環境管理バックナンバー カテゴリ:環境刑法入門

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<シリーズ>【環境刑法入門/第10回(最終回)】グローバルな民主政治の危機でも地球環境を保全できるか?
長井 圓(中央大学法科大学院 元教授)
▼概要文表示2017年12月号

 いよいよ最終回を迎えた「環境刑法入門」では、グローバルな観点から環境保全の方策を考える。もし核戦争または原発事故が勃発すれば、法による環境保護の全努力が一瞬のうちに無駄になってしまう。人命のみならず歴史的遺産さらに生物等の自然環境をも破壊し尽す*1。それゆえ、環境保護に最重要なのが世界の「平和」と「核の安全管理」である。その構築は国際協調を支える各国の民主政治による交渉と自制に依拠する。それにもかかわらず、今や民主主義が劣化して危機を迎えている(ポピュリズム・衆愚政治)。PCやスマホの偏狭な知識に依存した「思考の停止」と「歴史の忘却」が増えているためかもしれない。その結果、宗教的対立・民族主義が復活し、自国第一主義のエゴイズムがはびこりかけている。以前から環境保護を巡り先進国と後発国との利害対立があったが、戦争で最も環境破壊に貢献してきた米国のトランプ政権はパリ協定から離脱した。独仏は原発廃止を決断したが、中露は原発・武器を売りさばいている。このような排外主義(エゴイズム)は、刑法での重罰主義と同根の問題なのである。

<シリーズ>【環境刑法入門/第9回】廃棄物処理の委託禁止違反が処罰されるのは何故か?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師/中央大学法科大学院 非常勤講師)
▼概要文表示2017年10月号

 廃棄物処理法3条1項は、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と定める。その適正処理(収集運搬・処分(中間処理含む))は、事業者(産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の場合には排出事業者のみならず中間処理業者含む)が自ら行うか、他人に「委託」することもできる。ただし、処理委託先の他人は、許可を受けた処理業者か環境省令で定める者に限られる(6条の2第6項、12条5項、12条の2第5項)。これに違反すると委託禁止違反の罪として処罰の対象となる( 25 条1項6号)。処理業の許可のない者に処理委託をすると、廃棄物が適正処理されずに不法投棄等されて、生活環境等が害されうる。この意味では、委託禁止違反の罪は、不法投棄による生活環境等の侵害を未然防止する役割を担っている。それでは、処理業の許可のない者に廃棄物処理の委託がなされたにもかかわらず、その処理が最終的に許可業者に再委託されて適正処分された場合はどうか。結局のところ不法投棄されなかったのであるから、翻ってその投棄による侵害の危険もなかったとして委託禁止違反の罪は成立しないことになるのか。今回は、この点も含め、廃棄物処理の委託をめぐる犯罪について考える。

<シリーズ>【環境刑法入門/第8回】同じ廃棄物を2度捨てると二つの不法投棄罪で処罰されるのか?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2017年8月号

 本シリーズ第6回( 2017 年2月号)でみたように、最高裁判例によれば、廃棄物を穴に投入することを予定して、これをその穴の脇に野積みして放置すると不法投棄罪(廃棄物処理法16 条、25 条1項14 号)が成立しうる。それでは、その放置した者が、その廃棄物を穴に実際に投入した場合はどうなるか。同一の廃棄物であってもそれを再びみだりに捨てたとして、二つの不法投棄罪で加重処罰されるのか。刑罰は、市民に対する「害悪」でもある。それゆえ、不当に過剰な刑罰を科すことは避けなければならない。そこで、たとえ犯罪に当たる事実が複数あるようにみえても、それが法的にみてそもそも「数罪」であるのか否か、また数罪としても加重処罰が妥当か否かを慎重に見定める必要がある。いわゆる「罪数論」がその基礎となる。今回は、不法投棄罪をめぐる「罪数」を考える。

<シリーズ>【環境刑法入門/第7回】 自分で「捨て」なくとも不法投棄で処罰されるか?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2017年6月号

 廃棄物処理法の不法投棄罪(16条、25条1項14号)は、廃棄物をみだりに捨てた「者」を処罰の対象とする。この「者」は、1人の自然人(人間)が想定されている(単独正犯)。これに対して、複数人が共通の意思の下で一緒に廃棄物を「捨て」れば、その全員が不法投棄罪の「共同正犯」として処罰されうる。それでは、廃棄物を自ら「捨て」ずに、他人に「捨て」させた場合はどうか。この場合にも、不法投棄罪の「間接正犯」、「共謀共同正犯」あるいは「教唆犯」・「幇助犯」(共犯)として処罰されうる。それは具体的にどのような場合か。また、会社ぐるみで不法投棄がなされると、いわゆる「両罰規定」(32条1項1号)が適用されて、その投棄行為をした代表者・従業員らの自然人が罰せられるほか、その業務主たる会社(法人)にも罰金刑(最高3億円!)が科されうる。しかし、会社は、自然人と異なり、肉体と精神(自由意思)とが欠ける。それでも、廃棄物を「捨て」たとして処罰されるのはなぜか。今回は、不法投棄罪をめぐる「正犯」・「共犯」及び「法人処罰」(両罰規定)について考える。
 

