環境管理バックナンバー 2019年 10月号

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2019年10月号 特集:COP25 と地球温暖化問題の現在

<巻頭レポート>

日本の紅葉は大雪山から始まる!――日本で一番早い紅葉がスタート
本誌編集部
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 大雪山は元々アイヌ語で「神々の遊ぶ庭」と呼ばれていた。確かに、非常に美しい自然の庭園が多数みられる。北海道中央部に位置する大雪山は、南北63km、東西59kmという日本最大の国立公園である。9 月上旬に現地に向かったが、黒岳の山小屋では早朝の気温が摂氏1℃以下という寒さで、山頂では早くも初雪の季節になっていた。大雪山の山頂付近では、9月18日深夜に初雪が観測された。これは、平年並みの早さで、観測史上最も早かった昨年より32 日遅いという。
 森林限界を超えた大雪山の縦走コースでは、数えきれない数の原生花園やお花畑、雪渓、噴火口(御鉢平)の絶景なども楽しめ、片道約7 時間の登山もあまり苦にならない。寄り道も含め、累積の標高差は上り下りでそれぞれが1,200m程である。
 層雲峡温泉に近い黒岳山頂付近で、読売新聞や北海道新聞の撮影クルーと遭遇した(写真1、2)。読売新聞9 月14 日付夕刊一面には紅葉の写真が掲載された。本レポートでは、日本で一番早い紅葉の写真を掲載し、大雪山の温暖化影響や硫化水素ガスの話題などにも少し触れる。

<特集>

温暖化をめぐる内外情勢と我が国の課題
有馬 純(東京大学公共政策大学院 教授)
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 COP24 では、全員参加型のパリ協定の精神を踏まえた詳細ルールが合意された。市場メカニズムのルールはCOP25 に持ち越されたが、パリ協定の実施体制が整ったといえる。他方、欧州では温暖化防止を理由に2050 年カーボンニュートラルや石炭の排除論が勢いを増す一方、アジアの途上国では石炭の役割が依然大きく、パリ協定の1.5 ~ 2℃目標と現実との間のギャップが拡大している。両者のギャップを埋められるのは革新的技術開発であり、日本は水素、カーボンリサイクル等の分野でリーダーシップを発揮すべきだ。
温暖化対策とエネルギー展望――国内外の動向を踏まえた企業の対応の方向性
秋元 圭吾(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループ グループリーダー)
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 パリ協定以降、世界のCO2排出削減への取り組みや課題認識は、政府、企業、市民レベルともに高まってきている。一方で、米国トランプ政権のように積極的な対応をとらない国も存在し、まだら模様の様相である。世界CO2 排出量は依然として上昇し続けており、削減の取り組みは成功してはいない。このような中、製品・サービスの世界展開を含めたライフサイクルでの排出削減への取り組みが重要である。さらにはイノベーションが不可欠である。エネルギー供給サイドに加え、情報技術等の進展により、需要サイドの様々な技術そして社会イノベーションを誘発していくことが求められる。企業も長期的な脱炭素化の方向性を認識しつつ、ハードとソフトの融合による新たな付加価値を生み出しながら、CO2排出削減に貢献していく企業戦略が求められる。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の活動
長谷 代子(環境省 地球環境局 総務課 脱炭素化イノベーション研究調査室 室長補佐)
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 気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC)は、世界中から選定された科学者が最新の気候変動に関する科学的知見を集約・評価した報告書を公表する国際組織である。その報告書は、政策中立でなければならないことを原則としつつ、世界中から選出された科学者と各国政府の共同作業によって作成・公表されていく。特に2007年に公表された第4次評価報告書以降現在に至るまで、気温上昇、温室効果ガスの排出量、気候変動による(自然、社会、経済等の)影響の現状・将来予測、および必要となる適応・緩和の選択肢について、国内外の政策に不可欠な科学的基礎を提供している。

