環境管理バックナンバー カテゴリ:リスクマネジメント

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<特集1>「稲むらの火」から学ぶ――外国の首相も知っていた津波防災の名作
本誌編集部
▼概要文表示2020年10月号
  江戸末期、和歌山県広川町で育った濱口梧陵は、12歳のときに銚子での家業であるヤマサ醤油の事業を継承した。嘉永7(1854)年、梧陵が銚子から広川に一時帰郷していたとき、紀伊半島を大津波が襲った。梧陵は稲むらに火を放ち、この火を目印に村人を誘導して安全な場所に避難させた。多くの村人を救った彼の功績は津波防災の象徴として広く語り継がれている。
 大津波で被災した村の変わり果てた光景を目にした梧陵は、被災者用の小屋の建設、さらに農機具・漁業道具等の提供はじめ、数々の復旧作業にあたった。故郷の復興のために身を粉にして働いた。さらに、津波から村を守るべく、防波堤の建造に私財を費やして取り組み、後に発生した津波による被害を最小限に抑えた功績がある。現代に通じる津波防災にかかわる興味深い物語をレポートする。
<特集1>地震の情報の正しい理解に向けて
宍倉 正展(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 海溝型地震履歴研究グループ長)
▼概要文表示2020年10月号
 我が国は地震多発国として知られるが、実際にどこでどれくらい地震が発生しているのだろうか。観測データを分析すると、震度5 弱以上の揺れを伴う地震は、日本列島の北から南まで、どこでも起こりうることがわかる。そんな強い揺れが次にいつ襲ってくるのかは誰しもが不安に思うところだろう。残念ながらそれにつけ込んで、根拠のない危機を煽る予測情報を流すメディアもある。大地震に備えるには、正しい情報を正しく理解することが重要である。本稿では、我々が普段知ることのできる地震の情報のうち、信頼できるものは何か、またそれをどのように理解するべきかについて解説していく。
<特集1>神奈川県逗子市、池子がけ崩れの現場から
川上 俊介(アサヒ地水探査株式会社 プロジェクトマネージャー)/倉持 卓司(葉山しおさい博物館)
▼概要文表示2020年10月号
 2020年2月5日、神奈川県逗子市の京急線神武寺駅に向かう市道に面した斜面で発生したがけ崩れに通行中の高校生が巻き込まれて亡くなった。この池子がけ崩れは豪雨や地震といった大規模災害を直接の原因としたものではなく、そういった甚大な災害の合間の日常で発生したものである。このがけ崩れ災害を通じて、がけ崩れが発生した「崖」そのものの性質と履歴を確認し、日常生活に潜む災害のリスクを再認識し、今後とられるべき対応について解説した。
<特集1>自然災害に備える――鉱山におけるレジリエンス強化
経済産業省 産業保安グループ 鉱山・火薬類監理官付
▼概要文表示2020年10月号
 令和元年9月に上陸した台風15号、および10月の台風19号は、全国各地に大きな被害をもたらした。とりわけ台風19 号によって、一部の休廃止した金属鉱山( 以下、「休廃止鉱山」という)において、停電、薬剤等の資材搬入に利用する道路の崩落などが発生し、鉱山から出る坑廃水の処理施設の機能維持が困難となる事態が発生した。そこで、全国にある休廃止鉱山の緊急点検を実施し、坑廃水処理を必要とする休廃止鉱山等の災害に対する脆弱性を明確にした。その結果を踏まえて、休廃止鉱山等のレジリエンス強化を図るべく、国と事業者が連携した取組について紹介する。
<特集>独自のBCPを導入した 今治市クリーンセンターの取り組み──「フェーズフリー」と「官民NPO」の連携
本誌編集部
▼概要文表示2020年6月号
 全国の自治体や環境関係者が注目している今治市クリーンセンター「バリクリーン」が愛媛県今治市で稼働して2年になる。未来志向の斬新なデザインと最新技術を導入した「21世紀の先進的なごみ処理施設」(=今治モデル)であるが、これは単なるごみ処理施設ではない。
 バリクリーンは、地域の防災拠点としての機能を有し、地域の「指定避難所」にも指定されているごみ処理施設であることに加え、「フェーズフリー」という新しい概念を取り入れた施設である。平常時はスポーツや環境イベント等を楽しむことができ、災害時には備蓄した食料品や水、日用品などが供給され、空調やトイレ等を完備した避難所として即時機能する。
 本稿では、「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2019」(レジリエンスジャパン推進協議会)において最高位グランプリに選ばれた当施設の斬新なコンセプトについて紹介する。
