環境管理バックナンバー カテゴリ:化学物質

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<特集2>化学物質環境条約の最近の動向と日本── ストックホルム条約を中心に
増沢 陽子(名古屋大学 大学院 環境学研究科 准教授 環境法)
▼概要文表示2022年2月号

 環境の観点から有害な化学物質の規制を定める主な世界規模の条約として、四つの条約が挙げられる。その一つである残留性有機汚染物質( POPs)に関するストックホルム条約においては、近年継続して対象物質の追加が行われ対策を進展させている一方、予防的取組方法を踏まえた追加の手続・運用にはなお議論も存在する。条約の物質追加は、国内法ではとくに化審法に影響を与えている。化審法における条約上の義務等の実施は安定的になされているが、同法の化学物質管理の体系への条約の組み込みについては、さらなる議論も期待される。

<特集2>製造業の化学物質管理の現状と課題
林 誠一(一般社団法人 化学物質管理士協会 代表理事)
▼概要文表示2020年10月号
 製造業の化学物質管理には多くの課題が見受けられるため、経済産業省、厚生労働省や環境省の報告書にあるように、まず人材育成が重要であり、そのためには資格制度が望まれる。それらの課題解決のために化学関連分野の技術士による支援が役立つのではないかと考える。
<特集2>作業環境測定対象外化学物質のリスクアセスメントと簡易測定機器の活用
中丸 宜志(一般社団法人 化学物質管理士協会 理事)
▼概要文表示2020年10月号
 化学物質の定量的リスクアセスメントの代表的手法である作業環境測定は、通常、「管理濃度」を評価の基準とする。管理濃度の定められていない物質、例えば特定化学物質第3 類等には作業環境測定の義務はないが、GHS分類に基づいてハザードレベルを推定すると、決して有害性の低い物質ではない。このような物質の作業環境測定は、許容濃度等を管理濃度の代用として作業環境測定基準に準じた評価を行うのが一般的である。また、公定法と併用することにより、よりきめ細かい評価・対策が実施できる検知管等の簡易測定法についても言及する。
<特集2>国内外の化学物質規制対応の最新動向と産業環境管理協会の活動
竹下 満(一般社団法人 産業環境管理協会 化学物質総合管理部門 部門長)
▼概要文表示2020年10月号
 現在では、化学物質管理規制への対応なくしてビジネスは成り立たず、化学物質管理は、品質保証の重要なファクターである。ところが、その法規制は特に海外で毎年改訂されるため、極めて困難な業務となっている。例えば、最近のホットな話題として、EUのECHA SCIPデータベースへの対応がある。EU市場でビジネスを展開する企業は、2021 年1月5日以降、高懸念物質(SVHC)を0.1 重量%以上含有する製品について、欧州化学品庁(ECHA)策定のSCIPデータベースへの登録義務が発生する。罰則規定はまだ公表されていないが、今後でてくる可能性があり緊急の対応検討が必要である。本稿では、化学物質規制対応の最新動向とその規制対応への当協会の企業支援活動を紹介する。
<特集2>化学物質規制に関する国際動向と概要及び情報伝達に係わる留意事項、そして対応が求められる現場ニーズに対する適用可能な分析法の紹介
竹下 尚長(内藤環境管理株式会社 研究開発部 分析技術箇所 主任)/五月女 欣央(内藤環境管理株式会社 研究開発部 研究開発箇所 主任)/加藤 吉紀(内藤環境管理株式会社 研究開発部 研究開発箇所 箇所長)/松村光夫(内藤環境管理株式会社 取締役 研究開発部部長)
▼概要文表示2020年10月号
 製品含有化学物質規制は1992 年の地球サミットでアジェンダ21が採択され、これを機に欧州連合から世界各国へ波及していった。この過程で国内の電気・電子業界ではセットメーカー(川下メーカー)が中心となり、化学物質の情報伝達を業界全体で共有することが重要となった。このため、各メーカー間では互いに協力し合い、サプライチェーンでの情報を伝達するよう努められてきているが、これは製造業界における化学物質の適切管理に大きな役割を果たしてきている。一方、実際の製造現場等については化学物質の管理に係わる様々な問題に直面している現状がある。
 このため、本稿では化学物質規制に関する国際動向と概要及び情報伝達に係わる留意事項、また現場のニーズに応える適用可能な分析手法として半定量分析と定量分析によって得られた結果について、その有用性を評価したので紹介する。さらに、サプライチェーンでの情報伝達に係わる利用可能な共通スキーム「chemSHERPA」についても補足する。
<総説>化学物質管理入門(その3)特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)における化学物質管理
佐竹 一基(OFFICE KS(環境と技術)代表/一般社団法人 産業環境管理協会 技術顧問)
▼概要文表示2020年1月号
 今回は、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化学物質排出把握管理促進法または単に化管法とも呼ばれる。本稿では以下「化管法」と表記)の大まかな内容とそれによる化学物質のリスク削減について述べるともに、どのような管理が求められるかを解説する。