<総説>

海のプラスチックごみに関する国際規範
鶴田 順(明治学院大学 法学部 准教授)
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 2019 年6 月に開催されたG20大阪サミットで「海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」が合意された。実施枠組みは法的拘束力のない文書であるが、国際規範の法的拘束力の有無とその実効性の関係は「法的拘束力があれば実効性が高まる」というものではない。国際規範の実効性の確保・維持・向上を図るためには、国家報告制度や、遵守確保手続の設定など、何らかの仕掛けを用意することが重要である。海のプラスチックごみについては、各国が国際規範に基づいて海への流出量の削減などについての法的義務を負い、あるいは自主目標をたてたとしても、その遵守状況の正確な把握や評価は困難である。海のプラスチックごみをめぐる問題状況の改善・克服には、海に流出してからの回収や適正処理などに焦点をあてるよりも、法的拘束力を有する既存の条約による規制、すなわち、廃棄物の海への投入処分に関する規制や廃棄物の越境移動に関する規制を締約国が確実に実施していくとともに、陸上や航行中の船舶でのごみの発生抑制・回収・リサイクル・適正処理、さらに、問題状況・領域によっては、拡大生産者責任の考え方に基づき、上流規制や代替品の開発・使用を進めていくことが重要である。
 なお、本稿は2019 年7 月28 日に開催された「環境三学会合同シンポジウム2019「プラスチック依存社会からの転換」」での講演原稿に加筆・修正を加えたものである。
「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第3版)」における記述内容に対する意見
宮川 正孝(環境法令アドバイザー、元東京都環境局)/八巻 淳(株式会社 ヤマキ環境 代表取締役)、成澤 昇(株式会社 環境地質研究所 代表取締役)
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 一般社団法人 産業環境管理協会(以下、「協会」)では、毎年、土壌汚染対策法に基づく国家資格である土壌汚染調査技術管理者試験の受験者向けに、試験対応セミナーを開催しており、本年は、2019(令和元)年11 月17 日の試験に向け、9月12日~13日に東京で開催した。
 今回のセミナーは、4月に全面的に施行された改正土壌汚染対策法を踏まえたものであることから、昨年に比べて講義内容は大きく広がり、高度化したところである。
 一方、現在、土壌汚染対策法に係る四つのガイドラインが環境省から公表されており、受験対策上は「土壌汚染対策法
に基づく調査及び措置に関するガイドライン( 以下、「ガイドライン」)」の十分な理解が特に必要とされるが、本年3 月に改正法を踏まえて公表されたガイドライン改訂第3版(5 月29日に修正版が公表済み)は、改訂第2版からその内容が大きく改訂されているとともに、記述量は大幅に増えているところである。
 こうした中、今回のセミナーに向け資料等を作成する中で、ガイドラインの記述内容に対する疑問等が生じることが少なくなかったことから、これについて、受講生向けに、ガイドラインの記述内容に対する意見としてとりまとめ、セミナーにおいて配布したところである。
 現時点ではガイドラインに係る正誤表等は公表されていないが、当資料は、調査や対策に従事されている方々にも有用と考えられるので、ここに掲載するものである。
 なお、本意見は講師3 名の意見をとりまとめたもので適切と考えるが、環境省及び協会の見解ではないことを申し添える。

<シリーズ>

【エネルギーからみた地球温暖化問題/第39回】金融機関の炭素関連資産情報開示と気候関連リスクのストレステストについて
竹内 純子(NPO法人 国際環境経済研究所 理事/主席研究員)
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 これまで本誌に連続して寄稿しているとおり、金融・投資の関係者が気候変動を新たなリスクとして認識し、金融市場の投資判断基準に気候変動に関する価値観を取り込む動きが活発になっている。あるいは、リーマンショックを経験した金融市場が、気候変動が引き金となって金融危機につながる可能性を懸念し、情報開示を求めていると表現したほうが正しいかもしれない。金融安定化理事会(FSB)が民間有識者によるタスクフォース(TCFD)を設置し(2016年2月)、その最終報告書がG20 首脳会議に報告されたこと(2017年3月)は、関係者にこの動きが本物であることを認識させたといえるだろう。TCFDが求める情報開示に応じる企業も急速に増加している。
 しかし、TCFDの最終報告書にも「さらなる作業が必要な分野」についての記載がある通り、まだ議論の途上であり、多くの懸念点があることは2017年3月号の本誌に寄稿した「続・気候変動を動かす金融・投資の動き―─TCFDの提言案を読む」でも述べた通りである。特にTCFDが銀行など金融部門に対して開示を推奨している炭素関連資産比率はGICS( Global Industry Classification Standard:世界産業分類基準)に基づくもので、セクター次第というところが大きい。各企業の努力というより、どんな業種かで評価されてしまう、いわば「雑なブラウンタクソノミー」ともいえる。これでは、どのように情報開示を進めればよいのか、迷う向きも多いだろう。しかし実は、本年7月にわが国のメガバンク3行が統合報告書のなかで、TCFDが求める炭素関連資産の数字を公表している。本稿前半では、TCFDの提言する炭素関連資産の公表について、わが国のメガバンク3行がどのように対応しているのかを整理する。
 また後半では、オランダ中央銀行が昨年10月に公表した、気候変動リスクに関わるストレステストに関するoccasional studyの概要をご紹介する。
 これらの動きから、金融機関の中で急速に進む、特定の産業のエクスポージャーの比率の公表を求める動きについて考える。
【産廃コンサルタントの法令判断/第43回】誌上コンプライアンスチェック⑥――自治体ごとに異なるルール
佐藤 健(イーバリュー株式会社 環境情報ソリューショングループ マネージャー)
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日々廃棄物管理の実務現場を歩く産廃コンサルタントの違反事例紹介シリーズ(第43回)。