<特集>「フェーズフリー」の理解と普及のために――「いつも(平常時)」と「もしも(災害時)」の想像の壁 をフリーにする
佐藤 建吉(一般社団法人 洸楓座 代表理事)
▼概要文表示2020年6月号
 地球温暖化により局地的な自然災害が頻発し大きな被害が起きている。巨大地震の可能性も叫ばれている。こうした災害への効果的な防災対策が求められているが、その防災対策は十分ではない。それは、一般の市民・国民、そして企業や行政の関係者も、いつ来るか明らかでない災害に対策する意識が、「災害がみえないこと」(=想像の壁)を持つことによる。「フェーズフリー」は、この「想像の壁」を取り払うために、防災関連の商品やサービスを提供する社会ムーブメントである。本稿では、「フェーズフリー」のコンセプトとエフェクトについて述べる。
<特集>「台風」と「電力」――長期停電から考える電力のレジリエンス
経済産業省 商務情報政策局 産業保安グループ 電力安全課 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課
▼概要文表示2020年6月号
 2019年9月に上陸した台風15号、および10月の台風19号は、各地にさまざまな被害をもたらした。とりわけ台風15号によって起こった停電は長期間におよび、その復旧には約280時間を要した。こういった長期間におよぶ停電は、日常生活や経済活動に深刻な影響を与えた。この経験を今後の対策に生かすため、経済産業省の「電力レジリエンスワーキンググループ」において有識者による検討を行い、「台風15号の停電復旧対応等に係る検証結果取りまとめ」を発表した。ここではその報告をもとに、長期停電の原因や今後の対策について紹介する。
<特集>首都圏の防災力を向上させるために
平田 直(国立研究開発法人 防災科学研究所 首都圏レジリエンス研究センター長)/古屋 貴司(国立研究開発法人 防災科学研究所 首都圏レジリエンス研究センター長補佐)
▼概要文表示2020年6月号
 2017年から5か年の計画で、「首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト」が、文部科学省の補助事業として、防災科学技術研究所によって始められた。首都圏などの大都市の防災力を向上させるために、社会科学的な研究、地震学的な研究、耐震工学的な研究を統合した学際的な学術研究(学)を進めるとともに、産業界(産)、行政界(官)、NPOなどの民間(民)の防災に対するニーズと、学術研究によって創出される研究のシーズを統合した研究開発を行っている。このための重要な仕組みとして、「データ利活用協議会(デ活)」を設置して、「企業も強くなる、首都圏も強くなる」を標語として、産官学民の連携を目指した研究開発を進めている。
<特集>経済産業省における適応政策
経済産業省 産業技術環境局 地球環境連携室
▼概要文表示2020年6月号
 適応は、緩和とともに気候変動対策の重要な柱であり、特に気候変動の影響に脆弱な途上国においては喫緊の課題となっている。経済産業省では、気候変動適応がビジネスたり得ることに着目し、これまで実現可能性調査などの取組を進めてきたが、昨年度は比較的日本企業が適応事業を実施しているASEAN地域に着目し、その可能性について調査を実施した。また2016年より継続している適応グッドプラックティス事例集の拡充も行った。今後も、適応分野におけるビジネスチャンスの広がりをより多くの企業に周知していきたい。
<特集1>高潮浸水想定および洪水ハザードマップ
本誌編集部
▼概要文表示2018年5月号
 東日本大震災のあとで宮城や岩手の自治体を訪問して ヒアリングをした。住民の避難や地域の復旧・復興に行政 は必死で支援していたが、企業に関する支援を尋ねると「えー?!」と声をあげ、市民対策で手がいっぱいなので企業は自力で対応してもらわざるを得ない、との返事がほとんどだった。
 東京都によると、超大型の台風が上陸すると東京23 区の3割以上が浸水し、最大10m以上の浸水が想定さ れている。自然災害は地域住民のみならず企業にとって 大変な事態である。がけ崩れによる道路封鎖や避難指示で社員も出社できない、物流もストップ、停電になればほとんどの工場は即、操業停止である。地震、噴火、洪水 や津波、水害対策など含め管轄自治体から最新情報を 入手して事業継続計画BCPなど事前準備をすることが必要である。
 
