環境管理バックナンバー 2023年 12月号

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2023年12月号 特集:資源循環技術の未来2023

<特集>

資源循環における次世代型分離技術
大和田 秀二(早稲田大学理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科 教授)
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人工(廃棄物)資源の有効利用を推進するための重要技術の一つに、各種成分の分離技術がある。この分離技術には大別すると物理選別と化学分離の二つがあり、それぞれに特徴があり、環境調和型(天然資源利用よりも省資源・エネルギー的)資源循環を達成するには、両者を合理的に組み合わせる必要がある。本稿では、主として今後の高度化が期待される(未だ高度化が進んでいない)前者について述べる。この物理選別には粉砕と選別という二種類の技術があり、前者の主目的は、単に小さくするのではなく、分離対象物を構成する各主成分の単体分離(一粒子が一成分で構成される状態にすること)であり、後者のそれは、より精度の高い成分分離を達成することにある。ここではその中でも最近注目度の高い電気パルス粉砕およびセンサー選別ついてその概要と適用事例を紹介し、これらの技術開発をうまく組み合わせた場合に期待される次世代型分離プロセスを提案したい。
一般社団法人産業環境管理協会 「令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)」「令和5年度リサイクル技術開発本多賞(第28回)」「令和5年度3R先進事例発表会」実施報告
一般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター
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一般社団法人産業環境管理協会は、循環ビジネスの振興に貢献するとともに、資源循環の更なる普及と循環経済への移行を促進し、持続可能な循環型社会の形成に寄与することを目的として、毎年、「資源循環技術・システム表彰」、「リサイクル技術開発本多賞」を広く募集、表彰している。
本年は、「令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)表彰式」および「令和5年度リサイクル技術開発本多賞(第28回)表彰式」を開催した。また、受賞内容を広く皆様に知っていただくため「令和5年度3 R先進事例発表会」も同日に開催し、会場参加・オンライン参加を含め、200名以上の方にご視聴いただいた。
【令和5年度リサイクル技術開発本多賞(第28回)】亜臨界・超臨界流体を用いる難分解性プラスチックのケミカル/マテリアル複合リサイクル技術の開発
佐古 猛(静岡大学 創造科学技術大学院 特任教授)岡島 いづみ(静岡大学 工学部 化学バイオ工学科 准教授)
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亜臨界・超臨界流体を用いて、現在のマテリアルリサイクルや熱分解法では処理が難しい複合プラスチック、熱硬化性プラスチック、エンジニアリングプラスチックを効率よくリサイクルする技術を開発した。具体的には、(1)炭素繊維強化プラスチックを超臨界メタノールで処理し、熱硬化性樹脂を熱可塑化してリサイクルすると共に、熱劣化なしの炭素繊維を回収する、(2)熱硬化性のシラン架橋ポリエチレンを超臨界メタノールで可塑化した後、再成形し再硬化する、(3)スーパー繊維のアラミド繊維を亜臨界水+水酸化ナトリウムで処理し、高純度のモノマーを回収する技術である。
【令和5年度リサイクル技術開発本多賞(第28回)】生コンクリートスラッジ水高度利用システムの開発
勝部 英一((株)北川鉄工所 キタガワサンテックカンパニー 開発課 課長)新 大軌(島根大学 学術研究院 環境システム学科系 准教授)塚田 雄一(東亜ディーケーケー(株)開発技術本部センサ技術部 科学機器課 課長)砂田 栄治((株)まるせ 五日市工場 工場長)城國 省二(広島地区生コンクリート協同組合 共同試験場 場長)
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生コン工場では、製造設備やミキサー車等の洗浄、さらに、工事現場で使用されずに戻って来る残コンや戻りコンの処理に伴い、セメントを含んだ排水「生コンクリートスラッジ水(以下、スラッジ水)」が発生している。その国内発生量は乾燥固形分ベースで約115万tと推定され、多くが埋立てによって廃棄されている。
受賞した研究では、スラッジ水液相中の硫酸イオン濃度とセメント水和反応が相関することを見出し、セメント活性と凝結遅延成分のオンライン分析を特徴とするスラッジ水中のセメント活性の持続システムを開発した。さらに、活性を持続したスラッジ水中のセメントが生コン製造時のセメントとして再利用できることを実証した。
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)経済産業省産業技術環境局長賞】トンネルコンポスト方式による可燃ごみのリサイクル
斎藤 泰章(エビス紙料株式会社 コーポレート戦略室)
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香川県三豊市にあるバイオマス資源化センターみとよにて、日本初となる、トンネルコンポスト方式(好気性発酵乾燥方式)による可燃ごみのリサイクルを行っている。一般家庭等から排出される燃やせるごみを、微生物の好気性発酵の力を用いて発酵・乾燥させ、選別することで固形燃料の原料として再資源化している。製造された固形燃料は石炭の代替燃料として製紙会社などで使用されている。
