環境管理バックナンバー 2020年 5月号

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2020年5月号 特集:環境イノベーションと地球温暖化緩和策

<巻頭レポート>

新型コロナウイルス、石炭火力発電所の差し止め訴訟など
本誌編集部
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 感染予防のため製造業が操業を停止し、人々の移動が規制され航空機なども減便されている。この影響で中国やインドなどで大気汚染が改善されている。一方、中国都市部から排出される汚染物質は2月までに約3割減少した……。
 
 新型コロナウイルス、札幌アパマン爆発、石炭火力発電所の差し止めほか、最近の話題を紹介する。

<特集>

革新的環境イノベーション戦略
経済産業省 エネルギー・環境イノベーション戦略室
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 政府は2020年1月21日、温室効果ガス(GHG)排出量の抜本的な削減に向けた「革新的環境イノベーション戦略」を新たに策定した。本戦略は、2050年までに世界全体のカーボンニュートラルを目指すのみならず、産業革命以降、大気中に排出され続けたストックベースのCO2をも削減する「ビヨンド・ゼロ」を実現するために必要な技術確立を目指しており、野心的なものである。
 気候変動問題という地球規模の社会課題をイノベーションの創出により克服するため、産業界、金融界、アカデミアが一丸となって取り組むべき具体的な課題が示されており、今後我が国のエネルギー・環境関連政策の重要な指針となると期待される。
産総研ゼロエミッション国際共同研究センターの取組
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター
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 産業技術総合研究所ゼロエミッション国際共同研究センター(GZR:Global Zero Emission Research Center)が設立され、研究センター長はノーベル化学賞を受賞した吉野彰博士が就任した。本研究センターは、欧米等の研究機関との国際共同研究を通して、最先端の研究開発を担う国内外の叡智を結集し、ゼロエミッション社会を実現する革新的環境イノベーションの創出を目指す。ここでは本研究センターが取り組む重要課題のうち、太陽電池、人工光合成技術、水素利用技術、ならびに二酸化炭素有効利用技術のLCA 評価について概説する。
気候変動がもたらす経営管理の変革
後藤 茂之(監査法人トーマツ リスク管理戦略センターディレクター)
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 企業にとって、脱炭素社会への移行リスク、物理的リスク、賠償責任リスク、これらの結果生じる評判リスクはすべて統合的リスク管理(Enterprise Risk Management:ERM)の対象となる。ERMは戦略・リスク両面をカバーするため、温暖化への緩和策や適応策に深く関係すべきである。しかし、気候変動が自然資本にもたらすリスクはこれまで市場メカニズムの外に置かれていたため、財務情報に基づくリスク、リターン、資本の管理を中心とするERM体系の中に完全に組み込まれていなかった。今後、気候変動は経営管理の基本的枠組みを変革することになるものと考えられる。本稿では、変革の内容とその変革にどのように対応すべきかを整理する。
浅海域で貯留されるブルーカーボンのポテンシャル
桑江朝比呂(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 沿岸環境研究グループ長)
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 海洋生物によって大気中のCO2が取り込まれ、海洋生態系内に貯留された炭素のことを、2009年に国連環境計画(UNEP)は「ブルーカーボン」と名付けた。全球の海底泥には、毎年1.9~2.4億tのブルーカーボンが新たに貯留され、長期間(数千年程度)保存される。浅海域には年間貯留量の約73~79%ブルーカーボンが貯留される。本稿では、浅海域にブルーカーボンが貯留されるメカニズムや貯留速度、他の様々な気候変動緩和技術と比較した場合のブルーカーボン活用技術の長所短所、そしてブルーカーボンを活用した取り組みに関する国内外の最新動向について紹介する。

<報告>

ISO 14001環境マネジメントシステムの気候変動適応への活用――日清製粉グループの事例解説
本誌編集部
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 温暖化対策が各国で進められている。日本でも2018年12月に気候変動適応法が施行され、企業は事業活動を円滑に実施するために事業内容に即した適応に努めることと、国や自治体による気候変動適応に関する施策に協力するように努めることが明記された。
 日清製粉グループはISO 14001環境マネジメントシステムを導入しており、その運用を通じて緩和策とともに適応策に取り組みはじめている。本稿で紹介する具体的な取組み事例は、企業の適応策を考えるための貴重なヒントになる。

