環境管理バックナンバー 2008年 11月号

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2008年11月号 特集:エコマテリアル―革新的技術開発を支える材料技術

<特集>

革新的環境・エネルギー技術開発を支える材料
長井 寿 独立行政法人物質・材料研究機構環境・エネルギー材料領域コーディネータ
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 世界の大人口が思い思いに豊かな生活と経済を求め始めたグローバル時代においては、地球限界を前提の制約条件に考えなくてはならない。その上で、資源とエネルギーを安定的に確保し、かつ地球環境の保全に貢献できるイノベーションを達成できれば持続可能性社会もみえてくる。資源・エネルギーともに自然賦与量の乏しい我が国では、この技術分野は国際競争力保持のためにも重要になる。イノベーションに繋がる材料のブレークスルーを実現するためには、技術と科学の密接な関係が求められる。材料課題は多様であるが、分類して概観する。

耐熱・高温材料
阿部冨士雄 独立行政法人物質・材料研究機構 新構造材料センターグループリーダー
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 火力発電によって我が国のエネルギーを長期的に安定に確保し,しかも二酸化炭素(CO2)問題を解決するには,高温高圧化による高効率化,CO2排出削減が必要である。発電部門と並んで重要な自動車部門でも,燃費改善と排ガスのクリーン化のため,高効率化,CO2排出削減が必要である。低炭素社会の実現のためには,より高温で長時間安全に使用できる耐熱・高温材料の開発が不可欠である。我が国の耐熱鋼,耐熱材料の研究開発レベルは欧米を凌いで世界トップレベルにあり,これまで材料高温化によって高効率化に多大の寄与をしてきたが,現在も世界最先端の研究開発が進められている。

適用拡大に向けた固体酸化物形燃料電池材料開発
森 昌史 財団法人電力中央研究所上席研究員
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 燃料電池は地球温暖化の要因である二酸化炭素(CO2)の大幅な削減が可能であり、国内外で活発に開発が進められている。中でも、白金等貴金属を用いない固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、資源的制約が少なく使用可能な燃料も多いため、早期普及が期待されている。本稿では現在開発されているSOFCのセル材料及び改良点等を紹介する。

超伝導材料―エネルギー・環境のための将来技術へ向けて
北口 仁 独立行政法人物質・材料研究機構
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 電気抵抗がゼロである超伝導を応用する技術は「究極の省エネルギー技術」ともいわれている。電気材料として広範に用いられている銅やアルミ等の常伝導金属では不可避の通電電力損失を,超伝導線材を使うことで著しく小さくし,電力機器等の大幅な効率向上(電気エネルギーのより有効な利用)を通じて省エネルギーに貢献できるからである。本稿は,超伝導材料とその応用について極力平易に述べ,エネルギー関連として高温超伝導電力ケーブル,環境関連として超伝導磁気分離といった実例を紹介する。

炭素繊維強化複合材料の現状と将来
髙橋 淳 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授
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 炭素繊維強化複合材料(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)は,軽量,高強度等の優れた特性を有し,既存の金属材料と比べて大幅な軽量化が図れる極めて有望な素材であり,自動車等の車体軽量化による省エネ化が期待できる。しかし,従来の熱硬化性樹脂を用いたCFRPでは加工性,リサイクル性等に問題があり,用途が限定されていた。そこで,経済産業省では,成形性,加工性,リサイクル性が高く,自動車,産業機械等のより広い分野での利用が可能となる熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化複合材料(CFRTP:Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)を開発するプロジェクト(サステナブルハイパーコンポジット技術の開発,平成20~24年度)を開始した。本稿では,その背景となる考え方を中心として,炭素繊維関連技術開発の現状と方向性を解説する。

光触媒材料
葉 金花 独立行政法人物質・材料研究機構光触媒材料センター長
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 光触媒は,太陽光エネルギー変換及び次世代環境浄化材料として近年多大な注目を集めている。実際,二酸化チタン(TiO2)光触媒の脱臭,抗菌,防汚・防曇効果などを利用した製品開発がどんどん進められている。しかし,TiO2光触媒は,紫外線にしか活性を示さないため,効率や応用範囲が限られているのが現状である。光触媒科学やその関連産業がさらなる飛躍的な発展を遂げるためには,なお多くの課題,特に高感度な可視光応答型光触媒材料の研究開発に取り組む必要がある。

革新的太陽電池材料開発
増田 淳 独立行政法人産業技術総合研究所太陽光発電研究センター産業化戦略チームチーム長、近藤道雄 独立行政法人産業技術総合研究所太陽光発電研究センターセンター長
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 太陽電池の飛躍的な市場拡大のなか、結晶シリコン太陽電池の増産が進むにつれ、その原料であるポリシリコンの供給限界が深刻な課題となっているが、本稿ではそれらの課題を解決する次世代の結晶シリコン太陽電池技術ならびに、薄膜シリコン、化合物薄膜、有機系などの各種新型太陽電池で使用される様々な材料と課題について述べる。

<シリーズ>

【環境法の新潮流57】受動喫煙リスク管理のための法制度のあり方について
小幡雅男 大阪学院大学法学部教授
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 受動喫煙の健康リスク管理について,これまでは,健康増進法第25条により,多数の者が利用する施設の管理者等の判断に委ねる努力義務とし,禁煙・分煙が進められてきた。一方,安全配慮義務違反による賠償責任を認める判例も2004年7月12日に東京地裁から出され,国際的にも,受動喫煙保護のため国に規制を求める動きが高まっており,神奈川県が公共的施設における受動喫煙防止条例の制定を進めている。こうした動きを踏まえ,まず,自治体が地域の実情に即して柔軟に規制できるよう上乗せ・横出し可能な条例委任の根拠を健康増進法に置き,国は,たばこ税を引き上げ,たばこの消費量と喫煙人口を減少させることによって受動喫煙リスクの縮減を進めることを検討してはどうだろうか。

【実践マテリアルフローコスト会計38】多品種小ロットの精密板金加工におけるMFCA―テイ・エス・コーポレイションにおける事例
小倉 礁 富士通エフ・アイ・ピー株式会社環境システム部(エコステージ主任評価員)
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 テイ・エス・コーポレイション㈱(以下,TSCとする)は精密板金・プレス加工の会社であり,これまでも環境経営への取組みとして,第三者認証環境マネジメントシステム(EMS)であるエコステージを認証取得し,環境保全・対策へ積極的な活動を展開してきている。TSCは,昨今の他社との競争激化や原材料・原油価格高騰に対し,企業体力を強化する目的で,EMSの継続的改善ツールとしてマテリアルフローコスト分析(MFCA)の導入を行った。事業の主要原材料であるステンレス鋼に着目したMFCAの導入は,会社としての数値目標が明確となり改善活動のきっかけとなったこと,検討過程において従業員の共通認識の場が提供されたこと,部署を超えた改善活動提案がなされたことなど,従来より一層従業員の取組み意欲が増進され,ロスの改善によるコスト削減・利益創出だけではない効果が得られた。

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