環境管理バックナンバー 2023年 1月号

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2023年1月号 特集:企業の統合報告書

<特集>

「 統合報告」に取り組むということ
芝坂 佳子(KPMG サステナブルバリューサービス・ジャパン パートナー)
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統合報告書を作成する企業は、年ごとに拡大している。その背景には、企業経営を取り巻く環境の劇的な変化により、環境や社会的課題を起因するリスクの様相がますます複雑化し、その影響も大きくなってきている現実がある。
国際的なサステナビリティ報告基準の検討が本格化するなか、あらためて、統合報告に取り組む意義について検討することは、今後のさまざまな施策を、中長期的な企業価値の向上と社会的厚生実現へと結び付けていくための契機となる。
「報告」とは、情報提供を行うことではない。ダイナミックに変化を続ける企業の姿を、将来にむけた意図とともに伝え、ステークホルダー間のコミュニケーションの活性化を通じた新たな価値創造に資するために行う活動であり、統合報告の取り組みはそのための一つなのである。

東京電力HDの統合報告書
勝部 安彦(東京電力ホールディングス株式会社 経営企画ユニット ESG推進室長)
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東京電力グループ(以下、東電グループ)は、2022年10月6 日に通算5 冊目となる「TEPCO統合報告書2022」を公表した。本報告書では、「企業価値の向上」と「社会的価値の創造」を実現するための東電グループの
中長期的な方向性を示しているが、主な利用者である株主や投資家に加え、お客さまや地域の方等のマルチステークホルダーにも理解頂けるよう配慮している。本年は、特に国際的な気候変動対策について、東電グループの基本方針である「安定供給とカーボンニュートラルの両立」を軸に構成した。

企業文化に根差した統合報告書「HORIBA Report」
鈴木 美波子(株式会社堀場製作所 経営企画室 シニアマイスター(IR/ESG))
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堀場製作所は創業以来ユニークな企業文化を育んできており、そのベースとなっているのは社是「おもしろおかしく」である。統合報告書「HORIBA Report」もこの社是を基盤として作成しており、制作・編集はHORIBA Report作成者の「おもしろおかしく」に通じている。まさに、企業文化に根差した統合報告書と言えるだろう。
本稿では、「HORIBA Report 2021-2022」編集に当たっての考え方を概説。さらに、報告書に掲載されている経営戦略や具体的な活動を要約し、堀場製作所による社会課題解決のあり方を紹介する。

王子グループが取り組む 環境・社会との共生について
田中 良正(王子ホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 担当部長)
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王子ホールディングスおよび王子グループは、日本における資本主義の父と称される渋沢栄一翁の尽力により1873年に創業され、150年の歩みを通じて、製紙事業を中心に価値提供の幅を拡げ、広く社会に貢献し続けてきた。
創業時には、国産洋紙の供給体制を整備し、新聞・書籍の普及を通じて日本の社会・経済の発展に貢献してきた。その後、時代のニーズに従い、1950年代には段ボール、1970年代には家庭紙、白板紙、感熱紙などの生産を開始した。また、生産品種の拡大のみでなく、特に2010年代以降はグローバル展開の拡大に注力してきている。多くのステークホルダーの皆様に支えていただき、現在では、従業員数がグループ全体で3万5,000人を超え、売上高1兆5,000億円以上、営業利益も1,000億円を超える規模の会社となっている。本稿では、「成長から進化へ」王子グループのさらなる発展に向けて、当社が掲げる経営理念、存在意義(パーパス)、近年の脱炭素化の潮流に対応した気候変動問題への対応ならびに管理・所有する王子の森について紹介する。

