環境管理バックナンバー 2017年 6月号

キーワードサーチ

バックナンバーの閲覧 / 冊子版の購入

  • ログインはこちら
  • 『環境管理(冊子版)』を購入
  • 協会会員の方は、記事全文をPDFファイルで閲覧ができます。
    ログインしてご利用ください。
  • 各号の概要の閲覧、冊子版の購入はどなたでも
    ご利用いただけます。

2017年6月号 特集1:土壌汚染問題 法的側面と浄化技術/特集2:我が国の長期低炭素ビジョンの展望

<報告>

大型連休に発生した赤潮の原因
本誌編集部
▼概要文表示

 神奈川県茅ヶ崎市や藤沢市、鎌倉市の海水浴場では本年5月の連休に規模が大きい赤潮が発生した。茅ケ崎市沖から鎌倉市沖の約12kmを巡回した海上保安庁の巡視艇が、赤く染まっている海域が点在しているのを確認している。赤潮の発生は、従来、生活排水や工場排水などが海に流れていくことによって、海水中のCODや栄養塩類等が多くなることが原因であると考えられていた。赤潮発生の原因をレポートする。

<特集1>

汚染土と廃棄物混じり土の法律問題
小澤 英明(西村あさひ法律事務所 弁護士)
▼概要文表示

 豊洲問題は汚染土の問題であり、森友問題は廃棄物混じり土の問題であるが、いずれも嫌悪物質を含む「土」の問題である。廃棄物処理法は、不要な「土」でも廃棄物として取り扱ってこなかった。平成21年の土壌汚染対策法改正によって、同法の規制対象である区域から搬出される汚染土の処理に法律上の網がはじめてかかったが、その他の土地の「土」の処理には今なお直接的な法律上の規制がない。そのため、廃棄物混じり土は、どのように処理を行うことが適正なのか迷う場合が少なくない。また、汚染土の土地も廃棄物混じり土の土地も態様がさまざまであるため、評価をいかに行うかが難しい。とりわけ、廃棄物混じり土については市場での評価が固まっていないことから、評価が難しい。本稿は、汚染土と廃棄物混じり土の適切な取扱いは何か、それぞれを含む土地の評価を行うにあたってはどのような要素がポイントとなるかを整理するものである。

土壌汚染対策法改正について
佐藤 泉(弁護士)
▼概要文表示

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案が、平成29年3月3日に閣議決定され、国会において可決された。今回の改正では、操業中及び調査の一時的免除中の工場及び事業場について、土地の汚染状況の把握が不十分であること、及び汚染の除去等の措置に係るリスク管理が不十分であることについて、規制強化が法案に盛り込まれている。一方で、リスクに応じた規制の合理化という観点から、規制緩和案も加わっている。土壌汚染対策法の改正の全容は政省令が定められなければわからないが、事業者に大きな影響を与えるため、現時点での改正法令について解説する。

土壌汚染対策法と廃棄物処理法及び水質汚濁防止法の相互関係――汚染土壌の排出及び地下水規制に関する法律の適用関係の検討
町野 静(弁護士)
▼概要文表示

 土壌汚染対策法は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めているが(第1条)、汚染土壌の搬出等に関する規制は廃棄物の排出を規制する廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」又は「廃掃法」という)との適用範囲が重なり得る。また、土壌汚染対策法は、地下水汚染による人の健康被害防止の観点から地下水基準を定め、地下水汚染による人の健康被害またはそのおそれがある場合には土壌の調査や汚染の除去等の措置をすることを定めているが、このような地下水汚染の観点からの規制は有害物質の地下水への浸透を規制する水質汚濁防止法とも重なる部分がある。そこで本稿では、一般的な法令の適用関係について説明した上で、上記のような観点から、土壌汚染対策法と廃棄物処理法及び水質汚濁防止法の適用関係を整理する。

