環境管理バックナンバー 2018年 6月号

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2018年6月号 特集:複雑化する土壌汚染対策法と企業の対応

<特集>

企業からみた土対法改正の注目点――改正土壌汚染対策法、審議会では何が議論されたか?
寺浦 康子(エンデバー法律事務所 弁護士/中環審土壌制度小委員会臨時委員)
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 今回の土壌汚染対策法改正は、規制強化と規制緩和の両側面があり、各企業の状況によりその影響の有無・程度は異なる。各企業は、基本的な各改正のポイントを押さえたうえで、自らに関係のある部分については、今後改訂される予定のガイドライン事項まで充分に確認しておくべきである。ただし、どの企業に対してもいえることは、この改正土対法及び平成32 年4 月1 日に全面施行さ
れる改正民法の第562 条ないし第566 条の担保責任の規定に照らせば、土地の土壌汚染の状況の把握、記録及び開示が今後さらに重要性を増すことに留意すべきだということである。
長引くハイテク汚染と最近の土壌地下水汚染
本誌編集部
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 今から30 年以上前に発覚したハイテク汚染現場が今年2018 年に大きく新聞報道された。当時の優れた調査対策を改めてレビューし、比較的最近になって公開された別の汚染事例も解説する。それらを比較すると、共通して汚染調査や浄化対策の難しさがあぶり出される。一方、地元の市議会議員が自主的に勉強してVOC汚染機構図を作成するなどの興味深い動きもある。
 環境経営として土壌地下水問題は軽視できない。土壌地下水問題は新聞の全国面に掲載されることが少なくなったが、調査対象など規制が強化する中で潜在する汚染サイトは確実に増加傾向にある。本稿では、大阪豊中の汚染事例を筆頭に、微生物によって有害物質を分解するバイオレメディエーションや土対法の課題にも触れ、九州や中部など全国の汚染事例も紹介する。
土地取引と土壌汚染リスクの意義と実情
升田 純(弁護士/中央大学法科大学院 教授)
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 土地は長年にわたって生活、経済・産業活動の場として利用される等し、その土壌は様々な物質等によって汚染されているが、汚染は土壌汚染対策法の特定有害物質による汚染だけが問題になるものではない。日本の現代社会は、最近、土地の安全性だけでなく、安心の確保が強く求められる時代になり、汚染の風評損害も広く発生するような環境にある。土地取引にあたって土壌汚染が重
大なリスクになっているが、判例の現状に照らすと、訴訟による適切な解決も当てにならない。現在、所有者不明・不在の土地、管理放棄の土地等が日本各地にみられるが、土壌汚染のある土地も負の財産となり、今後管理放棄等が重大な問題になると予想される。
土地取引等の土地の有効活用における土壌汚染調査・対策のポイント
竹田 雅浩(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 環境・エネルギー部)
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 近年の土地不足や土壌汚染対策の多様化を背景とし、立地の良い土地は、土壌汚染があっても売買が成立するケースが増えてきた。このような土地売買等を成立させるための企業(売り手である事業場の所有者)の土壌汚染問題への取り組み方の主なポイントは、①事前に事業場の土壌汚染の状況を把握し、そのリスク評価を実施しておくこと、②土壌汚染が判明した場合、健康被害のおそれがなく、買い手の事業計画に支障がないスケジュールと費用で土壌汚染調査・対策が実施可能かを把握することである。