<総説>化学物質管理入門(その2 )労働安全衛生法における化学物質管理
佐竹 一基(OFFICE KS(環境と技術)代表/一般社団法人 産業環境管理協会 技術顧問)
▼概要文表示2019年6月号
 労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するための法律で、幅広い範囲を対象としている。化学物質も使用法を誤ると人の安全と健康に重大な影響を及ぼす。
 今回は、労働安全衛生法における化学物質の取り扱いと基本的な考え方を紹介する。
<総説>化学物質管理入門(その1)各種側面における規制の概要
佐竹 一基(OFFICE KS(環境と技術)代表/一般社団法人 産業環境管理協会 技術顧問) 
▼概要文表示2019年2月号
 化学物質は、その製造から製品への使用、廃棄までいくつもの法律に規制されており、それぞれの側面から厳重に管理する必要がある。本シリーズは化学物質管理について、基本的な項目を知りたい、自社の管理に役立てたいという初心者の方を対象に、法規制の解説や対応の仕方などについて合計5回にわけて解説する。
 第1回は、化学物質の各種側面における規制の概要について取り上げる。
<総説>低濃度PCB廃棄物の無害化処理技術と処理促進に向けた取組状況
長田 容(公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団 技術部長)
▼概要文表示2018年9月号
 低濃度PCB廃棄物はPCB濃度が0.5mg/kgを超える絶縁油が封入された微量PCB汚染廃電気機器等およびPCB濃度が5,000mg/kg以下のPCB汚染物等をいう。これらは現在38 の民間の無害化処理事業者により、運搬可能な廃電気機器や汚染物は主に焼却処理され、大型の変圧器類は設置場所で洗浄または分解・洗浄処理されている。処理施設数と処理能力は年々増強され順調に処理が進んでいるが、一方でPCB汚染の状況を確認せずに使い続けられている電気機器が多数存在する。本稿では、無害化処理施設に適用されている処理技術の特徴と処理促進に向けた取組状況について紹介する。
<総説>低濃度PCB廃棄物の現状とその分析方法
加藤 吉紀(内藤環境管理株式会社 研究開発部 研究開発箇所 箇所長/佐藤 旭(内藤環境管理株式会社 研究開発部 研究開発箇所 チームリーダー)
▼概要文表示2018年9月号
 PCB廃棄物は処分期限が迫っている状況であるものの、その全容がまだまだつかめていない。このため、全量廃棄に向けて国や自治体、各関係団体は全力を挙げて対策を検討している。ここで、PCB廃棄物を適正に処理するためには、適切な分別を行うための調査が必要不可欠である。また、PCB濃度を確定するためには、廃棄物の種類に応じた適切な分析方法で行う必要がある。
 これらのPCB廃棄物の処理に係わる諸事情を踏まえ、本稿では実際に分析を行う視点から、分析依頼の契機が多い媒体の分析方法や、分析を行う過程で生じる課題等について述べる。
<特集2>水銀廃棄物の適正処理に向けた企業の新たな対応について
重松 賢行(環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制課 課長補佐)
▼概要文表示2018年5月号
 2017 年8 月16 日に「水銀に関する水俣条約」が発効し、同年10 月1 日には水銀廃棄物に関する廃棄物処理法における新たな規制が施行されたところである。今回の改正は、蛍光ランプ等の水銀使用製品が廃棄物となったものにも新たな委託基準や処理基準等が加わることとなり、企業等幅広い排出事業者に関連するものとなっている。これらを踏まえ、本稿では、企業において排出事業者責任を果たすために留意すべき点、水銀の環境への負荷低減に向けて取り組むべき事項を中心に産業廃棄物の適正処理に則した情報を提供する。
<特集2>水銀関連の廃棄物――蛍光灯を例に
本誌編集部
▼概要文表示2018年5月号
 平成29 年10 月1 日以降、蛍光ランプなど水銀廃棄物の適正処理について新たな対応が必要になった。そこで地方自治体や日本照明工業会などの情報をベースに、水銀を使用した蛍光ランプについて現状と適正処理について基本ポイントをまとめてみた。極めて基本的な事項であるが、法違反は許されないのでご一読いただきたい。水銀廃棄物の取り扱い方法に関しては、例え少量であっても、疑問や懸念事項があれば処理業者や管轄自治体に問い合わせをするなどして必要に応じて是正いただきたい。
<特集1>chemSHERPAの普及に向けて
町井 弘明(経済産業省 製造産業局 化学物質管理課 総括補佐)
▼概要文表示2017年11月号

 社会的正義を論拠に優位な市場環境をつくる取組が、欧米の産業界を中心に積極的になされてきた。今後は、我が国産業もこれまで培ってきた社会課題に対する解決力を生かして、その競争に参加していくことが必要である。
 化学物質管理を支援するchemSHERPAはその先進的な取組の一つである。REACH 規制など海外の製品含有物質規制の執行強化があった場合にも、我が国産業、特に川中・川上企業の利益になる仕組みをつくるという政策理念の下で、支援を行ってきた。
 運動論としてのchemSHERPAは賛同企業も続々と実稼働を始めるなど一定の成果を得た。今後、上記理念が実現できるよう、また、より多くの企業に利用いただけるよう、尽力していきたい。