DOWAホールディングスの統合報告書
櫻井 康祐(DOWA ホールディングス株式会社 環境・安全部 部長)
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DOWAグループは、社会や環境を重視した事業運営を通して、すべてのステークホルダーと誠実でオープンに向き合うとともに、サステナブルな社会の実現に資することを最重要のミッションとしている。DOWAグループ
のサステナビリティ経営の原点は、創業者藤田傳三郎の理念である“労働者や地域の方々と共生する”という長期的視野に基づく企業経営にある。当社を取り巻く様々な社会課題を踏まえ、循環型ビジネスモデルをコアとするDOWAの強みを活かした「価値創造ドライバー」による機会の獲得を目指すとともに、リスク低減の仕組みである「サステナビリティ・マネジメント」を強化することにより、中長期的に価値を創造し続け、「地球を舞台とした事業活動を通じて、豊かな社会の創造と資源循環型社会の構築に貢献する」という企業理念およびビジョン(2030年のありたい姿)の実現を目指している。

<特別寄稿>

COP27の結果と評価
有馬 純(東京大学 公共政策大学院 特任教授)
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「野心のCOP」と呼ばれた2021年11月のCOP26(グラスゴー)においては産業革命以降の温度上昇を1.5℃以内に抑えるという野心的な目標を中核に据えた「グラスゴー気候合意」を採択した。しかし2021年秋からのエネルギー危機、2022年2月に勃発したウクライナ戦争によって国際政治経済情勢が困難度を増す中、あくまでグラスゴー合意の完遂にこだわるG7と新興国の間の対立が顕在化している。こうした中、「実施のCOP」とされた2022年11月のCOP27(シャルム・エル・シェイク)では、グラスゴー気候合意から更に前進しようという先進国の目論見は外れ、途上国が積年にわたって主張してきたロス&ダメージ基金の設立が合意される等、途上国の勝利ともいえる結果となった。温度目標も資金援助目標も現実から遊離して期待値ばかりが高まる中で、COPプロセスが今後どうなっていくのか注目される。

<シリーズ>

【展望・日本のエネルギー問題を考える58】わが国のGX をどう進めるか ― COP27の概観と第三次オイルショックを踏まえて考える―
竹内 純子(NPO 法人 国際環境経済研究所 理事・主席研究員/東北大学特任教授)
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新型コロナウイルスのパンデミックによる混乱もようやく収まりつつあり、わが国でも「3年ぶり」が今年の世相を表す言葉として多く使われている。筆者もまさに「3年ぶり」にエジプトの紅海沿岸のリゾート地シャルム・エル・シェイクで開催されたCOPに参加してきた。一昨年はCOP開催が見送られ、昨年英国・グラスゴーで開催されたCOP26は大事をとって不参加であったので、久しぶりのCOPである。ロシアによるウクライナ侵攻という新たな危機も加わり、世界はまさに今「第三次オイルショック」というべきエネルギー危機に直面している。
わが国も、2021年10月、菅義偉前総理大臣が「2050年のカーボンニュートラル実現」を掲げてから、それを実現する政策の一つとしてカーボンプライシングの検討を加速させていたが、現下のエネルギー価格の高騰に伴い、ガソリン、電気・ガス等のエネルギーに補助金を出すという、真逆の政策を余儀なくされている。
各国が気候変動政策とは逆行するような施策を採らざるを得なくなっている現状を踏まえ、どのような議論が交わされるのか、世界はこの長期的な課題とどう向き合おうとしているのかを実際に把握したいと考えて参加したCOP27で得た雑感とあわせて、岸田政権の目玉政策として議論されているGX(グリーン・トランスフォーメーション)について考える。
【弁護士からみた環境問題の深層/第25回】キンキクリーンセンター事件 再考 令和3年3月29日福井地裁 第二次訴訟判決を受けて
芝田 麻里(弁護士法人 芝田総合法律事務所 代表 弁護士/日本CSR 普及協会・環境法専門委員会委員)
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福井県敦賀市の管理型最終処分場は、埋立許容量9万m3を大幅に超過する119万m3もの廃棄物を受け入れていた。行政から措置命令などを受けたが処分場業者は破産。行政が対策工事など必要な措置を実施し、それに要した費用のうち敦賀市が負担した約20億円について、当該処分場に廃棄物の搬入を行っていた排出自治体に費用を支払うよう敦賀市は請求した。一部の自治体が支払いを拒んだため市が提訴した。
排出自治体は、廃棄物の不適切な処分によって生活環境の保全上支障などを生じさせた場合には、支障除去又は防止のために必要な措置を講ずる義務を負うか否か。本稿では市町村の処理責任および排出事業者責任などに関する重要裁判について解説する。なお本件で、市町村は一般廃棄物について支障除去等の包括的措置義務があり、民間の最終処分場に委託した後も免責されないと裁判所は判断している(一部控訴審で係属中)。民間の排出事業者も同様の責任を負うか。
【産廃コンサルタントの法令判断/第82 回】委託契約書の表記ミスはどうする??
佐藤健(イーバリュー株式会社 コンサルティング事業部コンサルタント/マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第82回)。