トンネルコンポスト方式導入の経緯や処理フロー、その特徴を紹介し、一般廃棄物を燃料化することによる脱炭素効果や今後の展望をまとめる。
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)経済産業省産業技術環境局長賞】産業廃棄物からリサイクルした環境にやさしい重油代替燃料の開発
浦田 雅臣(株式会社サニックス ひびき工場 燃料生産班 係長)
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当社は、外食チェーン等の飲食店から発生する廃水や汚泥などの産業廃棄物からゴミや汚泥分を除去し、油分のみを分離回収することで、重油など化石燃料の代替燃料として利用可能な燃料である再生油Bio を製品化した。
再生油Bioは、動植物性油脂由来であることから二酸化炭素排出量の削減に貢献できるバイオマス燃料であるとともに、未利用資源の活用により、都市から発生する産業廃棄物の削減と再資源化の両方の実現に貢献できる製品である。
当社は、今後も廃棄物の削減と二酸化炭素の削減をとおして、脱炭素社会の実現に貢献していく。
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)経済産業省産業技術環境局長賞】スクリュー圧縮機 製品ユニット構成部品のリビルト事業
稲生 哲也(株式会社日立産機システム グローバルエアパワー統括本部 空圧システム事業部 リビルト・エンジニアリングセンタ 製作課 課長)
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弊社製スクリュー圧縮機には圧縮空気を生成するエアエンドとエアエンドを駆動するDCBLモータを搭載しており、機種により異なるが6年毎または8年毎のオーバーホールを整備基準としている。弊社ではサーキュラーエコノミーの観点から、これらのオーバーホールを行う際、使用済み品を回収し、分解・清掃・検査を行い、検査で合格した部品は再使用して再度組み立て、新品同等の基準、性能を確保して顧客へ提供するリビルト事業を行っている。この結果、リビルトエアエンドを製作する環境負荷は新品エアエンドを製作する環境負荷の約36%に抑えることができている。今後も空気圧縮機の効率的な運用と環境負荷低減の両立を拡大し、省資源化に寄与し環境貢献を推進していく。
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)経済産業省産業技術環境局長賞】建設汚泥の少ないソイルセメント壁工法の開発と展開
田屋 裕司(株式会社竹中工務店 技術研究所 建設基盤技術研究部 地盤・基礎1グループ グループ長)玉木 伸二(竹本油脂株式会社 第三事業部 研究開発部 化学グループ グループリーダー)
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建設における地下の掘削工事では、地盤にセメントミルクを注入、混合撹拌することで山留め壁を構築するソイルセメント壁工法が普及している。従来の施工では土1m3の固化過程で約0 .7 m3の建設汚泥が発生し、環境負荷低減の観点から建設汚泥削減技術が求められていた。本技術は、施工性や強度を維持しながらセメントミルクの注入量を低減できる流動化剤を開発し、39件の建設工事に適用することで建設汚泥発生量を3割~4割削減、セメント製造や汚泥運搬に伴うCO2排出量を2割削減し、環境負荷低減による持続可能社会の実現に寄与した。
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)一般社団法人産業環境管理協会会長賞】魚のアラのリサイクル有機肥料化
仁木 賢(株式会社柏崎エコクリエイティブ 代表取締役)
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令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)一般社団法人産業環境管理協会 会長賞
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)奨励賞】メーカとユーザが一体となった変圧器の使用済絶縁油リサイクル事業
橋本 洋助(株式会社キューヘン 技術開発部 部長)
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令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)奨励賞
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)奨励賞/コラボレーション賞】資源循環型農業の新たな取組み 〜『濃縮バイオ液肥』の製造と利用〜
長尾 衛(三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社 排水処理事業部 O&M 部 担当部長)矢部 光保(国立大学法人九州大学 大学院農学研究院 農業資源経済学部門 教授)太田 美加(築上町 産業課 農業振興係 主任主事)
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令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)奨励賞/コラボレーション賞
【令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)奨励賞/コラボレーション賞】ポストコンシューマープラスチック50%以上使用のフルカラー複合機の開発
千葉 晋(株式会社リコー CMC 事業部 キーパーツ事業センター)
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令和5年度資源循環技術・システム表彰(第49回)奨励賞/コラボレーション賞