<特集1>九州北部豪雨時の北野平野の土砂被害と地理
黒木 貴一(福岡教育大学 教授)
▼概要文表示2018年5月号
 2017 年7 月九州北部豪雨では、筑後川流域北部の山地・丘陵で斜面崩壊や土石流が生じ、下流の氾濫原で土砂堆積を伴う氾濫被害が生じた。人の一生かそれ以上の長さの再来周期をもつ自然現象に対し、家屋・施設等ではなく、より広い空間で現象を説明する地理の立場から調査・分析を行った。正射空中写真による土地被覆分類では氾濫原の土砂堆積範囲を、地表踏査では流向や土砂層相等を知り、今回の氾濫による土砂堆積は決して特異な現象ではなく、今日まで繰り返されてきた平野形成の一時間断面に過ぎないことを確認した。今後、地理では現在形成中の地形とその形成過程を詳しく読み解き、ハザードマップ等作成への新たな視点を見出し、減災を視野に成果の情報発信を継続することが期待される。
<特集1>高度気象プロダクト作成によるイノベーション創出
清水 慎吾(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 主任研究員)
▼概要文表示2018年5月号
 全国主要都市の降水量を実時間で推定する国土交通省高性能レーダ雨量計ネットワーク(通称、XRAIN:eXtended RAdar Information Network)は、河川、水資源管理といった公共分野で広く活用されているが、地上雨量以外のデータの利活用は進んでいない。XRAINの営利目的の使用が可能となれば、XRAINによって得られる風や降水粒子種別等の高度気象情報は様々な民間ニーズとマッチし、その社会的インパクトは大きい。本稿では、①防災科学技術研究所が開発した高度気象プロダクトの紹介と、②高度気象プロダクトへの民間ニーズ調査結果を報告する。
<特別寄稿>わが国が目指すべき「リスク評価」のあり方――リスク受容を前提にした新たな評価法の開発に向けて
中西 準子(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 名誉フェロー)
▼概要文表示2017年7月号

 化学物質や食品に対して広く使われているリスク評価・管理は、基本的にゼロリスクを目標としたもので、本当の意味のリスク評価から外れている。わが国の行政は、現実にはあり得ないゼロリスクを目標にしてきたために、どうしても公衆に一定のリスクを受容して貰わなければならない場合に、破綻してしまう。福島第一原子力発電所の事故後の除染の遅れなどは、この欠点が露呈した結果である。今後、リスク管理についてのゼロリスク指向を根本的に変えない限り、新規技術の開発に決定的に遅れをとるであろう。

<特集>北海道におけるBCP策定率向上のための アクションプラン
児嶋 秀平(経済産業省 北海道経済産業局長)/酒井 哲也(経済産業省 北海道経済産業局 産業部中小企業課参事官)
▼概要文表示2017年7月号

 大規模災害等の発生により企業の事業活動が停止した場合、その影響は個々の企業のみならず、取引先や地域の経済社会、ひいては我が国全体に多大な影響を与えることとなる。経済産業省北海道経済産業局では、「危機に強い北海道経済」をつくるため、道内企業のBCP(事業継続計画)策定を促進する活動を行っている。本稿では、災害への備えの必要性、BCP策定の意義とともに、当局が実施しているBCP策定率向上の取組について紹介する。

<特集>熊本県産業の創造的復興について
今村 徹(熊本県産業技術センター 所長)
▼概要文表示2017年7月号

 2016年4月の2度にわたる震度7の熊本地震で、産業の中核を形成する地域企業は甚大な被害を被った。地震発生から1年が過ぎたが、復旧・復興の道のりはまだまだ遠い。各企業は顧客の信頼を繋ぐために、サプライチェーンを維持しようと、自治体と連携して早期の完全復旧を目指し日夜奮闘している。また、復旧活動と並行して、BCP構築など「災害に強い企業群への再構築」にも取り組んでいる。さらに、熊本県産業の「創造的復興」を実現するために、自然共生型産業など新たなビジネス創出のための産学官連携による新技術創出活動が始まった。