【ニュースから読み解く環境刑法/第15回(最終回)】罰則から考える環境法令の基本的視座――環境リスクの早期予防
渡辺 靖明 (法政大学 人間環境学部 兼任講師/明治学院大学 法学部 非常勤講師)
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 2018 年8 月号から始まった本連載も、今回が最終回となります。今回は、連載のまとめとして、各回の内容を振り返り、必要な補充をしつつ、環境刑法の特徴や罰則適用の現状を説明します。そのうえで、環境法の基本的視座(環境リスクの未然防止・予防の原則)と罰則との関係などについて考えます。
【新・環境法シリーズ/第92回】ノルウェーにおける今後のCCS(二酸化炭素・回収・貯留)プロジェクトの機会と課題――ノルウェープロジェクトからの学びと今後に向けて
ストール・アーケネス(ガスノヴァSF)/イングビルド・オムバステプト(IOM 弁護士事務所・明治大学環境法センター客員研究員)/マリア・エリングセン・グランアダ(IOM 弁護士事務所)/柳 憲一郎(明治大学 法学部 教授)/中村 明寛(タスマニア大学 研究員)
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 ノルウェーは、過去20年以上にわたり二酸化炭素・回収・貯留(CCS)の分野でパイオニア的な存在であり、また、CCS開発・導入を目的とする国家戦略の策定に熱心に取り組む国の一つである。その一方で、諸外国と比べノルウェーでは二酸化炭素の排出量は少ない。電力供給はほぼ100%再生可能エネルギーから賄まかなっており、装置産業は他国に比べ環境影響が低く、石油化学工場等による大規模な排出源も多いとはいえない。本稿では、CCSに関するノルウェーにおけるこれまでの取組みや国内戦略、さらに今後の技術導入に向けた機会と課題について述べることにしたい。
【いつできた?この制度 成り立ちからみる廃棄物処理法入門/第13回】廃棄物の処理委託の巻
三浦 大平/長岡 文明(廃棄物処理法愛好会)
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 みなさんこんにちは。このシリーズでは、廃棄物処理法を愛して止まない「廃棄物処理法愛好会」のメンバーが、難解な廃棄物処理法や関連法の様々な制度の生い立ちを説明していくものです。
 聞き手は、某企業の廃棄物管理部門に配属されて3年目、廃棄物処理法を鋭意勉強中のBUNさんです。
 第13回目は、「廃棄物の処理委託」を取り上げます。お相手は、前回に引き続きM 先生です。
【環境担当者のための基礎知識/第22回】  化学的酸素要求量(COD)と全有機炭素(TOC)の基礎知識
岡 ひろあき(環境コンサルタント)
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 日本国内の排水基準に関して、生物化学的酸素要求量(BOD)基準値は河川へ放流する排出水に、また化学的酸素要求量(COD)基準値は海域と湖沼への排出水に限って適用される。両者とも有機汚濁に関する指標である。排水中の有機汚濁物質が多量に環境水中に放出されると、有機物を餌として微生物が増殖する。これらの微生物によって有機物が分解され、同時に水中の溶存酸素が消費される。その結果、溶存酸素が減少して嫌気化するため、水質が悪化し、水生生物が死滅もしくは生息しにくい状態になる。
 COD測定によって、水中の有機物の量を短時間で定量化できる。 CODの最も一般的な用途は、湖沼などの地表水、または廃水に含まれる酸化性の有機汚濁物質の定量化である。本記事では主に、CODと全有機炭素(TOC)について基本的事項を解説し、米国における最新情報も提供する。安価で利便性の高いCODの簡易テスト法もレポートする。なお、より正確な情報は最新法令やJISなどを必ず参照いただきたい。
【先読み! 環境法/第88回】再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の「中間整理(第3次)」(8月20日)―― FIT法の見直し期限(2020年度末)に向け競争電源の制度化を提案、9月19日にFIP(Feed in Premium)の提案
小幡 雅男(前・神奈川大学大学院 法務研究科 講師)
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 再生可能エネルギー導入初期の普及拡大とコストダウンのための特別措置であるFIT制度の抜本的見直しと再生可能エネルギーの主力電源化を目指す小委員会の検討および提案内容について紹介する。また、石綿飛散防止対策の中で、特定建築材料以外の石綿含有建材に係る飛散防止の制度化、事前調査の信頼性確保、都道府県への報告の義務付けの提案について取り上げる。
 
 ❶再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の「中間整理(第3次)」(8月20日)――FIT法の見直し期限(2020年度末)に向け競争電源の制度化を提案、9月19日にFIP(Feed in Premium)の提案
 ❷石綿飛散防止小委員会(第6 回・9月2日)で「今後の石綿飛散防止の在り方の方向性」がまとまる――石綿使用建物の解体等工事すべてを大防法の規制の枠組みの対象とし、業者の事前調査の信頼性確保と都道府県への報告の義務付けを提案
環境法改正情報(2019年8月改正分)
見目 善弘(見目エコ・サポート代表)
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 ◉再生エネルギー特措法
 ◉労働安全衛生法
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