環境管理バックナンバー 2017年 5月号

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2017年5月号 特集:トランプ政権と地球温暖化問題

<特集>

トランプ大統領の下で米国の温暖化対策はどうなるのか
有馬 純(東京大学 公共政策大学院 教授)
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 本年1月に発足したトランプ政権は、国内エネルギー生産・インフラ整備を前面に打ち出す一方、
クリーンパワープランの廃止、温暖化関連予算の廃止など、温暖化対策には極めて冷淡な姿勢を
示している。困難な交渉の結果、合意されたパリ協定についても選挙期間中、「キャンセルする」
と公約してきたが、政権発足後は旗幟鮮明にしていない。トランプ政権のエネルギー・温暖化対策
の方向性とその国際的影響について考察する。

トランプ新政権と温暖化対策
上野 貴弘(一般社団法人 電力中央研究所 社会経済研究所 主任研究員)
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 トランプ大統領は、選挙戦中も、選挙後も、就任後も、オバマ政権の温暖化対策をほぼ全否定してきた。そして、エネルギー独立を目指し、国産化石燃料の増産に傾斜しようとしている。しかし、前政権からの政策転換を図ろうにも、トランプ政権が取りうる手段には制度上の制約があり、この時点で最終的な着地点を見通すのは困難である。
 ただ、どのようなパターンを辿るとしても、オバマ政権が進めた温暖化対策を緩めていくことには変わりはない。施策見直しでCO2 排出削減が遅れれば、オバマ政権が掲げた2025 年目標の達成は遠ざかることになる。

気候変動問題を巡る国際潮流とカーボンリスクマネジメント
本郷 尚(株式会社 三井物産戦略研究所 国際情報部 シニア研究フェロー)
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 「2度目標」やすべての国が削減目標を持つことなどが盛り込まれてパリ協定は2016 年11月に発効要件が充足し、実施に向けて動き出した。気候変動問題の歴史的な転換点であり、経済面でも大きなゲームチェンジの始まりだ。他方、同じ11月には気候変動対策に対して否定的なトランプ大統領の当選が決まり、オバマ政権時代の対策を見直す大統領令も出した。2017年には中国の共産党大会やポピュリズムが台頭するEUで主要国の選挙など政治面の不確実性も高い。
 企業はどう対応したらよいのか。企業のリスクマネジメントはまず足元のCO2 排出量の把握から始まる。数値規制、炭素税、排出量取引など何らかの規制がかかれば、排出に伴うコストが発生する。将来の規制を想定し、それを数値化したものが企業にとっての炭素価格であり、企業内の分析目的に使うことからシャドープライスとも呼ばれる。シャドープライスで商材や企業経営へのインパクトを評価できる。
 また、規制に対応するために投資や技術開発が必要になる。それは商機だ。低炭素化に向えば間違いなく必要になる「約束された市場」だ。様々な技術やアプローチの中からチャンスを見極めるときにも炭素価格は活用できる。
 企業活動に影響を与える各国政策はまだら模様だ。各国の政策は「気候変動枠組条約」など国際枠組みに対応するものであり、国際枠組みを左右するのが「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」など気候変動の科学だ。変革の時代に備えるには国際的なCO2規制の議論と気候変動の科学の動きの「定点観測」が欠かせない。

<総説>

廃棄物処理法の見直しの動向について
相澤 寛史(環境省大臣官房 廃棄物リサイクル対策部企画課 廃棄物・リサイクル制度企画室長)
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 本稿では、廃棄物処理制度の見直し等の最近の動向として、閣議決定された廃棄物処理法改正案、中央環境審議会の意見具申の内容等について紹介する。改正案では、食品廃棄物の不正転売事案などを受け、許可を取り消された廃棄物処理業者等に対し、都道府県知事が基準に従った保管その他の措置を命じることを可能とするとともに、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に対し、不適正処理の早期の実態把握等が可能な電子マニフェストの使用を義務付け、さらにマニフェスト虚偽記載等に関する罰則の強化を行う。また、有害物質を含む電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)への対応として、有害使用済機器の保管や破砕等の処分を業として行う者に対し、都道府県知事への届出や基準の遵守を義務付ける等の廃棄物に準じた措置を講ずることとしている。

バーゼル法改正法案について
田中 秀明(経済産業省 産業技術環境局 環境指導室長)
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 国際的な資源循環を巡る動きが進んでおり、特にパソコンや携帯電話などに含まれる廃電子基板については、金、銀などの貴重な金属を含む都市鉱山として、世界的な獲得競争が行われている。また、途上国で適切に処理できない有害廃棄物等を先進国が輸入し、当該先進国が有するリサイクル技術を用いて適切に処理することは、世界全体の環境保全の面からも好ましく、こうした流れを積極的に後押ししていくことが望まれる。政府としても、平成29年3月に閣議決定したバーゼル法改正法案の中にその点を盛り込み、途上国からの輸入についてバーゼル法の規制の対象外とすることで、EUなどの諸外国との資源獲得競争における競争上の不利の解消を図ることを目指している。併せてバーゼル法改正法案では、輸出規制の適正化を図り、輸出先での環境汚染防止措置や不適正輸出取締りの実効性を高めることを目指している。

