環境管理バックナンバー 2019年 6月号

キーワードサーチ

バックナンバーの閲覧 / 冊子版の購入

  • ログインはこちら
  • 『環境管理(冊子版)』を購入
  • 協会会員の方は、記事全文をPDFファイルで閲覧ができます。
    ログインしてご利用ください。
  • 各号の概要の閲覧、冊子版の購入はどなたでも
    ご利用いただけます。

2019年6月号 特集:土壌汚染対策法改正と汚染対策の現状

<レポート>

「チバニアン」って何?――約77万年前に地磁気のS極とN極が逆転
本誌編集部
▼概要文表示
 昔から船乗りは磁石(コンパス)で方位を確認して航海していた。これは地球が北極と南極付近を両極とするいわば大きな棒磁石になっているためである。地球固有の磁場を地磁気というが、過去360 万年で地磁気のS極とN極は15回以上も逆転している。
 すでに全国で報道されている通り、最後に起きた地磁気逆転が千葉県養老川沿いの地層(千葉県市原市田淵)に記録されていた。約77万年前の地磁気逆転の前後の痕跡が国内の地層に残っている、という学術的な価値は極めて高い。

<特別寄稿>

「チバニアン」と地質学
岡田 誠(茨城大学 理学部 教授)
▼概要文表示
 市原市田渕の養老川河岸の崖「千葉セクション」(写真1)は、日本初のGSSP(Global boundary Stratotype Section and Point: 国際境界模式層断面とポイント)の候補地である。いまだ無名の「中期更新世」(77万年前〜12万6,000年前の間)に対する地質時代名称として「千葉の時代」を意味する「チバニアン」が提案されている。国際会議で承認されれば、地球誕生以降117に分かれている地質時代の名称として日本の地名が用いられる最初のケースとなる。このため、自然災害の多い我が国において、重要であるがマイナーな「地質学」の認知度を大いに高めるチャンスといえよう。

<特集>

土壌汚染対策法の改正について
中村 雄介(環境省 水・大気環境局 土壌環境課 課長補佐)
▼概要文表示
 土壌汚染対策法は、土壌汚染状況調査の実施、調査結果に基づく区域の指定、指定された区域内の土地における汚染の除去等の措置の実施、汚染土壌の搬出及び処理に関する規制等について規定した法律である。平成31年4月1日に施行された法改正においては、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進するための改正が、制度全般について措置された。今後、改正法の着実な施行のためには、都道府県等、指定調査機関、土地の所有者等の土壌汚染対策の実務に携わ
る担当者に制度の理解を深めていただくことが重要となる。
土壌汚染対応の要点と盲点 入門編
伊藤 洋(北九州市立大学 国際環境工学部 エネルギー循環化学科 教授)
▼概要文表示
 土壌汚染に関しては、平成になってから特に不動産関連でのトラブルが急増している。平成の中ごろになって「土壌汚染対策法」が新たに制定された。水や大気は日常的に管理・遵守すべき項目であるのに対し、土壌は汚染発覚が突発的で関係者が限定されることや法律的にも土壌汚染の予防や防止を目的としたものではなく、罰則が廃掃法のように厳しくないため土壌汚染のリスク管理が甘くなる傾向にある。
 本稿では、企業や自治体が土壌汚染に対応するためのノウハウとして、その経緯と特徴、メカニズム、対応のポイント、加えて、筆者自身の経験に基づく「土壌汚染の盲点」をいくつか整理してみた。土壌汚染に取り組まざるを得なくなった、あるいは潜在的に必要と感じられている企業や自治体の方の土壌汚染対応の入門編になればと思う。
豊洲市場土壌汚染の教訓――土壌・地下水汚染のリスク管理の在り方
駒井 武(東北大学大学院 教授)
▼概要文表示
 最近、豊洲市場における土壌・地下水汚染問題や土壌汚染対策法の改正が契機となって、調査・分析法の改善に向けた新たな取り組みが行われている。豊洲市場では土壌汚染対策法では規定されていない揮発性化学物質による吸入曝露の問題に関して、ベンゼンや水銀などに対するリスク管理施策が実施されている。これは、わが国の土壌汚染問題において、揮発性化学物質のリスク評価が適用された初めてのケースといえる。
 本稿では、専門家委員としての経験より豊洲市場問題で明らかになった土壌汚染対策の問題点を整理して、これらを改善していく上で不可欠となる揮発性化学物質の対応および調査・分析法の課題について考察する。後半では、土壌汚染問題に対して環境科学や社会科学の果たす役割について考え、サイト毎の汚染レベルを適切に評価・管理するために必要なリスク管理の必要性を指摘する。
愛知県における土壌・地下水汚染対策について
木村 三香(愛知県 環境局 環境政策部 水大気環境課 水・土壌規制グループ 課長補佐)
▼概要文表示
 愛知県では、土壌汚染対策法による規制のほか、県民の健康の保護と生活環境の保全を目的とした「県民の生活環境の保全等に関する条例」に基づく土壌・地下水汚染対策を行ってきた。
 土壌汚染対策法はこのたび大幅に改正が行われ、2019 年4 月1 日に全面施行となった。この法改正を踏まえ、条例も一部改正を行なったので、その改正内容等も踏まえて、愛知県における土壌・地下水汚染対策について紹介するとともに、現在の土壌・地下水汚染の状況について述べる。
新規制動向を踏まえた土壌汚染調査手法の検討――文献調査結果と各物質の調査・分析における課題への対応策
鈴木 義彦(一般社団法人 土壌環境センター 物質特性に応じた土壌・地下水汚染調査・対策方法の検討部会)/鈴木 圭一(一般社団法人 土壌環境センター 物質特性に応じた土壌・地下水汚染調査・対策方法の検討部会)
▼概要文表示
 土壌汚染問題の顕在化や法規制が見直される可能性のある化学物質を対象とし、土壌・地下水汚染の調査・分析について、現状の手法では汚染状態の把握が難しい場合における調査スキームの提案と将来の規制に対する分析技術適用時の検討を行なった。対象物質の土壌・地下水中における挙動(汚染機構)に着目し、①汚染実態等の把握のため文献(国内外)の精査、②調査・分析に係る課題抽出及び対応策の提案、③トリクロロエチレンとカドミウムを例にしたケーススタディの実施による調査上の留意点等のまとめを実施した。

