環境管理バックナンバー 2009年 5月号

キーワードサーチ

バックナンバーの閲覧 / 冊子版の購入

  • ログインはこちら
  • 『環境管理(冊子版)』を購入
  • 協会会員の方は、記事全文をPDFファイルで閲覧ができます。
    ログインしてご利用ください。
  • 各号の概要の閲覧、冊子版の購入はどなたでも
    ご利用いただけます。

2009年5月号 特集: 飛躍する"太陽光発電産業"

<特集>

太陽光発電産業の発展を目指して
中山英子 経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課
▼概要文表示

 太陽光発電は我が国が得意とする技術であり,エネルギー自給率が低い日本では大きな期待が寄せられている。また,太陽光発電システムに関連する産業は裾野が広く,普及拡大による産業振興や地域振興も期待される。そこで政府としては,従来からの補助金や税制等の施策に加え,「太陽光発電の新たな買取制度」「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」「ソーラー・システム産業戦略研究会」などの追加措置を講じて,太陽光発電の導入拡大をさらに加速させるべく取り組んでいる。

日本の太陽光発電の現状と将来展望
長藤佳夫 有限責任中間法人太陽光発電協会統計部会
▼概要文表示

 世界同時不況からの脱出に向けて、その切り札として太陽光発電産業への期待が高まっている。産業界としてもその期待に応えるためにも、緊急経済対策に組み込まれた補助金の円滑な運用に協力するとともに、将来に向けたコストダウンに対する努力、将来のリサイクルに向けた調査等についても取り組んでいる。ただ世界的な環境問題を考える時に、今まで欧州を中心に進められて来た導入普及策が、発展途上国も含めた世界レベルで展開されることが期待される。そのためにも日本は、これまで培った高い技術で世界の太陽光発電普及に貢献することが必要である。

太陽電池技術開発動向
増田 淳 独立行政法人産業技術総合研究所太陽光発電研究センター
▼概要文表示

 近年急成長を遂げる太陽電池の技術開発が盛んである。結晶シリコン系では原料供給の課題を解決すべく、原料の新しい製法やウエハの薄型化に関する技術開発が盛んである。薄膜シリコン系では多接合化による高効率化、大面積・高速堆積による生産性の向上が課題となっている。化合物薄膜系ではCIGS太陽電池の効率が20%に達するとともに、フレキシブル化や溶液プロセスも注目されている。また、テルル化カドミウム太陽電池は飛躍的に生産量を伸ばし、注目を集めている。色素増感太陽電池ならびに有機薄膜太陽電池では、実用化を視野に高効率化と長寿命化に取り組んでいる。さらに、長期的展望のもとに、量子ドット等の新しい原理を用いた太陽電池の研究開発も盛んになっている。

カネカの薄膜シリコン太陽電池への取り組み
新田佳照 株式会社カネカソーラーエネルギー事業部技術グループ幹部職
▼概要文表示

 薄膜シリコン太陽電池は,化学気相成長法により,真空容器内でガラス基板上にシランガスを分解し直接形成でき,膜厚も非常に薄く,しかも膜形成時におけるエネルギー投入量も少ない省資源・省エネルギー型の太陽電池といえる。その特徴を生かした製品群として,平板瓦一体型太陽電池,低角度設置陸屋根対応システム,及びシースルー太陽電池があり,意匠性を考慮したものや,建築物の熱負荷を低減する効果を有しているものがある。さらに高性能化への新しい構造として,透明中間層を導入した薄膜シリコンハイブリッド太陽電池がある。

太陽電池ビジネスを巡る情勢と今後の動向
山家公雄 日本政策投資銀行調査部審議役
▼概要文表示

 太陽光発電市場は、2004年のドイツの長期固定価格買取制度(FIT)導入を皮切りに、EU諸国が相次いでFITを導入しており、需要が爆発している。金融危機の影響も見られるが、グリーン・ニューディール政策を掲げる米国の市場拡大が期待されている。供給面では、ベンチャーによる参入が相次ぎ、日本勢はそのシェアを大きく落としている。補助金復活や固定価格買取制度の導入等の内需拡大策や、メーカーのコスト削減および積極投資により、日本勢の巻き返しが期待される。いずれにしても、国際競争激化により、価格低下は急速に進んでいくことになる。