地下水汚染の規制とは――水濁法と土対法から地下水規制の基礎を学ぶ
本誌編集部
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 豊洲問題で土壌汚染のみならず地下水汚染も大きな問題になり社会の注目を集めている。汚染土壌と地下水の汚染は密接な関係がある。しかしご存知の通り土壌と地下水はそれぞれ異なる法律によって規制されている。
 工場・事業所の「有害物質を含む水」に関しては平成元(1989)年の水質汚濁防止法(水濁法)改正により漏えい事故など非意図的なものを含め実質的に地下浸透を禁止している。改めて地下水汚染の規制について水濁法の基本的な条項を確認し、後半では地下水にかかわる土壌汚染対策法の調査義務について簡単に解説する。なお、「地下水汚染未然防止に係る立ち入り件数」が、夜間の立入調査を含め8,158件(平成27年度)と非常に多いことも注目されている。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第13回】再エネ賦課金の抑制は可能か?――改正FIT法と非化石価値市場の創設
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 再生可能エネルギー賦課金の増大が止まらない。先日公表された平成29 年度の賦課金も、前年度比約2 割の上昇である。1 か月の電力使用量が300kWhとした場合の負担額は年額9,504 円にもなる。より深刻なのは産業への影響だ。企業の電気料金はなかなかオープンにされることはないが、莫大な賦課金に驚き、自身の勤める会社の工場における電気料金を教えて下さった方がいた。その方によれば、本年1 月分の電気料金約5,600 万円、そのうち実に約1,600 万円がFIT賦課金であったという。
 わが国の再エネ賦課金はなぜここまで膨れ上がってしまったのであろうか。こうなることは他国の経験から明らかであったし、採るべき対策もわかっていた。しかしそれを制度設計に活かすことができなかったのである。筆者が危惧するのは、特にこの制度設計をここまでゆがめたことに対する政治の反省が全くないことだ。これでは過ちを修正することはできない。
 FIT法は確かに改正され、非化石価値市場の創設による抑制なども検討されている。しかし、それが十分な抑制策になり得るとは筆者には考えづらい。2030 年のエネルギーミックスが達成された場合、2030 年までの累積賦課金総額は44 兆円になるとの試算も出されている。エネルギーコスト抑制に向けた政府の本気度を問いたい。

【産廃コンサルタントの法令判断/第14回】問われる廃棄物管理の判断力2――ケーススタディ「マニフェスト」編
渡山 夏代(株式会社 ミズノ 環境コンサルティング事業部 マーケティンググループ)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第14回)。

【新・環境法シリーズ/第63回】日中漁業協定の暫定措置水域等における海洋生物資源管理の現状と課題(上)
鶴田 順(明治学院大学 法学部 准教授)
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 本稿は、東シナ海における海洋生物資源管理の現状と課題を、日本と中国の間の漁業秩序に焦点をあてて、日中漁業協定の解釈およびそれにもとづく実行等によって把握し、検討し、課題の克服策を提示するものである。第1 章では日中漁業協定の締結にいたる経緯を整理する。第2章では日中漁業協定を主要な条文に即してその内容を把握する。第3章では日中漁業協定によって設定された「暫定措置水域」と「北緯27度以南水域」という二つの海域における問題状況を把握する(以上本号)。第4章では暫定措置水域における海洋生物資源管理の問題状況の克服策を検討し提示する。第5章では暫定措置水域における海洋生物資源管理の問題状況の克服策を検討し提示する。

【まるごとわかる環境法/第21回】毒物及び劇物取締法(後編)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
 第21回は「毒物及び劇物取締法」(後編)
 
 8.情報(SDS)の提供
 9.情報伝達に関する国際的な動き
 10.毒物劇物危害防止規定
【先読み! 環境法/第59回】第193回国会の環境関係法案・条約の審議状況
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 第193回国会の環境関連の法案・条約の審議状況を報告するとともに、前号(化審法改正、土対法改正)に続き、廃棄物処理法、バーゼル法、都市緑地法等の改正について紹介する。

 ❶第193 回国会の環境関係法案・条約の審議状況
 ❷廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案が3月10日に衆議院に提出
 ❸ 特定有害廃棄物等の輸出入の規制に関する法律(バーゼル法)の一部を改正する法律案が3月10日に衆議院に提出
 ❹ 都市緑地法、都市公園法、生産緑地法などの改正を内容とする都市緑地法等の一部を改正する法律案が4月12日に衆・国土交通委員会で可決
環境法改正情報 (2017 年3月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉ グリーン購入法
◉ 再生エネルギー特措法
◉ 化審法
◉ 労働安全衛生法
◉ 省エネルギー法
◉ 水道法
◉ 土壌汚染対策法
◉ 容器包装リサイクル法
◉ 地球温暖化対策促進法

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