<特集1>製品含有化学物質管理の標準手法 chemSHERPA
山藤 憲明(一般社団法人 産業環境管理協会 アーティクルマネジメント推進協議会 所長)
▼概要文表示2017年11月号

 成形品における製品含有化学物質管理は、国際的に合意された化学物質管理の高度化を目指し、2000年頃から欧州で制定された規制の遵法対応として始まった。自動車業界は2002年にはいち早く一元的管理を開始した。電機・電子業界においては、個社対応として開始され、複数の統一化の動きを経て、製品含有化学物質管理の国際規格が2012年(IEC62474)に制定された。その国際規格を受け、経済産業省がリードする形で製品含有化学物質管理手法であるchemSHERPA(ケムシェルパ)が開発された。chemSHERPAは国際規制に日本語で対応可能なツールで、サプライチェーンのコストダウンをめざし、企業、業界による導入が開始されている。

<報告>有機顔料中に副生するPCB
本誌編集部
▼概要文表示2016年3月号
 平成23年1月、非意図的に生成した微量のPCBがある種の顔料に含まれる可能性が国際団体により公表された。その後、国内でもPCB含有の顔料が実際に確認された。顔料とは着色に用いる粉末で水や油に不溶なものの総称。このうち、有機顔料は有機化合物を成分とする顔料で、色彩の種類が多い。有機顔料の主な用途として、印刷インキ、塗料、画材、クレヨン、さらに繊維・樹脂・ゴム・紙用着色などがある。これらの顔料から微量PCBが検出されことで関連業界では大きな問題となった。
 この問題に関して非公開で実施した計7回のヒアリングなどを含め合計10回の会合における検討結果をまとめた報告、「有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書」を平成28年1月29日に公表した。
 本稿では報告案に対するパブリックコメント抜粋を最初に掲載する。「利用可能な最良の技術」BATについての活用方法が記載されているなど非常に興味深い報告書である。
<特集>化学物質による事故と規制動向
本誌編集部
▼概要文表示2015年11月号
 本年8月12日に中国で発生した天津大爆発は極めて衝撃的であった。他にも山東省、河南省、甘粛省、江蘇省など各地の化学工場で爆発や火災事故が勃発するな
ど、中国の危険物の管理態勢のずさんさが改めて問題視されている。日本でも労働安全衛生法が改正され、化学物質に対するリスクアセスメントが強化されている。世界各地の事故と規制動向を概観する。
<特集>改正労働安全衛生法の概要と化学物質のリスクアセスメントに向けた取り組み
遠藤 智道 一般社団法人 産業環境管理協会 国際化学物質管理支援センター/田嶋 晴彦 一般社団法人 産業環境管理協会 国際化学物質管理支援センター
▼概要文表示2015年11月号
 胆管がん事案など最近の化学物質による労働災害の状況を踏まえ、労働災害を未然防止する仕組みを強化するため労働安全衛生法の一部改正があった。特に注目すべきは平成28年6月1日から化学物質を製造・流通もしくは使用するすべての事業者に化学物質のリスクアセスメントを義務付けたことだ。しかし多くの企業にとって化学物質のリスクアセスメントは未経験であり、改正法の完全履行には困難が予想される。そこで本稿では、第1章で指針等、厚生労働省の公開している文書を手掛かりに労働安全衛生法改正の概要と求められるリスクアセスメントの解説を行い、第2章で企業の担当者がリスクアセスメントを実施する際の手順や支援ツールについて解説する。
<特集>製造業における化学物質管理政策の 現状と今後の展開
経済産業省 製造産業局 化学物質管理課
▼概要文表示2015年11月号
 化学物質管理の充実が国際的な要請となっており、経済産業省では、①安全確保を大前提としたサプライチェーンにおけるビジネスリスク、ビジネスコストの低減、②国際的な制度のハーモナイゼーションと知見の共有、を大きな柱とし、①については、サプライチェーンにおける製品に含有される化学物質の新たな情報伝達スキームchemSHERPA(ケムシェルパ)の構築、②については、化学物質管理制度の(特にアジアにおける)国際調和を目指し、日ASEANケミカルセーフティーデータベースの構築等を目指している。
<特集>神奈川県における化学物質の適正な管理に関する取組
神奈川県 環境農政局 環境部 大気水質課
▼概要文表示2015年11月号
 化学物質は私たちの日常生活の利便性を高めているが、数万種類に上るといわれる化学物質の中には、大気、水などの環境中に排出され、人の健康や生態系に悪影響を及ぼす有害な物質も存在することが知られている。
 神奈川県では、化学物質によるこうした影響を防ぐため、生活環境の保全等に関する条例に基づき、事業者による自主的な排出抑制対策の推進や化学物質情報の提供などの取組を実施している。
<特別対談>淑徳大学 北野大教授にきく 化学物質管理の国際的潮流とこれからの製品戦略
北野 大 淑徳大学教授/傘木和俊 一般社団法人産業環境管理協会理事
▼概要文表示2014年10月号
 公害対策として排出ガスや排出水の「出口規制」が行われていた時代、我が国ではカネミ油症事件を契機に、「化学物質審査規制法」が世界に先駆けて制定された。その後、地球温暖化等環境問題のグローバル化が新たな変化をもたらし、1992年の国連地球環境サミットでは、国際的な連携や整合を図りつつ化学物質の与えるヒトや環境への影響の最小化を目指すという目標が定められた。今後はリスクベースの規制・管理、サプライチェーンでの情報共有・開示、リスクコミュニケーションなど、より俯瞰的な対応が必要となっていくといえる。本記事では、淑徳大学教授・北野大先生に当協会・傘木和俊理事とご対談いただき、化学物質管理を取り巻く昨今の状況と、企業が検討すべき今後の課題等について語っていただいた。
<特集>ストックホルム条約におけるPOPsの評価
北野 大 淑徳大学 人文学部 表現学科 教授
▼概要文表示2014年10月号
