環境管理バックナンバー 2021年 4月号

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2021年4月号 特集1:次世代エネルギーシステムを支える蓄電技術 最新動向/特集2:令和3年度環境政策

<巻頭レポート>

最近の気になるニュース・クリッピング
本誌編集部
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⦿液体バイオマス発電所の反対運動
⦿宮城県石巻市のバイオマス発電
⦿凝集剤が生態系破壊か
⦿日立造船が容量7倍の電池開発
⦿電池のリコール
⦿フォルクスワーゲン・パワーデー
⦿工業用水確保は重要
⦿業者が6 件の違反で行政処分/営業停止
⦿石綿含有珪藻製品に追加規制の動き
⦿真空プロセスで全固体電池を試作
 

<特集1>

電池入門
本誌編集部
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 脱炭素社会に向け脚光を浴びる再生可能エネルギーがある。太陽光と風力の発電コストが年々大きく低下して本格普及するなか、電池のエネルギー貯蔵機能がより向上して注目されている。本稿では、最近まで年に約40億個も生産された電池について様々な視点からレポートする。電池に期待される役割や市場動向に加え、内外の興味深い歴史と初歩的な技術情報を解説する。
 
NAS®電池の適用例と今後の脱炭素に向けた展開
日本ガイシ株式会社 エネルギーインフラ事業本部 エナジーストレージ事業部
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 日本ガイシ(株)は、1984 年から東京電力(株)と共同でNAS®電池の開発を開始し、2002年に事業化した。これまでに世界で200か所以上に、総出力約00MW、総容量約4,200MWh(一般家庭約1.7万戸分の1か月の電力使用量に相当)のNAS®電池を納入している。その用途は大口需要家でのピークカットによる電気料金削減や非常用電源、瞬低対策のほか、近年では風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの出力変動対策への活用も進んでいる。
 本稿では長時間放電を基本とするNAS®電池の概要について述べるとともに、今後の脱炭素に向けた展開について述べる。
循環社会のアウトプットとしての電池と展開について
熊谷 枝折(一般社団法人 マグネシウム循環社会推進協議会 代表理事/東北大学産学連携先端材料研究開発センター
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 地球に暮らす人類が直面する最大の課題は、持続可能な方法でエネルギーを生産し、社会を維持するために消費するということである。その方法として、マグネシウムを新たなエネルギー・キャリアとして利用することを提案する。
 そのためには、マグネシウムの広範な利用技術と電池への展開の筋道をつける必要がある。さらに、材料循環ができるようにするために自然エネルギーや余剰エネルギーを巧妙に使うことが必要となる。マグネシウムをはじめ、真に循環できる材料をエネルギー・キャリアとし、持続可能なエネルギー循環システムとして構築することによって、日本国内はもとより世界のどこでも公平に使うことができる技術として啓蒙活動を推進し、将来にわたって地球環境の維持保全に貢献できる。
 最近、電池という言葉が頻繁に使われるようになったが、「電池とは、電気エネルギーを得るための変換装置の一つ」を意味する。広義には物理電池と化学電池に分けられ、熱エネルギー、原子力エネルギー、太陽エネルギー、化学エネルギーを電気エネルギーとしてアウトプットできるものが電池であると定義できる。
 2030 年頃から、リチウム電池に代わり金属空気電池が有望とみられている。金属空気電池としてマグネシウム空気電池があり、資源の豊富さと少ないエネルギーでリサイクルが可能なことから、エネルギー・キャリアとして、さらに環境配慮型の革新的な二次電池として、循環社会の中で最も有望な電池である。
JBRCにおける小型充電式電池の回収・再資源化の実態と今後について
金澤 祐一(一般社団法人JBRC 専務理事)
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 小型充電式電池は我々の生活において幅広い商品に使用され、欠かすことのできないものとなっている。その小型充電式電池に含まれる希少金属を回収して再資源化する必要性が高まってきた時代に、一般社団法人 JBRCが設立された。回収対象となる電池を搭載した機器は、様々な消費者ニーズに応じて用途がますます広がりつつある。本稿では、これまでJBRCが実施してきた活動概要や今後の推進課題について述べるとともに、再資源化の価値を認識していただく機会として捉えていただきたい。
車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
田中 善章(株式会社 矢野経済研究所 モビリティ産業ユニット Enermobilityグループ)
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 2020年のコロナ禍の中、xEV市場、並びに車載用リチウムイオン電池(LiB)市場は予想を上回る市場規模での着地となった。欧州を中心に規制強化の流れは加速する向きをみせており、「サスティナブル」というキーワードに対する関心度は、欧州以外の地域でも以前に比べ高まりをみせていると感じる。一方、xEV市場は依然、補助金依存の側面も有しており、コロナ禍のあと、一般消費者への市場拡大には経済環境の回復を含めて、時間を要する可能性があると考える。電動車が伸びる機運はコロナ禍で高まりをみせていると感じるが、その変化速度には様々な変数が絡むため、市場の成長度合いを見極めつつ、慎重な判断のもと、堅実な成長戦略を描くことが業界プレーヤーに求められていると考える。本稿ではxEV市場、車載用リチウムイオン電池市場に関して二つの成長シナリオに基づく展望を述べる。

