環境管理バックナンバー 2012年 3月号

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2012年3月号 特集:生物多様性と企業の競争力

<特集>

企業が進める生態系保全活動「日立ITエコ実験村」とITを用いた見える化
谷 光清 株式会社日立製作所情報・通信システム社環境推進本部,西本恭子 株式会社日立製作所情報・通信システム社環境推進本部,嶋野知生 株式会社日立コンサルティング
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 日立グループは,持続可能な社会の実現をめざして2007年に「地球温暖化の防止」「資源の循環的な利用」「生態系の保全」を柱とする中長期の「環境ビジョン」を掲げ,環境保全に資する製品・サービスの提供,環境負荷の低減に努める事業活動をグローバルに展開している。こうした中,情報通信事業部門においては環境配慮活動が今後ますます重要になってくるとの認識のもと,ITを利用して,恵みある大地(地球)に向けた活動を実践する地球環境貢献プラン「GeoAction(ジオアクション)100」を2010年6月に策定した。「GeoAction100」の取り組みテーマの一つである「生態系の保全」については,「従業員が地域に目を向ける機会を作り」「活動を通じて達成感を味わい」「ITを通じた社会貢献の事例作り」を狙いに地域の協力を得て「日立ITエコ実験村」を2011年4月に神奈川県秦野市に開村し,新たな取り組みをスタートした。

事業活動による生態系影響の見える化--東芝グループの取り組み
小林由典 株式会社東芝環境推進部
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 東芝グループは世界的な生物多様性の損失を食い止めるためグローバルな取り組み体制を構築し,製品・サービス,事業プロセス(工場・事業所)および社会貢献の三つの領域で生物多様性保全活動を進めている。本稿では,LIME(日本版被害算定型影響評価手法)による生態系影響の見える化,WET(全排水毒性評価)による事業所排水管理,流域思考に基づく生態系ネットワーク構築など,東芝グループの取り組みを紹介する。

企業活動における生物多様性への影響と貢献度の定量的評価方法
朽網道徳 富士通株式会社環境本部プリンシパルテクノロジスト
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 現在の生物多様性の危機的な状況は,人間の生活や企業の活動が多くの影響を与えていることが原因の一つと考えられる。愛知目標で謳う『2020年までに生物多様性の損失を止め,健全な状態に戻していくこと』達成するためには,民間セクターの活動が重要である。そして具体的で効果的な活動を実施するためには,企業などの活動や技術がどのような影響を与えるかを定量的に評価することが必要である。今回,多面的な企業活動が生物多様性に与える影響を定量的に評価する統合指標(BDTI)を検討した。ここでは,指標の考え方,評価のプロセスに加えて,企業活動として,事業活動,製品の改良,さらにソリューションの提供による効果を評価した事例を紹介する。

持続可能な森林経営と生物多様性--日本製紙グループ
渡邊惠子 株式会社日本製紙グループ本社CSR本部主席技術調査役
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 日本製紙グループは,生物多様性と深いかかわりを持つ森林から供給される木質資源を原料として,人々の生活や文化を支える建材,紙,化学品などを社会に提供している。そのため,環境憲章の冒頭に生物多様性に配慮した企業行動を掲げ,木質資源の調達においては,森林認証を活用した持続的な森林経営と原材料調達を推進してきた。本稿では,当グループの生物多様性への取り組みとして,ブラジル植林事業における生物の生息調査や地域コミュニティへの啓発を通じた保護活動,また国内社有林における生物多様性に配慮した森林施業などについて紹介する。

金融機関の生物多様性への取り組み
後藤文昭 住友信託銀行企画部社会活動統括室
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 生物多様性問題は金融機関にとってリスクとビジネスチャンスの二つの側面を持つ。融資や投資の対象企業やプロジェクトの生物多様性に関する取り組みや影響が金融機関の評価や業績にも影響を与える。一方で生物多様性問題に対する企業,NGO等の取り組みを支援する金融商品・サービスは社会的意義も高く収益獲得の機会でもある。住友信託銀行では,融資,資産運用,不動産等の各事業分野において生物多様性に関連する商品・サービスの提供に努めている。また,金融機関の活動や商品・サービスはエコロジカルネットワーク構想実現にも重要な要素となる。

