプリントコミュニケーションプログラムの本格運用について ―新CFPプログラムの概要
壁谷武久 一般社団法人 産業環境管理協会LCA事業推進センター長
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 我が国におけるカーボンフットプリント制度試行事業(パイロット事業)は試行事業の成果をもとに、「カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム」として一般社団法人産業環境管理協会が平成24年4月2日より運用を開始している。7月2日からはPCR認定申請の受付及びシステム認証審査申請の受付がはじまり、プログラムの本格運用がスタートする。その全体概要について紹介する。

【新・環境法シリーズ9】バイオ燃料をめぐる諸問題
信澤久美子 青山学院女子短期大学教授
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 地球温暖化防止を目的とする二酸化炭素排出対策のためにトウモロコシ等を原料とするバイオ燃料を使用する政策がアメリカで進められてきたが、トウモロコシ等を原料とするバイオ燃料は穀物の高騰を招き、発展途上国では耕作地を作るための森林伐採が起きるといういわゆる間接的土地利用変化(ILUC:Indirect land use change)などの問題を引き起こすと指摘されてきた。最近では、穀類などの食物を原料としない藻類由来のバイオ燃料生産の技術開発に期待が集まっている。

【環境法 法令違反から学ぶCSR経営4】土壌汚染と瑕疵担保責任-瑕疵とは何か
伊達雄介 弁護士 日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 不動産の売買後、土壌汚染が発見された場合、買主は、売主に対して、不動産に「瑕疵」があったとして、瑕疵担保責任(民法570条、566条)に基づく損害賠償請求を行うことが多くみられる。「瑕疵」とは、売買目的物の欠陥であるが、何が欠陥かは必ずしも明確ではない。本事案は、売買契約締結時は、社会的に有害性の認識がなく、法規制もなかった有害物質の存在が瑕疵にあたるか、その瑕疵の本質をどう捉えるかが争われた。そして、東京高裁は瑕疵を認めたが、最高裁ではこれを否定し、審級によって見解が分かれた。

【天網恢々 廃棄物処理法許可不要制度4】食品リサイクル法における許可不要制度
長岡文明 BUN環境課題研修事務所
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 廃棄物の伝道師BUN先生と仮想の総合商社の環境部門に所属するリサちゃんとの対話を通して廃棄物処理法を分かりやすく解説する。第4回目は「食品リサイクル法における許可不要制度」について話をする。

【先読み!環境法2】浄水場で生成されるホルムアルデヒドの原因物質に対する制度的対応
小幡雅男 東京工科大学
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・浄水場で生成されるホルムアルデヒドの原因物質に対する制度的対応・使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について

【実践マテリアルフローコスト会計82】MFCAのISO化によるアジアへの展開ーマレーシア・ベトナムを例として
中嶌道靖 関西大学商学部教授、木村麻子 関西大学商学部准教授
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 MFCA(マテリアルフローコスト会計)の基本的な枠組みが、2011年にISO14051(ガイダンス)として発行された。ISO化の過程でMFCAの基礎概念と日本の企業事例が紹介されたことにより、アジアでのMFCAへの理解と普及も進展している。本稿ではマレーシアとベトナムの調査をもとに、アジアにおけるMFCAの理解・普及の現状と課題について考察している。MFCAは製造業において、資源生産性を向上させ、コスト削減に寄与する有用な考え方として容易に理解される反面、日本同様にMFCAの導入・普及にはMFCAの有用性を容易に理解できる各国での企業事例を蓄積する必要性が明らかとなった。

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