<総説>

家電リサイクル法の施行状況及び回収率
鈴木 浩文(経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 環境リサイクル室 課長補佐)
▼概要文表示
 家電リサイクル法は、回収率の向上を目指して関係主体で連携して取組を行っており、経済産業省では、排出者(消費者等)に対する周知・広報活動等や、小売業者への指導等に努めている。
 平成29年度の回収率は上昇して回収率目標設定以降で最高となり、また、平成30年度の指定引取場所における引取台数は大きく増加した。
化学物質管理入門(その2 )労働安全衛生法における化学物質管理
佐竹 一基(OFFICE KS(環境と技術)代表/一般社団法人 産業環境管理協会 技術顧問)
▼概要文表示
 労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するための法律で、幅広い範囲を対象としている。化学物質も使用法を誤ると人の安全と健康に重大な影響を及ぼす。
 今回は、労働安全衛生法における化学物質の取り扱いと基本的な考え方を紹介する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第36回】気候変動に関する情報開示を求める株主提案はどこまで認められるのか──エクソン・モービルに対する株主提案を例に考える
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
▼概要文表示
 ESG投資にはいくつかの類型があるが、株主として企業と対話し影響力を行使する中で長期的な成長を促していくエンゲージメントは、ある意味「ESG投資の本流」といえるだろう。エンゲージメントの手法にもいくつかあるが、投資家と投資先企業の直接的対話や、株主としての議決権行使などが挙げられる。後者の議決権に関する制度として、わが国が株主に議題・議案の提案を認める株主提案権を導入したのは1981 年のことであるが、経済産業省が公表した「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」などにみるように、これをさらに活性化させ、企業と投資家の質の高い対話やエンゲージメントにより企業の競争力や収益力を高めようとする動きは最近ますます高まっている。GPIFによる調査によると、日本版スチュワードシップ・コード改訂以降のIRミーティング等における機関投資家の変化について、4割の企業が「好ましい変化」と回答するなど、企業と投資家の対話を促進する動きは企業にも前向きに受け止められていると考えられる。
 しかしそもそも株主提案権の適正な利用についてはまだ模索が続いている段階であり、それが気候変動という地球規模かつ長期的な課題で、不確実性の高いテーマにおいて活用されることには問題も指摘されている。具体的には、気候変動に強い関心を寄せる海外機関投資家がオイルメジャーなどのエネルギー関連企業やGAFAと呼ばれる巨大企業に対して提出した決議案について、企業からの申し立てに基づき米国証券取引委員会(以下、SEC)が一部事例については委任状勧誘資料への記載から排除できるとの見解を示す事例も出てきている。気候変動を巡る企業と投資家の対話はどのようになされるべきかは単純ではないテーマであり、わが国が株主総会シーズンを迎えるのを前に、この問題について考えてみたい。
【産廃コンサルタントの法令判断/第39回】誌上コンプライアンスチェック②――書類の保管期限
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
▼概要文表示