 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約について、その制定の背景、目的及び締約国の義務等について述べる。次に締約国から提案された化学物質が残留性有機汚染物質(POPs)に該当するか否かの判断であるが、この基準は分解性や濃縮性については明確に示されている。しかし、この判断を実施する残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)では、実際には総合的かつweight of evidenceに基づく専門家の判断に任せられた柔軟な運用がされており、本稿ではこれらの運用例を具体的に示すことにする。
<特集>我が国の化学物質対策の現状
金子元郎 環境省環境保健部環境安全課
▼概要文表示2014年10月号
 我が国の化学物質対策の現状を理解する上で有益な、歴史的な公害対策・化学物質対策の変遷、及び化学物質対策の基本的な考え方について概括した上で、化学物質に関する代表的な法制度であ
る化学物質審査規制法、及び化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度について、最近の状況を踏まえ解説する。併せて、昨年10月に採択された「水銀に関する水俣条約」を例に、国際的
な動向と我が国の対応についても説明する。
<特集>サプライチェーンを通した化学品のリスク管理に向けた日化協の取り組み
庄野文章 日本化学工業協会常務理事/徳重 諭 日本化学工業協会化学品管理部部長
▼概要文表示2014年10月号
 化学品の適切な管理を目指した2002年のヨハネスブルグサミットにおいて、「2020年までに化学物質の製造と使用が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する」ことが国際的に合意された。国際化学工業協会協議会(ICCA)は、この目標達成のために2006年「RC世界憲章」と「グローバルプロダクト戦略(GPS)」の実行を公約した。これを受け、日本化学工業協会は新たな化学品管理の自主的取り組みである「GPS/JIPS」を開始し、その取り組みをサプライチェーン全体へ具体的に展開するためにJAMPと協働で「SCRUM」プロジェクトを立ち上げた。
 本稿では、産業界の取り組みとして国際化学工業協会協議会及び日本化学工業協会の推進するGPS/JIPS及びサプライチェーンを通した化学品のリスク管理に向けたSCRUMプロジェクトについ
て概説し、その課題と今後の方向についても言及する。
<特集>PRTR届出データの経年比較による大気への排出量の推移
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
▼概要文表示2014年10月号
 国から公表されているPRTR届出データを届出年度ごとに比較することにより、環境中への排出状況だけでなく、業種や事業所の排出削減状況を知ることができる。
 排出の実態がどのように変わってきたのかを把握するため、平成15年度から平成24年度まで10年分のPRTR届出データを用いて、大気への排出量について物質別に整理し、排出量の多いトルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、塩化メチレン、ノルマル-ヘキサンの経年比較を行った。また、前記5物質の業種別の排出量を整理し、各物質における排出量の多い業種について業種ごとの経年比
較を行った。
<特集>2018 年に向けた欧州REACH 規則への対応 ―物質登録の観点から
戸笈 修 一般社団法人産業環境管理協会国際化学物質管理支援センター 
▼概要文表示2014年10月号
 2007 年6月1日に施行されたREACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of CHemicals)規則の大きな特長の一つは、段階的導入物質(既存化学物質)及び非段階的導入物質(新規化学物質)を問わず、EU域内にて化学物質を製造または輸入する事業者に対し、「登録」を義務づけたことである*1。これは、年間1tを超えてEU域内で製造あるいはEU域内に輸入される化学物質については、指定期限までに事業者が登録を済まさなければ、その物質や調剤(混合物)はEU 域内で販売ができなくなることを意味する。段階的導入物質の登録には4段階(1〜10、10〜100、100〜1,000、1,000t 超/ 年)のトン帯域(年間の製造量あるいは輸入量)が設けられており、これまでに、100〜1,000、1,000t 超/ 年の製造量あるいは輸入量となる物質、及び発がん性物質(CMR)等の危険有害性物質については、事業者による「登録」が実行された(非段階的導入物質については、数量にかかわらず、欧州への上市前に登録が要求される)。今後、1〜10、10〜100t/ 年の製造量あるいは輸入量となる段階的導入物質については、2018 年5月31日までに登録を終える必要がある(図1)。
 本稿では、REACH規則について、特に2018年を見据えつつ、登録の観点から、事業者の具体的な対応方法について紹介する。
<特集>韓国化評法の概要
石川太郎 一般社団法人産業環境管理協会国際化学物質管理支援センター法令対応支援室室長
▼概要文表示2014年10月号
 韓国において現行の有害化学物質管理法(有害法)に変わり、新しい化学物質規制「化学物質の登録及び評価に関する法律(化評法 法律第11789号)」が、2015年1月1日より施行される。化評法では、化学物質を韓国で製造・輸入する場合、主に登録、報告が義務づけられ、また有害化学物質を含有する製品についても申告などの義務がある。韓国に化学品を輸出する日本企業はその対応準備を行うことが必要となっている。本稿では、化評法の概要を解説する。
<特集>PCB 処理の制度と技術―半世紀の歩みを概観する
本誌編集部
▼概要文表示2014年8月号
 PCBの問題は、カネミ油症事件から起算すれば、すでに46年にもなる問題である。当協会は平成7年~14年まで、経済産業省の「難分解性有機化合物処理技術評価・検討委員会」を運営し、PCBの処理技術評価に関わっていたが、その終了時からもすでに10年ひと昔であり、低濃度PCBの処理の推進など、大きく状況が変わっている。詳細な現状は他稿に譲ることとし、本稿では半世紀の歩みの全体感と基盤知識を整理しておくこととしたい。