電気事業者による太陽光発電への取り組み
中井康貴 東京電力環境部環境企画グループマネージャー
▼概要文表示

 地球温暖化対策技術の開発・普及に対する関心が高まる中,太陽光発電は,市民の受容性が高く,かつすぐに利用できる技術として大きな期待を集めている。政府・自治体による各種普及促進策も打ち出されている。電気事業者はこれまでも余剰電力の購入やグリーン電力基金への拠出など通じて普及に貢献してきた。さらに10社合計で14万kWのメガソーラー導入を予定している。しかし,太陽光発電については,パネル価格や二酸化炭素(CO₂)削減効果の面のほか,大量導入時の系統安定化策とそのコスト負担のあり方など,課題があることへの認識も重要である。

<総説>

機械工業等の中小企業のための環境配慮のあり方―東北地域の機械工業等製造業における環境配慮に関する調査
佐々木隆 財団法人東北産業活性化センター産業技術振興部長
▼概要文表示

 中小企業の環境配慮にあたっては、経営者の意識を高め「環境配慮は企業競争力を左右する」と認識した上で、基盤となる取り組みである「情報収集」「ネットワークづくり」及び、具体的取り組みとしての「環境マネジメントシステム(EMS)の構築・導入」「設計、生産工程全体からの見直し、設備投資・改善」を実施していくべきである。こうした取り組みの実施が、顧客の支持確保・コストダウン、経営管理能力強化、従業員の意識・意欲向上などにつながり、企業の競争力や企業価値を向上させる。本調査事業では、中小企業の環境配慮を促進させ、競争力を強化する際に有効となる資料として、チェックシートを作成した。多くの中小企業の方にご活用いただけると幸いである。

<シリーズ>

【環境法の新潮流63】MOX工場事件―環境汚染の防止と国際裁判
南 諭子 津田塾大学国際関係学科准教授
▼概要文表示

 MOX工場事件は、海洋環境の保護という観点からイギリスにおけるMOX工場の操業が問題とされた事件である。アイルランドは、工場の操業停止等を求めて、仲裁裁判所に訴訟を提起するとともに海洋法裁判所に対して暫定措置を要請した。原告の要求がいずれの裁判所においても認められないまま、欧州司法裁判所が有する管轄権との関係で訴訟は終了したが、環境汚染が発生していない場合でも汚染防止義務違反を根拠として行為の停止を求めるという訴えは、環境保護に関して国際裁判が果たしうる機能の一つを示している。このような訴えがいかなる条件の下で認められうるのかという検討が重要となるであろう。

【実践マテリアルフローコスト会計44】韓国におけるMFCA実践―現状と今後の展開
張 志仁(Jang Jee In) 韓国・中央大学校経営大学教授/次期韓国会計会長、翻訳:北田皓嗣(神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程)、監修:國部克彦(神戸大学大学院経営学研究科教授)
▼概要文表示

 マテリアルフローコスト会計(MFCA)の考え方は、韓国知識経済省が2001年から2004年に実施した環境管理会計プロジェクトを通じて初めて韓国の産業界に紹介された。これにより韓国政府はマテリアルフローコスト会計が環境と経済活動を統合するためのツールであると理解し、それ以来、強い関心を示している。そして2005年から2007年7月には知識経済省によってマテリアルフローコスト会計導入のパイロットプロジェクトが実施され、電機機器、半導体、製紙など異なる産業から9社が参加した。参加企業はマテリアルフローコスト会計導入に対してきわめて好感触を示しており、今回の導入では単一の生産プロセスを対象としていたものの、予想していた以上にマテリアルロス率が高く、この手法は製造コスト削減に非常に有効であると評価されている。そして第二次マテリアルフローコスト会計パイロットプロジェクトが、2010年10月までの2年間の計画で実施されることとなり、6社の企業が参加している。今回のプロジェクトを通じて、韓国政府および韓国企業に,より具体的な政策方針を提示することができると考えている。

出版物の購入・ご案内

ページの先頭へ戻る