環境管理バックナンバー 2022年 3月号

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2022年3月号 特集:海洋ごみの国際規範

<巻頭インタビュー>

東京理科大学理工学部 出口 浩教授にきく「活性汚泥の先端研究を語る── 酸素消費速度と汚泥滞留時間」
聞き手:本誌編集部
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 東京理科大学理工学部土木工学科の出口浩(でぐちひろし)教授に、汚水の生物処理に関する興味深い話をお聞きした。合成洗剤の自然分解、活性汚泥のフロックに微細なガラスビーズで重しを付ける研究、酸素消費速度OURと汚泥滞留時間SRTの関係、さらに原水に最適なSRTを選択することでエアレーションに要する電力量を節約できることなど、どの話題も非常に興味深い内容であった。

<特集>

特集「海洋ごみの国際規範」について
鶴田 順(明治学院大学 法学部 グローバル法学科 准教授)/瀬田 真(横浜市立大学 国際教養学部 国際教養学科 准教授)
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 海洋ごみに関する国際規範は多様である。海洋ごみが国際問題化する以前から存在する国際規範もあれば、国際問題化したことを受けて定立された規範もある。国際条約のように法的拘束力を有する規範もあれば、SDGsのように法的拘束力を有さない規範もある。グローバルな規範もあれば、地域的な規範もある。本特集では、海洋ごみ問題に関する多様な国際規範の全体像を把握するために、関連の国際規範を広く調査し、規範相互の関係性に注目しながら整理する。海洋ごみに関する国際規範の日本における実施の現状とその課題についてもみていく。

SDGsによる海洋プラスチックごみ問題への対応 ──「目標ベースのガバナンス」と法の相互関係
佐俣 紀仁(武蔵野大学 法学部 法律学科 准教授)
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 持続可能な開発目標( SDGs)は、2015 年9 月の国連総会で採択された国際社会の共通目標である。SDGs自体には法的な拘束力はない。むしろ、SDGsは、法によって規制することなしに、関連アクターの自主的な取り組みにその具体的な実現方法を委ねている。こうした自主性と柔軟な取り組みを許す点にSDGsの価値を見出せる。しかし、SDGsと法との関係は無視できない。SDGsの基礎には法があり、また、SDGsを取り込む形で新たな法が形成されている。本稿では、SDGsと法との相互補完的関係を、海洋プラスチックごみ問題を素材として示す。

国連環境総会における海洋プラスチックごみに関する新たな条約策定の動き
本田 悠介(神戸大学大学院 海事科学研究科 准教授)
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 2017年に開催された国連環境計画の第3回国連環境総会(UNEA3)において、マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみ対策の現状把握や、新たな法的拘束力ある文書の採択を含む今後の対策オプションの検討を目的とする専門家会合の設置が決定された。2020 年の専門家会合による既存の取り組みにおける様々なギャップ・障壁に関する報告を受け、現状に不満を持つ複数の国は法的拘束力のある文書の交渉開始を支持している状況にある。本稿では、専門家会合を含むUNEAにおける議論経緯を中心に、海洋プラスチックごみをめぐる新たな条約策定の動きについて紹介する。

EU・ASEAN・UNEP地域海プログラムにおける海洋ごみ対策 ── 地域的アクターによる規範形成
瀬田 真(横浜市立大学 国際教養学部 国際教養学科 准教授)
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 海洋環境保護対策には、国際社会・国とは別に、地域的なものも存在する。その最も有名な例としては、欧州連合(EU)による措置が挙げられる。いわば、海洋ごみのホットスポットである東南アジア諸国連合(ASEAN)においても、独自の取り組みが始まっている。また、海洋については、国連環境計画(UNEP)が1974 年より地域海プログラムという枠組みを設けている。このプログラムの中では、北西太平洋行動計画(NOWPAP)のようにUNEPが設立して運営するものもあれば、バルト海のヘルシンキ条約のように、地域主導で独自に締結されたものもある。
 本稿では、このように多様な地域的アクターが、海洋ごみに対しどのような対策を行い、それがどのような意味を有するかについて検討する。

日本の海ごみ関連法と国際規範動向── 改正海岸漂着物処理推進法を中心に
樋口 恵佳(東北公益文科大学 公益学部 准教授)
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 日本における海ごみ関連の国内法は、a.条約規定を遵守するための担保法として国内で制定・改正された法律及びb.条約担保法ではないが、日本独自に制定・改正された法律の2 種類に分類できる。本稿では、日本の海ごみ関連法を上記の観点から整理し、それぞれについて国際法との関連性を示す。そのうえで、担保法の制定を求めるほど明確な法規範がない、かつ海洋ごみの主要因となっている陸上起因汚染の国際規範と、それに対する日本の対応を概観する。今後の新た
な規範の発展の可能性を見据えた議論をする場面では、法的拘束力ある条約の実施か否かを問わず、日本の国内における実行に関する情報が広く参考にされうる。