建設工事における廃棄物混じり土への対応について
阪本 廣行(株式会社 フジタ 建設本部 土木エンジニアリングセンター 土壌環境部 エグゼクティブコンサルタント)
▼概要文表示

 道路や造成などの建設工事の施工中に、予期せぬ埋設された廃棄物に遭遇することがある。廃棄物処理法においては、掘削された土砂と廃棄物の混合物は全体が廃棄物とみなされる。しかし、廃棄物が多量の場合、土と廃棄物を分別して土砂を有効利用し、廃棄物をリサイクルあるいは適正に処理することが求められる。本稿では、埋設された廃棄物に遭遇したときの対応、掘削した土砂と廃棄物の分別方法および分別した土砂および廃棄物の取扱い等を示し、掘削された廃棄物混じり土のリサイクルの考え方を示す。

土壌汚染措置における外部環境負荷の評価――グリーン・レメディエーションに向けた取り組み
保高 徹生(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 地圏環境リスク研究グループ 主任研究員)
▼概要文表示

 土壌汚染対策において、土壌汚染のリスクや措置コストだけでなく、措置に伴う環境負荷低減の取り組み(グリーン・レメディエーション)、さらには環境面だけでなく社会面・経済面も考慮して措置の意思決定を行う考え方(サステナブル・レメディエーション)の検討が、世界的に進んでいる。本稿では、前者のグリーン・レメディエーションに関して、世界各国の取り組み、具体的な活用方法としてのベスト・マネジメント・プラクティス(BMP)と定量評価法を解説し、さらに最近の日本国内の取り組みを紹介する。

油汚染の原位置浄化技術
北原 亘(株式会社 アイ・エス・ソリューション)/和知 剛(株式会社 アイ・エス・ソリューション)
▼概要文表示

 油による土壌汚染は工場やガソリンスタンドで頻繁に発覚する。そこでガソリンに含まれるベンゼンなど油汚染への短工期、低コスト対策であるフェントン手法を紹介する。また反応剤の撹拌混合技術にも触れ、VOCs浄化に有益な情報を提供できるMIPによる絞り込み調査手法についても解説する。
 

最近の土壌汚染事例
本誌編集部
▼概要文表示

 最近の土壌汚染の事例として、愛知・三重両県で本年2~4月に発表された5 案件について報告する。

<特集2>

長期地球温暖化対策プラットホームについて
経済産業省 産業技術環境局 環境政策課
▼概要文表示

 2016 年11月に発効したパリ協定において、各国は「長期低排出発展戦略」を作成・提出することが求められている。経済産業省では同年7月より「長期地球温暖化対策プラットフォーム」を開催し、2030 年以降の長期の温室効果ガス削減に向けて論点・ファクトを整理してきたところ、本年4月に報告書をとりまとめた。報告書では、①既存の枠組にとらわれない発想の転換(リフレーム)により、不確実性と共存する「強さ」と「しなやかさ」を備えた戦略を策定すべきであり、②「国際貢献」、「グローバル・バリューチェーン」、「イノベーション」にまで視野を広げる「地球温暖化対策3本の矢」により、すべての主体が自らの排出を上回る削減(カーボンニュートラル)へ貢献する「地球儀を俯瞰した地球温暖化対策」を戦略の核とするべきとの提唱を行った。

長期低炭素ビジョンのあらまし
環境省 地球環境局総務課 低炭素社会推進室
▼概要文表示

 平成29年3月、中央環境審議会地球環境部会において「長期低炭素ビジョン」が取りまとめられた。気候変動対策をきっかけとした経済・社会的諸課題の「同時解決」をコンセプトとし、2050年80%削減を実現した社会の絵姿を描き、その実現に向け既存技術、ノウハウ、知見の最大限の活用とともに、経済・社会システム、技術、ライフスタイルのイノベーションを創出することの重要性を記している。環境省は、2050年80%という温室効果ガスの長期大幅削減を目指し、長期低炭素ビジョンを気候変動対策の基本的な方針として取組を進めていく。
 