<特別寄稿>

今企業が「環境」と共に取り組むべき「人権」
石井 麻梨(株式会社オウルズコンサルティンググループ マネジャー)
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近年、サステナビリティの代表的なアジェンダとして掲げられることの多い「環境」と「人権」。従来、日本人の関心は「環境」に偏重し、「人権」を軽視する傾向にあったが、近年の国際情勢や日本政府の動き等を受けて、日本企業でも確実に「人権」への意識が高まりつつある。本稿ではこうした動きを概観した上で、企業が留意すべき「人権リスク」とは何か、企業にどのような人権対応が求められるのかを解説する。

<レポート>

累計17万セット、廃棄野菜とお米からつくるクレヨン、ヒットの背景
mizuiro 株式会社 代表取締役 木村 尚子氏本誌編集部
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当協会から出た廃棄物の処理工程を追ってみた
本誌編集部
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弊協会は、2023年2月に神田から新橋へ引っ越しをした。
その際、新しい事務所へ持っていく大量の資料や備品とともに、洗剤・クリーナーやペンキの余り、機密書類を含む紙ゴミなどの廃棄物が出た。今般、処理業者の見学の機会があり、それらの廃棄物がどのように処理されているのか、工程を追ってみた。

<シリーズ>

【弁護士からみた環境問題の深層/第36回】グリーン社会(2050年カーボンニュートラル)の実現と独占禁止法
内藤 丈嗣(内藤・大塚法律事務所 弁護士/日本CSR 普及協会・環境法専門委員会委員)
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我が国では、地球温暖化対策の推進に関する法律第2条の2が、2050年までのカーボンニュートラル*1の実現を掲げているが、そのためには温室効果ガス(GHG)排出量削減のための新技術の開発等イノベーションが必要であり、GHG排出量削減に向けた事業者間の共同の取組や連携を模索する動きが広がっていくと思われる。しかし、当該取組等が独占禁止法(以下「独禁法」という。)上問題となるとの懸念が生じた場合、萎縮効果をもたらし、イノベーションへの足枷となる。公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、本年3月、グリーン社会 の実現に向けた事業者等の取組の後押しを目的として「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(以下「ガイドライン」という。)を公表した。
【環境コンサルタントの 法令判断/第93回】有価物にマニフェストは発行してOK?
佐藤健(イーバリュー株式会社 コンサルティング事業部コンサルタント/マネージャー)
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コンサルをしている企業の社内監査をしていたら、生産現場から管理部門では把握していないマニフェストが出てきた。確認してみると、契約を結んでおらず、そもそも契約相手は産業廃棄物処理業の許可を持っていない取引先だった… 
事情を詳しく聞くと、有価物を出す際に何故か慣習的にマニフェストも発行していたようだ。
有価物なので、委託契約や業の許可についてはなくても問題ないとわかったが…有価物にマニフェストを発行してはいけないのではないだろうか?

【環境担当者のための基礎知識/第69回】廃棄物特性と焼却 廃棄物工学の基礎知識①
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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産業廃棄物は鉄や銅、アルミニウムなど有価物や再生用資源を取り出して、残さは焼却されているケースが多い。どのように焼却がなされているのか、現地確認をした読者もいらっしゃると思うが、ロータリキルンとストーカ炉などについて分かりやすく解説する。
【新・環境法シリーズ/第142回】ワシントン条約の実施メカニズム─マルチレベル・ガバナンスの視点から─
村上 裕一(北海道大学 大学院法学研究科 准教授)
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野生生物の生存確保を目的に掲げるワシントン条約(CITESサイテス)は、1990年代中盤以降、野生生物の国際取引の全面禁止から、その「持続可能な利用」のために、科学的根拠に基づいてその国際取引を管理する方向へと舵を切ってきている。ある野生生物の取引を規制対象にするか除外するかを議論・交渉する国際政治過程も興味深いが、近年では、締約国で合意したことをどう確実に実施・実行していくかということにも研究の関心が広がってきている。本稿では、マルチレベル・ガバナンスの観点からCITESの条約実施メカニズムを見た上で、①法令に基づく規制・警察・税関といった専門行政・司法機関、②横割り法令に基づくそれらの連携・協力、③ワンヘルス・アプローチによる公衆・食品衛生などとの政策統合の重要性を論じる。
【先読み! 環境法/第138回】食料・農業・農村政策審議会の答申(2023年9月11日)
小幡 雅男(元・大阪学院大学 教授)
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食料・農業・農村政策審議会から現行の食料・農業・農村基本法の基本理念や主要施策等の見直しを求める答申について(2023年9月11日)、また、「再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキングループの第2次取りまとめ(案)」(2023年9月26日)、2023年8月31日に公表された「洋上風力発電の環境影響制度の最適な在り方に関する検討会の取りまとめ」について解説する。
1 食料・農業・農村政策審議会の答申(2023年9月11日)
2 再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキングループの第2次取りまとめ(案)(2023年9月26日)
3「 洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方について」を公表(2023年8月31日)―洋上風力発電の環境影響制度の最適な在り方に関する検討会の取りまとめ
環境法改正情報(2023年10月改正分)
宇佐美 亮(一般社団法人産業環境管理協会 人材育成・出版センター 技術参与)
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◆省エネ法関係

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