ロンドン条約・議定書による海洋ごみ問題への対応 ── 遵守グループの役割を中心に
岡松 暁子(法政大学 人間環境学部 教授)
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 船舶等からの海洋投棄による海洋汚染を防止することを目的とするロンドン議定書*1(以下、「議定書」という)は、海洋投棄を原則禁止とし、附属書に揚げられている廃棄物等のみ、投棄することが「検討可能」なものとしている。しかし、その条約上の義務の履行状況は良好とはいえず、議定書の遵守グループでは履行確保措置の検討がなされている。本稿では、これらの条約の内容と適用範囲を確認したうえで、締約国の履行状況を紹介しつつ、当該条約による海洋ごみ規制の課題を考察する。

MARPOL73/78 による海洋ごみ問題への対応 ── 附属書Ⅴの概要と最近の動向
中村 秀之(公益財団法人日本海事センター 主任研究員)
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 MARPOL条約は、1967 年に英仏海峡において起きたタンカー「トリー・キャニオン号」の油濁事故を契機として、1973 年に採択されたものである。1973 年条約はすぐには発効せず、1978 年の議定書による改正を受けて初めて発効に至った。船舶からのプラスチックごみの排出は、1973 年の条約時点でその附属書Ⅴにおいてすでに禁止されている( 附属書Ⅴ第3 規則及び第5 規則)。
 現行のMARPOL73/78 条約附属書Ⅴは、原則として、すべてのプラスチック、調理油を含めて、すべての廃物の海洋への排出を禁止しており、排出が許されるのは明示された例外的な場合に限られる。

<報告>

令和2 年度の公害苦情件数は、昨年度に比べ1.1 万件、16%増加 ──「令和2 年度公害苦情調査結果」より
公害等調整委員会事務局 総務課
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 公害等調整委員会では、都道府県・市町村の公害苦情相談窓口へ寄せられた公害苦情について、その受付状況及び処理状況を把握するため、毎年度、公害苦情調査を実施し、結果を公表している。
 令和2 年度の受付件数は、前年度に比べ1.1 万件、16%増加しており、公害苦情相談窓口による公害苦情の迅速な解決にむけた取組状況を調査データから紹介するとともに、増加した背景として、新型コロナウイルス感染症( 以下、「感染症」という)の感染拡大の影響についても考察した。

<シリーズ>

【弁護士からみた環境問題の深層/第15回】 サステナブルファイナンスの現状分析
高津 花衣(粟澤・山本法律事務所/ CSR普及協会環境法専門委員会委員)
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グリーンボンドやソーシャルボンドといった直接金融の分野から広がりを見せたサステナブルファイナンスであるが、近年では、間接金融の分野でもその存在感を増している。その広がりの背景には、サステナビリティ経営の高度化やレピュテーションの向上を目的に、サステナブルファイナンスによる資金調達を求める事業者の存在と、それを踏まえて、自身の競争力維持・ビジネス機会の創出をはかり、経営戦略を練る金融機関側の事情があるようである。間接金融型のサステナブルファイナンスの契約は、国内外で通用されている各種のフレームワークを利用して実行されているが、グリーンウォッシュ等の懸念が広がる中で、その在り方にも変化が見られる。

【産廃コンサルタントの法令判断/第72 回】 WDSの作り方── 適正処理に不可欠な「廃棄物データシート」
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第72回)。

【新・環境法シリーズ/第121回】2021EU戦略と規制アセスメント
柳 憲一郎(明治大学 名誉教授・研究知財戦略機構研究推進員)
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欧州連合(EU)の気候変動適応対策は、これまで2013EU適応戦略にもとづき、プラットフォームであるClimate-ADAPT(本誌2021年6月号参照)を運用することで実施されてきた。この戦略を改定し、新たに策定されたのが、「気候変動への適応に関する新しいEU戦略」(2021EU strategy on Adaptation to climate change、以下、「2021EU 気候変動適応戦略」という)である。この新たな戦略は、2050年までに気候変動の不可避的な影響に適応し、ヨーロッパが気候に強い社会になるための長期的なビジョンを提唱している。そこで本稿では、2021EU 気候変動適応戦略と、その策定時に実施された規制アセスメントの一部について紹介する。

【先読み! 環境法/第117回】208 回国会の特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提出に向けて
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 2208回国会の特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提出に向けて、2022年01月11日の中央環境審議会答申「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について」解説する。
❶ 208回国会の特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提出に向けて
❷ 外来種対策の中央環境審議会答申

環境法改正情報(2022年1月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉ 地球温暖化対策推進法
◉ 労働安全衛生法
◉ 毒劇法
◉ プラスチック資源循環促進法
◉(公開情報) 地球温暖化対策推進法:令和2 年度の電気事業者の実績に基づく基礎排出係数及び調整後排出係数の公表

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