<書評>

阿部泰隆著『廃棄物法制の研究』
本誌編集部
▼概要文表示

 阿部 泰隆氏は行政法学を半世紀以上研究する弁護士である。今回、『廃棄物法制の研究』を出版したのでその概要を次に紹介する。

<総説>

PCB 廃棄物早期処理に係る法令改正と国の施策
東 克成(経済産業省 産業技術環境局 環境指導室 課長補佐(技術担当))
▼概要文表示

 平成30年3月31日に中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の北九州事業エリアの変圧器・コンデンサー等の処分期間の末日を迎える。同エリアにある高濃度のポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有する変圧器・コンデンサーの保管事業者・所有事業者等は、処分期間内にJESCOと処分委託契約を締結する必要があり、違反者には罰則も適用される。このように高濃度PCB廃棄物の処理は待ったなしの状況である。本稿では高濃度PCB電気機器の掘り起こし調査、関連する届出について概説するとともに、国の施策の内、事業者に関わりの
強いものを中心に紹介する。
 

ライフサイクル思考に基づいた自然資本経営
中野 勝行(一般社団法人 産業環境管理協会 LCA事業推進センター LCA事業室)/山岸 健(一般社団法人 産業環境管理協会 LCA事業推進センター LCA事業室)/佐伯 順子(一般社団法人 産業環境管理協会 LCA事業推進センター LCA事業室)/神崎 昌之(一般社団法人 産業環境管理協会 LCA事業推進センター)
▼概要文表示

 工業用水の取水など、産業活動は自然の恵みに大きく依存している。これら自然の恵みを定量的に評価し、経営判断に反映させる取り組みが広がりつつある。特に、企業の自社工場等が立地する場所だけでなく、そのサプライヤなどサプライチェーンを含めたライフサイクル全体を評価することが行われている。本稿では、これら自然との関わりを考慮した企業経営が進む背景と目的、そしてその評価手法について整理することを試みた。
 

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第14回】カーボンバジェットあと1,000Gtは本当か──ハイブリッドアプローチを採るパリ協定を維持する観点から考える
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
▼概要文表示

 パリ協定が採択された瞬間、歓喜の渦に包まれたCOP21 会場にあって、筆者はどうしてもそれほどに楽観的にはなれなかった。
 パリ協定はいわゆる2℃目標という長期目標を共有したうえで、各国の貢献については各国の自主的な設定を認める。「ハイブリッドアプローチ」とも評されるこの仕組みは、これからのルール設計の過程でトップダウンアプローチの色合いが濃くなれば各国の離脱(協定からの明示的な離脱のみならず、達成に向けた努力の静かなる放棄も含む)を招くであろうし、自主性を過剰に認め公平かつ実効性ある対策努力が引き出せなくなれば、温暖化対策が進まない。
 そもそも協定の条文に書き込まれた2℃目標は政治的に生まれ、徐々に気候変動交渉の世界の「常識」として定着したものである。さらに、その2℃目標を達成するためには、気候感度の前提の置き方次第で様々な道筋があり得るが、わかりやすい単一な数字が「守るべき予算」として独り歩きしている。本来は最新の科学的知見に基づいて国際的枠組みが議論されるべきであるが、一旦独り歩きをし始めた数字について科学的根拠を問う議論は、「厳しめに考えておいたほうが良い」というナイーブな声の前にかき消されがちである。
 しかし我々の目標に近づくパスは多様に存在することを前提に議論しなければ、パリ協定の仕組みそのものを瓦解させてしまいかねない。温暖化対策至上主義に陥ることは、温暖化対策を進める上で決して得策ではない。
 パリ協定の構造と2℃目標、それを達成するために必要とされるカーボンバジェット残り1,000Gtを整理したうえで、現在のUNFCCCでの議論を概観する。
 

【産廃コンサルタントの法令判断/第15回】埋まっていた廃棄物を掘り起こしてしまったら?――工場敷地内で遭遇する「廃棄物混じり土」とは
佐藤 健(株式会社 ミズノ 環境コンサルティング事業部 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
▼概要文表示