基準不適合地の有効活用を進めるために
佐藤 昌浩(経済産業省 産業技術環境局 環境指導室 課長補佐)
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 「基準不適合の土地であっても有効活用を進めるにはどうしたらよいか」この問題意識のもとに、経済産業省環境指導室では平成29 年度に二つの事業を進めた。
 一つは土壌汚染状況調査において汚染が明らかとなった場合の対策のしかたについてまとめたものである。必要かつ十分な措置とはどのようなものか。コストや時間を合理化しつつも適切な対策を実施し、土地を上手く活用した事例を紹介することで、さらなる土地の有効活用を期待するものである。
 もう一つは土壌汚染の調査、除去、拡散の防止、その他の必要な措置を行うための対策資金に関する支援措置として、土壌汚染対策関連の融資制度を新設したものである。
土対法の土壌汚染調査における分析法とその課題
佐々木 裕子(国立開発研究法人 国立環境研究所 客員研究員/中環審土壌制度小委員会委員)
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 コストや時間を要する土壌汚染対策を進める上で、汚染の判断基準となる分析の値には何より信頼性が求められる。今回の土壌汚染対策法の改正に際しても、分析法についてはコストや時間を増大させない方向で、測定データのばらつきを抑制すべきと答申されている。このばらつきという言葉の背景に、代表性ある土壌試料の採取の困難さや、土壌の性状等により前処理操作が一様にいか
ないなどの課題が潜んでいる。ここでは、現行の土壌汚染対策法の公定法並びに環境省が進めている公定法の改正に向けた検討状況や課題について概説する。
土対法の基礎を学ぶ――有害物質使用特定施設に係る規定と、主要な規定を中心に
宮川 正孝(首都大学東京非常勤講師(元 東京都環境局)/土壌汚染調査技術管理者)
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 筆者は、産業環境管理協会が定期的に開催している「土壌・地下水汚染に関する基礎セミナー」等の講習会やセミナーで土壌汚染対策法に係る講義を担当しているが、受講生からやっと法律が理解できたなどの感想が寄せられることも多く、法は難解との印象を持たれている方が多いように感じている。
 その土対法が改正され、本年4 月に引き続き、来春の二段階にわたり施行されるが、特に来春施行される事項は多岐にわたるものである。規制が緩和されるものも少なくないが、一方で土地の所有者等の義務などが強化されることから、土地の所有者等は、改正法の概要を理解しておく必要がある。
 このうち、有害物質使用特定施設の使用の廃止時に調査義務の一時的免除を受けている土地、又は同施設操業中の工場・事業場に係る土地は、土地の形質変更時の届出義務の対象規模が拡大するなどからこれに係る規定や、要措置区域指定時の知事の指示等の大幅に改正される規定などについては注意が必要である。
クロロエチレンと自然由来重金属汚染土壌に対する浄化技術について
DOWAエコシステム株式会社 ジオテック事業部
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 平成29 年4 月の土壌汚染対策法(以下、法)一部改正によって、クロロエチレン(以下、CE)が規制物質として追加された。CEは地中環境下において、トリクロロエチレン(以下、TCE)などの塩素化エチレン類から生成される場合があり、その浄化対策には留意が必要である。
 また、近年の大型のインフラ開発等に伴い自然由来重金属汚染土壌の発生が顕在化しており、その対策が課題となっている。本文ではCEおよび自然由来の重金属汚染土壌に対する浄化技術を紹介する。