<特集2>

当面の経済産業省における環境政策について
経済産業省 産業技術環境局 環境政策課
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 経済産業省においては、地球温暖化対策や、循環型社会の構築、環境負荷物質低減対策といった課題に取り組んでおり、本稿では現在の主要な施策、当面の取組について述べる。
本年度の環境省の重点政策について
環境省 大臣官房総合政策課 企画評価・政策プロモーション室
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 我々はコロナと気候危機という二つの危機に直面している。コロナ後の社会の再設計にあたっては、元の社会に戻るのではなく、「脱炭素社会への移行」、「循環経済への移行」、「分散型社会への移行」という「3 つの移行」を通じた経済社会のリデザイン( 再設計)を一層強力に進める必要がある。
 今年、環境庁創設から50年、環境省設置から20年の節目を迎える。この間、公害問題から気候危機へと課題が大きく拡大する中で、環境省は、水俣病をはじめとする原点を忘れることなく、「社会変革担当省」として、各省との連携を強化し、様々な課題に全力で取り組んでいく。
バイオマス利用と食品ロス削減の推進
農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課
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 農林水産省においては、エネルギーの地産地消に向けたバイオマスの活用推進や、事業系食品ロスの削減に取り組んでおり、本稿では現在の施策や当面の取組について述べる。

<総説>

新たな資源循環の実現と地球環境の再生に向けた挑戦
吉田 朋央(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)イノベーション推進部 ムーンショット型研究開発事業推進室)/山田 宏之(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)イノベーション推進部 ムーンショット型研究開発事業推進室)
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 2018年に総合科学技術・イノベーション会議にてムーンショット型研究開発制度が創設された。のちに、人々を魅了する野心的な七つの目標が決定されるとともに、そのうちの一つである目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」をNEDOが推進することになった。NEDOはRITEの山地憲治副理事長・研究所長をプログラムディレクターに任命し、2020 年8月には13件の研究開発プロジェクトと、それをマネジメントするプロジェクトマネージャーを採択した。これらNEDOが取り組む野心的な目標と採択した挑戦的な研究開発についてNEDOの取り組みとともに概説する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題シリーズ51】日本の水素戦略の展望と課題── 2050年カーボンニュートラルの柱は電化・水素化
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 昨年12 月、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が公表された。総花的である、あるいは、具体性がないといった批判の声も多く聞くが、30年後のカーボンニュートラルという壮大なチャレンジにはあらゆる技術の総動員が必要であり、その中で、脱炭素化に向けた戦略の柱として、電力部門の脱炭素化と電力部門以外(一部の燃料・原料。実質的に需要家側の対策)での「電化・水素化」が明確に掲げられたことは評価できると筆者は考えている。
 特に重要なのは、需要対策の重要性を謳ったことであり、これまでのエネルギー政策が供給対策に偏っていたことを鑑みれば、大きな政策転換と言えるだろう。供給側と需要側の対策を車の両輪に例える筆者からすればまだ需要側の議論が手薄であることは指摘せざるを得ないが、それでもこの変化を歓迎したい。
 しかし、今後この戦略を実装に向けた取り組みにブレークダウンしていかねばならない。こうした状況を受けて、現在、筆者が委員を拝命している経済産業省の水素・燃料電池戦略協議会では、水素技術に関わる企業に広くその技術展望やコスト見通し、必要とする政策的措置など幅広くヒアリングも行ったうえで、次期エネルギー基本計画や水素基本戦略の見直しを見据えて、議論を加速させている。戦略の中間とりまとめがみえてきたところで、改めて、わが国の水素戦略の展望と課題を整理したい。
【弁護士からみた環境問題の深層/第4回】ESGが海外事業所及び海外子会社に与える影響――インドでのM&Aを事例にして
宮村 頼光(TMI総合法律事務所 弁護士)
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 特にここ数年、世界的なESGへの関心の高まりを受けて、M&Aを行おうとする企業も、M&Aの対象となる企業のESGへの取組みに関心を示すようになってきている。ESGチェックリストを独自に作成するなど、ESGを強く意識してM&Aを行う買主も出てきている。ESGを意識した外国企業のM&Aを実現するためには、その国独自のESGに関する規制を把握することが重要である。
 ESGへの意識の高まりは、M&Aに限らず、通常の企業経営でも十分当てはまる。海外の事業所及び子会社のESGに関する課題については早期に調査及び対応を進めておくべきである。具体的には、①各国における法及び規制の遵守のレベルを見極めた上で、②域外適用のある法令の調査、及び、③法規制を超えた国際条約、国際ルール、ガイドライン、ルール等の調査を行うことが考えられる。
【産廃コンサルタントの法令判断/第61回】マニフェストの交付や回収現場の立ち会い――社員が直接行わなければダメ?
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第61回)。