日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第39回)。

【ニュースから読み解く環境刑法/第11回】環境犯罪の捜査
今井 康介(法政大学 兼任講師/早稲田大学 比較法研究所 招聘研究員)
▼概要文表示
 どのような行為が犯罪なのかは、あらかじめ法律によって定められています。例えば、廃棄物の不法投棄が処罰されるのは、廃棄物処理法が、廃棄物をみだりに捨てる行為を処罰すると定めているからです。
 法律の罰則規定に違反する行為は、どのようなプロセスを経て、違反者が逮捕され、裁判にかけられるのでしょうか。今回の連載では、環境犯罪の捜査に着目します。会社、事業所あるいは違反者のところに、どのような捜査機関が、どのタイミングで、どのようなことをしにやってくるのでしょうか。さらに、
傷害事件のような通常の刑法犯の捜査と環境犯罪の捜査との違いについても説明します。
【新・環境法シリーズ/第88回】ラムサール条約における迅速評価と法的課題
鈴木 詩衣菜(上智大学 地球環境学研究科 特別研究員)
▼概要文表示
 湿地保全に関するラムサール条約は、締約国に対し、第3条2項に基づく登録湿地の管理を義務付けている。しかしながら、第3条2項は十分に遵守されていないのが現状である。このような事態に対応するために、ラムサール条約は締約国に対し、当該義務を果たせるよう登録湿地の評価方法やそのための指針などを採択しており、迅速評価を用いた登録湿地の管理の奨励はその一つである。本稿では、ラムサール条約における迅速評価を概観しつつ、締約国が同条約上の湿地保全に関わる義務をどのように果たしていくかについて、法的側面から検討する。
【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第9回】有価物、廃棄物の区分の巻
長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
▼概要文表示
 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、
難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 第9回目は、「有価物、廃棄物の区分」を取り上げます。教えてくれるのは、「不用品回収セミナー」の講師も担当しているN先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第18回】地下水汚染の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
▼概要文表示
 工場跡の汚染発覚から数十年も経過して、担当者が全員代わってしまうケースも少なくない。国民の半分が地下水を飲用する米国で水文学の基本的事項が幅広く教育されているので、その中からいくつか重要な事項を新任者向けにまとめてみた。環境省ガイドラインとあわせて、企業の担当者が地下水汚染を検討する際に参考になれば幸いである。なお、最新情報など詳しい内容は、水理専門家や地質コンサルタントなどに照会することをお勧めする。
【先読み! 環境法/第84回】G20に向けたパリ協定長期戦略案とプラスチック資源循環戦略の中環審答申――脱炭素・脱プラスチックは将来世代が享受の主体となるべき法益
小幡 雅男(前・神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
▼概要文表示
 日本は1人当たりの容器包装廃棄量が世界で2番目に多く、廃プラスチックのアジア各国への輸出処理など多くの課題を抱えている。6月に開催されるG20において日本は、議長国として世界規模での問題解決を提起し、イニシアチブの取りまとめを行う役割を担うことになる。喫緊にせまるプラスチック資源循環戦略の動きについて取り上げる。
 ❶G20に向けたパリ協定長期戦略案とプラスチック資源循環戦略の中環審答申――脱炭素・脱プラスチックは将来世代が享受の主体となるべき法益
 ❷パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)
 ❸プラスチック資源循環戦略に関する中央環境審議会の答申(2019年3月26日)
環境法改正情報(2019年4月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
▼概要文表示
 ◉省エネルギー法
 ◉化審法
 ◉労働安全衛生法
 ◉環境教育促進法
出版物の購入・ご案内

ページの先頭へ戻る