<総説>

環境デュー・ディリジェンスの意義と実践方法――責任ある企業行動及びサプライチェーンに関するルール形成をふまえて
高橋 大祐(真和総合法律事務所 弁護士)
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 ビジネスと人権に関する国連指導原則の承認やOECD多国籍企業行動指針の改訂により、企業には、企業活動の環境・社会への影響を、サプライチェーン等の取引関係を含めて評価・対応する「環境・人権デュー・ディリジェンス(DD)」が要請されている。欧米諸国では、サプライチェーン等を通じた環境・人権DDが法的義務又は開示義務としてルール化が進みつつある。このような動向をふまえ、環境省も2020年度初めにバリューチェーンマネジメントで環境デュー・ディリジェンスを活用するための手引書を発表する予定である。
 本論稿は、上記のような責任ある企業行動及びサプライチェーンに関するルール形成の動向を、特に環境分野におけるDDとの関わりに焦点をあてて整理する。その上で、環境DDのプロセスの実施における留意点を解説する。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第43回】Beyondコロナの気候変動問題
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 先月号の原稿を書いていたときには、ここまで新型コロナウイルス感染が拡大し、私たちの行動変容が必要になってくるとは想像できていなかった。この1か月、いや、数週間で状況は急速に悪化し、我々の日常も大きな制約を受けることとなった。今は読者の皆さまの健康をお祈り申し上げるとともに、医療・介護従事者をはじめとしてそれぞれの持ち場で奮闘されている方々に心からの感謝を捧げたい。
 これまでの景気後退と異なり、消費が瞬間的に蒸発したと表現されるこの新型コロナウイルスによる経済危機。いま企業経営者の関心は、自粛期間の事業継続と、その後長く続くと予想されるwithコロナ時代をどう生き抜くかに集中しており、直前まで世界が直面する課題として日々メディアに取り上げられていた気候変動問題はめっきり影をひそめてしまっている。日々感染者数、死亡者数が増加し、「第三次世界大戦」にも例えられる危機的局面にあっては当然の反応であるし、CO2削減について議論するまでもなく、経済が停止したことで各国の排出量は激減している。しかし我々の社会はこの仮死状態から必ず立ち上がらなければならない。その際に気候変動問題は、社会にとってどのように捉えられるのであろうか。どのような社会になっているかを描くことは誰にもできないが、その景色が今までとは全く違うものになっていることだけは確かだ。
 against、with、afterとコロナウイルスとの付き合い方も変遷していくと思われるが、少なくともこの混乱期を超えたあとに気候変動問題がどのように扱われるのか、今ある情報の整理を試みたい。
【新・環境法シリーズ/第99回】CCSと社会的受容性―事例分析を通じた協議システムの検討
村山 武彦(東京工業大学 環境・社会理工学院 教授)/長岡 篤(東京工業大学 環境・社会理工学院)
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 CCS実証試験が行われている北海道苫小牧市に居住する地域住民を対象とした質問紙調査により、CCS実証試験の認知状況とCCSを普及する際に必要な情報や事業主体を把握するとともに、これらの結果に基づく回答者の分類から、住民のCCSに対する認識を明らかにした。さらに、CCSに関係する地方自治体や漁業組合、NPO等を対象とした面接調査を実施し、CCSに対する認識やCCSを実施する際のスキーム、協議プロセスと各主体の関わり等について把握したうえで、今後求められる協議システムのモデルを検討した。

【産廃コンサルタントの法令判断/第50回】優良認定基準改正――何が変わるか?
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第50回)。

【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第20回】許可不要者制度と各種リサイクル法(その1)の巻
長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
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 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、
難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 今回から数回に分けて「許可不要制度と各種リサイクル法」を取り上げます。お相手はN 先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第29回】広大な針葉樹林の中の処理施設から猛毒物質が漏洩
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 北米最大規模の産業廃棄物処理施設がカナダにある。大型専用炉による焼却でPCBトランス、フロン、塗料スラッジを高温破壊し、処理工程の廃液は地下1,800mの地層に圧入する。灰は不溶化して敷地内の管理型処分場へ埋立し、有害物は敷地から一切外部に出さない。世界でも数か所しかない有害廃棄物専用の処理プラントで非常にユニークな施設である。筆者はアメリカ人コンサルタントと現地を視察してから20年以上、経緯をフォローしてきた。創業からの33年間をレポートする。
【先読み! 環境法/第95回】3月10日に大気汚染防止法の一部を改正する法律案が閣議決定され衆議院に提出
小幡 雅男(前・神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 「レベル3建材」の石綿飛散防止と「事前調査の信頼性確保」を目的とした大気汚染防止法の改正案が衆議院に提出された。条文と条文相互のかかわりからその概要を読み解く。東日本大震災からの福島の復興・再生施策の財源を確保するための復興庁設置法等の改正案、デジタルデータ化された個人情報を保護するための個人情報保護法等の改正案についても紹介する。
 
 ❶3月10日に大気汚染防止法の一部を改正する法律案が閣議決定され衆議院に提出
 ❷3月3日に復興庁設置法等の一部を改正する法律案が閣議決定され衆議院に提出――5つの法改正の束ね法案。その第5条が特別会計に関する法律の一部を改正する法律案で、エネルギー対策特別会計について繰入れが規定
 ❸3月10日に個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案が閣議決定され衆議院に提出
環境法改正情報(2020年3月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉資源有効利用促進法
 ◉容器包装リサイクル法
 ◉省エネルギー法
 ◉地球温暖化対策推進法
 ◉フロン排出抑制法
 ◉労働安全衛生法
 ◉化審法
 ◉再生エネルギー特措法
 ◉農薬取締法
 ◉グリーン購入法
 ◉高圧ガス保安法
 ◉水道法
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