【新・環境法シリーズ/第110回】地方自治体における再生土の取扱いについて―千葉県条例を手掛かりとして
宇野 雄一郎(総務省 消防庁 国民保護・防災部 防災課 広域応援室 航空調整係長)
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 再生可能エネルギーとして注目される太陽光発電について、太陽光パネルを設置する際の土台に「再生土」と呼ばれるものが用いられるケースがあり、不適切な盛土や溶出物により周辺環境へ悪影響が生じている。このような影響に対応するため、千葉県では2018年に「千葉県再生土の埋立て等の適正の確保に関する条例」を制定した。本稿では、同条例の制定経緯となる再生土の特徴や問題となった事案、既存の制度での対応の困難性、条例制定に向けての方向性(論点整理)、他の都道府県の動向、条例制定後の状況等について解説する。
【環境倫理の基礎講座/第4回】社会受容性という環境問題
佐藤 建吉(一般社団法人 洸楓座 代表理事)
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 人間は理性を持った生き物である。それゆえ、考えのよりどころ、あるいは価値判断は個人により異なる。個々の人間の生きる目的や目標も異なる。すると互いに対立する局面も多方面にある。目まぐるしく動く社会やその現場である世間は、その縮図ともいえる。一人の個人がかかわる世間にも個人差があり、また限定されるものといえる。それは、社会の動きと同調する場合もあり、あるいは対立する局面もある。今回、取り上げる社会受容性は、まさに、個人と社会との合意、あるいは相克の現れである。社会受容性は、社会学や心理学、そして統計学などの対象ともなるが、同時に、「環境倫理の基礎講座」の対象にもなる。風力発電を例として考えてみたい。
【環境担当者のための基礎知識/第40回】水質汚濁防止法――最近の違反事例と法改正動向
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 水質汚濁防止法の潜在違反は非常に多い。本稿では工場排水による違反事例を報告し、水質二法から水濁法制定までの簡単な経緯と水濁法のポイントを解説する。年間の立入件数は3万4,696 件と多く検査項目も幅広い。規制の骨子である排水基準の違反は大きく減少したが、1級河川の水質事故の届出件数は年に450件程度で、今後も注意する必要がある。工場や事業場から油類や化学物質が流出することで、魚など多くの水生生物や水稲などに被害を与え、水道用水や農業用水の取水ができなくなるなど大きなトラブルが発生する。
【先読み! 環境法/第106回】カーボンプライシングについて経済産業省が検討を開始、環境省も検討を再開
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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 世界中の国々が2050年までのカーボンニュートラルを表明する中、国家、産業界、企業それぞれが脱炭素社会を目指す国際競争の時代に入ったといえる。本稿では今年に入って検討が本格化したカーボンプライシングの動きについて紹介し、経済産業省と環境省のスタンスの違いを解説する。3月に閣議決定されたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案についても紹介する。
 
 ❶ カーボンプライシングについて経済産業省が検討を開始、環境省も検討を再開
 ❷プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案が3月9日に閣議決定、同日衆議院へ提出
環境法改正情報(2021年2月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉廃棄物処理法
 ◉建設リサイクル法
 ◉オフロード法
 ◉(その他)押印の廃止関連

<書評>

杉本裕明著『産廃編年史50年―廃棄物処理から資源循環へ―』
佐藤 泉(弁護士)
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 廃棄物処理法が制定されたのは1970年。本書は、この法律の誕生と変遷、そして循環型社会への挑戦を、ジャーナリストの視点から、丁寧なインタビューと資料調査に基づき浮き彫りにしている。環境汚染のなかで、廃棄物問題は最も「人間らしい」。廃棄物を出す人も、処理する人も、そしてそれを規制する人も、廃棄物とかかわることで、悩み、愛され、嫌われ、成長していく。その姿を、著者は暖かいまなざしで応援しつつ、そこに秘められた時代背景と制度のあり方をあぶりだしている。廃棄物処理法の光と影の50年の歴史を語る名著である。
 
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