【環境担当者のための基礎知識/第59回】コンクリートのひび割れ ― 放置すると重大事故のおそれ
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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「排水処理設備のコンクリート面にひび割れが増えているが、放置して大丈夫か」「地震の影響で亀裂が生じているが、安全性に問題はないか心配だ」こういった声を聞くが、コンクリートの基本知識について、今回はポイントをしぼってまとめてみた。
亀裂やひび割れから生じる白華が褐色なら赤信号といえる。また、産業廃棄物のフライアッシュは、コンクリートの耐久性を向上させるために有効利用されている。老朽化する原子力発電所の規制ルール見直しについても、参考情報として最後に付記した。
【新・環境法シリーズ/第131回】地球全体でのフロン、メタン削減の重要性
笠井 俊彦(一般社団法人フロン等温室効果ガスグローバル削減推進協議会(FGRA) 会長/フロン等グローバル削減研究所 代表)
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地球温暖化というと化石燃料利用によるCO2ばかりが着目されがちであるが、短寿命気候強制因子(SLCF)の1つであるメタンは、短期で分解するものの温室効果が高く、IPCC第6次第一作業部会報告でも削減の重要性が指摘されている。また、フロン類(CFC、HCFC、HFC)も強力な温暖化物質であり、生産や輸出入は規制されているものの、冷媒として充填された機器からの大気排出は多くの国で規制されていない。COP26において、多くの国が参加した、グローバル・メタン・プレッジは地球全体での温暖化物質削減のための新しい方法を示している。途上国で現在大量排出されているオゾン層破壊物質(ODS)であるCFC、HCFCはパリ協定の対象ではないが、地球全体での温室効果ガス削減のために、ODS(CFC、HCFC)削減をパリ協定の追加貢献として位置づけ、国レベルでのより実効的な途上国支援と、国際的なリーダーシップを望みたい。

【先読み! 環境法/第127回】COP27の結果 ― 11月6日から20日までエジプト(シャルム・エル・シェイク)で開催―
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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COP27の結果(11月6日から20日までエジプト(シャルム・エル・シェイク)で開催)、2022年11月29日に開催された第4回DX実行会議の成長志向型カーボンプライシングについて基本原則や制度的仕組みの原案について、産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会(GXファイナンス研究会)について、また、食品リサイクル法に基づく基本方針等の一部見直し等について―バイオマス発電の促進について解説する。

1 COP27の結果―11月6日から20日までエジプト(シャルム・エル・シェイク)で開催―
2 第4回DX実行会議が2022年11月29日に開催―成長志向型カーボンプライシングについて基本原則や制度的仕組みの原案をおおむね了承
3 産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会(GXファイナンス研究会)
4 食品リサイクル法に基づく基本方針等の一部見直しについて―メタン化等エネルギー利用の促進等
環境法改正情報(2022年11月改正分)
宇佐美 亮(一般社団法人産業環境管理協会 人材育成・出版センター 技術参与)
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◆化管法関係  
◆ダイオキシン類対策特別措置法関係  
◆労働安全衛生法関係
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