<特集>日本列島周辺で今後起こりうる海溝型巨大.超巨大地震
宍倉 正展(国立研究開発法人 産業技術総合研究所海溝型地震履歴研究グループ長)
▼概要文表示2017年7月号

 東日本大震災以降、注目されるようになった過去の地震を探る古地震学と呼ばれる研究により、日本列島各地の海溝沿いで起こりうる巨大.超巨大地震の実態が少しずつみえてきた。北海道東部の千島海溝沿いは、古地震学的にみると2011年東北地方太平洋沖地震に匹敵する超巨大地震がいつ起きてもおかしくない場所である。関東地方の相模トラフ沿いも1923年大正関東地震より規模の大きい元禄型地震の頻度が、従来の考えより高いことがわかってきた。南海トラフ沿いは今世紀中に巨大地震が起こることがほぼ確実な中、その起こり方や規模をどのように想定するか、古地震学的な検討が進められている。

<特集>地震リスクの定量評価を活用したBCP
高杉 剛(応用アール・エム・エス株式会社)
▼概要文表示2017年7月号

 本稿では、地震リスクの定量評価とBCPへの活用を考察する。地震リスクの定量評価は、「震源」、「地震動の伝播」、「地震動の増幅・液状化の可能性」によって地震動の大きさと液状化の可能性を予測し、建物・機械設備等の直接損失と事業中断損失を算定する。定量評価の結果は、ある確率で発生する地震とそれによる損失額との関係を表すイベントカーブと、どの程度の確率でどの程度の損失額が発生するかを表すリスクカーブとして表現される。各種耐震対策や財務的な手当ての効果は、リスクの減少として一元的に可視化され、有効なBCPを策定し、合理的な地震対策を推進する上での有用なツールとなる。

<特集>(森・農・街)+食で育む「水の国くまもと」の地下水保全事業
宮野 岳明(公益財団法人 くまもと地下水財団)
▼概要文表示2017年7月号

 「水の国くまもと」を自負する熊本。11市町村で構成される熊本地域には約100万人が暮らし、生活用水のほぼ100%が地下水でまかなわれている。この清冽で豊かな地下水を未来に継承していくための地域や立場を超えた横断的かつ複合的な取り組みについて、当財団の事業の一部を紹
介する。

<総説>環境責任者と会社が各50万円の罰金刑となった最近の排水事件
本誌編集部
▼概要文表示2016年10月号
 排水基準の違反容疑で工場の役職者など6人と会社が昨年夏に書類送検され、今年になって有罪が確定した。過去10年超にわたり環境データの改ざんなど国を挙げた不祥事撲滅・再発防止に多くの会社が真剣に取り組んだが、以前にマスコミを騒がせたものと同じような不祥事が再度繰り返された。そこで再度、再発防止のため実際に起きた事件をもとにストーリーを作成し、なぜ違反が起きてしまったのか、その経緯と原因、公害防止管理者の活用も含む今後の対策や改善策についてレポートする。
<コラム>鬼怒川決壊後1年を経過して「想起久遠」の思い――平成 27 年9月鬼怒川水害の常総市危機管理体制
本誌編集部
▼概要文表示2016年9月号
 昨年9月10日の関東・東北豪雨により鬼怒川が氾濫し、茨城県常総市では一面が濁流で覆われた。常総市のおよそ1/3にあたる約40km2が浸水し、鬼怒川と小貝川に挟まれた南北に細長い平地が浸水した。幸いにもヘリコプターで1,339人が救助された。しかし、被害は死者2人・負傷者40人以上、さらに全半壊家屋が5,000棟以上という甚大な被害になった。
 常総市水害対策検証委員会(以下、検証委員会)が公開した報告書には重要な教訓が多数含まれていた。いくつかを抜粋要約してレポートするが、ポイントは鬼怒川の堤防が決壊する前に被災地域に対し適切な避難指示等がタイムリーに発令されていなかった点である。決壊地付近では堤防決壊時点において避難勧告もされていなかった。これらの遠因や背景を報告する。
<総説>大規模災害時における化学物質による環境リスクの低減対策の促進について
大阪府 環境管理室 環境保全課
▼概要文表示2016年6月号

