環境管理バックナンバー 2017年 3月号

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2017年3月号 特集1:東日本大震災 復興と環境創生/特集2:現場からみた「豊洲問題」

<特集1>

実話に基づく奇跡の汚水処理と避難判断――東日本大震災被災地を歩く
本誌編集部
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 東日本大震災で被害を受けた宮城県名取市の一般市民が熊本県益城町を訪問して被災者と交流したが、熊
本では過去の震災教訓がほとんど生かされていない現実に大変驚いたという。熊本県など自治体が公開していた地震予測や活断層マップ、ハザードマップは周知されず十分機能していなかったようだ。
 災害時に行政は一般市民の命を守ることを最大の目的にして活動する。一方、企業の事業場に対する支援などは優先度が相当低い傾向にある。そのため工場長など管理職が事前のBCP策定(事業継続計画)や危機管理のリーダーとして意思決定する必要がある。事業所スタッフの命を守り環境を可能な限り保全するのは現場トップや管理部門の責務である。このレポートで取り上げた事例は企業や事業場にも関係し、事前事後の体制作りや避難計画がいかに重要かを示唆している。

環境創生につながる復興まちづくりに向けて
戸川 卓哉(国立研究開発法人 国立環境研究所・福島支部・研究員)/中村 省吾(国立研究開発法人 国立環境研究所・福島支部・研究員)/大場 真(国立研究開発法人 国立環境研究所・福島支部・主任研究員)
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 東日本大震災の被災地域では、人口減少・少子高齢化や産業衰退等の地方都市が直面する諸課題に対応した地域社会の創生が求められている。国立環境研究所・福島支部は、福島県新地町において復興まちづくり支援の研究を進めており、産業との共生を実現する地域エネルギーシステムのデザインや情報通信技術を活用したエネルギーマネジメントシステムの社会実装の支援等に取り組んできた。本稿ではこれらの取り組みの概況について紹介する。

福島再生可能エネルギー研究所(FREA)の研究開発
中岩 勝(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所 所長代理)
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 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)は、政府の「東日本大震災からの復興の基本方針」(2011年7月)を受けて、産業技術総合研究所(産総研)の新たな研究開発拠点として2014年4月に福島県郡山市に開所した。FREAは、「世界に開かれた再生可能エネルギー研究開発の推進」と「新しい産業の集積を通した復興への貢献」を使命とし、様々な人々の集う拠点を目指している。ここではFREAの研究開発の現状と、我が国が直面するエネルギー状況を視野に入れた今後の方向性を概説する。

<特集2>

気化する物質による土壌・地下水汚染の考え方──現場からみた豊洲問題の本質
駒井 武(東北大学大学院 教授)
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 今般、豊洲市場で起こっている地下空間における気化する物質の問題は、わが国における土壌・地下水汚染に対する法規制の盲点をついたものといえる。本稿では、気化する物質による土壌・地下水汚染の曝露の考え方を整理するとともに、曝露の形態およびリスク管理の重要性について論じる。また、閉鎖性の高い地下空間におけるベンゼンおよび水銀などの曝露評価の試算やリスク評価の事例について紹介し、科学的な知見に基づいたリスク管理の方策を検討する。

豊洲新市場における地下空間とは
小島 圭二(東京大学名誉教授/地圏空間研究所代表)
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 豊洲新市場の工事は、土壌汚染対策の一環として、 敷地内を全面盛土して、地下水を管理することになっていた。これがいつの間にか建物下の地盤は盛土でなくコンクリートの地下モニタリング空間(地下ピット)に置き換わっており、これをメディアが大きくとりあげた。この「地下空間」とは何か、変更による環境安全性の優劣はどうかなど、盛土との機能を比較しながら、土壌汚染に起因する地下水や大気汚染対策の技術的な側面からこの問題に追ってみる。

<総説>

新型高効率ブロワによる消費電力の低減(排水処理)
河津 豪(新明和工業株式会社 流体事業部 小野工場 設計部 技師)
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 産業分野において圧縮空気は必要不可欠である。空気供給減として、空気量や吐出圧力、またその構造によって多様な送風機・圧縮機があるが、10~150kPa程度の吐出圧力に対応する機種はブロワに分類される。様々な分野でブロワは使用されているが、一般的にブロワやコンプレッサ等の圧縮機は消費電力が大きく、その高効率化は省エネに大きく貢献する。本稿では空気軸受を使用した新型高効率ターボブロワの特長と11か月で消費電力が284万円低減できた実例について紹介する。