<シリーズ>【環境刑法入門/第6回】廃棄物を「捨て」なくとも不法投棄に当たるか?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2017年4月号
 廃棄物の不法投棄罪(廃棄物処理法16 条、25 条1項。法人処罰については32 条1項1号)は、「廃棄物をみだりに捨てる」ことで成立する。この犯罪の成立要件は極めてシンプルである。しかし、「捨てる」とは何か。これは一見すると誰にでもわかるようで、いざ説明しようとすると実は難しい。例えば最決平18・2・20 刑集60 巻2号182 頁では、被告人が自己所有地内に堀った穴に産業廃棄物を投入して後で埋め立てるつもりで、これを「積み上げた」(いわゆる「野積み」)行為が既に不法投棄に当たるとされた(判例1)。このような判断がなされたのは何故か。また市民は「野積み」も「捨てる」になりうるといわれて理解できるだろうか。
 また、最決平18・2・28 刑集60 巻2号269 頁では、一般廃棄物及び産業廃棄物の汚泥の収集運搬業の許可を持つ被告人が一般廃棄物(庁舎内の汚水槽内のし尿を含む汚泥)と産業廃棄物(庁舎内の雑排水槽内の汚泥)とを分別せずに混合して収集し、これを市の一般廃棄物のし尿処理施設に搬入・投入した行為が不法投棄に当たるとされた(判例2)。処理場に捨てれば廃棄物は綺麗に処理される。それでもこれが「違法」とされたのはなぜか。今回はこれらの問題を考える。
<シリーズ>【環境刑法入門/第5回】 不法投棄などすべての環境負荷を処罰してよいか?
長井 圓(中央大学法科大学院 教授)/渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2017年2月号

 循環型社会の形成が求められている。とはいえ、人の生活は必然的に環境負荷の廃棄物を生む。その全面的禁止は、生存の禁止に等しい。それでも環境法を遵守しない者には、刑罰しかない。AI社会になるほど、このような短絡的思考をする人が増大している。殺人や傷害ならばともかく、環境刑法での「応報」とは被害者の誰からの要求なのか。いずれにせよ、処罰で環境が浄化されたりはしない。それにもかかわらず、環境法でも過剰なほどに刑罰が氾濫している。刑罰自体が苦痛・害悪であることを忘れてはならない。さて何よりも、廃棄物の投棄であっても許されることがある。今回はこのテーマについて考えてみたい。

<シリーズ>【環境刑法入門/第4回】循環型社会における「廃棄物」概念のジレンマ
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2016年12月号
 大量生産、大量消費、大量廃棄を続けて「廃棄物」を単に適正処分するだけでは、地球の有限な天然資源はやがて枯渇して、人は生きていけなくなる。そこで循環型社会形成推進基本法(以下「循環基本法」)では、いわゆる3R(廃棄物の排出抑制、再使用、再利用)を進めて、廃棄物をできる限り出さない社会が目指されている。廃棄物をそもそも出さなければ、天然資源を新たに開発・獲得して環境を破壊することを防げるからである。既に排出された廃棄物を事後に適正処分して環境保全を図るというのは、もはや時代遅れである。刑事裁判例にも、循環型社会の推進との観点から、再生利用されていれば「廃棄物」ではないとするものが現れた。しかしながら、それにより廃棄物の概念の相対化が認められて、廃棄物に当たるか否かの判断も複雑になっている。今回は、この点について裁判例の当否を考える。
<シリーズ>【環境刑法入門/第3回】「廃棄物」とは何か?
渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2016年10月号
 私たちは、毎日大量の「廃棄物」を排出しないと生活できない。それゆえ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」)は、市民生活に最も身近な環境法である。また、環境法の罰則は多数あるが、環境白書によれば、平成27 年の「環境犯罪」の検挙件数5,741 件中の4,979 件が廃棄物処理法違反の罪(内2,479 件が不法投棄罪)である。環境刑法の実務も、主に廃棄物処理法違反の罪をめぐって動いている。そこで「環境刑法入門」でも、廃棄物処理法違反の罪を中心に説明していきたい。今回はその基礎として「廃棄物」とは何かを考える。廃棄物処理法は「廃棄物」を対象とするので、何がこれに当たるのかが最重要の出発点になる。個人が使用・保管している物も、有償譲渡できないと「廃棄物」に当たるのか。所有権と環境法益との対立が論点となる。
<シリーズ>【環境刑法入門/第2回】 刑法で環境犯罪を処罰できるか?
長井 圓(中央大学法科大学院 教授)/渡辺 靖明(法政大学 人間環境学部 兼任講師)
▼概要文表示2016年8月号

 環境刑法入門の第1回(6月号)では、莫大な社会費用をもたらす「刑罰のジレンマ」について論じた。今回は、「環境」侵害を処罰することが刑法で許されるのか、という根本問題を論じる。なぜなら、それは許されないという刑法学説も現にある。憲法を頂点とする法体系下では「人間」の権利・利益でなければ保障されない(憲法13 条 生命、自由及び幸福追求の権利)。それゆえ、①「環境」自体が国家から保護されたりはしない、というと「法学者はおかしい」と感じるだろう。しかしながら、常識だけで足りるのであれば法律学は不要になる。動植物など生態系等の環境財が人間と等しく法で保護されるとしたら、正当防衛にでもならない限り、出没した熊やゴキブリを殺すことも違法になってしまう。人間は何を食べて生きているのか。それでも、②「人」の権利・利益しか保護されないとすれば、いまだ「人」ではない未来世代の環境利益はどうなるのか。

<シリーズ>【環境刑法入門/第1回】 刑法は環境保護に役立つか?
長井 圓(中央大学法科大学院 教授)
▼概要文表示2016年6月号

 IT社会では、部分知はPCなどからいつでも入手できるが、その原理を知らないと正しい応用ができない。テクニカルな法規に欠陥があっても、それに気づかず環境の保護を実現できなくなる。そこでシリーズ「環境刑法入門」の第1回では、個別法規をシステム化する「法の体系と原理」について考える。環境法にも憲法・行政法・民事法があり、その遵守を最終的に強制・担保するのが環境刑法である。生物は、進化・淘汰の長い過程で互恵的利他行動を身につけた。他から利益を得ながらお返しをしない個体を排斥するのが社会倫理規範としての制裁である。しかし、それだけでは処罰は正当化しえない。

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