環境管理バックナンバー 2013年 8月号

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2013年8月号 特集 廃棄物の排出者責任と企業のコンプライアンス

<巻頭特集>

東京ディズニーリゾートの環境管理―かけがえのない地球環境を次世代につなぐことは私たちの責務
本誌編集部
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 東京ディズニーランド等を運営管理する(株)オリエンタルランド(以下、OLCグループ)は、「かけがえのない地球環境を次世代につなぐことは私たちの責務」との考えから、地球温暖化防止をはじめとする環境活動に取り組んでいる。本誌ではテーマパークの裏舞台である水処理、廃棄物、化学物質管理など環境管理の一端を取材しレポートする。記事の内容を一読すれば、実際にテーマパークを訪れたくなるような多くの優れた取り組みが理解できると思う。

<特集>

実務面からみた廃棄物排出事業者責任
佐藤 泉 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 事業者は自ら排出する廃棄物について、排出事業者責任を負担している。これは一見当たり前のことのようにみえるが、どのように行動すれば排出事業者責任を果たしたことになるのかという方法、手順、さらにこれを徹底するための教育・訓練を継続的に実施し、改善していくことは、現実にはなかなか困難なことである。そこで、排出事業者としての法令遵守の基礎、3Rを推進する自主的取り組みを解説するとともに、最近の規制改革の動向を紹介し、循環型ビジネスのあり方を検討する。
行政からみた廃棄物の排出者責任─その現状と課題
是永 剛 長野県庁 松本地方事務所
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 廃棄物の処理責任が排出者にあることは誰でも承知していることである。廃棄物処理法の改正は、社会情勢に応じて、その都度改正されてきているが、この「排出者の処理責任」の原則は昭和46年の法施行時から不変の原則であり、この点についても、度重なる法改正により強化が図られてきている。
 しかし、廃棄物処理法制定から42年以上が経過したにもかかわらず、排出者による不適正処理や廃棄物処理法違反があとを絶たない状況にある。そこで本論では、なぜ違反するのか、どのように対処すればよいのか等、「排出者の処理責任」を全うするために必要な点を行政の目から考察する。
排出事業者からみた産業廃棄物管理の変遷と今後
竹内 秀年 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 兼 本社環境推進本部
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 昨今の廃棄物排出事業者の主たる話題は「コンプライアンス」である。これは年々強化される廃棄物処理法、そのほかの法制度の状況をみれば異論を挟む余地はない。しかしながら一方で、循環型社会構築、資源生産性向上といった本来の環境負荷低減の取り組みにそろそろ回帰することも必要ではないか。
 筆者は、一企業の廃棄物担当者として約20年、廃棄物排出事業者の取り組みの移り変わりを見てきた。今般、本稿執筆の機会を得て、これまでの経験から「排出事業者からみた廃棄物管理の変遷」及び「廃棄物管理の今後」について私見を述べる。
廃棄物情報を委託業者に知らせる排出事業者の責任と廃棄物データシート(WDS)について
改田 耕一 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団企画調査部長
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 平成24年5月に利根川水系の複数の浄水場で、広域にわたり取水障害が発生した。これは、産業廃棄物に含まれていた原因物質(ヘキサメチレンテトラミン)が産業廃棄物処理業者における不適切な処理によって公共用水域に排出されて発生したものと強く推定された。その原因としては、産業廃棄物の排出事業者から処理業者への処理委託契約において、結果として廃棄物情報が委託業者に十分に伝わらなかったことが挙げられている。
 本事案を踏まえて、産業廃棄物に含まれる化学物質等による生活環境保全上の支障が生じることのないよう事案の再発防止と、排出事業者から処理業者への情報伝達についてさらなる具体化・明確化を図るため、環境省よりWDSガイドラインの改訂版が公表された。
 本稿では、この事案及び環境省資料に基づいて廃棄物情報に関する排出事業者責任のあり方について考察し、廃棄物データシート(WDS)等を活用しながら、処理業者と密接にコミュニケーションを取り情報共有することの重要性等について紹介する。
製造業における排出者責任と環境汚染賠償責任保険によるリスクヘッジ
城 智宏 AIU損害保険株式会社 企業賠償保険業務部
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 平成24年5月、化学物質ヘキサメチレンテトラミン(HMT)が廃棄物処理施設より利根川水系に流出し、下流の浄水場で塩素と反応してホルムアルデヒドが検出された。これにより、複数の浄水場において大規模な取水制限がされ千葉県内の36万戸が断水となりニュースで大きく報じられたことは、1年以上経過した今でも筆者自身の記憶に鮮明に残っている。
 これにより東京都・埼玉県・千葉県・茨城県・群馬県の5自治体は、同年12月に当該原因物質を含む廃棄物を外部業者に委託した化学品製造・メッキ加工業者(以下、「製造業者A」)に対して、浄水場における水道料金減免額や中和するための活性炭の購入による損害を被ったとして約2億9,000万円の賠償請求を行った。これに対して、平成25年1月に被請求者の製造業者Aは支払いを拒否しているが、5自治体は民事訴訟に踏み切ることを検討している。
 この事故が発生した原因は、製造業者Aが生産工程で排出する廃液の廃棄物処理をある産業廃
棄物処理会社(以下「処理業者B」)に委託したが、処理業者Bは、「廃液に原因物質HMTが含有する」事実について認識していなかったため、処理不十分の水を河川に放流してしまったことにある。このような環境汚染の原因物質の発生企業が民事上の賠償請求を受けるかもしれないリスクにどのように対応すべきかが課題となが、一方、製造業の工場で一般的に付保される施設所有(管理)者賠償責任保険(以下、「施設賠償責任保険」)では補償の対象となるかというと、答えは否である。このようなリスクについては、「環境汚染賠償責任保険」(以下、「環境保険」)という商品でリスクヘッジすることができるが、保険契約にあたっては注意が必要である。
 本稿ではこの環境保険の概要について説明をするとともに、今回のようなケースを補償するために必要となる特約について解説をする。また参考情報として、米国・欧州における排出者責任に関する付保状況についても紹介する。
中堅リサイクル企業の全国ネットワーク構築―ESJ田部社長に聞く
編集部
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 廃棄物の外部委託は二次処理含め「不安・不満」の要素が潜在する。そこで、より安心・満足できる処理委託が可能になるよう、処理業者の認定制度と専門教育を継続運営しているユニークな組織について取材した。優良処理業者の全国ネットワークを構築しているエコスタッフ・ジャパン(ESJ)代表田部和生氏に具体的内容をお聞きした。
環境担当者向け廃棄物研修コース開催結果と今後の予定
柏木 勇人 一般社団法人 産業環境管理協会
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 製造業をはじめとする事業者にとって頭を悩ます課題、それは事業所から出る産業廃棄物の適正処理。廃棄物処理法は、他の環境規制法令に比べて難解で、違反件数も圧倒的に多い。違反を犯した際の罰則も最高で懲役5年、罰金3億円と非常に厳しい。
 本号の特集テーマが廃棄物ということもあり、如何に廃棄物処理法が難解であるかは専門の先生方に譲るとして、本稿では当協会が平成21年度から開催している“排出事業者向けの廃棄物研修「環境担当者向け廃棄物研修コース」”のねらいと昨年度の開催結果及び本年度の開催概要について具体的な研修内容を含め、ご報告させていただく。ぜひ、廃棄物の適正処理を確固なものとするためにも定期的に本研修会をご活用いただきたい。