<総説>

グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献量の見える化
佐藤 乃利子(経済産業省 産業技術環境局 環境経済室 係長)
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 2016 年11 月、京都議定書に代わる新たな枠組みとして「パリ協定」が発効し、世界共通の目標として2℃目標が掲げられた。今後、温室効果ガスを大幅に削減していくためには、省エネ対策等の自らの事業活動における排出削減だけでなく、日本企業が有する優れた低炭素技術を生かし、温室効果ガス削減に資する環境性能の優れた製品・サービス等を国内外に展開し、世界全体の大幅削減の実現に貢献していくことが重要である。本稿では、バリューチェーンを通じた産業界の削減貢献量の見える化に関する取組について述べる。

<シリーズ>

【合理的環境主義者の視点/第3回】地球温暖化の予測は正しいか?
杉山 大志(一般社団法人 キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員)
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 大型計算機によるシミュレーション計算では、急速な地球温暖化が予測されている。だが、「観測による推計」では、もっと緩やかな温暖化が予測されている。本当のところはいったいどうなのだろうか。「観測による推計」について紹介し、その意味を探る。
【エネルギーからみた地球温暖化問題/第25回】ドイツの電力事情――Energiewendeとはなにか
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 エネルギー政策は国民生活・社会経済に与える影響が大きく、国家戦略の中枢ともいえる。
 自国の資源賦存量や産業構造、気象条件や送電系統といった様々な制約条件のなかで、トレードオフの関係にある「3E(エネルギー安全保障・安定供給、経済性、環境性)」のバランスを取らねばならない。エネルギーインフラの構築には超長期の時間が必要であり、将来ビジョンを描き忍耐強く実現に向けて努力することが求められる。
 エネルギーの中でも特に、「インフラ中のインフラ」といわれ、他のインフラを支える存在である電力のあり方は、社会のあり方を変えるパワーを持つものであり、その政策はまさに自分たちの社会がどうありたいかという議論にほかならない。しかしその難しさのゆえか、しばしば「正解」を欧米など他国に求める議論がみられる。日本ほどエネルギー政策の議論の中で「世界の潮流」といった言葉を多用し、他国をベンチマークすることに熱心な国を、筆者は知らない。
 その中でも特に多く言及されるのがドイツであろう。製造業が盛んであることやGDPの大きさなど日本と類似点が多いこと、「自由化」、「再エネ」、「脱原発」という今の日本のエネルギー政策のキーワードを先取りしていることなどから、理想像として紹介されることが多い。しかし、前提条件の違いを無視して真似することはできないし、ドイツも成功ばかりではない。ドイツでは、「Energiewende」(エネルギー変革)をビジョンとしては評価しつつ、これまでのアプローチに対しては批判的な見方も多い。
 国民生活・社会経済に与える影響が大きく失敗が許されないエネルギー政策の議論においては、先人の好事例や失敗を見極めることが必要だ。他国を過度に評価することも、逆に、自国の制約条件に逃げ込むこともなく、真摯に学ぶことが必要だろう。
 これまでもドイツのEnergiewendeには注目してきたが、昨年11月、本年5月と国連気候変動交渉の会議がドイツ・ボンで開催されたため、その機会をとらえて、政府機関やシンクタンク、産業団体等へのヒアリングを行ってきた。そこで得たコメントも含めて、これから数回に分けて、ドイツの電力事情について整理したいと思う。
【産廃コンサルタントの法令判断/第27回】電子マニフェスト導入のハードル──アナログでできたことをいかに電子化していくか
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第27回)。

【新・環境法シリーズ/第76回】CCSの政策的位置づけと経済産業省の取り組み
経済産業省 産業技術環境局 地球環境連携室
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 CCS(二酸化炭素回収・貯留)は、大規模なCO2削減を可能とする技術として、海外各国の産業政策、環境政策の重要な選択肢の一つとなっている。我が国では、パリ協定を踏まえた地球温暖化対策計画に従い、CCS技術の実用化を目指した研究開発や実証試験を行うとともに、CCSに係る二国間および多国間の連携を進めている。他方で、CCSの社会実装に向けては、CO2貯留適地の確保、事業コストの低減、事業法やインセンティブの付与等の事業環境の整備、社会の理解の獲得などの課題がある。これらの課題の解決に向け、今後も実証・開発や国際連携に着実に取り組むことが重要である。
【環境担当者のための基礎知識/第6回】粘土鉱物の生成メカニズム――粘土の持つ驚くべき特性
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 丘陵を掘削した事業所敷地内で、マグマ噴出物であるスコリアが数十年で粘度鉱物に変化しているのを発見したことがある。粘度鉱物はシェールなど頁岩、泥岩やシルト岩さらに砂岩などが風化変質して生成される。一方で、地殻に広く存在する長石などの化学的風化により粘土鉱物が新たに生成される。河川の浸食・運搬・堆積といった作用も含め、粘土鉱物の興味深い特性や生成メカニズムについて解説する。
【先読み! 環境法/第72回】第5次エネルギー基本計画(骨子案)――エネルギー情勢懇談会の提言~エネルギー転換へのイニシアティブ~を反映
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 2030年を見据えた第4次エネルギー基本計画を策定してから3年が経過し、パリ協定の締結により2050年に向けた長期のエネルギー戦略を策定する必要性が生じた。こうした状況を踏まえて策定された第5次エネルギー基本計画の概要を解説する。また洋上風力発電設備の整備促進のための法律案についても取り上げる。
 
❶第5次エネルギー基本計画(骨子案)
 ―― エネルギー情勢懇談会の提言~エネルギー転換へのイニシアティブ~を反映
❷ 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案が3月9日に衆議院に提出(第196回国会)― 内閣府(総合海洋政策推進事務局)―― 海洋政策として海洋(洋上)風力発電設備の整備を促進
環境法改正情報(2018 年4月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉水質汚濁防止法
 ◉化審法
 ◉労働安全衛生法

<書評>

藤井圭次著『公害防止管理者等国家試験 騒音・振動関係 重要ポイント&精選問題集 騒音・振動概論/騒音・振動特論』
井上 保雄(株式会社アイ・エヌ・シー・エンジニアリング 技術本部 技監/公益社団法人 日本騒音制御工学会 第21期会長)
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 藤井圭次著『公害防止管理者等国家試験 騒音・振動関係 重要ポイント&精選問題集 騒音・振動概論/騒音・振動特論』
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