<特集>PCB 廃棄物の早期処理に向けた取り組みの現状と課題
長田 容 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団技術部次長 
▼概要文表示2014年8月号
 環境省はこのほど、PCB廃棄物の新たな処理期限である平成38年度末を見据え、早期の処理完了に向けて今後取り組む諸施策を盛り込んだPCB廃棄物処理基本計画を公表した。主な取り組みとして、日本環境安全事業の5事業所の処理能力を相互に有効活用すること、また、数が膨大な微量PCB汚染機器の処理では、無害化処理認定制度の活用に加え、合理的な処理が進むよう使用中の機器の洗浄方法に係る枠組み構築等を検討するとしている。
 本稿ではPCB廃棄物の廃絶に向けた最近の取り組み状況を紹介するとともに、これらを適正に管理し処理するための留意点について解説する。
<特集>微量PCBの処理技術
寺門 洋 エコシステム山陽株式会社専務取締役
▼概要文表示2014年8月号
 PCB特別措置法施行後に存在が明らかになった微量PCB汚染廃棄物については、その量が膨大であるところから処理体制の整備が急がれている。PCB廃棄物の処理期限は2027年3月末まで延長され、抜油後の絶縁油を処理する施設は環境大臣の認定制度を活用し順調に整備が進んでいる。一方、抜油後の電気機器本体の処理施設については、国内に存在する対象となる廃棄物の物量に対して、いまだ能力不足とされている。
 本稿では、微量PCBに汚染された電気機器本体の処理技術としての焼却技術及び洗浄技術の概要と、焼却処理施設の具体例としてエコシステム山陽㈱の微量PCB廃棄物処理プロセスを紹介する。
<特集>微量PCB 汚染機器処理への取り組みー移動式溶剤循環洗浄処理技術の開発
田村義隆 株式会社かんでんエンジニアリング環境工事部工事グループマネージャー
▼概要文表示2014年8月号
 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、昭和47年に製造が禁止され、その後平成16年よりようやく高濃度のPCBの処理が始まった。一方、平成14年7月に、PCBを使用していないとする電気機器等の絶縁油の一部に微量のPCBが混入していることが報告され、その量は全国で約160万台と推定されている。
 環境省の無害化処理認定制度を活用した焼却処理がすでに始まってはいるが、焼却炉に直接投入できない大きさの機器の処理は解体が必要となり、処理能力には限界がある。
 ㈱かんでんエンジニアリングは、永年にわたり培ったPCB処理技術のノウハウを活かし、微量のPCBに汚染された移動困難な大型機器(変圧器等)を処理する手段として、現地へ処理装置を持ち込み、溶剤を用いて機器内部を循環洗浄することで、機器内部に付着・含浸しているPCBを除去する移動式の溶剤循環洗浄処理技術を開発した。平成26年5月に移動式の洗浄施設として国内で初めて、低濃度PCB廃棄物の無害化処理の環境大臣認定を取得したので、ここに紹介する。
<総説>揮発性有機化合物(VOC)排出抑制の取組に関する最近の動きについて ― 産業構造審議会産業環境対策小委員会における検討とVOC 排出抑制セミナー等の再開について
橋森武志 経済産業省産業技術環境局環境指導室大気係長
▼概要文表示2014年7月号
 平成18年4月以降、VOCを排出する工場等の固定発生源に対し、法規制と自主的取組とのベスト・ミックスにより、排出抑制対策が求められてきた。自主的取組については、現在、継続的な取組を行う企業の姿勢を示すとともに、産業界と国民との間の信頼性の向上にも繋げるため、自主的取組の内容を産業構造審議会産業環境対策小委員会に報告・共有してもらうことになっている。また、自主的取組をさらに充実させていくため、VOC 排出抑制セミナーを開催するなど、参加企業の拡充に向けた取組を進めている。VOC排出抑制の取組に関する最近の動きについて紹介する。
<総説>欧州バイオサイド製品規則の概要―新たに規制対象となった処理成形品に対する義務とは
石川 太郎 一般社団法人 産業環境管理協会 国際化学物質管理支援センター登録業務室主査/戸笈 修 一般社団法人 産業環境管理協会 国際化学物質管理支援センター所長
▼概要文表示2013年10月号
 1998 年に施行されたバイオサイド製品指令98/8/EC(BPD)にかわり、2013 年9月1日より、「バイオサイド製品規則(Regulation(EU)528/2012)」がEUで施行された。バイオサイド製品規則(BPR)は、従来のバイオサイド製品指令(BPD)と同様、消毒剤、保存剤、缶内保存剤、木材防腐剤等の保存剤、殺鼠剤、殺虫剤等の有害生物抑制剤、防汚剤等の「バイオサイド製品」に加え、当該バイオサイド製品で処理をされた成形品(処理成形品:Treated article)をも新たな規制の対象としていることが大きな特徴である。本稿ではバイオサイド製品規則における処理成形品に関する義務に焦点をあて概観する。
<総説>電機電子4団体の事業所化学物質管理キーパーソン育成プログラム
宇佐美 亮 三菱電機株式会社 環境推進本部
▼概要文表示2013年8月号
 製造業では原材料、購入部品の含有成分、副資材等、多様な用途に化学物質を使用している。法の遵守と事業リスク管理のためには、事業所全体を見渡しつつ設計から廃棄に至る製品ライフサイクル全般にわたって化学物質を管理する人材(キーパーソン)が不可欠である。ベテラン人材が異動や退職によって現場を離れたとき、後継者が充分なリスク管理レベルに到達するまでの期間を短縮し、リスクが顕在化する危険性を可能な限り低減するために、電機電子4団体はノウハウ・技術の世代間継承と最新化を実現できる事業所化学物質管理キーパーソン育成プログラムを開発した。
<特集>サプライチェーンを通じた化学物質管理と情報伝達
川上 哲司 パナソニック株式会社 モノづくり本部 環境・品質センター 化学物質ユニットリーダー
▼概要文表示2012年12月号