<総説>

電機電子4団体の事業所化学物質管理キーパーソン育成プログラム
宇佐美 亮 三菱電機株式会社 環境推進本部
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 製造業では原材料、購入部品の含有成分、副資材等、多様な用途に化学物質を使用している。法の遵守と事業リスク管理のためには、事業所全体を見渡しつつ設計から廃棄に至る製品ライフサイクル全般にわたって化学物質を管理する人材(キーパーソン)が不可欠である。ベテラン人材が異動や退職によって現場を離れたとき、後継者が充分なリスク管理レベルに到達するまでの期間を短縮し、リスクが顕在化する危険性を可能な限り低減するために、電機電子4団体はノウハウ・技術の世代間継承と最新化を実現できる事業所化学物質管理キーパーソン育成プログラムを開発した。

<シリーズ>

【新・環境法シリーズ/第21回】ナノテクノロジーの予防的法規制に関する国際的動向と日本の現状・課題
中山 敬太 早稲田大学大学院 博士後期課程
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 本稿では、科学的不確実性の伴う健康・環境リスクが指摘されているナノマテリアルを採り上げ、その予防的法規制を巡るアメリカやEUを中心にその規制体系を比較検討した上で一定の傾向を示し、その国際的動向を踏まえ日本の現状と課題を指摘する。このナノマテリアルの身体的悪影響は、当該物質が微小かつ高硬度で難分解であるがゆえ、様々な懸念が指摘されている。そこで、科学的不確実性を伴う問題に対して、後に深刻かつ不可逆的な悪影響を及ぼすことのないよう迅速かつ適切な対処をすべく、環境法の基本原則の一つとして位置付けられている「予防原則」の考え方を導入した予防的な法的制御の実態を問う。
【環境法 法令違反から学ぶCSR経営/第16回】省エネルギー法に関する温暖化情報の開示請求
渡辺 昇一 弁護士/日本CSR普及協会・環境法専門委員会委員
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 環境情報が情報公開法の開示請求がされ、利益を害するとして不開示処分となり、開示請求者と行政機関との間で訴訟となる場合がある。いわゆる省エネルギー法に基づく定期報告書の開示に関して、温暖化に関連する情報として燃料等、電気使用量の開示を求めた事例に関して、最高裁判所は、私企業として当該情報の開示は利益を害するし、温暖化対策のために制定された温暖化対策推進法によると開示されない程度の情報をも開示することにもなってしまう等を理由に不開示が相当と判断した。
【先読み! 環境法/第14回】見直し検討が始まった個別リサイクル法
小幡 雅男 神奈川大学大学院法務研究科/国際基督教大学教養学部 講師
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見直し規定の時期が来ている容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法の審議状況について紹介する
❶見直し検討が始まった個別リサイクル法
❷環境配慮契約法基本方針等に関する提案募集
【実践マテリアルフローコスト会計94】韓国におけるマテリアルフローコスト会計の展開
金 宰弘 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程前期課程/國部 克彦 神戸大学大学院経営学研究科 教授
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 環境経営に対する企業の関心が高まるにつれて、企業の廃棄物管理および原価管理手法として有用なツールであるマテリアルフローコスト会計(以下、MFCA)を導入することは、企業の原価および環境競争力を高めることができると認識されている。そのため、資源効率性の向上に貢献できるMFCAが韓国にも導入され、MFCAに関する多様な研究と実務的なアプローチが行われている。本稿では、韓国の産業通商資源部が施行したMFCA導入プロジェクトとMFCAの研究を通じて、韓国におけるMFCAの動向およびMFCA導入の効果を示し、さらに将来の展望を述べる。
環境法改正情報(2013年6月改正分)
見目 善弘 エコ・サポート代表
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◉水質汚濁防止法
◉廃棄物処理法
◉フロン回収破壊法
◉農薬取締法
◉大気汚染防止法
◉毒劇法
◉労働安全衛生法
◉環境基本法
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