フロックフィルトレーション式高速凝集沈殿装置 スミシックナーZ
三井 昌文(住友重機械エンバイロメント株式会社 環境プラント統括部)
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 凝集沈殿処理は、処理対象の流入水に凝集剤などを加え、微細粒子(SS)を凝集させ、フロック化したあと、固液分離することで清澄な処理水を得る最も広く用いられている水処理プロセスの一つである。
 近年敷地面積の制約などから、従来よりも高い水面積負荷での処理が可能な、小型の高速凝集沈殿方式が望まれている。
 当社は回転するディストリビュータ(流入水の分散装置)により流入水を槽内に分散供給することで、片流れがなく沈殿槽の全面積を有効利用できるようにし、従来の凝集沈殿槽と比較して1/2~1/3の小型化を達成したスミシックナー1)を保有しており、多くの実績を重ねてきた。
 本報では、スミシックナーの構造と技術を基礎とし、さらに約1/3の小型化と処理水の清澄化を図ったフロックフィルトレーション式凝集沈殿装置(スミシックナーZ-Zone Separator Model)について紹介する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第11回】 続・気候変動を動かす金融・投資の動き――TCFDの提言案を読む
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 昨年の本誌8 月号に寄稿した「気候変動を動かす金融・投資の動き」において、気候変動対策を進める重要な動きの一つとして、金融・投資のあり方の変化について述べた。経済発展と温室効果ガス排出量のデカップリングを可能にするには革新的技術と社会全体の変革が必要であり、その変化を促す原動力として、金融市場の投資判断基準に気候変動に関する価値観を取り込む動きが活発になっている。というよりも、リーマンショックを経験した金融市場が、気候変動が引き金となって金融危機につながる可能性を懸念し、情報開示を求めていると表現したほうが正しいかもしれない。その急先鋒の動きが、金融安定化理事会(FSB)が設置した民間有識者によるタスクフォース(TCFD)であろう。メンバーが公表されたのが2016 年1 月、3 月末にはフェーズⅠ報告書を公表、12 月14 日には「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(以下、フェーズⅡ報告書)」を公表するという早さである。2017 年2 月12 日までパブリックコメントを受け付けたあと、3 月にFSBに報告、6 月には最終報告と公表を行い、7 月にはG20 サミットに報告する予定だ。
 「気候変動を動かす金融・投資の動き」において、TCFDから金融安定化理事会(FSB)への答申の内容によっては今後企業の情報開示のあり方に大きな影響を与える可能性があり、これが健全な企業活動と市場の選択を促す内容となるよう注視していく必要があると指摘したが、今回公表されたフェーズⅡ報告書は何を述べているのであろうか。概要を整理するとともに、筆者が感じる疑問、そして今後これがどのように使われるかの見通しを考える。

【産廃コンサルタントの法令判断/第12回】春は行政報告の季節!────報告漏れ、誤記載の陥りやすいポイントを再チェック
佐藤 健(株式会社 ミズノ 環境コンサルティング事業部 環境情報ソリューショングループマネージャー)
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 日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第12回)。

【新・環境法シリーズ/第61回】持続可能性アセスメントと指標
柳 憲一郎(明治大学法科大学院 教授/明治大学環境法センター長)/高橋 恵佑(明治大学環境法センター リサーチ・アシスタント)
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 本稿は、持続可能性アセスメント(Sustainability Impact Assessment:SIA)によって、主要な公共事業の決定過程に適用する指標の有効性を検討した論文の紹介しつつ、SIAの参加指標に言及したものである。これまでSIAを制度構築する際、諸類型を識別するための関係性を特定し、情報を集めるという制度的な知見が開発されている。この知見の収集、伝達に関するアプローチは、指標の活用を通じてなされる。これらの指標は、事実の骨子や要素(制度の骨格や制度の態様における専門的な特徴を説明するために選択される変数)を表現し、その効能として、複雑な現象を単純化して伝達するために用いられている。
 Ola Laedreらは、どの指標が実際に最も重大な指標として選択されるか、また評価者はそれらの指標をどのように選択するのかを検討している。そのため、121のグループに分けた538名の学生達に主要な道路事業のSIAに関する指標を決定させ、SIAパターンの傾向性を分析する。その結果、学生の指標選択には予測可能性が欠如していたこと、また、SIAパターンは同様の特徴を備えていたことを指摘する。この予測可能性の欠如は、透明性、ガバナンス、ステークホルダーの参加及びその操業時の課題を包含するものとなっている。
SIA指標の選択に関する議論は、それらの指標の均衡性と、それらに価額を設定することが可能か否かという問題にも関連している。そこで、すべての関連する指標の検討を確実にすることを手始めに、そのあとに評価者が網羅的な指標リストを決定することを求めた。それらの支援として、九つの分類項目を提示し、経済的、社会的、環境的側面の評価を行い、指標もまた戦略、戦術又は操業の各段階での当てはめが必要であることを指摘する。なお、紹介論文では触れていないが、SIAに不可欠な参加指標との関連で参加の各要素について言及しておきたい。

【まるごとわかる環境法/第19回】毒物及び劇物取締法(前編)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 環境担当者のための環境法入門。環境部門の新任担当者向けに重要な法律をセレクトしてわかりやすく解説。
 第19回は「毒物及び劇物取締法」(前編)
 
 1.毒物、劇物とは何ですか?
 2.どんな事故、事件が起こっていますか?
 3.毒物及び劇物取締法の目的は何ですか?
 4.毒物及び劇物取締法とはどんな法律ですか?
 5.毒物劇物営業者及び業務上取扱者の登録・届出等はどのようにするのでしょうか?
 
【先読み! 環境法/第57回】廃棄物処理制度専門委員会報告書が2月3日にまとまる
小幡 雅男(神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 廃棄物処理法の見直しのために中環審に設置された廃棄物処理制度専門委員会では、施策の施行状況の点検と今後の取組についての検討がなされてきており、その内容が本年2月3日に「廃棄物処理制度の見直しの方向性」として取りまとめられた。その中で新たな課題であるPOPsとの関わりから「廃棄物処理における有害物質管理の在り方」、バーゼル法との関わりから「廃棄物等の越境移動の適正化に向けた取組及び廃棄物等の健全な再利用・排出抑制等の推進に向けた取組」の内容を紹介する。
 
 ❶ 廃棄物処理制度専門委員会報告書が2月3日にまとまる――廃棄物処理法の構造的問題が継続する中での資源制約下における廃棄物の再資源化と有害物・有害性含有物の適正処理に向けて
 ❷ 名古屋議定書の国内措置に係る指針(案)のパブリックコメントが1月20日から実施

 

 
環境法改正情報 (2017 年1月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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◉大気汚染防止法
◉農薬取締法
◉食品リサイクル法
◉再生エネルギー特措法
◉消防法

 
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