 当社を含む電機電子業界は、EU RoHS指令(電気・電子機器の特定有害物質使用制限指令)やEU REACH規則(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)といった化学物質規制の導入により、製品への有害物質含有禁止や有害懸念物質の含有情報伝達への対応が求められている。最終機器メーカが化学物質を用いて一から製品製造をしているわけではないので、サプライチェーンに対して製品含有物質管理の強化と情報伝達への協力を求め、取り組んでいる。サプライチェーンでの製品含有化学物質情報の伝達を円滑に進めるための当社の取り組みを説明するとともに、化学物質情報伝達にかかわる課題を提起する。

<特集>製品含有化学物質管理の標準作りとサプライチェーンにおける実践
菅谷 隆夫 みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第2部
▼概要文表示2012年12月号
 自動車、電気電子機器、電池、包装材といった製品カテゴリごとの製品環境規制や、ライフサイクル管理の観点等から成形品(アーティクル)中の物質まで対象範囲とする化学物質規制など、拡大する製品含有化学物質規制への対応がものづくりにかかわる事業者の大きな課題となっている。
 それに対して、多くの事業者が、製品含有化学物質情報の入手・確認によって対応すべく、情報収集・授受の手段を整備している。しかし、多種の原材料や部品を国内外の多数のサプライヤから入手するような分業によるものづくりにおいては、その含有化学物質を把握するのは容易ではなく、含有化学物質情報には信頼性の問題もつきまとう。そのため、サプライチェーンにかかわる各事業者が製品含有化学物質を管理する「仕組み」をもつことが、規制対応の基礎として重要であることが認識され、標準作りが進められている。今夏には、製品含有化学物質管理に関する日本工業規格として、JIS Z 7201:2012 製品含有化学物質管理-原則及び指針が制定された。本稿では、製品含有化学物質管理に関する標準策定の経緯・動向、サプライチェーンにおける製品含有化学物質管理の実践について述べる。
<特集>廃棄物委託にかかわる化学物質の環境リスク
堀口 昌澄 株式会社 アミタ持続可能経済研究所 主席コンサルタント
▼概要文表示2012年12月号
 廃棄物の処理については、不法投棄問題だけでなく先般の利根川水系におけるホルムアルデヒド騒動などの不適正処理が問題になることが多い。不法投棄は比較的ローカルな問題ととらえられるが、水が汚染されるとその影響の範囲は一気に広がる。今回のように、一般の河川がここまで汚染されるケースは極めてまれではあるが、その影響の大きさから日本人全員が知ることとなる事件となった。排出事業者としては、処理方法の選択と業者の選定、廃棄物の有害性の把握と処理業者との共有がこれまで以上に重要なテーマとなる。本稿では、化学物質を含む廃棄物の処理のリスクと、その対策についてまとめた。
<特集>川崎市における化学物質の環境リスク低減に関する取組―市域の環境リスク評価と化学物質取扱い事業所周辺の環境リスク評価
小林 勉 川崎市 環境局 環境対策部企画指導課 技術員
▼概要文表示2012年12月号
 川崎市は、京浜工業地帯の中核に位置し、全国的にも化学物質の排出量の多い自治体の一つであり、国が実施している環境リスク評価では必ずしも市の実態に則した結果が得られていないことから、市の直近のPRTR排出量を用いるなど市の排出実態に則した方法で市域の環境リスク評価を実施し、公表している。また、事業所から排出された化学物質が周辺住民に与える有害な影響については事業者自らが自主管理の中で把握し、その結果に基づいた効率的かつ効果的な管理(リスク管理)を行うことが必要である。そのため、「事業所周辺の環境リスク評価を行うための手引き」を作成し、事業者へ提供することにより、事業者のリスク管理を促進している。
<部門歴史②>JEMAIが提案するこれからの化学物質管理
胡桃澤昭夫 一般社団法人産業環境管理協会化学物質管理情報センター化学物質管理情報室主査/山藤憲明 一般社団法人産業環境管理協会化学物質管理情報センター所長/清國吉彦 一般社団法人産業環境管理協会JAMP 情報センター所長/入交晃一 一般社団法人産業環境管理協会JAMP 情報センター技術参与/遠藤智道 一般社団法人産業環境管理協会国際化学物質管理支援センター登録業務室長
▼概要文表示2012年10月号
 (一社)産業環境管理協会では2006年に化学物質管理情報センターが設置された。その後、化学物質規制に国際的に対応するための支援サービスを提供する国際化学物質管理支援センター、並びに製品管理上の情報センターとして設置されたJAMP情報センターの3センターにより、化学物質総合管理部門を構成し、産業界、特に製造業における化学物質管理全般の支援を担当している。
 本稿では、3センターそれぞれの活動を紹介するとともに、(一社)産業環境管理協会が提案するこれからの化学物質情報管理について概観する。
 
