環境管理バックナンバー 2008年 10月号

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2008年10月号 特集: Cool Earth-エネルギー革新技術計画

<特集>

EcoTech2.0のすすめ
安井 至 科学技術振興機構研究開発戦略センターシニアフェロー
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 現時点でもっとも緊急に対応を要する事態は、メディアなどが大きく取り上げないのだが、明らかに第三次石油ショックに突入をしてしまったことである。幸いにして、その対策は、温暖化抑制策とまったく同じである。その内容は新規技術開発と既存技術の途上国移転である。新規技術開発の方向性は、EcoTech2.0とでも命名すべきもので、すべて製品・システムの効率を2倍にすることである。本稿は、なぜそのような結論に至るか、根拠となるさまざまな事実を積み上げる検討した後、さらに、その技術のやや具体的なイメージを描いてみる。

空気吹き石炭ガス化複合発電(IGCC)の開発状況
長井輝雄 株式会社クリーンコールパワー研究所実証試験本部長
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 石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)はガスタービン複合発電の技術を応用して石炭に適用したもので、従来の微粉炭火力発電から飛躍的な熱効率の向上が見込まれる。最新鋭の1,500℃級ガスタービンを使用した空気吹きIGCC商用機の熱効率は48~50%(LHV,送電端)が達成可能とされ、発電電力量(kWh)あたりの二酸化炭素(CO₂)排出量が2割近く削減されることになる。IGCC実証機プロジェクトは1999年から開始され、建設工事は2007年に完了し、現在は福島県いわき市において実負荷を伴う試験を行っている。

ITS技術による地球温暖化防止
津川定之 名城大学理工学部情報工学科教授
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 自動車交通から排出される二酸化炭素(CO₂)の量は,日本全体が排出する量の約18%を占めており,石油を燃料とする自動車交通は地球温暖化の一大原因である。高度道路交通システム(ITS)には,信号制御,電子式料金自動収受システム(ETC),カーナビゲーションシステム,安全運転支援,自動運転,バス運行管理など多くの技術が含まれるが,これらの技術は,円滑な交通流を実現し,短い車間距離での車群走行を可能にして道路容量を増加させ,渋滞の発生を防ぎ,その結果,省エネルギー,CO₂発生削減に大きな効果がある。

革新的ガラス溶融プロセス技術
伊勢田徹 社団法人ニューガラスフォーラム研究開発部新溶解研究室長
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 我が国のガラス産業は全産業の約1%に相当するエネルギーを消費するエネルギー多消費型産業であり、大部分をガラス溶融工程で消費している。この消費エネルギーを1/3程度に低減できる可能性のある新技術が最近我が国に登場し、先導研究を経て、今年度より(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「革新的ガラス溶融プロセス技術開発」プロジェクトとして、実用化に向けた本格的な研究開発が開始された。現行技術の限界、新技術の先導研究における成果、並びに、新プロジェクトの課題について概説する。

革新的製鉄プロセス
米澤公敏 新日本製鐵株式会社技術総括部・環境部
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 鉄鋼業では現在、地球温暖化問題に対して、短期・中期課題と併せて、2050年を見据えた長期的な抜本的削減へ向けた開発に取り組んでいる。今回、Cool Earth50計画に基づいた日本鉄鋼業での長期研究開発プログラムについてその考え方を示す。

次世代高効率照明
鎌田策雄 パナソニック電工株式会社照明事業本部照明R&Dセンター長
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 電力消費量のうち照明は約20%を占めており,Cool Earth―エネルギー革新技術計画として策定された21技術の一つとして次世代高効率照明が選定されている。水銀を含まない環境対応型光源でもある次世代照明光源のダイオート(LED),有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)が既存光源の白熱灯や蛍光灯を超える高効率を達成し,既存光源をすべて置き換えると照明が占める電力消費量の半減が期待できる。本稿ではさらなる効率向上に応じて照明応用拡大の進展が期待されるLED照明と照明応用の可能性追求の進展が期待される有機EL照明について紹介する。

高効率ヒートポンプ―空気中の熱を使えるエネルギーに変換する地球温暖化対策技術
矢田部隆志 財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 業務部
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 エネルギーを取り巻く環境は新たな課題が生じている。化石燃料価格高騰によるエネルギーセキュリティー、温室効果ガス排出による地球温暖化問題などである。化石燃料の消費を抑制することが解決策であるが、社会的効用を落とさない技術の登場に期待がかかる。昨今、空気の熱エネルギーを活用する高効率ヒートポンプが家庭用から産業用の熱利用分野で燃焼の代替技術として注目されている。その高効率ヒートポンプについて政策的位置づけを交え紹介する。

工場・ビル・家庭用エネルギー管理システム(EMS)
工藤博之 財団法人省エネルギーセンター技術部部長
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 わが国の省エネルギー技術は,工場における品質改善のための小集団活動での省エネ努力と、排熱利用や高効率機器の積極的な導入の成果である。エネルギー管理システム(EMS)は、工場・ビル・家庭でのエネルギー計測・管理と省エネを自動化するシステムであり、2050年に向けた「低炭素社会づくり行動計画」の柱となる21の「エネルギー革新技術開発」の一つにも選定されている。工場でのEMS普及をさらに進めるとともに、エネルギー使用量の増加が著しい家庭用EMS(HEMS)やビル用EMS(BEMS)の技術開発と普及に努める必要がある。本稿では、工場・ビル・家庭でのEMSの研究開発事例と、今後の課題について紹介する。

<シリーズ>

【環境法の新潮流56】ウルグアイ川パルプ工場事件―国際司法裁判所仮保全措置命令
一之瀬高博 獨協大学法学部教授
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 ウルグアイが国境を形成する国際河川の沿岸にパルプ工場の設置を進めたところ、隣国のアルゼンチンは、環境への影響を理由に設置計画に反対し、その停止等を求めて国際司法裁判所に提訴するとともに、仮保全措置の指示を要請した。アルゼンチンがさらに両国間の橋梁を封鎖したことから、ウルグアイはその解除等を求め、国際司法裁判所に仮保全措置の指示を要請した。いずれについても、裁判所は仮保全措置を指示する必要を認めず、要請を退けている。本事例は、環境保全をめぐる越境紛争が国家間の国際法上の問題として扱われ、環境への影響や紛争悪化の防止に仮保全措置がどのような機能を果たしうるかが示された例である。

【実践マテリアルフローコスト会計37】輸送機器用パイプ部品へのMFCA試行
名和英夫 三遠南信バイタライゼーション浜松支部コーディネータ
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 地場産業である二輪・四輪関連部品,特に少量多品種パイプ曲げ工程にマテリアルフローコスト会計(MFCA)を試行した。試行した企業は総合的設備管理(TPM)・ISO 14000を実践しており,MFCAに必要な各種データがほぼ揃っていたため,MFCA教科書通りに作業を進め解決策まで立案できた。視覚的に予想された負のコスト比率(マテリアルコスト≫システムコスト)に反し,意外にシステムコストが大きいことが判明し「MFCA=気づきの手法」を実感した。

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