 大阪府では、化学物質の使用が適正なものとなるよう、府生活環境保全条例に基づく「化学物質適正管理指針」(以下、単に「指針」とする)により、事業所からの化学物質の排出量の削減等の促進に努めている。
 大規模災害に備えた化学物質管理の強化を図るため、平成25年11月に指針を改正した。指針では、化学物質を扱う事業者は、南海トラフ巨大地震等の大規模災害時の化学物質による環境リスクを把握し、その低減対策を検討して、今後実施する内容を管理計画書に記載し、届け出ることとしている(事業所の規模に応じ、平成26年度から3年に分けて届出)。
 本稿では、本制度について概説するとともに、府が平成28年3月10日に進捗状況等をとりまとめて公表した内容について説明する。

<総説>リスクコミュニケーションという社会技術の使い方
西澤真理子 リテラジャパン(株式会社リテラシー)代表取締役 リスクコミュニケーションPhD
▼概要文表示2012年7月号

 2011年3月に起きた原発事故以来、放射線の安全情報に混乱がある。一年経過した2012年5月現在でも、何を信じればいいのか、何が安全であるのか、一般の不安が依然として大きい。この混乱はなぜ起きるのだろうか。一つは、リスクコミュニケーションは社会技術で、論理的で正確な説明をしたからといって、必ずしも相手に伝わるものではない、との認識が広く共有されていないことにある。リスクのイメージを具体的に描けるよう、具体例を入れながら、誰でもが話せる言葉で、そして、相手の頭に焼きつくことを意識しながら、継続した対話を行うことがひとつの突破口であることを論じていく。

<特集>地下水汚染を未然に防止するための企業のリスクマネジメント
広瀬彰一 株式会社イー・アール・エス環境部副部長
▼概要文表示2012年5月号

 水質汚濁防止法改正によって有害物質使用特定施設等に対する構造基準等が導入される。この構造基準等への対応は企業にとって負担となる一方で,地下水汚染だけでなく土壌汚染の未然防止も図られることとなるものであることから,土壌・地下水汚染の対策に関係する各種の負担の軽減に繋がりうる。土壌・地下水汚染は,新規規制の対象とされている有害物質使用特定施設等以外の施設・設備においても発生しうるものであることから,法規制の枠にとらわれずに,ハード・ソフトの両面から地道に未然防止に取り組むことが重要である。本稿では,地下水汚染の未然防止の観点から,法改正に伴う新規規制に加えて企業において望まれるリスクマネジメントについて,ソフト面での対応を中心に述べる。

<特集>企業のBCP(事業継続計画)とBCM(事業継続マネジメント)について
永井直樹 株式会社インターリスク総研 コンサルタント
▼概要文表示2011年7月号

 災害等のアクシデントがあっても,事業を継続するための計画が事業継続計画(BCP)である。また,BCPの維持・改善に取り組む社内体制や管理システムを事業継続マネジメント(BCM)という。BCPの策定は,1)許容される復旧時間内の重要業務復旧,2)重要業務の許容限界以上の操業度での継続,という2点に主眼を置く。また,BCMは,1)方針,2)計画,3)実施及び運用,4)教育・訓練の実施,5)点検及び是正措置,6)経営層による見直し,というBCPを永続的に維持・改善する一連のサイクルの活動である。

<特集>有効なBCP構築に役立つ事業継続マネジメントシステム
米澤寿員 BSIグループマーケティング本部プロダクトマネージャ
▼概要文表示2011年7月号

 3月11日に発生した東日本大震災はマグネチュード9.0を記録し,東北地方を中心に深刻な被害をもたらした。事業継続マネジメント(BCM)はこのような大規模な自然災害,パンデミックが発生した際,主要な製品及びサービスを中断から目標時間内に目標レベルまで復旧させるための仕組みである。事業継続マネジメント構築のステップは,主要なステークホルダーからの要望,事業の分析により適用範囲を決め,事業インパクト分析,リスクアセスメントにより主要な製品及びサービスの最大許容停止時間,復旧のレベルを定めて戦略を立て,事業継続計画(BCP)を構築し,演習により課題を洗い出し改善していく仕組みである。事業マネジメントの仕組みはすべての業種,企業規模に適用可能なマネジメントシステムで,全世界で導入が進んでいる。本稿では事業継続マネジメントの実質上の世界標準であるBS25999-2について解説する。