本稿の構成と執筆者
1. 化学物質管理情報センターのこれから(胡桃澤昭夫、山藤憲明)
2.JAMP 活動とJAMP─GP 事業(清國吉彦、入交晃一)
3.国際化学物質管理支援センター─支援業務について(遠藤智道)
<特集>今後の有害大気汚染物質対策のあり方について
永森一暢 環境省水・大気環境局総務課課長補佐,苔口聖史 環境省水・大気環境局大気環境課課長補佐
▼概要文表示2011年10月号

 平成22年10月に中央環境審議会「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」(第九次答申)が取りまとめられ,有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質が見直された。また,これらの見直しに併せて,有害大気汚染物質の分類に応じて,国,地方公共団体及び事業者の各主体の取組が明確となるよう,リスクの程度に応じた対策のあり方について整理が行われた。本稿では,今後の有害大気汚染物質対策のあり方について解説する

<特集>水銀等の有害金属に関する国際的な取組
甲斐文祥 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課,早水輝好 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
▼概要文表示2011年10月号

 水銀,カドミウム,鉛といった重金属については,古くから健康影響が懸念されてきたが,近年,国際的な有害物質の管理・規制強化の流れの中で,これらの有害金属の管理に関する国際的な議論が国連環境計画(UNEP)において進められている。中でも,水銀に関しては,リスク削減のための条約作りが合意され,現在,2013年までの条約制定を目指して国際交渉が進められているところである。また,カドミウムや鉛に関しても,UNEPの下で科学的情報の収集等が進んでいる。本稿は,水銀に関する議論を中心に,こうした国際的な有害金属に関する議論の経緯や動向について紹介するとともに,我が国の対応状況について述べたものである。

<特集>産業廃棄物焼却処理における有害化学物質への取り組み
長沼 誠 三友プラントサービス株式会社横浜工場執行役員
▼概要文表示2011年10月号

 今日の有害化学物質の処理としては,不可逆的に変換されることが求められており,その一つとして新たな専用処理施設の設置などのイニシャルコストや,手続き等へ要する時間など大幅に削減できる,既存の廃棄物焼却炉を利用した熱分解方法が有効的である。昨年に第一種特定化学物質に指定され,環境省より示された「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」によるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の分解処理実験の紹介を交え,これまでの産業廃棄物焼却処理における有害化学物質への取り組みを紹介する。

<特集>平成28年へ向けてのPCB処理状況とPCB処理手続き
大脇正人 一般社団法人産業環境管理協会環境管理部門環境人材開発センター
▼概要文表示2011年10月号

 平成13年5月にポリ塩化ビフェニル(PCB)等の残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants (POPs))が採択され,我が国では国会承認を経て平成14年8月に同条約に加入した。この条約において,PCBは平成37年までに使用の全廃,平成40年までに適正な処分が求められている。このため,我が国におけるPCB廃棄物処理に向けた具体の動きとして,平成13年6月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定された。これにより,我が国の保管事業者は,平成28年7月までの間にPCB廃棄物を適正に処分しなければならない。本文では,PCB廃棄物の処理にあたり,PCB処理状況と手続きについてまとめてみた。