生物多様性とビジネス戦略
生田孝史 株式会社富士通総研経済研究所上席主任研究員
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 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の成功は,生物多様性保全に貢献する製品・サービスを供給できる企業にとって,ビジネス機会の拡大を意味する。全世界の生物多様性ビジネス市場は,2008年の約650億ドルから2020年には2,800億ドル超への増加が見込まれている。生物多様性ビジネス市場の主戦場は,既存ビジネスの転換となる「生物多様性配慮型製品・サービス」分野であるが,新規ビジネスを主とする「生物多様性保全・再生ビジネス」や「生物多様性配慮支援サービス」の成長も期待されている。海外では市場メカニズムの活用も進んでいる。生物多様性の視点からビジネス開発可能性を戦略的に検討し,企業競争力強化を図ることが望まれる。

<総説>

科学技術基本計画によるナノテクノロジー・材料分野の研究開発の推進について --第3期(H18〜22)の総括的フォローアップより
只見康信 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構特任研究員(前内閣府企画官)
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ナノテクノロジー・材料分野の科学技術は,環境・エネルギー問題などの解決に資するキーテクノロジー(基盤技術)として注目を集める。政府の総合科学技術会議は,第3期科学技術基本計画(H18~22)により, 1)ナノエレクトロニクス,2)ナノバイオテクノロジー・生体材料,3)材料,4)ナノテクノロジー・材料分野推進基盤,5)ナノサイエンス・物質科学の5領域を推進してきた。本稿では,環境管理関連を含む研究開発の成果を解説するものだが,こうした成果の社会還元が,将来のイノベーションへの貢献を通じて期待される。

<シリーズ>

【新・環境法シリーズ6】水銀の規制を巡る国際社会の動向
井上秀典 明星大学教授
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 水銀の健康への影響は著しいものがある。金属水銀の汚染事例が各国で報告され,これに対し国家及び国際社会において法的拘束力のある規制を行う方向に進んでいる。アメリカの水銀輸出禁止法,EUの水銀輸出禁止及び安全な保管に関する規則,「水銀に関する地球規模の法的拘束力を有する措置に対する包括的かつ最適な取組方法のための新草案」はその表れである。先進国と開発途上国の水銀規制に関する考え方は異なるが,水銀規制条約の採択が待ち望まれる。

【実践マテリアルフローコスト会計78】日本MFCAフォーラムWG3活動状況報告 WG3研究テーマ「ME:もったいないエンジニアリング」--生産革新ツールとしてのMFCA
安城泰雄 MFCA研究所代表日本MFCAフォーラム運営委員/WG3座長
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 マテリアルフローコスト会計(MFCA)が日本に紹介されて10年が経過した。この間MFCAは多くの企業・製造現場において導入(試行)がなされ,大きな進化を遂げてきた。これらの活動及び成果を通して,MFCAは新たな視点の生産革新ツールであることが明らかになっている。WG3はMFCAを新しい生産革新ツールとして,その視点で特徴を整理し,生産の場にデビューさせることを目標にしている。昨年6月,以後月1回位のペースで研究会を開催し,この1月で計6回となった。その結果WG3は,MFCAを新しいコンセプト「ME:もったいないエンジニアリング」として生産の場に訴えることとした。ここでは,WG3における議論の中からみえてきたものを報告する。

【現代再考2】豊島事件「650億円の修復事業と偽リサイクル」
一般社団法人 産業環境管理協会 環境人材開発センター
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 名目上有価で廃棄物を売却した排出事業者は不法投棄解決金として,総額3億2500万円余を支払った。この豊島事件が契機で法律が改正され排出事業者に厳しき排出事業者責任が負わされた。現在,現地では新たな問題も発生している。豊島事件に類似した違法リサイクルなども各地で発覚しているが,この事件から多くの教訓が得られる。なお,プロローグとして,財政難の現在,実際の不法投棄の対策例も報告する。

<総説>

COP17の成果と意義
山口建一郎 株式会社三菱総合研究所環境・エネルギー研究本部地球温暖化戦略研究グループ主席研究員
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 気候変動枠組条約第17回締約国会議及び京都議定書第7回締約国会合(COP17及びCOP/MOP7)は2011年11月29日から12月10日(閉会は12日)にかけて南アフリカのダーバンで開催された。この成果と意義についてとりまとめる。

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