 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第15回)。

【新・環境法シリーズ/第64回】 日中漁業協定の暫定措置水域等における海洋生物資源管理の現状と課題(下)
鶴田 順(明治学院大学 法学部 准教授)
▼概要文表示

 本稿は、東シナ海における海洋生物資源管理の現状と課題を、日本と中国の間の漁業秩序に焦点をあてて、日中漁業協定の解釈およびそれにもとづく実行等によって把握し、検討し、課題の克服策を提示するものである。第1 節では日中漁業協定の締結にいたる経緯を整理する。第2節では日中漁業協定を主要な条文に即してその内容を把握する。第3節では日中漁業協定によって設定された「暫定措置水域」と「北緯27度以南水域」という二つの海域における問題状況を把握する(以上前号)。第4節では暫定措置水域における海洋生物資源管理の問題状況の克服策を検討し提示する。第5節では暫定措置水域における海洋生物資源管理の問題状況の克服策を検討し提示する。

【環境刑法入門/第7回】 自分で「捨て」なくとも不法投棄で処罰されるか?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示

 廃棄物処理法の不法投棄罪(16条、25条1項14号)は、廃棄物をみだりに捨てた「者」を処罰の対象とする。この「者」は、1人の自然人(人間)が想定されている(単独正犯)。これに対して、複数人が共通の意思の下で一緒に廃棄物を「捨て」れば、その全員が不法投棄罪の「共同正犯」として処罰されうる。それでは、廃棄物を自ら「捨て」ずに、他人に「捨て」させた場合はどうか。この場合にも、不法投棄罪の「間接正犯」、「共謀共同正犯」あるいは「教唆犯」・「幇助犯」(共犯)として処罰されうる。それは具体的にどのような場合か。また、会社ぐるみで不法投棄がなされると、いわゆる「両罰規定」(32条1項1号)が適用されて、その投棄行為をした代表者・従業員らの自然人が罰せられるほか、その業務主たる会社(法人)にも罰金刑(最高3億円!)が科されうる。しかし、会社は、自然人と異なり、肉体と精神(自由意思)とが欠ける。それでも、廃棄物を「捨て」たとして処罰されるのはなぜか。今回は、不法投棄罪をめぐる「正犯」・「共犯」及び「法人処罰」(両罰規定)について考える。
 

【まるごとわかる環境法/第22回】PCB特別措置法(前編)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
▼概要文表示
 環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
 第22回は「PCB特別措置法」(前編)
 
1.PCBとはどんなものでしょうか?
2.PCBの毒性について
3.PCBへの対応
4.PCB廃棄物の発生量、保管量及び処分量の見込み
5.PCBに関係する国内法について

 
【先読み! 環境法/第60回】 「名古屋・クアラルンプール補足議定書の国内担保措置に係るカルタヘナ法の一部を改正する法律」が平成29年4月21日に成立・公布
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
▼概要文表示

 遺伝子組換え生物等の使用に伴うリスクを規制する国内法「カルタヘナ法」が改正され、違法な使用による生物多様性への著しい損害の回復措置が定められた。環境損害とともに原子力・電磁波・ナノ物質等と同様、遺伝子技術開発リスクの不確実性に対する法的制御にどう取り組むかが今後の課題といえる。「種の保存法」の改正についても取り上げる。

❶「 名古屋・クアラルンプール補足議定書の国内担保措置に係るカルタヘナ法の一部を改正する法律」が平成29 年4月21日に成立・公布
❷ 絶滅のおそれのある野生希少動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の一部を改正する法律案

環境法改正情報 (2017 年4月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
▼概要文表示

◉ 化審法
◉ 省エネルギー法
◉ 小型家電リサイクル法
◉ 特化則
◉ 水銀汚染防止法
◉ 廃棄物処理法

出版物の購入・ご案内

ページの先頭へ戻る