<特集>廃棄物処理法におけるPCB処理の収集運搬・保管・管理の注意点
長岡文明BUN 環境課題研修事務所
▼概要文表示2011年10月号

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物が廃棄物処理法のもとでどのように処理されるべきかを解説。排出事業者に向け,処理施設までのPCBの運搬,手続き等の詳細,排出事業者が注意しなければならない点,予想される罰則規定などを具体的に紹介する。反面,現実の処理技術,処理施設についての課題,問題についてもふれたい。

<特集>絶縁油中の微量PCB測定技術について
松田 渉 株式会社テルム
▼概要文表示2011年10月号

 廃油中の微量のポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyl:PCB)が含有する可能性のある廃電気機器等は全国に650万台以上と推定され,平成28年までに現在全国で保管されているすべての絶縁油を処理することが求められている。こうしたことから,これらを迅速に処理するために,汚染判定に低廉で迅速な信頼性の取れた分析方法として簡易測定法マニュアルが環境省より公表された。簡易定量法の概要について紹介する。

<特集>国際的な化学品管理の動向―SAICMに向けた官民の取り組み
庄野文章 社団法人日本化学工業協会/REACHタスクフォース事務局長代理兼化学品管理部部長
▼概要文表示2009年10月号

 化学物質の利用においてその適切な管理は,人類が社会生活を営み持続的な発展を遂げるうえで必須の課題であり,そのベネフィットを最大限に引き出し,可能な限りリスクを低減化していくことが基本的な考え方となる。2002年ヨハネスブルグで開催された持続可能な発展のための世界首脳会議(WSSD)では「透明性のある科学に基づくリスク評価手続きとリスク管理手続きを用い予防的アプローチを考慮して健康および環境への影響を最小限にする方法で化学物質を製造し使用することを2020年までに達成すること目指す」ことが合意された。これをもとにいまや国際的なレベルで官民をあげての取り組みが進められつつある。本稿ではこの内容を概説し今後,化学産業のみならず全産業にわたっての取り組みについて展望する。

<特集>住友化学の化学物質管理への取り組み―化審法・化管法対応を中心に
奈良恒雄 住友化学株式会社レスポンシブルケア室主席部員、木村雅晴 住友化学株式会社レスポンシブルケア室主席部員
▼概要文表示2009年10月号

 国際的な流れを背景に,我が国の化学物質管理もリスクに基づく考え方に向けて大きく舵を切ろうとしている。我々事業者においても,化学物質固有のハザードだけでなく,数量や環境への放出量,用途や使用場面なども考慮したリスクに基づく化学物質管理が求められる。住友化学では従来から,リスクに基づく化学物質管理の推進を基本方針に掲げ,自社内に専門の安全性研究組織をもつなど,独自の体制作りを積極的に行ってきた。この大きなパラダイムシフトの時代に,住友化学はこれまでに培ってきたリソースを最大限に活用し,自主的な取り組みにより,変化をビジネスチャンスにつなげられるよう前向きに取り組んでゆく。

<特集>富士通グループにおける化学物質情報管理への取り組みについて
藤井正隆 富士通株式会社環境本部環境技術推進統括部長
▼概要文表示2009年10月号

 富士通グループでは,製品の新規開発にあたって,グループ一体となったエコデザインを推進しており,製品のライフサイクル全体を通じた環境パフォーマンスの向上に努めている。1993年より富士通グループ独自の製品環境アセスメントを実施し,「省エネルギー」「3R設計」「含有化学物質」「包装」などの観点より環境配慮型製品の開発に取り組んでいる。その一方で地球温暖化,資源枯渇といったいわゆる環境問題は近年急速に顕在化しており,世界各国において省エネルギーや化学物質管理に関する法令の整備が進んでいる。日本では化審法と化管法の改正によって化学物質政策が見直されており,企業は独自の環境への取り組みを継続するだけでなく,的確な法令遵守の体制を構築する必要がある。当社ではインフォメーション・テクノロジー(IT)を活用することで,製品含有化学物質の管理や,事業所における化学物質排出量削減といった取り組みの効率化を図っている。

<特集>定量的構造活性相関((Q)SAR)手法の有害性評価への活用
赤堀有美 財団法人化学物質評価研究機構安全性評価技術研究所研究企画部研究企画課
▼概要文表示2009年10月号

 (定量的)構造活性相関((Q)SAR)は,試験を実施することなく,化学物質の性質を知ることができる手法のひとつである。しかし,化学物質の有害性評価の分野においては,(Q)SARの方法論の評価や結果の妥当性評価等の解釈が明確でなかったため実用的な活用は不十分であった。近年,これらの課題に対する解決策として,経済協力開発機構(OECD)が(Q)SARモデルの検証原則及び(Q)SARによる予測の報告様式を公開した。本稿ではこれらの内容を解説し,(Q)SARによる予測結果の活用に必要なポイントを概説する。

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