<特集>合理的な地震リスクマネジメントのための地震リスク評価
高杉 剛 応用アール・エム・エス株式会社
▼概要文表示2011年7月号

 本稿では,地震リスクの定量評価と地震リスクマネジメントへの活用を考察する。地震リスクの定量評価は,「地震活動度モデル」,「地震動予測モデル」,「被害損失予測モデル」,「地震リスク算定モデル」の四つのパートで構成される。定量評価の結果は地震リスクカーブとして表現される。地震リスクカーブは財務へのインパクトとその発生確率の関係を表わし,自社の財務状況やリスク回避度に応じた意思決定を支援する。また,耐震補強や地震保険付保等の対策効果を可視化し,合理的で適切な地震リスクマネジメントを実行していく上で有用なツールとなる。

<特集>震災・災害に対する本質を踏まえたリスク管理・危機管理
橋本 正 橋本環境安全コンサルティング 代表
▼概要文表示2011年7月号

 2011年3月11日,東日本大震災が発生した。マグニチュード(M)9.0の超巨大地震と,超巨大津波を伴って東北地方を主に甚大な被害となっている。そして同時に福島第一原発事故が発生し,現時点においても危機的状態が続いている。この大震災は日本の観測史上最大であり,世界的にみても4番目の規模であり,壊滅的な被害と原発事故を伴って国家的な危機状態になっている。この震災においては,致命的な被害がかなり発生した。一方,致命的になる一歩手前で留まった事象も随所にあった。致命的な被害がどうして発生したか,被害を少なくする方法はなかったか,今後どのように対策していくべきか,について考える。そして致命的になることを防ぐには「本質を踏まえたリスク管理・危機管理」が重要であることを説明する。

<特集>既存建物の耐震対策による地震災害への備え
鱒沢 曜 株式会社イー・アール・エスリスクマネジメント部副部長
▼概要文表示2011年7月号

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,太平洋沿岸部に津波による甚大な被害をもたらしたほか,内陸部では地震動により継続使用が不可能となる施設が多数発生した。本稿では,地震動による建物被害に着目し,建物を構成する構造体と非構造部材のそれぞれの視点から,東北地方太平洋沖地震による被害事例,過去の被害地震と耐震基準等の変遷,耐震化の進捗状況および耐震対策方法について述べる。

<特集>電子デバイス製造工場の安心・安全を提供する竹中の「セキュア ファブ・ワークス」
川下泰範 株式会社竹中工務店 エンジニアリング本部 電子デバイス施設グループ課長
▼概要文表示2011年7月号

 竹中工務店では,電子デバイス工場に要求される分子汚染や微振動制御,地球環境への配慮,事業継続性を含めたトータルエンジニアリングに取り組み,多くの実績を積み重ねてきた。本稿では,様々な災害に対する安心・安全や,歩留まり向上への高度な製造環境の実現を目指した技術・商品パッケージ,竹中の「セキュア ファブ・ワークス」より,日本のカントリーリスクで,サプライチェーンの寸断など広域に被害が波及する災害リスクと,二酸化炭素(CO2)削減に加え直近の電力不足への対応が不可欠となる省エネ化について,いま求められる対策技術と事例を中心に,その一端を紹介する。

<報告>環境コミュニケーションの現場―本田技研工業株式会社埼玉製作所
▼概要文表示2011年2月号

 「環境コミュニケーション」という言葉が使われだしたのは90年代後半からだが,企業が抱える工場などでは,昔から地域住民との対話を行い,環境に関する安心・安全の共有に取り組んできた。埼玉県狭山市にある本田技研工業(株)埼玉製作所は,周辺地域の宅地化にともない,1980年代に地域住民との懇談会をスタートさせた。その活動は「環境コミュニケーション」と呼ばれるようになり,さらに自治体の主催でリスクコミュニケーションを行ったことをきっかけに定例化された。環境コミュニケーションで重要なのは,専門的資料をいかに一般の住民にわかりやすく報告できるか,そしていかに継続できるかである。周到な準備と徹底した情報提供によって成功した本田技研工業の環境コミュニケーション事例について紹介する。

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